第40回 セイコーGLAの2台の分解
(コーワH&リコーフレックス35)

(故障内容)シャッターが切れない(2台とも)
(故障原因)シャッターボタンの押し圧不良(コーワH)
       チャージスプリングの破損(リコーフレックス35)


作業時間約4時間

リコーフレックス35 コーワH
今回は特に番号などを付けないでセイコーシャGLAシャッターを持つ2台のカメラリコーフレックス35とコーワHの内部構造を見てみたいと思います。レンズシャッター1眼レフでプログラム機能を持ったシャッターがセイコーシャGLAになります。写真を見れば一目瞭然なのですが非常に安っぽいシャッターですが昔Nレンズシャッター1眼レフで苦労したミラーとのタイミングをこんな簡単なシャッターで作ってしまったセイコーシャの技術力がわかると思います。まずシャッターはカバーに覆われておらずに剥き出しになっている構造がわかると思います。速度調節用のリングもぺらぺらな鉄板で出来ています。次にシャッター内部では低速が無いため簡単なガバナーをもっているだけの構造になっています。このシャッター内部を見てあるカメラのシャッターを思い出しませんか?そうそうリコーの名機である二眼レフのリコーフレックスです。シャッター開閉用のバーの部分は似ていますよね。あと出っ張って見えるレバーのようなものが絞り調節用のレバーになります。このレバーがプログラムを可能にしています。リコーフレックス35に関してなのですが鏡胴部の分解には頭を悩ませました。ネジが非常に表面に現れていない構造になっています。いろいろな部分に隠されていますので分解される方はこの点を楽しんでください。少ないネジで効率良く締めるということがわかると思います。さすがリコーだと思いますので。2台を比べてみるとリコーとコーワの考え方の違いがはっきりとわかります。まずチャージ部分の構造を見るとリコーは非常に軟弱に見えるのですが故障が少ない構造になっています。コーワの方は写真の一番上をみればわかるのですがギア連動を用いて非常にしっかり作っています。ただどちらが耐久性が良いのかはご想像におまかせします。底部に関してはリコーの方は写真がないのですがきついテンションバネを用いてギア数が少なくなるように作られていましたがコーワの方はスプリングに頼らずにギア数を多くして柔らかい巻上げが出来るようになっていました。今回のリコーの故障はこのチャージスプリングが完全に切れていました。この点はコーワに軍配があがると思います。コーワの方の問題が最後の写真にあるシャッターボタンの構造にあると思います。長いリンクバーを用いてシャッターレリーズをするのですがこの部分がシャッターを押す回数が増えると変形してしまいシャッターの押し圧が減ってしまいシャッターが切れなくなるという構造になっていたため今回の故障に繋がりました。リコーの方は普通のシャッターボタン形状である為問題はないと思います。コーワはこのシャッターボタン構造に何を求めたのかが私にはわかりません。ということで私が思うにはセイコーシャGLAシャッターを用いて、リコーは出来るだけコストを抑え安いレンズシャッター1眼レフを目指し、コーワはやや中級機の位置にあるレンズシャッター1眼レフを目指したのではないかと思いました。ただ値段はリコーの方が高いのですが。しかしリコーの部品数の少なさには感動しました。ちなみに2台とも上部は非常にフラットな形状をしています。巻き上げはリコーは背面巻上げ、コーワは底部トリガー巻上げになっています。このGLA付きの2台を使うと乾いたミラーショックが非常に心地良いのでくせになること間違いないと思います。(普通の1眼レフが使えなくなるでしょう!!!)
(ご注意)ひさしぶりにレストアをしたものでリコーフレックス35の方は何故かシャッターの方から攻めてしまいました。(シャッターが途中で止まっていたもので)中を分解してみたのですが何も問題がなく頭を悩ませていました。実は単なる底部のチャージスプリングの破損だったんです。今回は完全に見当違いのレストアをしてしまいました。シャッターをくみ上げるまで3時間のかかってしまいました。皆様も注意しましょう。まず壊れているところにリンクしている箇所を考え的確なレストアをお勧めします。ちなみにコーワHの方はファインダーが汚かったのでついでに清掃したのですがプリズム押さえのカメラ内にネジを落としてしまい。写真の1番目2番目までばらしていきました。ネジはシャッターボタンの下のリンクの中に入っていました。くれぐれもネジは落とさないように注意しましょう。