第30回 AIRESFLEX Zの分解

(故障内容)繰り出し部分が固定されない。自動巻き止めの故障
(故障原因)繰り出し部分は経年劣化による部品の変形。巻き止めは経年劣化による部品の削れ


作業時間約4時間

今回は、アイレスフレックスZの分解です。繰り出し部がペコペコして焦点の合わない時の修理です。まず写真1ですが、巻き上げ部の逆面のカバーをあけたところです。これが2眼レフの繰り出し機構になります。構造的には簡単なものですが精度を出すのはかなり難しいと思います。写真2は繰り出し用の勾玉カムを拡大したところです。先ほど言ったとおり両面を同じ位置に合わせ込むのは非常に難しいと思います。この勾玉カムは分解しないほうが無難です。といってもなかなか簡単にはネジは緩んではくれませんが。
写真3は、繰り出し板を外したところです。下にガイドレールがありここで水平を出しています。たいていは古いグリスがべったりとついていてかなり汚れています。このグリスが繰り出しの動きを悪くする原因です。写真のほうは清掃がすんだあとです。
写真4は、今回の故障となった繰り出し板です。緑丸部分が勾玉カムが密着する部分です。赤矢印の部品が変形して勾玉カムの上にいってしまいペコペコして焦点があわなかったわけです。この部分を慎重に戻してあげて繰り出し部分の修理は完了しました。
次に自動巻き止め機構の修理です。写真5は巻き上げ部側のカバーを開けたところです。当然勾玉カム付近の清掃をして再グリスアップをしてあります。巻き止め部の部品は外れています。
写真6は巻き止め部とカウンターです。赤丸部分が経年劣化により削れてしまい巻き止めの不良になっていました。この部分を削って歯が出る様にしました。緑丸部分に切り抜きがあってそこにひっかかることにより巻き止めを行うようになっています。
写真7は、今回分解の各部品です。今回はオーバーホールに近い修理をしていますので各部品が確認出来ると思います。
写真8は、各部品説明です。1はピントフード、2は、繰り出し部前面カバー、3はシャッター部ダルマ状カバーになります。ピントフードのすりガラスはかなりたいていは汚れていますので清掃すると非常に見やすくなります。ダルマ状のカバーはいろいろな形態があります。1部構造的に複雑なものがありますので注意して外してください。
写真9は、細かい部品です。赤枠の4は、巻き上げノブ関係の部品です。銀色の部品にある穴が自動巻き止めの解除ピンが入る穴です。
緑枠の5は、繰り出し部の部品です。
写真10も細かい部品たちです。赤枠の6は、裏ブタ止めの部品です。
緑枠の7は、フィルム固定用のノブです。
他にもネジがたくさんあります。
写真11は、大きな部品たちです。8と9は側面カバーで、10は裏ブタ、11は本体ブロックになっています。
写真12は、シャッターブロックです。シャッター内部が見えるように分解してあります。このアイレスフレックスZはワンレバー式なので少々凝ったシャッター構造をしています。よくシャッターチャージ止めの切り抜きが経年劣化で削れてしまいシャッターチャージがかからなくなったりチャージリングの回りにつく連動部品がかけたりすることのトラブルが多いと思います。