第31回 AIRES35UとUAの分解
(内部構造の比較)

(故障内容)シャッターが切れない、ファインダーの清掃
(故障原因)シャッターは、シャッターボタンのリンク不良


作業時間約4時間

アイレス35U アイレス35UA
今回は、2台のアイレスの形態の変化に付いて見てみたいと思います。U型とUA型は兄弟機にあたるカメラです。色濃くT型のにおいの残るのがU型でV型に繋がる形態をしているのがUA型です。アイレスとしてはこの2台が一回目ターンニングポイントであったように思われます。共通部品も多くあり、改良点もありますのでここから説明していきたいと思います。
写真1はトップカバーを外した状態での比較です。両機の構造はほぼ同じになっていますが巻き上げノブの下面の内部構造に少しの変化が見られます。非常に構造的に見てもシンプルで無駄の無い設計になっています。
写真2は、大きな改良点であったシャッターボタンの形態です。U型はT型同様の大型フロントシャッターボタンを持ち普通シャッターボタンの付く位置にはレリーズ穴が開いています。UA型は普通のカメラの様な位置にシャッターボタンが付いています。U型では鉄棒によるシャッターボタンへのリンクになっています。緑矢印部分がレリーズ穴にリンクをしています。赤矢印シャッターに向かうリンクになります。2A型では、この部分が赤矢印のようにギアに替わっています。使っていくうちにギアのかみ合わせがずれてしまいシャッターボタンが押せなくなることがあります。緑矢印の下にあるのがシャッターへのリンクになります。ここも経年劣化によって変形をしやすい部品になります。
写真3は、レンズボード裏面を見たところです。裏面はU型は黒色処理されていますがUA型はまったく処理されていないことがわかります。ヘリコイド、距離計連動部に関しては同様な構造をしています。赤枠の部分はシャッターボタンからのリンクを裏面からみたところです。UAはギアに替わったのでここは改良されています。
写真4は、ファインダーブロックの構造を見たところです。ここはやはり当時の売りであったブライトフレームファインダーであったため無理な改良が加えられていなくほぼ同様な構造になっています。ただ部品の質に関しては、U型の方が良くしっかりと作られているように私には思えました。
写真5は、2台とも共通な部品が使われている部分です。左は裏面のフィルム巻き上げのギア群です。非常にしっかりとしたギアが使われています。裏面に穴が開いていますがここは右面の写真の連動距離計の為の部品を取り付ける為のドライバーを通す穴です。ここの部分の穴をふさぐのに2眼レフで使われたと思われる余り皮が使われていました。(2眼レフのフィルム固定ようのノブに付いている丸の形をした皮)。右の写真はヘリコイドからファインダーへのリンクになります。中央の板にいつもファインダーからテンションがかけられておりヘリコイド部の動きに対して距離像が動くようになっています。
最後にアイレスのカメラは非常に美しく、精度的にみても良く出来ているカメラであると思います。メッキ処理も非常にきれいで磨けば磨くほど美しさを増すように思えます。コラールレンズの柔らかい描写も魅力的です。あなたもアイレスのカメラを一台いかがでしょうか?