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− 轍 ・ 04/08/07 (1) −

02:40に姉ヶ崎を出発して、05:10に古地鼻公園の駐車場に車を入れた。灯台には自力到達を標榜しているだけにかなりチョンボ臭いが、あわよくば今日中に鵜ノ尾埼灯台までの160kmを走り切って明日は花淵灯台を獲っておこうと無謀な企みを目論んでいるだけに、致し方ないところだ。
古地鼻 日立灯台は古地鼻公園北側の芝生広場に立っているが、公園の横には住宅地が隣接していて、朝の散歩やジョギングに励む人々が時折通りすぎていく。灯塔基礎部のテラスに登ってみが、低くて眺めが宜しい訳でもなく、あまり楽しくはなかった。一頻り周囲をウロウロして、出発することにする。R294を走り始めてすぐに日立灯台を振り返ると、黄土色の土と緑の草木が縞になった崖が美しい。
道は海岸沿いを直線的に進んでいくが、意外にもアップ&ダウンの連続で、初っ端から、も〜ダルダル。日立駅の手前でJR常磐線のガードをくぐり、日立駅前に出る。まだ朝早いのでほとんど人気のない駅前広場には、日立の企業城下町らしく大きなタービンブレードが展示されている。駅横に見える真新しいビルには巨大な玉が浮かんでいたが、なんだかな〜。 JR常磐線 日立駅
駅から右手に出て、日立セメントの工場横を適当に走る。日立の街は海岸から山に向かって起伏のある地形に広がっている様で、住宅地には細い坂道や石段が多く、無機質なイメージの駅前からは想像もつかない程の風情のある街並みだ。一旦、並木のある大きな通りに出て、そのまま北上するとR6に合流。学生の時に仙台から走った耐久ランでダレた記憶そのままの高低差の大きいアップ&ダウンが続き、ほどなくして川尻港の標識に従ってR6から右に反れていく。
朝靄の小木津浜 朝靄に包まれた小木津浜は夏の盛りとは思えない情景だが、涼しくて走るには良い塩梅である。このまま海岸沿いに川尻灯台まで行けるのかと思ったら、川尻港を過ぎたらR6に出てしまった。暫く歩道を走って十王川を渡ると、東側には松林の丘陵が海を隔てている。どこから灯台に行けるのだろうと送電線を探しながらいくが、陸側からではないようだ。
小貝浜入口まで行って海岸に出ると、周囲は小貝浜海浜公園で、小さな砂浜は小さな海水浴場になっていた。右手にある太鼓橋を渡ったところに大きな道標があり、黒松の茂る小山の上に向かって遊歩道が伸びているので、自転車を置いて歩き始める。キャンプ禁止の看板を無視してキャンプしているテントの横を通り松林の中をテクテクと歩いていくと、小山の頂き近くは平坦な芝生になっていて、川尻灯台が立っていた。川尻灯台は一本棒状態であまり可愛気がない。何造りだろうかと思い表面を叩いて見たところパコパコ音がするので、外側はFRPのパネルを貼り合わせてあるようだ。灯塔内部の構造がどうなっているのか知る術はないが、とりあえずコンクリート造りにしておこう。周囲の芝生はそれなりに広いが灯塔が結構高いので、塔頂にある不動レンズも入るように写真を撮るのは大変だった。
小貝浜海浜公園の中にある蚕養神社は遠そうだったので止めにして、海岸を周って歩いていく。海岸は黄色っぽい岩の断崖が続き、やはり断崖だけでできた島の上には松の木がひょろりんと伸びて、なかなか格好良い。 小貝浜海浜公園
R6に戻って田園地帯を通っていくが、前方に低空飛行しているヘリコプターを発見した。農薬の空中撒布作業である。一応は道路の直前で撒布を止めてUターンしているが、密閉した空間を持たず速度の遅い自転車で通過するとなると、どうみても曝されることになる。出来るだけ離れるタイミングに合わせて急いで通過したが、ヘリコプターはお構いなしに作業を続けていた。恐らく地元住民には連絡をしていて、撒布した農薬を吸引して健康被害を生じても自転車で走る方に責任があるというのであろう。そもそもフツーの人にとっては自転車に乗っているのは地元住民であるということが常識であって、自転車で旅する極稀な人間など認識していないのだから、それも当然だ。
磯原海岸 高萩を過ぎて磯原海岸に出ると、何の変哲もない砂浜には小島がひとつ。R6は日本地図で見るとずっと海に沿っているが、実際にシーサイドを走るところは少ないので、貴重である。それにしても過去に2度走っているにも拘わらず、こんな風景には憶えがなく、耐久ランとツーリングは全くの別物であることを思い知った。海岸は相変わらず靄に包まれて真夏とは思えないが、まだ朝といえる時間だから、これでいいのだ。
淡々と北上を続けて、市街地がどこだかわからないまま北茨城を過ぎると、お魚センター(?)のある交叉点でR6から大津漁港へと折れる。港を過ぎて急坂を登ると、岬の先端は五浦岬公園になっていて、その一角に大津岬灯台が立っている。 大津岬灯台
大津岬灯台の灯籠 知名度という点ではマイナーな灯台だが、広大な太平洋を照らすためか、灯塔も高くて立派な造りの灯台だ。灯籠内にはガラス越しに回転ビーコン型灯器が見える。灯塔の天辺には、風見鶏ではなく本当のカラスが一羽、漆黒の翼を休めていた。五浦海岸には六角堂とか天心記念五浦美術館とかいうのがあって名所らしいのだが、まだ開いていないようなので、無かったことにして走り過ぎることにする。
R6に戻って福島県に入ると見えてきた勿来海岸の海水浴場では、既に沢山の人々が浜に出ておられた。もはやフツーの人々のフツーの遊びに未練は無く、自分とは異なる次元の存在であるとの悟りを開いていた筈であったが、流石にこれほどのフツーの人の群れの中を平然と走り抜けるだけの度量は持ち合わせていないので、海岸をパスできる勿来関跡への道にコソコソと逃げ込むのだった。 勿来海岸
勿来関跡 艶やかな緑の森の中を大きく巻いて上がっていくと、勿来関跡の公園は整備中状態だった。文学歴史館と和風トイレがあるだけで、わざとらしくデカデカと大書きされた看板とか土産物屋とかの観光施設は見当たらず、『うむ、これで良し』と『物足りンなぁ』という想いが交錯するが、木々の緑は文句なしに美しい。
思いがけず出逢えた美しい森の中を下り始めたら、勿来駅側にはちゃんと『奥州勿夾關趾』と彫られた大きな石碑があり、木造のそれっぽい門と馬に乗った武将の銅像があった。これでチャリダーの記念写真欲もバッチリと満たすことができて、目出度しでした。 奥州勿夾關趾
JR常磐線 勿来駅 JR勿来駅の駅舎は、黒い瓦屋根の和風の建物に改築されていた。駅前のワザトラ銅像も昔は無かったよなぁ。勿来からはR6バイパスがあるが、耐久ランで2回も走ってダルいことは承知しているので、直進して旧R6を選ぶ。こちらは沿道に住宅地があるようだが、やっぱり丘陵地でダルダル。
丘を下った先で右に折れて、小名浜へ向かう。工業地帯の中の太い道を行くと、福島臨海鉄道専用線の踏切を渡る。廃線ではないのだが、貨物専用線にも現役旅客線とは異なる独特の雰囲気が漂っている。 福島臨海鉄道専用線の踏切
小名浜港 小名浜の市街に入ったところでコンビニに寄って弁当を買う。そのまま番所灯台まで行ってしまおうと思っていたのだが、雰囲気良さげだったので港の岸壁に寄って漁船を眺める。集魚灯が付けられた船体はイカ釣船であろうか。
防波堤には左側から順に赤・白・白の3基の防波堤灯台が見えた。地図閲覧サービスによる経緯度を灯台表で調べたところ、小名浜港東内防波堤灯台、小名浜港三埼波除堤灯台、小名浜港第一西防波堤東灯台であると思われるが、到達してプレートを拝んだ訳ではないので責任持てません。 小名浜港の防波堤灯台
いわきマリンタワー トンネルを抜けて三崎公園。坂を上るとマリンタワーなる上部がガラス張りの展望塔が立っているが、ハナから興味ないし、腹も減ったので、軽くシカトする。公園内には国民年金健康センターの綺麗な宿泊施設があったが、ど〜せ土建屋が生き長らえる為に、国民から巻き上げた金をブチ込んで建てたのであろう。マリンタワーもその企みの一部に違いないと思うのであった。
公園内に立てられた案内地図を見ながら、岬の先端に立つ番所灯台までやってきた。不動レンズの小さな灯台はマイナー灯台らしくて良いのだが、灯台までの道や周囲がとても綺麗に整備されているので、今一つ物足りない。やはりマイナー灯台巡りの醍醐味は、藪に埋もれた小径を漕ぎながら人知れぬ岬に立ち尽くす灯台を探し求めることにあり、苦労の末に辿り着いた灯台がショボイほど獲った甲斐があるというものでしょう。
腹も減ったので番所灯台の横にある東屋でメシにしようと思ったら、犬を連れたオヤジがベンチを占拠して寝ていたので、とりあえず岬に突き出した展望デッキに行ってみる。わざわざ作ってあるだけあって、眼下にはエメラルドグリーンの綺麗な磯が広がり、なかなか良い展望だ。暫く呆けていてもオヤジは起きる様子がないので、『少しは気を遣えよ』と思ったが、灯台の日影でメシにした。 三埼海岸


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