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− 轍 ・ 03/12/29 (1) −

安乗岬園地 チャーハンを御馳走になって、小さな船で対岸へと戻る。走り始めると、すぐに安乗だ。岬を目指して迷路のような路地を幾つも折れていくと、松林の先には安乗岬園地の芝生が広がった。20年前の嵐の日とは打って変わって、穏やかに晴れ渡った青空に白亜の安乗埼燈台が美しい。
安乗岬の先端付近には波に洗われた岩礁が多い。国崎の鎧埼、波切の大王埼と並んで海の難所と言われているが、この日は波も無く、とても穏やかな海だった。対岸に見える菅崎はなかなか美しい断崖が続いている。84年の訪問時には安乗埼には大倉島照射燈があったが、大倉島消波堤灯台が設置されたことにより廃止になったようだ。記憶を手繰りながら探してみたが、ロープで囲まれた跡地が残されているだけだった。 安乗岬先端
安乗岬から引き返して山ノ神鼻月島照射灯を探すが、阿瀬の集落へと下る道が見つからずに行ったり来たりを繰り返す。20年前の地形図を使っていたので、安乗中学校が移転していたのに気付かなかった。交番の横から海岸に下りて、奥にある別荘の横から山道を登る。やっと到達したものの、木々に遮られていて照射灯全体を良く見ることはできなかった。山ノ神鼻からは的矢湾に浮かぶ渡鹿野島が見える。渡鹿野島のパールビーチからは、海に向かって斜めに落ちる光芒が綺麗に見えていた。
見宗寺 甲賀にあった見宗寺には『甲賀城跡』と書かれた木の看板があった(と思う)ので寄ってみたのだが、どこが城跡なのかはわからず、普通の寺にしか見えない。帰ってきてから検索しても2件ヒットしただけで、小さな寺社というものは案外と情報が少ない。
綺麗に晴れまくった青空の下を海に沿って気分良く走っていく。海沿いに出ると、安乗埼燈台がもう遥か遠くに小さくなって見える。志島、畔名、名田と、小さな集落を繋いでいく。どこの集落も狭いところに家々がぎっしりと立ち並び、狭い路地や石垣が漁村特有の雰囲気を醸し出しているような感じがする。 名田の集落
名田ミヤウジ島照射燈 名田の集落に入り込んで、自転車がやっと通れるような入り組んだ路地を通っていく。家の間を通って、藪に覆われた小高い山に登っていくと、灯塔の上に巨大な四角い箱が乗せられた名田ミヤウジ島照射燈がみつかった。下から見上げると、かなりの迫力だ。上部の箱も灯塔と同じようにタイルが貼られているのでコンクリート造のようだが、こんな重そうなものが乗っていたら台風が来たらもげるのではないかと、心配になってしまう。とにかく、こんな変わった形をした航路標識には初めてお目にかかった。
遠州灘と熊野灘の荒波を切り分けるようにして突き出した、志摩半島の南東端に位置する波切は、割と大きな港町である。その波切港の南には、豪快な断崖上に大王埼燈台が立っている。大王埼燈台は、国内で13基しかない参観することができる灯台の一つである。港から燈台まで続く坂道には土産物屋が並び、多くの観光客で賑わっている。さすがにメジャー灯台は違うなぁ。 断崖上に立つ大王埼燈台
大王埼燈台のレンズ 大王埼燈台の灯器には4等フレネルレンズが使われている。灯質は単閃白赤互光で毎30秒に白1閃光、赤1閃光。赤閃光側のレンズ前面に取り付けられている赤色のガラスが見える。大型の沿岸燈台の多くには付属舎があり、石油灯の時代には燃料が貯蔵され、今では非常用の自家発電機等が収納されているらしい。しかし大王埼燈台の付属舎のように、円柱の並ぶテラスがついた瀟洒な建物であることは珍しい。
大王埼燈台の灯塔の上から見た南西側の風景。手前の岬は波切九鬼城址で、現在は八幡さん公園という小さな広場になっていて、かなりマヌケな『絵描きの像』が置かれていた。その背後には、これから走っていく志摩半島の海岸が延々と続いている。波のない海は驚くほど透明で、海底の岩がくっきりと見える。大王埼燈台の北側には須場の浜という小さな入り江があり、その先の大王埼には波切神社と大王埼無線方位信号所が見える。熊野灘側はエメラルドグリーンの海だが、伊勢湾側は深いコバルトブルーをしている。岬の先端に立ったときに両側で海の色が違うと言うのも、名岬の条件ではないだろうか。 波切九鬼城址
大王埼無線方位信号所 大王埼には大王岩照射灯がある。照射灯は、名田ミヤウジ島照射燈のように独立して存在するものの他に、灯台の灯塔に併設されていることも多い。が、大王埼大王岩照射灯は波切神社の先にある大王埼無線方位信号所に併設されている。無線方位信号所の建物には、当たり前だが灯塔は無い。一回りしてみると、海側の壁面に1m四方位の大きな窓が開けられていて、そこから灯器のレンズが覗いているだけ。これまた変わった航路標識だ。
大王埼燈台の北側にある岬が本当の大王埼で、ここにはちゃんと看板も立っている。岬は広場になっていて、周囲には水仙の花が咲いていた。防波堤の先端には波切港東防波堤灯台が見える。 大王埼
波切の画材店 雄大な太平洋に突き出た大王埼と波静かな英虞湾を望む登茂山を擁する大王町は『絵かきの町』を宣言している。石垣や石坂が多い波切の街並みも漁師町の面影を残していて、ギャラリー「絵かきの岬」の横には大王埼燈台のミニチュアが置かれていた。


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