はじめての障害(ジャンプ)レース
'06主要障害(ジャンプ)レース結果あんない

 ここでは、'06年に行われた主な障害(ジャンプ)レースの結果を案内しております。なお、まるしんの頁の「馬のコーナー」では「競馬を知らない人にもわかるように」のコンセプトゆえ、あえて細かい記述を避けて要点だけにとどめております。
 
レース名 発走日 競馬場
距離など
優勝馬(赤)
2着馬(黒)
J・G1 中山大障害 12月23日(土祝) 中山競馬場
4100m直線芝
マルカラスカル
メルシーエイタイム
三木ホースランドパークジャンプステークス 12月9日(土) 阪神競馬場
3900m直線芝
クルワザード
ラブアフェアー
SSS イルミネーションジャンプステークス 12月2日(土) 中山競馬場
3350m芝外回り
クールジョイ
ノボリハウツー
J・G2 京都ハイジャンプ 11月11日(土) 京都競馬場
3930m直線芝
スプリングゲント
マルブツトップ
秋陽ジャンプステークス 11月4日(土) 東京競馬場
3300m直線芝
メルシーエイタイム
アグネスハット
J・G3 東京オータムジャンプ 10月14日(土) 東京競馬場
3300m直線芝
コウエイトライ
マイネルオーパー
J・G3 阪神ジャンプステークス 9月18日(月祝) 中京競馬場
3330m直線芝
コウエイトライ
ノボリハウツー
J・G3 新潟ジャンプステークス 8月19日(土) 新潟競馬場
3250m直線芝
ストームセイコー
ニシノヘブンズドア
J・G3 小倉サマージャンプ 7月22日(土) 小倉競馬場
3390m直線芝
コウエイトライ
キングジョイ
福島ジャンプステークス 7月8日(土) 福島競馬場
3380m直線芝
ストームセイコー
サンダーロール
J・G2 東京ハイジャンプ 6月10日(土) 東京競馬場
3300m直線芝
スプリングゲント
テレジェニック
J・G3 京都ジャンプステークス 5月13日(土) 京都競馬場
3170m直線芝
スプリングゲント
ファントムスズカ
J・G1 中山グランドジャンプ 4月15日(土) 中山競馬場
4250m芝外回り
カラジ(豪州)
テイエムドラゴン(日本)
SSS ガサスジャンプステークス 3月25日(土) 中山競馬場
3350m芝外回り
テレジェニック(日本)
カラジ(豪州)
J・G2 阪神スプリングジャンプ 3月11日(土) 阪神競馬場
3900m直線芝
テイエムドラゴン
アズマビヨンド
淀ジャンプステークス 2月11日(土祝) 京都競馬場
3790m直線ダート
マルカラスカル
タガジョーシャトル
SSS 春麗ジャンプステークス 2月4日(土) 東京競馬場
3300m直線ダート
アインオーセン
ブルーアルパイン
SSS 牛若丸ジャンプステークス 1月14日(土) 京都競馬場
3190m直線ダート
マルカラスカル
マイネルオーパー
中山新春ジャンプステークス 1月7日(土) 中山競馬場
3200m直線ダート
バルトフォンテン
ダンシンリボルバー
★ 「ペガサスジャンプステークス」競走の格は正確には「SSS」ではないものの、それに近いので便宜上「SSS」と表記してあります。
★「阪神ジャンプステークス」競走は、本来行われる阪神競馬場がコース改修工事時期にぶつかって使用できないため、今回に限り(レース名はそのままに)中京競馬場で実施されました。
 

ひとくちメモ [J・G1]中山大障害
 その年の障害レースの総決算的な役割をもつ、「華の大障害」とも形容される暮れの名物レースで,例年「有馬記念(グランプリ)」競走の前日に行われています。
 このレースのいちばんのみどころは、レース中盤の、このレースと春の「中山グランドジャンプ」競走の年2回しか使用されない大障害(「大竹柵」と「大いけ垣」)のジャンプ。着地時につまづいて転倒したり騎手が落馬したりすることがままあり、数々の名馬がここで涙をのんでいます。この大障害を無事に越え、完走できる馬は果たして何頭いるでしょうか。
 距離は4100mで、最後の直線は芝コースを使用、そこには置き障害は置かれません。道中ジャンプする障害の数はのべ11個、そのほかに谷の下り上りがのべ6回あります。最大出走可能頭数(フルゲート)は16頭で,実際にめいっぱいの16頭が出走,うち15頭が完走しています。1着賞金8000万円。

ひとくちメモ [J・G2]三木ホースランドパークジャンプステークス
 兵庫県宝塚市・阪神競馬場で行われる障害レースのオープン特別競走(いわば「中レース」)。昨年までのこのレースは,暮れの障害レースの大一番「中山大障害」競走の翌日(=「有馬記念」競走当日)に行われていて,主として「断念中山大障害」な馬が対象となるレースでしたが,今年から「中山大障害」競走の2週前に日程変更となり,一転して「中山大障害」競走へのステップレースのひとつに衣替えしました。
 レース名の「三木ホースランドパーク」は,兵庫県三木市内に立地している馬術・乗馬等施設兼レジャー施設。馬術においても「馬が障害をジャンプする」ということから,競馬の障害レースのネーミングに採用されたと思われます。ちなみに,'01年のこのレースで優勝した「オンワードバーン」号は現在,奇しくも三木ホースランドパークで第二の「馬生」を過ごしています。
 距離は3900mで,ゴール近くの地点からスタート,正面の平地コースを逆走(このとき置き障害をジャンプ)したのちに障害コースに入っていくという,非常に特徴的なコース設定となっています。結論から言えば,コース取りそのものは3月に行われた「阪神スプリングジャンプ」競走と同じですが,レース中盤でジャンプする高さ可変式の障害の高さが異なっています(ちなみに。この障害は通常時高さ120cm,このレースでは高さ130cm,「阪神スプリングジャンプ」競走時は高さ140cm)。道中14個の障害をジャンプ,最後の直線はスタート時に通った芝コース&置き障害を使用します。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で,実際には11頭が出走,うち10頭が完走しています。1着賞金1800万円。

ひとくちメモ [SSS]イルミネーションジャンプステークス
 その名のとおり,街中のあちこちにイルミネーションが輝き出す時期に千葉県・中山競馬場で行われる障害レースのオープン特別競走(いわば「中レース」)。その中山競馬場でも,ちょうどこの日から場内にある高さ約20mのヒマラヤスギ(余談だが名前とは裏腹にマツの仲間である)を中心にイルミネーションが輝きます。このレースの格自体は決して高くありませんが,12月23日('06年の場合)に行われる障害レースの大一番「中山大障害」競走向けたステップレースとして非常に重要な存在で,特に,中山競馬場の障害レースコースを体験したことのない馬にとっては「試走」の意味も持つようになっています。距離は3350mで,レース終盤は障害レース用のコースから平地レース用のコース(芝外回りコース)に飛び出します。なお,平地レース用のコース上には置き障害が3個(うち最後の直線に1個)置かれます。フルゲート(最大出走可能頭数)は14頭で,うち12頭が完走しています。1着賞金1800万円。

ひとくちメモ [J・G2]京都ハイジャンプ
 紅葉真っ盛りの時期の京都競馬場で行われる障害レースの重賞競走(大レース)。レース名の「ハイジャンプ」は、「道中で高さ150cmクラスの障害をジャンプするJ・G2クラスの競走」の意。
 距離は3930mで、最後の直線は芝コースを使用、そこには置き障害は置かれません。この置き障害を含め、道中18個の障害をジャンプ(後述のバンケット上り下り1回を含む)。このジャンプ数は国内最多となっています。また、レース中盤では、年に2回しか使用されない大障害コースが使われます。この大障害コース上には障害が2つ設置されていますが、そのうちの2つ目にあたる「台」状のバンケット(通称「ビッグスワン」・「とび上がりとび降り台」。ちょうど、ホップ!で台に上がって、ステップ!で台上を移動し、ジャンプ!で台を降りるという感じとなるため「3段跳び」とも呼ばれている)が、このレースいちばんのアクセントです。その昔行われていた「京都大障害」競走の流れを受け継ぐ,非常に味のあるレースです。
 フルゲート(最大出走可能頭数)は14頭で、実際には12頭が出走,うち11頭が完走しています。1着賞金5000万円。

ひとくちメモ [J・G3]秋陽ジャンプステークス
 東京都多摩地方(府中市)にある東京競馬場で,例年文化の日前後に行われるオープン特別レース(いわば「中レース」といったところ)で,レース名の「秋陽(しゅうよう)」は,読んで字のごとく「秋の太陽の光」の意。今年からこのレースの条件が若干変更になり,新鋭馬にとっては有利,逆に従来からの実力馬にとっては不利なものとなりました。これは,実力馬を翌週に行われる大レース「京都ハイジャンプ」競走(注:出走頭数が少ない年が多い)へ誘導するためのものかと思われます。
 距離は3300mで,最後の直線は芝コースを使用,そこには置き障害が1個置かれます。この置き障害を含め、道中13個の障害をジャンプします。このレースのコース取りそのものは10月に実施された大レース「東京オータムジャンプ」競走と同一ですが,「東京オータムジャンプ」競走時のようにコース上に設置されている障害の一部を難度の高いものへ差し替えることはせず,普段どおりの障害形態で行われます。フルゲート(最大出走可能頭数)は14頭で,実際にめいっぱいの14頭が出走,全馬無事完走しています。1着賞金1800万円。

ひとくちメモ [J・G3]東京オータムジャンプ
 東京都多摩地方(府中市)にある東京競馬場で、秋真っ盛りの時期に行われる障害レースの重賞競走(大レース)。どちらかといえば、過去に大レースを勝ってきた馬よりはむしろ最近調子を上げてきた馬に有利な設定(ハンディキャップ戦)となっています。
 このレースで使われるコースそのものは普段の障害レースでも使用されるものですが、このレースにおいてはレース中盤に通過する正面側にある4連続障害のうち、3つめの障害(通常時竹柵障害・高さ130cm)が大竹柵障害(高さ150cm)に、4つめの障害(通常時いけ垣障害・高さ140cm)が大いけ垣障害(高さ150cm)に差し替えられ、難度がアップしています。
 距離は3300mで、最後の直線は芝コースを使用、そこには置き障害が1個置かれます。この置き障害を含め、道中13個の障害をジャンプ。フルゲート(最大出走可能頭数)は14頭で、実際には下記13頭が出走,うち11頭が完走しています。1着賞金3500万円。

ひとくちメモ [J・G3]阪神ジャンプステークス
 秋シーズン突入を告げる障害レースの重賞競走(大レース)。このレースはその名のとおり、本来は阪神競馬場(兵庫県宝塚市)で行われるのですが、現在阪神競馬場は目下レースコースの改修工事中で11月末まで使用できないため、今年に限りレースの名称はそのままに、中京競馬場(愛知県豊明市)で代替施行されました。
 中京競馬場の障害レースは、「置き障害」が5カ所置かれた平地レース用芝コースと、障害レースのときだけ使用される「たすきコース」(そこにはバンケット=谷が1カ所と、いけ垣障害が2カ所ある)が組み合わせられたコースで行われます。この中京競馬場の障害レースのコース取りは阪神競馬場のそれに比べ「大回り」で、障害の大きさも相対的に小さいため、スピードとリズムの良さがより問われます。また、中京競馬場では、通常の年は障害レースの重賞競走が行われないため、特に名古屋近辺在住の障害レースファンにとって今回のレースは「お祭り」的なレースとなりました。
 距離は3330mで、道中のべ10回の障害ジャンプと1回のバンケット(谷)の下り上りがあり、最後の直線(ゴール直前)には置き障害が待ちかまえています。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際には13頭が出走し、全馬無事完走しています。1着賞金3500万円。

ひとくちメモ [J・G3]新潟ジャンプステークス
 晩夏の新潟競馬場で行われる障害レースの重賞競走(大レース)。新潟競馬場には、障害レース専用のコースがなく、障害レースは平地競走用芝コースに「置き障害」を置いて行われます。この点で、人間の陸上競技の「400m障害(ハードル)」を馬に置き換えた雰囲気のレースです。「(平地競走用のコースを使うため)比較的大回りで起伏もほとんどなく、くせの少ないコース取り」「(オール置き障害であるため)難易度の低い障害」「(それゆえ)スピードが要求される」というこのレースの特徴は、7月の「小倉サマージャンプ」競走のそれとは対照的で、うまく役割分担がなされています。
 距離は3250mで、道中のべ11回の障害をジャンプ、最後の直線ゴール前には置き障害が待ちかまえています。最大出走可能頭数は14頭で、実際にめいっぱいの14頭が出走、うち13頭が完走しています。1着賞金3500万円。

ひとくちメモ [J・G3]小倉サマージャンプ
 真夏を彩る(…はずが梅雨明け前になってしまった)北九州市・小倉競馬場で行われる障害レースの重賞競走(大レース)。小倉競馬場での障害レースは、国内で行われる障害レースとしては最も小回りなコース取りで、コース上に設置されている障害も全体的に大きめであるため、このレースを制するには「跳びのうまさ」と「器用さ」が特に重要な要素となっています。この点において、8月に行われる「新潟ジャンプステークス」競走と役割分担がなされています。なお、このレースでは通常時は高さ120cmで運用されている正面側の竹柵障害1個が高さ140cmにかさ上げされて、難度がアップされています。
 距離は3390mで、のべ10回の障害ジャンプと1回のバンケット(山)越えがあります。最後の直線は芝コースを使用、そこには置き障害が1個置かれます。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの下記14頭が出走、うち12頭が完走しています。1着賞金3500万円。

ひとくちメモ [S]福島ジャンプステークス
 福島競馬場で行われる障害レースのオープン特別競走で、年に5レースだけ行われる福島競馬場の障害レースの中では最も大きなレース。福島競馬場の障害レースはハードル(置き障害)が中心で難易度は低いですが、通常時は高さ120cmで運用されているたすきコース上の竹柵障害(固定障害)がこのレースに限り高さ130cmにかさ上げされ、ちょっとだけ難易度が高くなっています。
 さて、福島競馬場の障害レースは、低い難易度の割になかなか「キャラが立って」いて、レース中盤のバンケット(山)越えはヴィジュアル的にいちばんのアクセント。TV(CS)やモニタ観戦の方はこちらに注目。一方、たすきコースの竹柵障害(前述)の脇やスタンド前直線のハードルの脇は、まさに観衆の目の前で障害ジャンプの迫力を味わえます。現地観戦の方は、ゴール前で観るのではなくぜひこちらに。
 距離は3380mで、道中のべ9回の障害ジャンプと1回のバンケット(山)越えがあります。最後の直線は芝コースを使用、そこには置き障害が1個置かれます。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際には12頭が出走、全馬無事完走しています。1着賞金1800万円。

ひとくちメモ [J・G2]東京ハイジャンプ
 梅雨入り時期の東京競馬場(東京都府中市)で行われる障害レースの重賞競走(大レース)。東京競馬場の障害コースはカーヴがゆるく障害の難度も比較的低いスピードタイプのコースであるため、このレースは障害レース界における「春季スピード王決定戦」の性格をもっています。ただし、このレースでは中盤でジャンプするユニット式(カセット式)の障害3つが通常時よりも大きなものに差し替えられているため、スピードだけにまかせると泣きをみることもあります。また、時期柄、雨が大量に降ったりすると、スピードに加えスタミナも問われるタフな消耗戦に変貌します。なお、レース名中にある「ハイジャンプ」とは、「高さ150cmクラスの大きな障害が待ち受けているJ・G2クラスの大レース」のことで、高さ150cmクラスの障害とは先述の「通常時よりも大きなものに差し替えられているユニット式障害3つ」を指しています。
 距離は3300mで、道中のべ13回の障害をジャンプ。最後の直線は芝コースを使用し、そこには置き障害が1個置かれます。最大出走可能頭数は14頭で、実際にめいっぱいの下記の14頭が出走、全馬無事完走しています。1着賞金5000万円。

ひとくちメモ [J・G3]京都ジャンプステークス
 新緑の映える京都競馬場で行われる障害レースの重賞競走。「強い」と思われる馬によりきついハンディキャップが課せられる設定で横綱クラスの馬が出走することは少ないのですが、逆に言えば新興勢力に有利であること、そして、馬そのもののレヴェルの高いいわば「日本競馬の総本山」関西エリアで行われるため、障害レース界の今後を占うという意味で非常に注目度の高いレースであります。
 このレースの視覚的な大きなみどころは、レース中盤にある、年に2回しか使用されない台状のバンケット「ビッグスワン(とび上がりとび降り台)」。これは「ホップ」で台の上に飛び乗り、「ステップ」で台の上を走り、「ジャンプ」で台から飛び降りるような「三段跳び」とも呼ばれる障害です。この障害の難易度そのものは決して高くなく、「ホップ」や「ジャンプ」で失敗しても馬が転倒したり騎手が落馬したりするようなことはめったにないものの、リズムを崩してズルズルと後退してしまいそのまま終了となってしまうこともままあるため、特に騎手の手腕が問われます。
 距離は3170mで、道中のべ15回障害をジャンプ(台状バンケット1回を含む)、最後の直線は芝コースを使用し、そこには置き障害が1個置かれます。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの下記14頭が出走、全馬無事完走しています。1着賞金3500万円。

ひとくちメモ [J・G1]中山グランドジャンプ
 日本における障害レース界の祭典で、世界唯一の国際招待形式の、そして世界最高賞金額の障害レース。距離は4250m(国内競馬最長距離)で、道中のべ12個の障害(そのうち年2回しか使用されない大障害が2個)のジャンプと、のべ5回の坂の下り上りが控えています。レース終盤は芝外回りコースを使用,そこには置き障害が3つ(そのうち最後の直線には1つ)置かれます。最大出走可能頭数(フルゲート)は16頭で、実際には15頭が出走、うち13頭が完走しています。1着賞金8000万円。

ひとくちメモ [SSS相当]ペガサスジャンプステークス
 桜の便りももうすぐな時期の中山競馬場で行われるオープン特別競走。重賞競走でなくレースの格は高くないのですが、「中山グランドジャンプ」競走(4月15日)に向けベストな間隔でのぞめるため、有力馬が出走することが多くなっています。また、このレースは「中山グランドジャンプ」競走に出走しようとしている外国馬も出走が可能で、こういう外国馬にとっては、中山競馬場障害コースの「試走」という意味で重要な役割を持っています。そういったわけで、少なくとも外国馬に関しては、このレースに勝つことは決して必須ではなく、惨敗さえしなければ「本番」ではさほど心配する必要はないでしょう。逆に日本馬の中には、このレースで1着をとらないと実績的に「中山グランドジャンプ」競走に出られないような立場の馬もいるケースがあり、こういった背景が「馬券」という面では難しく、かつ面白くさせています。
 距離は3350mで、レース終盤は平地芝コース(外回りコース)に出ます。そこには置き障害が3個置かれます(うち1個はゴール前最後の直線に設置)。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際には13頭(うち外国馬4頭)が出走、全馬無事完走しています。1着賞金1800万円。
 

ひとくちメモ [J・G2]阪神スプリングジャンプ
 兵庫県宝塚市内にある阪神競馬場で行われる、今年初めての障害レースの重賞競走(大レース)。阪神競馬場の障害コースは小回りコースそして全体的に障害が大きいことが特徴であり、また距離3900mの長丁場なので、とりわけスタミナと跳びのうまさ、そしてきついカーヴを無難に立ち回れる「器用さ」が優勝へのカギとなります。
 このレースはゴール近くの地点からスタート、正面の平地コースを逆走(このとき置き障害をジャンプ)したのちに障害コースに入っていくという特徴的なコース設定となっています。また、レース中盤でジャンプする1個の障害は、普段のレースでは高さ120cmであるものが、このレースでは20cmせり上げられて(つまり高さ140cmとなっていて)、難易度がアップしています。距離は3900mで、道中のべ14回の障害ジャンプ。最後の直線はスタート時に通った芝コース&置き障害を使用します。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの14頭が出走、うち12頭が完走しています。1着賞金5000万円。
 

ひとくちメモ [S]淀ジャンプステークス
 京都競馬場で行われる障害レースのオープン特別競走。前週に行われた「春麗ジャンプステークス」競走に比べ、より新興勢力にとって有利な条件設定となっていて、かつ、3月に行われる「阪神スプリングジャンプ競走」の距離(=3900m)により近い距離で行われるのが特徴です。距離は3790mで、道中延べ17個の障害をジャンプ。最後の直線はダート(砂)コースが使用され、そこには置き障害は置かれません。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの14頭が出走、うち13頭が完走しています。1着賞金1800万円。
 ところで、レース名の「淀(よど)」は、京都市の南西端(伏見区)・京都競馬場周辺を指す地名です。京都競馬場最寄りの駅は京阪電鉄の淀駅で、京都競馬場そのものも「淀競馬場」という通称をもっています。京都府と大阪府の境付近で、桂川・宇治川・木津川の3つの川が合流し、淀川と名を変えて大阪湾へ注ぎますが、そのうち桂川と宇治川が合流する直前、その2つの川にはさまれた界隈が「淀」地区です。3つの川が合流することによって川の流れが「よどむ」ことから「淀」という地名になったという説が有力です。
 淀地区は、現在の風景(京都競馬が開催されていない日はここが「都会・京都市内」とは思えないほど、いたってのんびりした場所です)からは信じられないかも知れませんが、かつては淀城の城下町、そして水運の要所としての港町としてにぎわいました。その淀城跡は現在、「淀城跡公園」として開放され、本丸部分だった石垣などを見ることができます。また、城跡のすぐ隣には「与杼(よど)神社」などのスポットもあります。これらは淀駅からすぐの場所なので、競馬のついでにちょっと周辺をお散歩、というのもよろしいのではないでしょうか。

ひとくちメモ [SSS]春麗ジャンプステークス

 節分を過ぎ、暦の上で春になった時期に東京競馬場(東京都府中市)で行われる障害レースのオープン特別競走で、「春麗」は素直に「しゅんれい」と読みます。1月に京都競馬場で行われた「牛若丸ジャンプステークス」競走と同様、過去に実績のある馬もより出走しやすい設定となっています。このレースの行われる2月上旬は暦の上では春とはいえ、実際にはまだ雪の心配のある時期で気温もまだまだ寒いのですが、レース名の「春麗」には、これからやってくる春がまさしく麗らかな季節であってほしいという願いが込められています。また余談ですが作者 まるしん は花粉症なので、このレースは「鬱な季節」の始まりを告げるレースでもあったりします(爆)。
 距離は3300mで、道中のべ12回の障害ジャンプがあります。最後の直線はダート(砂)コースを使用、そこには置き障害は置かれません。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの14頭が出走、全馬無事完走しています。1着賞金1800万円。

ひとくちメモ [SSS]牛若丸ジャンプステークス
 京都競馬場で行われる障害レースのオープン特別競走。前週に行われた「中山新春ジャンプステークス」競走のウリが「大一番のレースと同一の競馬場で行われる」ことだとすれば、この「牛若丸ジャンプステークス競走」のウリは何といっても「中央競馬の本場・関西エリアで行われる」こと。3月に行われる「阪神スプリングジャンプ」競走や4月に行われる「中山グランドジャンプ」競走に向け、よりレヴェルの高い争いが繰り広げられそうです。
 レース名の牛若丸とは、源義経の幼名。京都・五条橋の上で武蔵坊弁慶と牛若丸が闘って,弁慶が敗れ牛若丸に仕えるようになったという伝説はあまりにも有名です。ただし、当時の五条橋は,現在の五条橋の上流に架かっている松原橋周辺のようです(牛若丸と弁慶が闘ったのは五条橋ではなく,他の橋であったという説もあります)。いずれにしてもこの闘いで弁慶の振るうなぎなたを、牛若丸がひらりひらりとジャンプしてかわしたさまが、障害(ジャンプ)レースの名に掛かっているようです。
 距離は3190mで,道中のべ14回のジャンプがあります。最後の直線はダート(砂)コースを使用,そこには置き障害は置かれません。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際にめいっぱいの14頭が出走、全馬無事完走しています。1着賞金1800万円。
 

ひとくちメモ [S]中山新春ジャンプステークス
 すっかり新年恒例となった障害レースのオープン特別競走で、その年のいちばん最初に行われる障害レース。実力馬はおおむね前年暮れ(=2週間前)に行われた「中山大障害」競走などに出走しているため、このレースに出走する馬は新興勢力が中心となります。それでも、次にやってくる大一番「中山グランドジャンプ」競走(4月15日実施)出走に向けて「まず、(トリッキーなコースである)中山競馬場での障害レースを経験しておこう」という「大物候補」も出てきたりすることがあります。
 距離は3200mで、道中のべ10回の障害ジャンプとのべ4回の谷の下り上りがあります。最後の直線コースはダート(砂)コースを使用し、そこには置き障害は置かれません。最大出走可能頭数(フルゲート)は14頭で、実際には13頭が出走、うち12頭が完走しています。1着賞金1800万円。

 
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