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パレルモ観光と小旅行 <Normal目次へ>
エリーチェ <Erice>
車がガンガン走ってくる道もなし。大勢の人でごった返す道もなし。その静けさが何とも身に沁みる街だった。
岩山の麓にあるトラーパニの街から見たときは、それほど高い山ではないと思っていたのだが、意外に標高がある。乗ってきた連絡バスも、山肌をぐるぐる周りながら登るため、思いのほか時間がかかっていた。
街を歩いていると、突然あたりが真っ白になったりする。それなりの高さがあるため、麓との気温差も大きいのだろう。風が岩山にぶつかって上昇気流となり、霧が発生しやすいのかもしれない。
晴れ間が戻るとすばらしい景色が眺められるのだが、霧の中の古い街並みも風情があっていい。
適当に路地裏を散策していたら、何と喫茶店を見つけた。これまた有り難いことである。イタリアの田舎では、コーヒーはバールで立ち飲みするのが普通。ちゃんと椅子に座って休める店はほとんどない。
まあ、地元の人たちというのは、どういうわけか椅子があっても立ち飲みスタイルを堅持する人が多い。テーブルにコーヒーカップを置いて、立ったままおしゃべりを延々と続けるのである。彼らにとってはカウンターの方が楽なのだろうか?
イタリア式に足腰を鍛錬する目的のない私にとっては、椅子とテーブルのある店はオアシスである。これがあるのとないのとでは随分と疲れ方が違う。車や喧噪がないだけでもホッとさせられたのだが、喫茶店まである。こんなにゆったりと過ごせる街は他にはない。
この観光客に優しい街は、猫にとっても天国のようだった。
廃墟と化した教会の破れた塀から中を覗いてみたら、中庭に野良猫がぞろぞろ。猫の住処になってた。
土産物を売る店の中にも猫がぞろぞろ。人間の客より猫の方が多い。店で飼ってる猫かと思いきや、近付くとみんなサッと店の外に逃げてしまった。その俊敏な動きは、野良猫ならではのもの。そこは野良猫に占拠されていた店だったのである。
街では、どこを歩いていても、猫に出会う。
たいがいの猫は立ち止まってこっちをジッと見る。私がカメラを構えると、彼らは目を丸くしてレンズの方をのぞき込むようにする。そして、私がシャッターを押すと、シャッターが切れる寸前にそっぽを向くのであった。
さすがは猫である。こっちの期待をことごとく裏切ってくれる。
さて、このくらい小さい街になると、食事をする店をみつけるのに苦労するものなのだが、観光地だけあって入りやすい店がたくさんあった。
夜、街を一人で歩いても、デインジャラスな雰囲気はない。裏道に入ったところのレストランに出かけたけれど、緊張感なしで歩くことができた。まあ油断は禁物なのだが、この街ではなぜか肩の力が抜ける感じなのである。
日程の最後の方で訪れたこともあって、一泊のみの滞在となってしまった。
バスで街を離れ、麓の街トラーパニに着くと、やはり車や人混みがうっとおしい。エリーチェの岩山を見上げると、また戻りたくなった。ひっそりとした街の雰囲気が何とも名残惜しい。
もっとも、あと一泊したとしたら、あのちっぽけな街で丸々一日、いったい何をして過ごすのか、という問題に直面したのだろうけれど。
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