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悠久幻想曲 ORIGINAL ALBUM

第七話『ONE DAY 魔龍の大逃走!!』

魔龍銀

何気ない日常、いつもの日々……
ジョ−トショップの中の雰囲気はおおよそ、そのような雰囲気だった。
各自の仕事を分担し、その仕事を行う。
そして、それを終えジョ−トショップへと戻る。
それこそ、何気ない日々何気ない日常……平和な日常。
しかし、その中それをぶち壊さんとするべく存在がいた。(笑)
その存在は、金髪を左右に結い丁度二つに分かれるようにしていた少女だった。
少女の名は、マリア=ショ−ト……大財閥、ショ−ト財閥を経営する、モ−リス=ショ−トの娘である。
彼女はことの原因である、小さい小ビンを持っていた。
マリアはそれをとある男に飲ませるつもりでいた。
「ふふふふ……魔龍、待ってなさいよっ!もう、マリアを子供扱いさせないんだから!!」
彼女は怪しい笑みを浮かべながら声高に叫んだ。

そして、所変わってジョ−トショップ。
俺は、リビングの机の前に目を瞑りながら額を抑えていた。
マリアからいきなり「差し入れだから絶対に飲んでね☆」と言われた物を前にして途惑っていた。
……戸惑うのも無理は無かろう、この飲み物、強い魔力を帯びているのだ。
余りにも怪しすぎる。
て言うか、怪しい、露骨に怪しい。
とは言え、飲まないわけにはいかない。
俺は、決心を固めると、それを手に取り思いっきり飲み干す。
しばし棒立ちする。
味自体は……なんともない。(果てしなくまずいだけ)
体に変調は……なにもない。
俺は、何もなかった事に安堵すると外に出ようとした。
そこに、洗い物を終えたアリサさんが出てきた。
アリサさんは俺を見ると一瞬驚愕しそして、わずかに頬を染めた。
???
「魔龍君、少しだけいい?」
そう、アリサさんに言われ戸惑いながらも俺は、「ええ……」と、頷く。
「どうしたんですか、アリサさん?」
俺は、アリサさんに近づきながら聞き返した。
アリサさんも俺に近づきながら言う。
「ええ、実は……」
ふと、油断した時だった。
チュッ
「………!!」
俺は一瞬驚愕と動転の余り、硬直した。
アリサさんがいきなり俺の唇を奪ったのだ……
そして、俺にはその原因がなんだかすぐにわかった。
マリアの……薬か!!
それがわかった途端、俺は即座に反応しアリサさんを無理矢理引き剥がす。
「それじゃあ、仕事に行ってきます!!」
半ば無理矢理俺はその場から退散した。

「はぁ……くそぉ!マリアの奴……」
俺は愚痴りながらも溜息を吐いた。
油断した、俺は魔法薬や毒薬に対抗するだけの免疫があった。
例えば、猛毒やその他人体もしくは他者に影響を及ぼす害のあるものには免疫が出来ていたのだが……
油断した、惚れ薬の免疫はあっても、惚れられ薬の免疫は無かった。
しかも、この薬かなり相手の人格を過激にしてしまうらしい。
「チッ……ともかく、薬の魔力を相殺しなくちゃな……」
俺は、そう言うと印を組もうとした、が。
「魔龍ちゃ〜〜〜〜ん!!」
がばり
「ぬわぁっ!!」
いきなり来た衝撃に対抗できずそのまま前のめりに押し倒されてしまう。
俺に抱きついて来た人物は一人しか思い当たらない。
俺にじゃれ付いている少女……メロディ=シンクレアだ。
「魔龍ちゃん!一緒に遊びに行くの・だ〜〜!」
どこへだぁぁぁぁぁぁぁ!!と、心の中で絶叫しつつ逃げようとするが。
メロディのいきなりの攻撃(?)に対抗しきれなかったため、俺はある意味ピンチに陥っていた。
だが、俺はここで倒れるわけにはいかない!!(笑)(正確には貞操を守るためとも言う(爆笑))
「許せっ、メロディ!」
「はうっ」
そう言いながら、首筋に手とうを入れる。
俺の一撃で昏倒するメロディ。
「ふう」
俺は、安堵の溜息を吐いた、だが、いつのまにか更に恐ろしく更に怖い恐怖は迫っていた!(爆)
「四聖獣降臨……」
トリ−シャの声だった、突如聞こえてきたその声にさっと顔を青ざめる。
こ、この魔法は!!
とっさに俺は全力で外に向かおうとするのだが結局は間に合わなかった。
「四聖界!!」
ブワァァァァ!!
トリ−シャの赤い艶【あで】やかな翼が俺の目に映る。
そこにいたのは妖艶【ようえん】な笑みを浮かべるトリ−シャだった。
(まずい……やばい……)
そう思いながらも、事態を冷静に把握する。
幻王の術の一つ、四聖獣降臨魔法……その中でも、防御において最強の力を持つのが『四聖界』だ。
ちなみに、このバリア広範囲にはれる上にとてつもなく硬く並大抵では破れない。
しかも、完全にアストラル界からも遮断されてしまうため自然と、空間転移が出来なくなる。
……まぎれもなく八方塞であった。
気絶したメロディを木の上に寝かせ俺は、ともかく逃げる体制に入った。
ともかく、トリ−シャから逃げ出さなければ冗談抜きに貞操が危ない。
実はこの技、外から中の様子は全く見えないのだ、最悪な事に。
だから、自分だけの居場所を作り出す『界』の術なのだが……
「うふふふふ……魔龍さ〜ん」
あま〜い声を出し、俺に詰め寄るトリ−シャ。
俺はじりじりと後退する。
「と、トリ−シャ!はな、話せば分かる!なっ!?」
俺は、ある種の恐怖に駆られつつ更に後ろに下がる。
「大丈夫、体と体で話せば解決するから」
にこやかに男にとっては恐ろしいことを口にするトリ−シャ。
幻王の力を解放している時のトリ−シャは、波大抵の魔法では通用しない、しかも、この状態じゃ気付かれずに逃げるのは絶対不可能……
遂に覚悟を決める時が来たのだろうか?(汗)
だが、まだ天は俺を見捨てなかった。(笑)
「魔龍君!大丈夫!?」
シ−ラの声だ、俺はシ−ラの声が聞こえた方を向く。
すると、シ−ラはもう少しでシ−ルドを破る所まで来ていた。
一瞬、トリ−シャの視界から俺が消える。
ナイスだ!シ−ラ!!(笑)
「離れろ!シ−ラ!!」
俺は、そう言いつつ魔術を放ちそれと同時に走り出す。
突然のことに呆然としていたトリ−シャだが、慌てて俺を追おうとするが……
「「カ−マイン・スプレッド!!」」
俺とシ−ラの過激な一撃で足止めを喰らう。
……今のトリ−シャ相手にまともなことをやったら出し抜かれるので最終手段にでたのだ。
無論、彼女にはかすり傷どころか服さえ乱れていない。
流石……守護の幻王(汗)
「行くぞ!!」
「ええ!!」
青い髪の毛になったシ−ラと共に俺は走り出した。

しばらく二人で走った所、俺達は結局シ−ラ宅に逃げ込んでしまった。
黒髪黒目に戻ったシ−ラが巧みにジュディを騙し何とか俺を、自分の部屋まで……(汗)
そこで気付く、彼女もこの薬の影響下にあるのではないのかと。
しかし、気付くのが余りにも遅すぎた。
すでに扉は閉められた後である。
俺は、窓際に移動しつつ臨時で逃げる体制へと体を入れ替える。
「ねぇ、魔龍君」
黒髪に戻ったシ−ラが潤んだ瞳で俺に言う。
妙に色っぽく奇麗で俺は一瞬呆然としてしまった。
「私……」
だが、このままでは泥沼化するだけである。
……実は、この時点でシ−ラは自分の服のボタンに手をかけていたりする。(汗)
やばい。俺は判断すると即座に行動に移る。
すぐにシ−ラの後ろに入り可哀想だが……問答無用で手とうを入れる。
……やはり、さっきのトリ−シャのが素晴らしく効いた……
俺は、心の中で謝りつつシ−ラをベッドに寝かせ窓から身を出し、空間中和の魔術を使った。
第一、彼女がフィセアモ−ドに突入したら逃げ出す自信が、無い。

で、空中を浮いて来た結果俺はロ−ズレイクに来ていた。
静かに、今度こそ印を組もうとすると、バフッと誰かが後ろから抱き付いてきた。
首をぎぎぃと後ろにするとティナの顔が視界にめいいっぱい入ってきた。
彼女は少しだけ熱に浮かされた表情で俺をみている。
無言で彼女は目を瞑る。
一瞬、スッと唇を近づけそうになってハッとする。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だぁぁぁ!!!!
頭の中で言葉をそう連呼しつつ、俺はティナに引きつりぎみの笑みを向ける。
「や、やぁティナ。この説はご無沙汰しておりますです、はい。」
俺は混乱の余りか言葉が変な風に曲がってしまったようだ。
「クスッ……変ですよ、でもそんなところも素敵です」
彼女にしては平然と大胆なことを言う。
おそらく、マリア特性の薬……ラブ・ポーションのおかげなのだろう。
「魔龍さん、覚えてますか?デ−トの事……」
不意に彼女がそんなことを言う。
俺は、その言葉にほんの少しだけ心を許す。
「ああ、そう言えば……約束してたな」
「はい、こんな湖畔でデ−トしたいですね」
「……そうだな」
だが、今の彼女とは少なくともデ−トはしたくない、今の彼女は薬の影響を受けているのだから。
「スリプル」
静かにそう言うと、彼女が寝息を立て始める。
とりあえず、空間転移でジョ−トショップの彼女の部屋のベッドに寝かせる。

そして、逃げ出しがてら俺は森に向かう途中、奴にであった。
「魔龍、俺と正式にお付き合いしてくれ!!」
彼の名は、アレフ=コ−ルソン。
それにしても……効果がすごいなこの薬。
「俺にはそっち方面の趣味はねぇ!!」
脱兎の如く逃げ出した俺をアレフが追いかけてくる気配がある。
そして、逃げる途中にアルベルトに会ってしまった。
「魔龍!!」
槍によって鋭い一撃を放ってくる。
俺は天空剣を抜きかけるが……次の一言で思いっきり脱力する。
「俺の愛を受け入れろォォォォォォォォッ!!」
更に鋭い一撃を放ちながら凄まじく精神的なダメ−ジを与えるような言葉を言う。
俺は、思わず涙目になって叫んでしまった。
「そんな無茶で過激で偏見的な愛なんてヤダァァァァァ!!」
余りの精神的なショックから俺は叫びながら、天空剣を柄ごともちゴォン!!と、思いっきりアルベルトの頭に打ち付ける。
それで思いっきり気絶をするアルベルト。
血を出しているがとりあえず大丈夫だろうアルベルトだし。…………………………………………多分。
……うぐぅ……
「魔龍!!」
「うわぁぇ!来たぁ!!」
だが、それを気にしている暇でもない。
アレフの声に気付き俺はまた脱兎の如く逃げてしまった。
勿論、アルベルトはその場に置き去りにされたままである。(笑)

「ぜぇはぁ……はぁ…ぜぇ…」
何故か疲れている俺、今回の場合精神的に、である。
あの後、アレフを巻いた俺はエンフィ−ルド学園に来てしまったのだ。
幸い、今はほとんど人が……
「魔龍さん……」
とろんとした声に振り向くと、後ろにいたのはシェリルだった。
彼女にしては珍しく頬を上気させている。
……マリア特製の薬の影響下にある証拠だ。
「や、やあ、シェリル」
動揺を抑えつつ俺は思案した。
どうすれば彼女から逃げられるだろうかと。
そして、腹は決まった。
「じゃっ!」
俺は、踵を返して逃げ出そうとする。
ガシィ!
だが、それは二つの手によって抑えられてしまった。
後ろを振り向くと、なぜかウェンディとシェリルがいた。
俺は、振りほどこうとしたが硬直していて肉体がついていかなかった、その間に二人は同じようなタイミングで俺に抱きつく。
「「魔龍さん、私のこと嫌いですか?」」
と、彼女たちが聞いてくれるので返答に非常に困ってしまった。
「嫌いじゃないけど……とりあえず、今は駄目ってことで……」
俺は、そう言うと二人に手とうを入れる。
ぐったりとする彼女たち。
「くそっ!何故に俺がこんなことをせにゃならんのだ!」
思わず素に戻ってそうぼやいてしまった。

んで、彼女達をそれぞれの寝室に返して俺はジョ−トショップに戻っていた、今なら何とかなるかも知れない。
そう思いながら印を組もうとする、が。
「ただいま戻りました」
クレアの声がすぐ近くで聞こえる。
そして、扉の方に目をやると……
「あら」
と、いいながらクレアが立っていた。
俺は、クレアから後ずさりつつ自室に引きこもろうとした。
だが、それをできずに問答無用で彼女の部屋に連れ込まれる。
言葉ではない、勿論力技である。
「(汗)」
今までになく過激な展開になりそうな予感がした。
「魔龍様〜(はぁと)」
そう言いながらクレアが問答無用で俺を押し倒す。
そのままなし崩しにベッドに押し倒される俺。
ぬぉぉぉぉ!やばひ!
すでに、言語と思考がすさまじくまともに動いていない。
「うふふ、熱い愛有る一夜をすごしましょう魔龍様」
そう言いながら妖艶な微笑を浮かべる。
今日二度目の大ぴ〜んちだ!ま、まずいぞ!!
焦る思考を抑えつつ、俺は色々思案したが理性と俺のある意味野性的な部分がぶつかり合ってまともに考えられずにいた。
おそらく、冗談抜きに理性を保てるのは後もう少しだろう。(でも、常人よりかははるかに長いんだなぁこれが)
だが、突如バァン!!と、扉が開く。
そこから出て来たのは若葉とエルだった。
彼女達は一瞬驚いた表情をし、そして怒りのこもった表情でクレアを睨みつける。
「あたしの魔龍になにすんのさ!」
「魔龍さんは誰にも渡しませんわ!!」
エルと若葉がクレアを引き剥がし口論が始まる、その間に俺はこっそりと部屋を出ることにした。

「くそっ、マリアめ……今度会ったら絶対にすごいお仕置きをしてやるっ!」
今回のこの理不尽な展開に頭を悩ませつつ、俺は家の屋根から屋根を突っ走っていた。
ともかく、今は誰もいない山奥へと行かなければ!!(爆)
先程、こう言う薬のことを本で見たのを思い出しのだ。
確か、名前は『ラブ・ポ−ション』だったと思う。
あの薬は使用者の魔力によって効果の増大が左右される。
……おそらく、かなり手の込んだ魔力増幅作業の後にやったのだろう、並みの解除法では壊せないほどになっている。
つうわけで俺は落ち着ける場所を探していた。
……空間転移を使えばいいのだが、下手をすれば無意味に傷口を広げることになる。
それだけは避けたかった。
だが、帰る途中俺は運が無いことにバ−シアに会ってしまった。
「あら、魔龍じゃあないの」
僅かに微笑みながら言う。
だが、俺には分かった、彼女の頬が微妙に赤いのが。
一歩近づいてくるごとに一歩ずつ後退し始める。
やばい、泥沼化し始めてるぞ。
そう思いながら、俺は密かに魔法を唱える。
「ねぇ〜、ちょっと……」
「スリ−ピング!!【眠り】」
一瞬にして広範囲の催眠魔法がバ−シアをおそう。
その魔法にあっさりと眠らされてしまうバ−シア。
よしっ!成功だ!!
「許せよ!バ−シア!!」
俺は、そう言いながらバ−シアをジョ−トショップに転移させた。

そして、俺は最終的に森へとたどり着いた。
(……静かだ。)
その幻想的で優しい木々の音色や、美しくかつ神秘的な雰囲気をもって差し込まれる僅かな雰囲気がその場を美しく彩っている。
俺は単純に感動した。
静かで優しいその場所に。
そして、そこに佇む一人の少女を見つけた。
「……魔龍さん……」
その少女は静かに俺を見つめるおずおずと近づいてくる。
不思議な雰囲気をもった黒髪の少女……その少女は、楊雲だった。
静かな調子にいつもと何ら変化の無い優しさがこもっている。
ただ、やはりその優しさにしてもどこか熱情的な雰囲気が漂っている。
俺は、そこで確信した、やはり楊雲もマリア特製『ラブ・ポ−ション』の魔力の中にいるのだと。
だが、俺もその場の雰囲気に多少流された節があったのだろう……近づいてくる、楊雲をあっさりと受け入れてしまった。
その不可思議な雰囲気に飲まれ俺は、呆然としてしまった、この美しい森の神秘さに合うような神秘さを持つ少女に……
「楊雲……」
「魔龍……さん……」
俺と楊雲は静かに見詰め合う。
そして、初めて気づいた、楊雲の胸元に光るそのネックレスに……
「着けててくれたんだな……それ」
「……はい、魔龍さんから頂いたものですから」
その言葉に苦笑しながら俺はこう言った。
「そうか、ありがとう……俺も、楊雲が喜んでくれて嬉しいよ……やっぱりな、人の心からの笑みを見るのは清々しいしさ」
俺は、そう言うと瞳を閉じこの森の自然に身を預ける。
サァァァ………
風が木々を揺すり葉をこすらせる、その度に流れ出す美しい旋律……俺は、それを体全体で味わっていた。
それからしばらくしてから……
ぽふっ
軽い者が俺の胸元に寄りかかったのが分かった、誰かはすぐわかる。楊雲だ。
「……楊雲」
静かに俺は語る、まるで流れる歌のように、美しく、幻想的に……
「君の感情は本当のものではない……マリアの薬から導かれたものだ」
俺は楊雲の髪の毛を優しく愛撫する……
その艶やかな髪の毛が彼女の優しい部分を示しているかのように……
「………はい」
楊雲は答える、静かにだが、確かな確信をもって。
そして、凄まじい精神で自分を抑える。
「それでは……」
彼女は自制心を押して俺の元から去った。

そして……俺は、遂に一人になった。
静かに手元でル−ンを編み、口でも魔法を編み上げていく。
少しずつだが、魔法の効果が消えていっていた。
そして、言葉が紡ぎ終わった時には……ラブ・ポ−ションの効果は呆気なく完全に消えていた。

「ふう、今日は散々な目に会った……」
そう囁きながら俺はジョ−トショップへと戻っていた。
あの薬の効果を解いたその時にはすでに日はとっぷりと暮れていた。
……たったのこれだけで無駄に一日を過ごしたのだ、ぼやきたくもなる。
「マリアはお仕置き決定だな……」
僅かに怒りを込めて言う。
それから更にしばらく歩いていっていた時だった。
ふと、銀髪の戦士風の男がさくら亭に入るのが見えた。
見かけない男である、俺は珍しく好奇心に囚われさくら亭に向かった。

「……へぇ〜、そうなんだ?」
「うん、そうだね」
さくら亭の中に入ったとき聞き覚えの有る懐かしい声を俺は聞いた。
(いや、でもあいつは……)
理性がそれを否定しようとするが、感情が強くそれを拒む。
そして、その中にいる銀髪の青年を見て確信した。
よく見てみれば青年の隣りには美しい女性がいる。
銀髪の青年の格好は旅装束にマントと言ったオ−ソドックなものだった、当然鎧は着ていない。
金髪の女性も似たような者で旅装束にマントである。
だが、そんな事に気を取られてわけではないんだ。
俺は目の前にいる人物を半ば唖然と見ていた。
そして、出てくる喜び。
「……セシル、ロ−ザ」
静かに彼らの名前を口にする、200年ほど前……共に戦った戦友……そして、親友である男。その男にとって掛け替えのない妻。
セシル=ハ−ヴィと、ロ−ザ=ハ−ヴィだ。
「「えっ!!??」」
二人とも、この場所に来てからそんなに人には名乗っていないし知られていない、その事に驚いたのだろう。
彼等は振り向く。
そして、その瞳に俺の姿を朧気に移す。
「………魔龍!?」「………魔龍さん!?」
一瞬間後俺の名前を驚愕の表情で叫ぶ二人、俺は自分の中で喜びと……そして、悲しみが広がるのに気付いていた。

「ついに……メンバ−が揃いだしたな、セシル」
「うん。……ケフカが出てきたんだってね?リディアから聞いたよ」
「たくっ、トリ−シャも余計なことを言ってくれるな……」
そう言いながら俺はワインを一口で飲みほす。
俺がセシルと会ったその夜……しばらくぶりに二人で酒をかわしていた。
喉の中を通るワインのアルコ−ルが美味かった。
「君……前大戦でのキ−パ−ソン魔龍 銀。僕……全ての始まりの者と、幻王リディア……いや、幻王トリ−シャに聖神王の恋人“ライレーラ”の生まれ変わりのロ−ザ。……六神王の生まれ変わりが多く集まりすぎたね。それに、ケフカも出てきている……また、あの起こるべくして起こった神と魔の全てを巻き込んだ大戦が再び繰り返されるのかな……」
少しだけ悲しそうにセシルは言った。
そして、その勢いかどうかはしらないが一気にグラスの中のワインを飲み干す。
俺は真剣な表情をしながら呻ように囁いた。
「……あそこまでは大きくさせないぜ……それに、人の悲しむ姿は絶対にみたくないし、みたいともおもわないぜ」
かつて、俺がまだカオスティック・シルバ−と名乗っていた頃の口調に戻りながら俺は囁いていた。
言葉の中には、僅かな自らへの嘲りと怒りが含まれていた。
大切なものを守れなかった自分への怒りと嘲り……
だが、今、目の前には俺が守るべき存在がいた。
フィセア……いや、シーラ。
(今度は絶対に守り抜く)
自らの心にそう強く刻み込む。
(誰も傷つけさせない、例え俺が死のうとも……消えようとも……)
己の全てをかけてそれを誓う。
この、悠久なる物語は半ば終極に差し掛かり、半ば始まりを告げたばかりなのだ。
「魔龍……君は、この戦いにまた加わるのかい……だって君は本当は関係ないだろう?」
今更と言った調子だがセシルが俺を気遣ってくれているのが伺える言葉だった。
その言葉が俺と、セシルの親友としての強い強い絆だと分かって俺は嬉しかった。
「馬鹿いってんじゃねぇ、関係ない?ある意味この大戦の勃発者の一人だぜ?……いくらなんでも、関係ないわけないだろう?……それにな、親友の一大事だぜ?助けに行くのが筋ってもんだ。それだけでも、理由には十分過ぎるほど、だ。」
「そう言えば……そうだったよね」
カラン。
俺とセシルは力なく笑い、ガラスのグラスを静かにかわした。
この世界の夜明けは、まだ、当分来そうにない……
それは、俺の心の中に開いた一つの穴のように虚しい定めと言う輪が動き出した事を示していた。
一体……神と魔はどれだけの人を巻き込めば住むのだろうか……

PROGRAM FIRST SUCCESSFUL
GO TO NEXT SECOND PROGRAM


プログラム1終了の座談会

銀:あ、あ、あ、あ、あ……!!
魔龍:やっちまったな……
セシル:やっちゃったね……
ロ−ザ:プログラム1……つまり。
ティナ:2も作るんですね。
銀:(ぐさぁ)ぐぉっ。
ルシ−ド:しかもなんかしらねぇけど人数が無茶苦茶多いな。
トリ−シャ:うん、今回なんて全員出てきてないし。
銀:(ブスッ、グサァ)
フロ−ネ:でも、出てこなかったほうがよかった気がします。……今回だけは。

魔龍:さぁて……恒例のお仕置き行きますか。
銀:へっ!?
魔龍:ラブポ−ションの回だけど……てめぇはどうして俺だけ苦労をさせるぅぅぅ!!
銀:主人公だから……
魔龍:問答無用!!
銀:ぎゃああああああああああああああああ!!

シ−ラ:派手にやってますね(^^;
若葉:血の池が出来てますね。
ティナ:ぅぅぅぅ……無駄に流してるんだったらください(T_T)
リオ:ティ、ティナさん(汗)
ウェンディ:魔龍さんがこっちにこないのは残念ですけど、ともかく今回のかいは納得いきません!私と魔龍さんの熱い……
カレン:はい、ストップ!これ以上いうととても健全サイトでは乗せられないわよ。
バ−シア:そう言う台詞を言わせんじゃないわよ。
ビセット;でも、魔龍ってもてるよなぁ。いいなぁ……
シェリル:でも、あれって女難とも言いますよ……
ピ−ト:でも、羨ましいぜ!絶対に!!
フィリ−:でも、結局今回ってなにさせたかったのかしら?
テディ:そうッスよく分からないッス。
アルザ:作者の話によると、なんでも楊雲に花も持たせたかったらしいで。
エル:そう言えば、一番ある意味目立っていたよな。
パティ:控えめだし……
マリア:でも、めだっていたって言うのなら、なんだかアレフとアルベルトの方が目立っていたような……
ヴァネッサ:でもね、2のキャラの出番って少なくない?
ル−:それは仕方ないだろう、舞台がジョ−トショップなのだから。
ディア−ナ:はぁ……そうなんですか?
ロ−ラ:……私、一発作者殴ってくる。
由羅:あらぁ、でもぉ、トリ−シャちゃんやクレアちゃんは多いじゃなぁい☆
イヴ:ジョ−トショップの店員だから必然的に多くなるのね。
セリ−ヌ:そうなんですか〜
更紗:……次のお話でパ−ペチュアルブル−のメンバ−も揃うみたいなの。
ル−ティ:わっ!?更紗、いたの!?
更紗:うん……
ゼファ−:俺もいるぞ。
ルシ−ド:お前まで!?
メルフィ:でも、次回の始まりは結構重いのよね。
バ−シア:メルフィ!?あんたまでいたの!?
シェ−ル:やっほぉ、私もいるよ。
リ−ゼ:こんにちは、みなさん。
ビセット:リ−ゼさん!?シェ−ル!?

さてさて、第二章、いったいどうなるのやら……
ただいえるのは……魔龍の女性関係は更に複雑になるだろう!!(笑)

魔龍:ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

では次回にご期待!!

魔龍:人の話を、聞けェェェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

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