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悠久幻想曲 ORIGINAL ALBUM

第三話『MY MIND』

魔龍銀

自警団とのあの一件から、約二ヶ月がたった。
最初の頃は、皆、仕事になれていなかったらしく失敗も多かった。
しかし、それも最近になって要約少なくなった。
勿論、それだけではない、あのメンバ−だ何もないわけがない。
例えば、リヴァティス劇場のピアノが壊れた(?)り。
アレフが女を先にナンパされたっ!とか……
トリ−シャが、かわいくってピカピカしたものを探したりしたりして……とか。
マリアが森を火事にしかけたりとか……
あげていったら、限りがない。
そんなわけで、俺の波乱万丈に満ちた日常が過ぎ去って行った。
「ふう……」
今日は……6月26日……仕事も一段落して、今は、ジョ−トショップでお茶でも飲みながらのんびりとしていた。
「平和ッスね〜」
テディがそう言う、俺も頷きながら、お茶を飲む。
「そうだなぁ…今日は、何事もなく終わればいいな」
「そうッスね」
テディは、お茶を飲みながら俺の問いに答える。
だが……奇妙な事も幾つもあった。
例えば……俺が意識を失っている間に、いつの間にか剣を握っていたり……
いつの間に、周り一体が荒れ野とかしていたり……
しかも、俺自身には全く影響がなく記憶すらない。
でも、ま、今では余り深く考えない事にしている。
「そう言えば、テディ。アリサさんは?」
「今お昼ご飯を作ってるっス!ご主人様のご飯はラ・ルナの料理の百倍はおいしいッス!」
俺は、その言葉を聞き思わず笑いながら頷いた。
「はははは、確かに、さくら亭の料理よりもうまいもんな。アリサさんは、街一番の料理上手だ」
「そうッス!ご主人様は街一番ッス!」
かなり力説するテディ。
だけど、本当に料理は上手なのだ。
それは、みんなが認めている。
あの、パティでさえアリサさんの料理は自分の上だと認めているのだ。
「そう言えば……今日は平和だったなぁ〜」
「……?どう言うことッスか?」
テディが不思議そうに聞いてくる。
俺は、その言葉に多少顔を引きつらせながら言う。
「……パティだよ。あいつのせいで……」
「誰のせい、ですって?」
「そりゃあ…勿論、ぱ……て、ぱ、パティ!?」
いつの間にいたのか、パティが俺の後ろに顔を覗き込むようにしていた。
勿論、睨み付けている。
俺は、多少引きながら……
「……さぁな……?」
「誤魔化しても駄目よっ!ちゃんと聞いてたんだからね!」
「なら、聞くんじゃねぇっ!」
俺は、思わず声を荒げて言った。
「なによぉっ!」
まさにパティが殴りかかろうとした時。
アリサさんがこちらに来た。
「どうしたの、魔龍君」
「あ、アリサおばさん……」
「あら、パティちゃん」
流石にバツが悪かったのか、思わず困った調子で言った。
俺は、椅子に座りなおし。
「い〜え、なんでも……それより、なんですか?」
「……ええ、ちょっと……お昼ご飯の材料がなくなっちゃって」
「――分かりました……それで、何を買ってくれば?」
「ええ、これなんだけど……」
そう言い、俺に紙を渡した。

「しかしなぁ……なんでこんな場所に……?」
「仕方ないッスよ、今日、ご主人様といつも売っているお店に行ったら、なかったんっスから」
ここは、ロ−ズレイク湖畔、俺は、そこに生えているという『紅浄草』というものを取りに来ていた。
紅浄草は、辛味を少しだけ打ち消しまろやかにするためのいわゆる調味料だ。
それがきれたので俺に取って来て欲しいと言う事だ。
だからここにいるわけだ。
まぁ、それもいい、が。
「なんでお前もいるんだ、パティ」
「なによう!いちゃわるい?」
「……はぁ」
俺は思わずため息を吐く。
たく……こいつは…
「なにっ!?今の溜息は!」
「べつに、ただ、そのすぐ怒る癖に呆れただけだ」
俺は、そうはっきりと答えて、本題を切り出す。
「まぁいい…それで、パティどう言う草なんだ?」
「あのねぇ……ああっ!もうっ、分かったわよ」
そういいながら、パティはきょろきょろと辺りを見回す。
そして、う〜んと、うなりながら言う。
「ここにはないわね、ねぇテディ」
「ういッス、なんスか?」
俺の肩からひょこっと顔をだし答えるテディ。
パティはテディを見ながらいった。
「どこら辺にあるとか、アリサさんから聞いたの?」
「え〜と、ッスねぇ……そうッス!たしか、湖畔の茂みの中って言ってたッス」
「はぁっ!?」
俺は、思わず大声を出してしまった。
茂みって言っても……
「うわぁ……どうするのよ魔龍」
パティもあたりを見ながら困ったように声を出す。
どうするって……
「仕方ない……湖畔に近いほうから虱潰しに探してみよう」
そう言い、俺は湖畔へと向かうのだった。

「う〜ん……やっぱないわねぇ」
「こっちもッス!」
「俺のほうもさっぱり」
そう言い、片手をひらひらと振る。
ん?……ふと、視線を感じて顔を上げてみる。
目の前にはパティの顔が……!?≪距離約10センチ≫
「どわぁぁぁああ!?」
「きゃあ!?な、なによ!?」
パティがいきなりの事に驚く!て、俺も驚いてる!
当たり前だ、いきなり(いちおう)女の子の顔が目の前にあったら驚くだろう。
とりあえず、俺は落ちついた。
「……はぁ、驚かせるなよパティ」
「そ、そりゃ、あたしの台詞よ!!」
ぐぐっ!と、拳を握って俺に攻撃しようとする。
「二人とも、ラブコメやってる暇じゃないッスよ!」
その言葉を聞いた瞬間、パティの怒りの矛先がどちらに向かったかは容易に想像できよう。
そして、俺の怒りもどう言う方向に駆り立てたかは分かろう……
「誰が……」
「ラブコメなんか……」
ナイスタイミング!とかしか、言いようのないタイミングで俺とパティは声を出す。
「「やってるかァァァァァァァァァァ!」」
バゴォォォォォォン!
「うわぁぁぁぁッスゥゥゥゥ!!」
同時に突き出した拳が、テディを容赦なく吹っ飛ばした。

とまぁ……そんな感じで、すでに二時間がたっていた。
テディはあのまましばらく気絶していて今だに、草原の一角で眠っている。
「おい!そっちはどうだぁ!?」
「ない−!そっちは!?」
「同じだ!」
俺は、大声でそう答える。
更にしばらく探していると……
「あった−♪(^^)/l」
後ろからパティの声が聞こえた。
俺は、振り向きパティを見る。
パティの手には草があった。
赤い草だ。
「あったのか!?それじゃあ、帰ろうぜ」
「うん、そうね」
俺とパティは帰宅した。
……途中で、テディの事を思い出すのは言うまでもないだろう。

「ただいま」
「アリサおばさん、とってきましたよ!」
俺と、パティはテディを担ぎながら(笑)中に入ってきた。
ちなみに、パティの手の中にあるのはさっき手に入れた紅浄草だ。
「あら、魔龍君にパティちゃん。ありがとう……あら、テディは?」
「「ゆ〜っくりと寝てます!」」
俺は、パティと声をはもらせながら言う。
その様子にアリサさんはくすくすと笑いながら。
「そう……それじゃあ、ご飯にしましょう。テディもその内起きるでしょう」
そう言うと、アリサさんは台所に向かった。

そして、俺とパティだけが取り残された。
俺は、パティに座るようにいうと自分も座る、そしてパティも、俺の正面に座る。
正直に今日は彼女に聞くつもりでいた、何故、俺の事をこんなに目の敵にするのかを……
「なぁ……パティ…教えて欲しい事があるんだけどさ」
「なによ?」
少し、むっとした調子で言う。
俺は、それを無視しながら……
「何で、そんなに俺の事を目の敵にするんだ?俺は、お前の家を壊したわけでもなければなにか嫌味を言ったわけでもない。初対面の時からそうだよな?」
「!?あんたには関係ないで……!」
「あるだろう」
ぴしゃりと冷静に言い放つ。
その言葉に、押し黙ってしまうパティ。
「なぁ……正直に教えてくれよ、これじゃあいくら俺でも納得いかないぞ」
「……………」
パティは俯きながら押し黙ってしまった。
彼女にしては珍しく攻撃がない。
そして、どこか怯えたような雰囲気が伝わってくる。
なんなんだよ、一体?
「パティ!」
俺は、せかすようにして言う。

「どうしたの?」
が、そこで話は中断だった。
アリサさんが厨房から顔を出したのだ。
「あ!おばさん、私手伝います!」
そう言い、大慌てで台所に行く。
「あ、おい!」
だが、俺の静止も聞かずに台所に逃げ込むようにしていってしまった。

その後は、なんとなく気まずい雰囲気が俺とパティの間だけで流れた。


座談会

魔龍:どうも、魔龍だ。
パティ:……パティです。
魔龍:ん?どうしたんだよ、いつものお前らしくねぇな。
パティ:う、うるさいわねぇ!
魔龍:ふっ……それくらいがお前らしいぜ?
パティ:?
魔龍:でも、いい加減怒鳴りつけるのは止めて欲しいな……
パティ:あ、あのねぇ!
魔龍:でも、ま、俺はお前のことをよく見てるからな、安心しろよ。
パティ:な……何言ってるのよ!?(真っ赤)
魔龍:だから、俺は、お前の悪い所も見てるけど良いところも見てるって言ってるんだ。
パティ:……あんた……よくそんな台詞を平然と言えるわね……
魔龍:はぁ?どう言う意味だ?
パティ:……分かってないのね……
魔龍:???

最後に、長らくおまたせしてすみませんでした。
それと、まだ当分休止するかもしれません。
でも、一ヶ月に一回は出すように努力します。
それでは。

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