悠久交差点 [HOME] [悠久ミニストーリー]

悠久幻想曲 ORIGINAL ALBUM

第一話『罪に追われる青年、それぞれの事情』

魔龍銀

俺がこの街で暮らし始めてから、もうどのくらい経っただろうか……
街の名はエンフィ−ルド。50年前の戦禍からの復興した,活気のある街だ。
しかし……実は俺には記憶がない……何の影響かは分からないが。
だが、それまで俺は、さまざまな地域を転々と旅していたのだが、ある日、この街の外れで大怪我をしている所を、アリサという名の女性に助けられた。
彼女は目の不自由な未亡人で、ジョ−トショップという名の店を経営している。営業内容は、いわゆる『何でも屋』だ。
しばらく滞在してわかったことだが、店の経営はかなり傾いていた。女手一つのうえ、目が不自由とあっては無理もないことだろう。
俺は助けられた恩を返すため、住み込みで店を手伝うことにした……
……と、これがエンフィ−ルドで暮らし始める事になったいきさつなのだが……
ところが、いつまで経っても一向に経営は回復しなかった。
考えてみれば当たり前の話だ。働いてはいるけど、その分食いぶちも増えてしまったわけだから……
もう一人……いや一匹、テディという名の人語をしゃべるペットがいるのだが、こいつは勿論仕事の頭数には入らない。
……そういうわけで、このまま全てを放り出してサヨナラできるはずもなく、ずるずるとこの街に滞在するハメになってしまったのだ。
しかし、そのおかげで親しい友人もずいぶんと増えた。
このまま街で暮らしていくのも、それほど悪くはないかも知れない……な。

「あれ?ボウヤじゃない。どうしたの、こんな所で昼寝?」
「んっ?」
突如上のほうから聞こえてきた声……と、この声は……
「……なんだ、リサ、か」
リサ……リサ=メッカ−ノ、確か……
実戦自己みの格闘技とナイフ技を得意とする。
さくら亭で働いているおせっかいなお姉さんタイプだ。
ちなみに、俺と似たようなもので今はさくら亭で住み込みで働いている。
「ヒマそうだね。お店はどうしたの、臨時休業?」
「そ、アリサさんが今日はお休みにしようって、な。……死んじゃった旦那さんの命日なんだってさ」
その言葉に、リサは頷きながら言った。
「ふ〜ん……どうりでこんな所で寝っ転がってるわけだ」
俺はその言葉に……
「悪かったな。そう言うリサは何やってるんだよ」
「私?私は食後の散歩……だったはずだったんだけど……」
リサはそこまで言いかけ、ちょっと疲れた様子で後ろに目をやる。
そこにいたのは……
「うみゃあ、魔龍ちゃんこんにちはー」
メロディだった。
メロディは、由羅のような希少種族……ライシアンの特徴的な耳とは違い白い猫耳の少女。
実は、俺と同じく名前以外の記憶を失っている。
「ああっ?メロディもいたのか?なんだ、珍しい取り合わせだな」
だが、ま、俺と違うのは、彼女は少し子供っぽいと言う所だろう。
リサは、手をあげやれやれと言い。
「そ。さっき捕まっちゃってね、今からさくら亭へ連れて行くところ」
「さくら亭へ?……リサは滞在しているから分かるけど、メロディは何で?」
そメロディは頷きながら言った。
「あのね、おねーちゃんにね、おさけかってこいってゆわれたのぉ」
だが、その言葉に俺ははぁ、と溜息を付き。
「由羅の奴かが?なんだあいつ、また昼間から飲んだっくれてんのか?いいよメロディ放っておけよ」
だが、メロディは俺の言った事にこまったように「ふみぃ……」と鳴いた。
まぁ……確かに無責任な発言だな……うん……
それに助け舟を出すのは勿論、リサだ。
「無責任なこと言わないの、後で困るのはメロディなんだから。……あ、そうだ、ボウヤも一緒にどう?ヒマなんでしょ?」
さくら亭……か。
う〜ん、ヒマだしなぁ……
行っても……
はっ!?
とと…駄目だ駄目だ。
「ええっ!?い、いいよ、俺は!」
俺はは慌てて、手をぶんぶんと振る。
メロディは、俺の言葉にあからさまに残念そうな声を出す。
と、言うか更に誘おうとする。
「どーしてぇ?魔龍ちゃんもいっしょにいこうよぉ」
ごめんなメロディ!俺にはどうしてもいけない理由が……
そう思いながら、あいつの事を話し出す。
無茶苦茶怒りっぽくて、すぐに俺を殴る……手のひらで叩くんじゃなくて、グ−だ。
「さくら亭には、ほ、ほら……パティがいるだろ?俺あいつ苦手なんだ……すぐ怒るから。それに俺、別に用事ないし……」
だが、リサは俺のその態度が気にくわなかったらしい、露骨にしかめっ面をし、俺の首根っこ……ではなく、服のえりを掴む。
「あーもう、ウダウダ言わないの!行くの、ほら!」
「ちょ、ちょっとちょっと!」

「来ちゃったよ……」
俺は嫌そうな顔をし、溜息を付く。
そんな俺を尻目に、リサは、‘彼女`に挨拶をする。
「ただいま」
「リサ、どうしたの?さっき散歩にでてったばかりじゃない。……あら、メロディも一緒?」
メロディは、ニコニコ笑顔で彼女に答えた。
「うん。いっしょなのぉ」
そして、俺も恐る恐る声を出す。
「お、俺もいるぜ!」
パティは、露骨に嫌そうな顔をし、答える。
「そんなの見りゃわかるわよ。で、あんたは何の用なの?あたし、忙しいんだけどな」
「え?いやその……えーと」
『全く……本来のあの方なら、こんな情けない声出さないのに…・・・』
うるさい!心の声。
だが……うっ……リサに強制的に連れてこられたなんていえないし……そ、そうだ!
「そうそう、お酒を買いに来たんだよ、お酒を……」
パティは、その言葉に驚き、そして怒鳴る。
「はぁ!?ちょっと、こんな昼間っからお酒飲む気!?だいたいあんた、お酒飲んでもいい年だっけ!?」
その点に関しては、俺は大丈夫なんだが……
すでに、彼女は手を振り上げている。
威嚇体制だぁぁぁぁっ!
「ま、待て!待てってば!俺じゃなくて、メロディが……」
だが、彼女はみなまで聞かずに次の言葉をパティは言う。
「何考えてるんのよ!?メロディにお酒のませてどうするつもりなの!?」
だぁぁぁぁ!だからこの勘違い女は!
「ふみぃ?」
メロディはそうやってわからないという感じで立ち尽くしている……
ともかく、何とか分からせなきゃ!
「ち、違うって!買うのがメロディで……」
だが、パティは俺の言葉を遮る。
「魔龍、いいかげんな事ばっかり言ってると、あたし怒るわよ!」
「つうかもう振り上げて……い、いやその……リ、リサ!あとのことよろしく」
「ボウヤ!?」
リサが驚きの声をあげ、俺を引きとめようとするが、俺はすでにドアの前にいる。
「あっ、コラ!待ちなさいよ!」
パティのそんな言葉を最後に聞いたような気がする……

さくら亭を出てしばらく走った後、ようやく俺は止まる。
「ふう……まったくパティのやつ、自分のカン違いで腹を立てるなよなぁ……」
俺は、上を見ながら歩いた。
ドンッ!
「きゃあ!」
「おわっ!?」
しばしボ−とあるていると、誰かとぶつかってしまった。
「いったぁ……」
その少女は、トスンと言う音と共に地面に尻餅をついてしまった。
そして、そのとなりの女性が俺に食って掛かってくる。
「おいっ!気をつけろよな!」
その隣りにいた女が、俺に怒鳴ってくる。
俺は慌てて、ぶつかった少女に手を差し伸べる。
「ゴ、ゴメン!大丈夫だった?」
俺はそう言い、少女を、って……
「は、はい。こちらこそ、どうもすみま……あっ!魔龍さん!」
「あれ……シェリル……それに、エルか。」
そう、俺がぶつかったのはシェリルだった。
「魔龍、おまえ何ぼーとしてんだよ?」
そう言い、おどけた調子でエルは俺に言う。
「あ、ぼーとしてんのはいつもだっけ……?」
「だ、だから謝ってるだろう。ゴメンって」
その言いあいに見かねたのか、シェリルが中に入ってくる。
「あ、あの……私も……前見てなかったから、だから……」
エルはその言葉に呆れながら言った。
「まったく、どっちもどっちだよ。だから歩きながら本読むのやめなって言ったのに」
その言葉にシェリルは頭を下げて俺に謝る。
「ご、ごめんなさい……つい……」
「まぁ……それはそうと、なんだ?二人してどこか行くのか?」
俺の言葉に、エルは改めて振り返り言った。
「……ああ、さっき偶然そこで会ったんだ。聞いたら今からトリ−シャの家に遊びに行くって言うからさ」
シェリルはその言葉に困った様子を見せた。
「あの、私はトリ−シャちゃんと……学校の宿題をしようって……」
しかし、エルは更に呆れたように言った。
「あのなぁ、友達の家で勉強なんてできるわけないだろう。魔龍、お前も来るか?」
「あ……いや、俺は遠慮しとくよ。自警団の隊長さんの家だろう?……ちょっとな…俺、どうもあの人は苦手でなぁ……」
「トリ−シャの親父さんのことか?……ふーん、変なやつ」
その時、突如シェリルが声をあげる。
「あ、マリアちゃんだ……」
エルは、げっと言い……更にしかめっ面になる。
「ホントだ…・・・あ〜あ、ヤな奴が来ちまった。それじゃあたし達は行くわ」
「ェ、エルさん……あ、そ、それじゃあその、失礼します」
シェリルも慌ててついていく……
「あ……ああ、またね」
俺は手を振った。
そういやぁ……エルとマリアって仲悪かったのなぁ……まだ、仲悪いのか……?
そして、後ろから俺に声がかかる。
「魔龍みーっけ!ねぇねぇ、いまエルとしゃべってた?あいつ、またマリアの悪口言ってたでしょー」
「そ、そんなことはないって!……それにしても、なぁ、もう、いいかげん仲良くしたらどうだ?」
俺は、振り返りながら言う。
だが、俺のその言葉に、プ−と膨れながらマリアは言った。
「や〜よ!あーんなバカとは口も聞きたくないもん。エルフのくせに魔法が使えないなんておっかし〜」
んっ……
「言い過ぎだぞ、マリア。魔法で人の価値が決まるわけじゃないだろ?」
だが、彼女は俺の言葉に更に膨れる。
「あっあっ、なになに?魔龍はエルの味方なの?ぶ〜☆さ〜いてー」
「そう言うわけじゃない。だけどさ……」
だが、俺の言葉の途中で彼女はにっこりと笑い得意げに胸を張る。
「まっ、いいや!へへー、今日はねー……じゃーん♪新しい魔法覚えて来たんだ!」
たくっ……このお嬢さんは。厳禁というかなんというか……
「おいおい、またか?今度はどこでどうやって覚えて来たんだ」
「んふふ〜、魔術士組合をね、こーう、窓から覗き見をして……」
はぁ……
「……そんなことだろうと思った。やめとけよ、また失敗するぞ?……って、何してんだ?マリア?」
俺が話ている間、彼女はすでに魔法を行使する準備をしていた。
「え〜と、たしかこうやってこう……あれ?こうだっけ?こうだっけ?」
「おいっ、ちょっと、ちょっと待て!お前、なにを……」
俺の話をまったく聞いてないよ……
「ん〜、ま、いいや!で、こ〜んな風に腕を回して〜……せ〜の〜……」
だぁぁぁぁぁぁ!
「や、やめ、やめろって!こんな所で実験すんなって!」
だが、俺の話を魔ッt買う無視して彼女は呪文を発動させた。
「る〜ん☆ばれっとぉ〜!!」
ドゴォォォォォ−−−−ン!!!
派手な音と共に、爆発する魔法。
確か……ル−ン・バレットって、小規模な火の玉を作り敵に命中させて小ダメ−ジを与える魔法だったような……
「ありゃ?」
彼女は、真っ黒になっている。
「ありゃ?じゃないよ、まったく……だから止めろって言っただろう」
俺は、呆れながら言った。
「ぶ〜☆どこで間違ったのか−?」
「お前、自業自得だぞ。幸い今回は他人に被害が出なかったからいいけど、これからは……」
しかし、俺の言葉を無視し、マリアは……
「う〜ん……わっかんないや。もういっぺん見てこよ〜っと!じゃね☆ばいば〜い!」
「おい、人の話を聞けっての!」
だが、すでに彼女はいなかった。
代わりにいたのは……
「お〜い、魔龍っ!」
「あ?ピ、ピ−ト?」
ピ−トは興味心身で、言った。
「なあなあ今の何?今の!すっげ−音がドカ−ンってさ!隕石?隕石?」
その言葉に、俺は困ったように答えた。
「違うよ。マリアの失敗魔法……いつものあれさ」
「な〜んだつまんねーの!期待して損した」
「お前なぁ……」
ピ−トは残念そうにするが、即座に表情をきりかえる。
「魔龍−、なんかおもしれ−ことない−?あそぼ−ぜ、あそぼ−ぜ」
マリアもマリアもだが……ピ−トも……
「だああ、まとわりつくなっ!おもしろいことなんかありゃしないって!」
その時。
ドガァァァァァァン!
魔術士組合のほうからだろう、すさまじい音が聞こえてくる。
これは……マリアだな。
だが、ピ−トの反応は違う。
きらきらと目を輝かせて興味深々だ。
「おっ!今なんかすっげ−音したよな!どこ?どこ?あっちかな?俺ちょっと行って来る!」
「おい、ピ−ト!」
だが、ピ−トは俺の言葉を遮り。
「魔龍、またな−!」
「……どうせ、またマリアだろ……」

「ん?」
俺は、目の前に知り合いが通ったのを見た。
あの上に浮かんでのは……
「ようっ!翔にヘキサ!元気か?」
「おうっ!魔龍じゃねぇか!」
「よっ、魔龍」
俺は、ヘキサと翔……草薙 翔に挨拶をする。
こいつは、実は、自警団、第三部隊隊長なのだ。
……と、言っても団員はこいつ一人なんだ……
ま、人間には色々あるんだよ。
……じゃ、駄目?
あ、駄目……そう……
んじゃ、説明するか……
翔のところの以前の隊長……確か、ノイマンさんだったと思うけど……
その人が、亡くなられた後、部隊のほとんどは団長直属の部下たちとして吸収された。
……俺は、それにいささか疑問を持っているのだが……
「見回り?」
「そう言うこと」
なんか分からんが、俺とこいつは気がよく合う。
まぁ……性格が似ているせいというのもあるが……
「それじゃな」
「おうっ!じゃあな」
「じゃっ」
そう言い、俺達は分かれた。
……見回りの邪魔しちゃ悪いしな。

……翔と別れてからしばらくは俺はぶらぶらしていた。
どうせならと、暇つぶしにと夜鳴鳥雑貨店に入ってみることにした。
そこで、俺は、新作のル−ジュとにらっめっこしている一人の少女を見つけた。
「ようっ!トリ−シャっ」
俺はそう話しかける、トリ−シャはスッと振り向く。
そして、俺だということが分かったとたんにっこりと笑いながら言った。
「ああっ、魔龍さん!」
俺は、手を振りながら彼女の近くによって行く。
彼女は俺が近づいてくるのを確認すると、慌てた様子で言った。
「ねぇ、魔龍さぁん……?」
「な、なんだよ?」
俺は、猫なで声で話してくる彼女にいささか引き気味に答えた。
トリ−シャは俺に更にグイッと近寄る。
「ねぇ、僕にはどのル−ジュが似合うと思う?」
「はぁ?どのって……その新作のル−ジュのことか?」
「そうっ!」
彼女は、にこやかに笑いながら言った。
俺は、少しばかり溜息を付き改めて彼女に会いそうなル−ジュを選ぶ。
ちなみに、新作のル−ジュの色は、血のような赤……絶対にトリ−シャにはあわん!
薄いピンク……これは……?結構あうかも。
それと、艶のある赤……シ−ラあたりに合いそうだな。
そして、奇麗な赤。
「おっ、これなんかトリ−シャにあいそうじゃないか?」
俺はそう言い、最後に見つけたル−ジュトリ−シャに渡す。
トリ−シャは、う〜んとうなり……
「そうかな……?でも、魔龍さんが言うんだから間違いないよねっ!」
そう言い、彼女はレジに向かっていった。
……実を言うとこの後、俺もル−ジュを買った。
理由は、特にない、ただ、奇麗にプレゼント風に包んでもらった事だけは付け足しておこう。

「ロ−ラ−!セリ−ヌ−!いるか−−?」
俺は、セントウィザ−教会前にいる。
そこで、俺の義理の妹とその妹の友達……俺にとっても友達かな……?を呼び出す。
我ながら大声だと思う。
だが、反応は以外に早かった。
バタンッ!と、ドアが開きトリ−シャに負けず劣らずの元気な声が聞こえる。
「おに−ちゃ−ん!ロ−ラに会いにきてくれたの?」
「……と、言うか通りかかっただけなんだが……」
だが、俺の言葉には全く耳を貸さない、て、何故かなれてるけどね。
ともかく、こいつの紹介をしないとな……
こいつはロ−ラ・ニュ−フィ−ルド、ま、俺の妹みたいなもんだ。
……それと、かなりの甘えんぼである。
「あらあら〜魔龍さん、いらしたんですね〜」
のんびりした口調ででてきたのは、セリ−ヌ、セリ−ヌ・ホワイトスノウ。
特徴を挙げるとすれば、のんびりとした口調と、腕力の強さである。
ま、そこら変は機会があったら……て、ことで。
「ああ、セリ−ヌ……ま、通ったから、な」
「はぁ。そうですかぁ〜」
などと、しばらく三人で話をしていた。
「んっ?もうこんな時間か」
「あっ!ほんとうですねぇ……お洗濯を取り込まないと〜」
「うん、セリ−ヌさん、私も手伝うよ」
まずいな、少し長いし過ぎた。
「そうか……わりぃな、少し長く話に突き合せすぎた。じゃ、またな」
「うん、じゃあね」
「それじゃ」

「やめようよ、ねぇ!ねぇってば!」
しばらく歩いていると、俺は見かけたことがあるような二人にあった。
んっ?あれはクリスじゃないか。
クリスは困ったようにそれでいて慌てたように隣りの奴に言っている。
隣りにいるのは……
「大丈夫だって!お前は俺にくっついてりゃいいの。後は俺に任せとけばいいから」
「そう言う問題じゃなくて!その……よくないよ、そ−ゆ−こと……」
ん?あそこにいるのは、アレフとクリスじゃないか……何かもめてるのか……?
そう思いながら二人に近づいて行く。
「おい、何もめてるんだ、二人とも?」
「魔龍さん!」
クリスは助かったとばかりに俺を呼ぶ。
「よう、いいところへ来た、ナイスタイミングだぜ!」
アレフの言葉に、俺は不信がり……
「はぁ?なにが?」
そういうと、アレフはクイックイッと親指を向ける。
「ほらほら、あそこに……かわいい女の子が二人いるだろ……引っ掛けるの手伝ってくれよ」
「アレフくん!」
クリスは、駄目だよとばかりにアレフの名を呼んだ。
「最初は、クリスに頼んだんだけど、こいつびびっちゃってさあ……横にいてくれるだけでいいから。なっ!」
「はぁ……やれやれ、まぁたいつもの病気かよ……ほどほどにしないと、その内、絶対に手痛いしっぺ返しを食らうぞ」
その言葉に、少しアレフはびびり。
「おいおい魔龍、お前まで爺みたいなこと言うなよ」
「はぁ?」
俺は訳がわからない風に答える。
事実を言ったまでだぞ、俺は。
「…でも、アレフ君…よくないよ、ナンパなんて……やめたほうがいいよ…」
「なぁ−になよくないんだよ?クリス……お前さぁ、そんなことだからいつまで経っても女になれないんだぞ?」
その言葉を聞き、あからさまに動揺とカチンと来たのがクリスに見える。
「そ、それは関係ないでしょ!僕が女の子苦手なのは、姉さん達のせいなんだから……!」
「まぁまぁ……」
俺は何とか、往来で言い合いをするのを止めようと真ん中に入る。
「な、手伝ってくれるよな!魔龍!」
「そんなことしないよね!魔龍さん!」
「あ、い…いや…その……」
あのぉ……いきなり矛先を向けられても無茶苦茶困るんですけど……
カランカラン
そこに、突如店から出てきた少女が入る。
「あらっ?魔龍君、こんにちは」
「や、やあ、シ−ラ!」
助かった!
「アレフ君もクリス君もいるの?三人揃って……こんな所でなにやってたの?」
「い、いやあ……別になにも。まだ何もやってないよ。な?」
「………………」
クリスは、さっとアレフの後ろに隠れる。
「クリス、お前、俺の後ろに隠れんなよ!」
「だ、だって」
俺は、そんな二人を尻目にシ−ラに話し掛ける。
「洋品店から出てきたってことは……シ−ラは服を買いにきたのか?」
シ−ラは首を振った。
「ううん、今日はサイズ合わせにきただけ。今度の演奏会、ままが新しいドレスででなさいって言うか……」
「へぇ〜演奏会かぁ……」
そこに、アレフが途中で入ってくる。
「ね、ね、シ−ラ、この後ヒマ?……だったらさ……いててっ!なにすんだよ、クリス!」
だが、シ−ラは何を意味するかわからないらしい。
「ごめんなさい。これから家に戻ってピアノのお稽古があるの……先生も、もう待ってると思うし……」
アレフは、残念そうに答える。
「ああ、そう……それじゃ仕方ねぇな」
「それじゃあ、私……もう行かなきゃいけないから……」
「ああ、ピアノ頑張ってね」
俺の言葉に、シ−ラはにっこりと笑った。
「うん。ありがとう!それじゃ、またね」
たったったっ……
シ−ラが言った後俺はポツリと一言漏らした。
「大変だよな、本当に……シ−ラの奴…毎日毎日ピアノの練習でさ」
「まあな……げっ!あの女の子達いなくなっちまったぞ!」
その言葉に、クリスは嬉しそうに言う。
「さっき、あそこの角曲がって行っちゃったよ」
「ホントか、クリス!?よしっ、追いかけるぞ!お前も来い!」
先程とは打って変わって困った表情のクリス。
「ええっ!?やだよぅ!」
だが、アレフは問答無用だ。
「やかましい!行くぞ!」
「いやだってば〜!」
そう言い、走って行ってしまった。
一人取り残された俺は、ポツリと漏らす。
「やれやれ……全くあいつ等……仲がいいんだかわるいんだか……」
そして後ろから……て、このフレ−ズ今日で何回目だ?
「魔龍さ〜ん!」
ん?テディの声じゃないか?
どうしたんだ。
「大変っス、大変っス、大変っス〜!」
「おいおい、どうしたんだよテディ。何をそんなに慌ててんだ?」
テディは、それでも大慌てで言う。
「慌てずにはいられないっス〜!お店に、お店が、ああ〜やばいっス!もうだめっス〜!!」
「なに!?店が!?ジョ−トショップに何かあったのか!?おい、落ち着いて話せよ!」
て!俺がいきり立っちゃ駄目だな……くそっ。
「さ、さっき、自警団がやってきたっス!盗難事件がどうとかで、ご主人様を取り囲んで……色々尋問されてるッス〜!」
「なんだと!?アリサさんが!?なんだよ、盗難事件って!?」
「ボ、ボクが知るわけないっすよ〜!」
「ちっ……行くぞ!テディ!」
俺の言葉にテディはコクコクと頷く。
「い、行くッス〜!!」

カランカラン……
「ご主人様!」
「アリサさん!大丈夫ですか!?」
俺とテディは、慌てて店の中に入る。
「魔龍君……ええ、大丈夫、私は大丈夫なんだけれど……」
そこに、スッと身長の高い男が出てくる。
頭にバンダナを巻き、鉄鋼の鎧に身を固めた男……
自警団第一部隊隊長補佐……アルベルト・コ−レインだ。
「やっと戻ってきたか……おい、出口を固めろっ!」
出口を……?何いってるんだ、こいつ……まるで俺を待っていたような……
「アルベルトさん、ちょっと待ってください!この子は違うんです。何かの間違いです」
間違い?どういうことだ?
「アリサさん、そうは言いますがね……証拠があがっている上に、目撃証言まであったんじゃ疑いようがありません」
「でも、それでも信じられません。お願いです、もう一度調べなおしてください」
「……なんだ、何のことだ?話が見えないぞ?」
アルベルトは、俺をきっと睨み。
「とぼけるな!おい、ひっとらえろ!」
アルベルトがそういうと、周りにいた男たちが俺をひっとらえる。
「ちょ、ちょっと待てよ!なんだよ、何すんだよ!?」
「あのね、昨夜フェニックス美術館で盗難事件があったらしいの……それで、この人たち……あなたが犯人なんじゃないのかって……」
テディは、その言葉を聞き驚いた表情で俺に言う。
「ええっ!?魔龍さん泥棒したっスか!?」
「バカッ!!そんなことやってねぇよ!!」
俺はそう言うが、アルベルトは更に俺を睨んでいった。
「やかましい!誰でも捕まったと時はそう言うんだ。話は事務所で聞かせてもらう!」
だが、ここで出てきたのはアリサさん。
「でもアルベルトさん、いきなり犯人扱いで、連行なんて……いくら自警団でも…横暴すぎると思います!」
アルベルトその言葉で少し引く。
「勘弁してくださいよ。俺は隊長からとにかく身柄を拘束しろって言われているんですよ。好き好んでやってるわけじゃあ」
そのやり取りを見て、俺は……
ちっ……仕方ない。
「……はぁ、分かったよ」
「魔龍君!?」
「ここでもめても、アリサさんに迷惑がかかるだけだ。ちゃんと話せば無実だってことはすぐわかるはずだしな」
俺はそう言い、場を何とか落ち着かせようとする。
「さあ……そう、うまくはいかないとおもうがねぇ……」
「アルベルトさん?」
アリサさんは、アルベルトの言葉に不信なものを感じたようだ。
『こいつは怪しいな……魔龍、いくの早めたほうがいいと思いますよ?』
そうだな……でも、ここに……!?
「あっ、いやあ、なんでも……何でもありません。はい」
「お前、アリサさんの時だけ露骨に態度が変わるなぁ……」
俺のその言葉に、アルベルトはむっとした表情になり。
「うるさい!ほれいくぞ!」
そう言い、俺を歩かせようとする。
そして、最後に……
「……ははは……それでは、アリサさん、失礼しました」
バタン!
そして、ドアが閉まる。
俺はドア越しにアリサさんとテディの声を聞いた。
「魔龍さん……大乗ぶっスかねぇ……」
テディの心配そうな声……
そして……アリサさんの……
「そうね……きっと大丈夫よ」
俺は……二人に心配させてしまったことを後悔した……

バタン!
俺はいきなり付くなり、問答無用で牢屋の中にいれられた。
「おいっ!なにすんだよ!?話が違うだろ!俺の話を聞くって……」
「うるせえな、そんな約束した覚えねえよ。大体、聞いた所でどうなるもんでもねえしな!」
むっか−!
「てめぇ!汚ねえぞ!!大体俺が犯人だという証拠は!?証拠もないのに俺を犯人だと決め付けんのか!?」
だが、アルベルトは冷徹に笑った。
「バカが!証拠ならいくらでもあるんだよ!」
俺はその言葉を聞き愕然となる。
「な、なんだと!?」
「……それは私から説明しよう」
ずいっと、アルベルトの後ろから突然声が聞こえる。
くっ……てめぇは……
「隊長!いつお戻りに……?」
そう、自警団第一部隊隊長『リカルド=フォスタ−』隊長……トリ−シャの父親だ。
「今戻った所だ。手続きに時間がかかってな」
「おっさん、あんた等自警団の仕事ってのは、罪もない住民を牢屋へ放り込むことなのか!?」
俺の言葉を聞き、アルベルトガ更に俺を睨む。
「きさま!隊長に向かって……!」
「かまわん……まぁ聞きたまえ」
そう言うとおっさんは話し出した。
「昨夜、フェニックス美術館に族が入った。そして、絵画、彫刻、宝石、など十数点が盗み出された……知ってるな?」
「……………」
「今朝その連絡を受けて、我々は美術館周辺の聞き込みを行った。そして君が昨夜美術館に忍び込むのを見たという証言を……」
「嘘だ!!」
「嘘じゃねぇ!同じ証言をしている人間が何人もいるんだよ!」
嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!
『そう……それは私達ではないわ』
「そんな……なら、人違いだ!俺は、盗みなんて……!」
リカルドのおっさんは更に続ける。
「それだけじゃない。さきほどジョ−トショップへ事情聴取に行った時のことだ。その時君はいなかったが……」
「………………?」
何の話だ……?一体。
『……ま、ある意味私たちかもしれないわね、それは』
「アリサさんの立ち会いもと家宅捜査をさせてもらった結果……君の部屋から、盗み出された美術品を発見した」
「……そんな…う…嘘だろ…」
『これは多分嘘、じゃないわね……』
俺が愕然としている時。
アルベルトがとなりから口を出す。
「だから言っただろ、どんな言い逃れをしようと無駄なんだよ。なんせ証拠が揃ってるんだからな!」
「違う……俺じゃない…俺はそんなこと…」
『出て来るかも知れんな……処刑まで行けば……』
くっ!うるせえ!さっきから頭の中に響く声少し黙ってろ!
『分かったわよ』
「残念ながら何を言っても無駄だ。真犯人でも現れん限りな……君の無実は証明されないだろう。あきらめる事だな……」
「ちょっとまて!俺は……俺はどうなるんだよ!?」
アルベルトが馬鹿にしたように言う。
「そうだなあ……悪くて一生独房暮らし、良くても追放ってところだろうな!」
そういったアルベルトに、おっさんの叱責が入る。
「アルベルト!余計なことは言わんでいい。職務に戻るぞ」
「はっ!」
「おい、待てよ!待てってば!……くそ、行っちまいやがった!」
俺はそう言い、はぁ……と溜息を付く。
「あ〜あ、これからどうしようかなぁ……」
そう言うがどうしようもない。
『寝ろ』
頭の中に声が響く。
「そうだな、今ここでなにかができるって訳じゃないしな……とりあえず、横になって打開策を考えよう……」
しかし……ふわあ……なんか眠くなってきたな……
とりあえず……眠るかぁ……
…………………

お前にとって……運命とはなんなのだ?
『自ら切り開くもの……定められているものを打ち破るための物!そして……奴』
なんだ……これは!?
自らよりも、強き物に遭遇し相対した時……お主はどうする?
『最後の最後まで……俺は気力を振り絞り戦う!』
この世界から、なくなってはならぬものとは……?おぬしにとってはなんだ?
これは……記憶なのか!?
『それは……人々の正と負の心だ!二つとも存在しなければならないものだ!……もっと言ってしまえば、人としての心だ!』
ふむ……自らのその命を終えたとき……主はどこへ行く?
『新たな世界で……新たな人となり生まれる!俺は……永遠なんていらない!』
わからない……!?だが……
人の持っている最も強い感情とは……?
『希望……優しさ……それは、人を思う気持ちだ!……例えそれが……憎しみでも……』
仲間として最も必要なものは?
とても大切な……
『揺るぐ事のない……お互い信じを合える心!貴様等にはないものだ!!』
最後だ……お前は何のために生きている?何のために存在している?
『俺は……俺の愛する人を、俺を愛してくれる人を守るためだ!!!』
記憶のような気がする……
そうか……我と汝は……

ギィィィ……
扉の空くような音と共に、俺は目覚めた。
「おいっ!出ろっ!」
なんなんだ……今の夢は……?
思い……だせない……
「出ろって言ってるんだ、聞こえねえのか!」
「アルベルト……なんだ、釈放か……?」
俺の言った言葉に、奴は苛立ちを隠せない。
「そうだ、早く出ろ!」
ぴんっと来るものが会った、まさか!
「……そうか!俺の無実が証明されたんだな!?」
俺はそういった、だが、アルベルトは「勘違いするなよ」と言った
「保釈金が支払われたんだよ!」
「……保釈金?」
ああ……と、奴は頷く。
「……まったく、アリサさんもなんで今奴を庇ったりするんだか……!」
なに!?
「アリサさんだって!?アリサさんが払ったのか!?」
「他に誰がいるってんだ!!」
「ちょっと待てよ、保釈金ていくらくらいの額なんだ!?」
アルベルトは少し戸惑い言った。
「お前の場合、窃盗罪と偽証罪で十万ゴ−ルドだな」
「そんなバカな!彼女がそんな大金持ってるわけないだろうが!!」
だが、アルベルトははき捨てるように言った。
「知らねぇよ!俺には、お前みたいな奴にそんな大金を捨てちまことのほうがわからねよ!」
こんなバカどうでもいい!
「アリサさんは!?」
「表で待ってる。ちょっと待て、魔龍!」
「……なんだよ!」
「俺はお前を一切信用しちゃいない。絶対に尻尾を掴んでもう一度ここに放り込んでやるからな!」
「勝手にやってろ!俺は元々無実なんでなっ!」

「アリサさん!!」
「魔龍君、よかった……酷いことされなかった?」
「心配したっス」
それは平気だけど……
だが、それよりも!
俺はアリサさんのほうを向く。
「大丈夫だよ……だけど、俺の釈放のために……保釈金を払ったのは……本当なんですか?」
アリサさんは、一瞬戸惑い。
「……ええ、本当よ」
「なんで……なんでそんなことを……俺は、無罪なんだから……」
「それは分かっているけど……もう罪状の審議も終わってしまって……後は、処分の決定待ちになってしまって……」
「………………」
くそぉ……
『そんなことをしようもんなら……ここは消えてるけどね……』
「しかも、それが決まったら、後は何をやっても手遅れだって聞いたから……」
俺のために……?
そんな……
「だからって……そうだ!十万ゴ−ルドの大金はどうやって……?」
「それがね、丁度お金をかしてくれるって結う親切な人が現れたの」
なっ!?
「借りたんですか!?どう言う条件で!?ただでそれだけの大金を貸してくれる人はいないでしょう!?」
「それは……」
やっぱり……
「ジョ−トショップの……土地、ですね?」
『そうですね、たしかにお金になるものはあれくらいでしょう』
「でもね、一年待ってくれるって言うから大丈夫よ」
『できますね……』
できるわけないだろう!
「大丈夫じゃないですよ!俺のために……そんな無茶を……それに、一年じゃ返せるわけがないでしょう!!」
『最もな意見ね』
だぁぁぁぁ!サイドは黙ってろ!
『はぁ〜い』
「それについてはね、いいアイデアがあるの」
「いい……アイデア?」
俺は改めて聞き返す。
一体どんな……?
「さっきお役所の人に聞いて来たんだけど……一年以内に、住民の大多数の支持を集めると、再審を請求できるんですって」
「えっ!?」
「しかも、それで無罪になれば、保釈金も返還されるのよ」
その言葉を聞き、テディが嬉しそうに言う。
「さすがご主人様!頭いいっス!」
「ですけど!もしも支持を集められなくて……再審でまた有罪にされてしまった場合どうするんですか!?」
俺の言葉に、テディは不安な表情になる。
「ど、ど、どうするっスか!?ご主人様!」
『ま、そんなことがあれば……この街は破滅するでしょうけどね……』
縁起でもないこと言うな!
『嘘じゃないわ……街破滅はなくとも、自警団破滅は確実ね……それに……いざとなれば……』
んっ?
『いえ、なんでもないわ……それよりも、彼女の言葉を聞かなくていいの?』
あ…ああ……
おっと、そう言やこいつの説明がまだだったな。
俺の心の声……名前とかは教えてくれない。
俺の記憶がなくなった後から、ずっと聞こえている声なんだ。
さて……アリサさんの話……
「大丈夫よ。もし駄目だったら、またその時考えましょう」
「しかし……」
だが、アリサさんは微笑み。
「土地のことは本当に気にしなくていいの、あなたが来てくれなければ……お店はとっくにつぶれちゃってたでしょうから…ね」
「アリサさん……」
アリサさんの優しさが心に染み込む……
本当にこの人はなんてすばらしい人なんだろう……
「今は、あなたが無実だってことを……悪いことをしない人だってことを、街の人に分かってもらわなきゃ……そうでしょ?」
「……そう……ですね」
「ご主人様……ボク感動したっス!ボク感動したッス」
テディはそう言い、ちょっと涙ぐむ。
ありがとうございます……アリサさん。
「ほら、元気だして、魔龍君!」
「ありがとうございます……本当に、アリサさん」
俺はそう言い、微笑む
「……そうだよな、やる前からあきらめちゃ駄目だよな!」
その言葉を聞き、テディが嬉しそうに俺によってくる。
「そうと決まれば、ボク、やるッス!てつだうっス!魔龍さん!何からやるっスか?」
「う〜ん……そうだな……」
「まず、街の人の信頼を得る事が先決よ……魔龍君」
「はい……でも、俺たちだけだと……できることに限りがあるし……」
よしっ!なら……
「とりあえず……ジョ−トショップの店員をしてくれる人を探そう……俺に協力してくれる人を」
「店員……ッスか?」
テディの言葉に俺は頷き。
「それに、【なんでも屋】として街の人たちからの以来を数多くこなせば、街の人達の信頼を得られるはず!」
テディもその言葉に笑顔で頷き。
「しかも、お店も繁盛するっス!一石二鳥ッスね!」
……なんだか出来そうな気がしてきたな……
『お前に出来ないはずがないだろう……仮にも、魔龍 銀の名を持っているんだからな……』
「その調子よ。男の子なんだから、やろうと思えば何でもできるわ」
「はいっ!それじゃあテディ!早速人集めだ!」

と、言う事で俺とテディはシ−ラの家の前に来ていた。
「ここがシ−ラの家か……いかにも上流階級って感じがする家だな」
「シ−ラさんはお嬢様ッスからね。お父さんは世界的にも有名な指揮者で、お母さんはプロのピアニストらしいッスよ」
音楽一家……て、わけね……
俺と、テディがそんなことを話ていると……
家の中から人影が見えた。
んっ?あれは……
「あらっ!こんにちは!魔龍君」
「あっ……シ−ラ」
あそっか……こんな所にいれば、確かに不信がられるわな……
「どうしたの家の前で?」
俺はしどろもどろながら話し出す。
「あ、ああ。実はな……シ−ラに折り入って話があってな……それで、まぁ……さっきから待ってたんだ」
「話……何かしら…?」
彼女はそう言い不思議がる。
俺は、頭を下げながら言った。
「頼む!俺の力になってくれ!」
「えっ!?」
俺は、今までのいきさつを話した。
「ええっ!?そんなことがあったの!?」
どうやらシ−ラは知らなかったようだ……
「シ−ラ……お前知らなかったのか?今さ、街じゅうこの話で持ちきりになってるんだぜ……はぁ……」
「自慢してどうするっスか自慢して……」
そう、テディに突っ込まれるがとりあえずそれは無視。
そのままの状態で、俺はシ−ラの顔色をうかがう。
「私……ぜんぜん知らなかった。ピアノのお稽古で忙しかったから……」
そう…だよな。
人、それぞれ事情があるもな。
『ええ……でも、この娘は協力してくれそうね?』
はぁ……無理に決まってるだろ……
そう言やぁ……お前は誰?
『……それよりも、彼女悩んでるわよ?』
そ、そうだな。
「そっか、毎日大変そうだもんな……ゴメンな、こんなこといって」
「魔龍君……でも、私、あなたの事を助けてあげたいし……それに、アリサおばさまにもとてもお世話になっているから……」
「………………」
俺、まずい事言っちゃったな……
やっぱり、さっきの事取り消してもらおう……
「あ…………」
だが、彼女は何かを決心すると俺の言葉を遮った。
「私……ピアノのお稽古を夕方とか夜にずらしてもらうように、ママに頼んでみる!」
「えっ!?シ−ラ……でも……」
だが、シ−ラはにっこり微笑み。
「……大丈夫……最後のお願いって言えば多分……許してくれると思う……」
……?今、少しだけ言葉が聞き取れなかった。
なんか……聞き逃しちゃいけない言葉のような気が……
「どうしたッスか?」
テディがシ−ラに話し掛ける。
「…………?」
「ううん、なんでもない。それじゃ私、今からママに話してくるから!」
「あっ!シ−ラ!」
だが、シ−ラは俺の呼びかけに答えずに行ってしまった。

「ア、アレフさんを誘うッスか!?」
俺は、シ−ラの家でシ−ラが協力してくれることが分かると次は急いで町に戻った。
その途中、次に誘う人材の事を話しているとき、テディが突拍子もない声をあげた。
「何だよ、そんなに驚く事か?」
俺はそう言うと、立ち止まる。
テディもそれにあわせて立ち止まり。
「だって……アレフさんって、女ったらしで有名じゃないっスか!」
「うわぁ……きっついなぁ……お前……でもさ、あれでも結構頼りになるんだぜ?」
だが、テディは引かない。
「ボクは反対ッス!ジョ−トショップの品位が落ちるっス!」
テディそこまで言い終えたその時、テディの後ろから人がやってくる。
そして、テディをひょいっと摘み上げ……
「……そりゃ悪かったなあ」
と言った。
ギクッ!
テディがギクッとしその状態のまま後ろを見る。
「あ、アレフ!丁度よかったぜ、探してたんだよ!」
「へ〜え、女たらしの俺になんか用かい?」
「………………」
うっ…き、聞いてたんだ……
「頼む!俺に力を貸してくれ!」
「突然何を。ああ……俺も聞いてるよ。なんか……やばいことになったんだって?」
アレフはそう言うが……
「やばい所じゃないよ……ホント…このままじゃ俺は街から追放…その上、ジョ−トショップはつぶれちまうんだ!」
「なるほど……だがよ魔龍、そこのペットの話だと、俺がいると店の品位が落ちるらしいじゃねぇか?」
テディは、空中で慌てて手をぶんぶんと振る。
「さ、さ、さっきの無しッス!!」
だが、アレフはテディと顔をつき合わせていった。
勿論ジト目で……
「いったん出ちまった言葉は取り消せねぇよなぁ……」
「あやまるっス!申し訳ないッス!」
しかし、アレフはプッと笑い言った。
「そうだな、ま、このくらいにしといてやるか」
「それじゃあアレフ!」
アレフは、おうっ!と言い胸を張った。
「力になってやるよ!任せておけよ!」
「サンキュー!恩に着るよ!」
俺はそう言い、ガッツポ−ズを取る!
いやあ……やっぱアレフって頼りになるなぁ……
「その代わり……後で女紹介しろよ」
……………
前言撤回。

「トリ−シャさんを誘うッスか?」
「ああ……やっぱり無理だと思うか?」
「そうッスよねぇ……」
俺と、テディは思わず腕を組んだ。
だって……なぁ?
トリ−シャは、あれでもリカルド・フォスタ−の娘……言い換えれば、敵の娘だ……
流石に無理があるだろう。
「う〜ん…でも、玉砕覚悟で……頼んでみるか」
「粉々に砕けそうな気がするッス」
「うわっ!それはきっついなぁ……」
俺はそう言い、苦笑する。
ちなみに向かっているのは商店街……トリ−シャが一番いる可能性の高い場所だ。
フッ……
不意に視界が暗くなる、誰かが後ろから俺の視界を?っているらしい。
「だ〜れだ?」
こんな特徴的な声を持つのはこの街では一人しかいないよ……と、思いながら簡単に答えた。
「トリ−シャ……だろ?」
「あったり−!さっすが魔龍さん!」
俺の眼から手を離し、にこやかに笑うトリ−シャ。
「どうしたんだ?こんな所で……」
俺は、そう問い掛ける……なんて野暮か。
「あはは、今更なに言ってるんだよ。僕は、お買い物に来たんだよ」
「……だよな」
俺は、少しばかり笑みを見せる。
その笑みに、トリ−シャは……
「う……」
一瞬見とれる。
お〜い?
「あっ!そ、そ、それよりさ!魔龍さん、お父さんたちに捕まって大変だったんだってね?」
「流石だな……情報の回りが速い」
「えっへん!」
トリ−シャは俺の言った言葉に少しばかり威張ってみせる。
その時。
テディがいきなり耳元で俺に囁いた。
「魔龍さん!本来の目的を忘れてないッスか!?」
あ、と、本当の目的を忘れる所だった。
「なぁ、トリ−シャ……」
「んっ?なに?」
俺の言った言葉に、やっぱりにこやかに答えるトリ−シャ。
よ、よ〜し!
「俺に力を貸してくれないか?」
「うん、いいよ」
…………………は?
余りにもあっけなく答えられて、一瞬、何を言われたのかわからなかった。
「どうしたの?協力して欲しいんでしょ?」
「ま、まぁ……そうだけど……」
「うん、問題無し!それじゃ、僕、おばさんの所にいってるねぇ!」
そう言い、駆け出していってしまった……
問題なしっ!て……思いっきり問題ありだぜ……

むぅ〜……(汗)
正直俺は悩んでいた。
今まで、アレフ、シ−ラ、トリ−シャと勧誘してきた……が、最後の一人が適切っぽいのが一人しかいないのだ……
だが……俺は、いささかそいつに頼むかどうか迷っている。
……だって……
「はぁ……」
「魔龍さん、駄目ッスよ、私情をはさんじゃ」
「う・る・さ・い・ぞ!よりによって、頼む相手があいつしかいないんだ……しかも、メンバ−中でもっとも役立つのはあいつだろうし……」
俺は、そう言いはぁ……と溜息を付く。
「あ〜ら?それは一体誰の事かしら?」
ギクぅ!
俺は恐る恐る後ろを振り返る……
そこには、手をすでに振り上げて『いつでもOK!』と言った感じのパティが……
ひやぁ……(ぞおおお)←擬音です。
「いやぁ……あのぉ……?あははは……だれでしょうねぇ……?」
俺は、冷や汗と焦りで冗談抜きに声が乾いていると思う。
ポキッ、パキッ。
パティは指を鳴らし、にこりと笑った。
(さぁぁぁぁぁぁぁぁ)←擬音です……
「そうねぇ……て、納得すると思ってるのぉ!?」
「ひええええ!ご、ごめんなさいぃ−−!」
俺は思いっきり頭を下げて謝る(ひぇ〜情けねぇ……)
だが、パティは俺の頬を思いっきり抓る。
「まっ、いいわ!アリサおばさんを助けると思って手伝ってあげるわよ!」
「あえぇ?しっへはの?(あれぇ?知ってたの?)」
「……さっきの話が聞こえたからね……」
そう言うパティの声は、冗談抜きに怖かった。

ま、これで頭数は揃ったわけだ。
さて、と……こんな感じでジョ−トショップの中は賑わう事になる。
しかし……俺は、再審をもぎ取れるのだろうか?
そして……街のみんなに、今一度信頼してもらえるのだろうか?
全ては…これからの仲間と俺の働きしだい……
て、わけだ。


悠久キャラと魔龍による座談会

魔龍(作者):遂に始まりました、魔龍 銀、二次創作・オリジナル小説『悠久幻想曲・オリジナルアルバム』第1話!ムチャ長いですっ!最後まで読んでくださった方!本当にありがとうっっ!
シ−ラ:あ、あの……一応、ヒロイン候補の……シ−ラ・シェフィ−ルドです……よ、よろしくお願いします!<(_ _)>
パティ:同じく!ヒロイン候補のパティ・ソ−ルよ、よろしくね!
アレフ:おうっ!主人公のアレフだ!よろし――
SE:バキィ!
アレフ:きゅう〜〜(@@)
魔龍:ばぁか!主人公は俺だ!……と、冒頭は作者の魔龍 銀な、俺は、魔龍 銀(キャラ)だ!この物語では主役を勤めさせてもらっている!ま、他にも『MASUTER』だの、なんだのもあるがきにすんな。
トリ−シャ:うわぁ……性格変わってるね……と、僕は、みんなと同じヒロイン候補のトリ−シャ・フォスタ−だよ!応援よろしくね!
魔龍(作者)でも、:実はこっちが本物です……すぐに人は殴ったりしませんが、ね。
魔龍:んっ?まぁ、それはともかく、今回は魔龍の設定が徹底してるな。
パティ:そうね、ステ−タスから何まで……よくここまで書いたはあんたホント。
シ−ラ:がんばったわよね。
トリ−シャ:うん。……でも、何か引っかかってるような……
魔龍(作者):いやぁ〜……なんせ時間があったし……それに、スキルステ−タスを創るの面白いしね。
魔龍:ま、それはともかくとして……これから、ホ−ムペ−ジ用の設定を書こうと思ってるんだろ?
魔龍(作者):ま、ね。魔龍のステ−タスを知ってもらういい機会だしな。
シ−ラ:そう言えば、数字で表されるのはこれがはじめてでしたよね?
パティ:そうねぇ、でも、だからこそ面白いんじゃないの?
トリ−シャ:あ!
シ−ラ:どうしたの?
トリ−シャ:そうか、何が引っかかってたのかわかったよぅ!
魔龍:へぇ……なんだ?
トリ−シャ:そうだよ!ねぇ、魔龍(作者)さん。他の連載、書かなくていいの?
魔龍(作者):あうっ……(精神攻撃、100000000のダメ−ジ)←戦闘不能に陥った。

≪終劇≫

悠久交差点 [HOME] [悠久ミニストーリー]