「というわけで、第三部隊の手伝いは任せた」
そのおっさんはオレを召還してすぐ説明を始め、説明を終えると反論する間も与えず、ダンボール箱に無理やり詰め込みやがった。
そして、オレはそのままどこかに運ばれた。
オレの名前はヘキサ、体は小さいが、立派な魔族だ。
わけあってカードに封印されていたんだが、ついさっきあのなんかよくわからんおっさんに封印をとかれてやっと遊べると思った途端ダンボール箱に詰め込まれたというわけだ。
こんな小さい箱に入れられるくらいなら、まだカードの方がましだと思ったが、どうやらオレに選択権はなかったらしい。
そして、箱の中があまりに狭くて暇だったので寝ることにした。
「フォスター隊長からの荷物か・・・ナマモノ?一体、なにが入ってるんだろう?」
どうやら目的地に着いたらしい。誰かの声が聞こえる。どうもなにか荷物があるらしく、疑問の声をあげている。
・・・ナマモノ?ってことは食い物か?
「食い物よこせ〜〜!!」
オレは思わず叫んでいた。カードから出て以来まともに食い物にありついてなかったからだ。
「うわっ!?なんだ今の声!?」
どうも、さっきの声の主はオレがどこにいるかわからないらしい。世話の焼ける奴だ。
「こっちだ、こっち」
とにかく箱を揺らして、オレの居場所を知らせる。
「箱から?一体、なんなんだ?」
あーもう、じれったい奴だな。こいつはハッキリ言わないとわかんね〜のか?
「さっさと開けろ〜〜!!」
「うわっ、わかったから暴れるなって」
どうやら理解したらしく、やっと、そいつは箱を開け始めた。・・・が、なかなか開かない。
「あ〜もう、さっさとしろっていってるだろ〜が!」
そう叫びながら、オレは箱の出口に向かって思いっきり飛んだ。
ゴンッ
アチチチチ・・・思いっきり頭からぶつかった。もう箱は開く寸前だったからオレの勢いがあまって、開けようとしていた奴の頭とぶつかったらしい。
「ぶ、ぶわぁかやろ〜!!開きそうだったならそういいやがれ!!」
「・・・なんだ?ゴキブリが喋ってるぞ」
こいつ、オレが痛がってるのに平然としてやがる。あれだけ派手な音たてたんだから少しくらい痛がれっての。・・・って、ゴキブリだと〜!!人を何だと思ってるんだこいつは!!
「オレはヘキサだ!どこをどう見たらゴキブリなんかと間違えるんだ!!」
「いや、すまんすまん。黒くて飛んでたからつい・・・」
「つい、じゃね〜よ!!悪いと思うなら、とにかく何か食わせろ〜!!」
「わかったわかった、ちょっと待ってろ」
そういうとその男は奥の方でなにかを探し始めた。ゴキブリ扱いしたのは許せないが、食い物を差し出そうという心構えに免じて水に流してやることにした。
しばらくして戻ってきたそいつの手には缶詰が一つあるだけだった。
「まあ、遠慮はいいから食え」
「・・・なんだよ、これ?」
「見ての通り缶詰だけど?」
「なんで缶詰なんだよ!もっとましなものをだせよ!!」
「給料が少ないからな、それで我慢するか・・・いやなら食べなくてもいいんだぞ」
「・・・食う」
腹が減りすぎてて、もう何でもよくなった。
食ってみると予想通りうまいとは言えなかったが、腹の足しにはなった。
「・・・よく食うな、黒いの」
「だ〜か〜ら〜!ヘキサだっていっただろ〜が!!」
「ああ、そうだったな、ヘキサ」
なんとなく、こいつの相手に疲れて、窓から通りの方を見ると大騒ぎをしながら小さい男と尻尾の生えた女が走りさった。
「いま向こうの方を走っていったのはなんなんだ?」
「あれか?・・・あれは由良とクリスだな」
「あいつらなにやってるんだ?」
「たぶんクリスが逃げて、それを由良が追いかけてるとこだろ」
「アイツ、なんで逃げてるんだ?」
「クリスは女に免疫がないんだよ」
「へ〜、おもしろそうだな」
「本人はそうじゃないみたいだが・・・それより、お前はなんで箱の中にいたんだ?」
「オレか?オレは“だいさんぶたい”ってところの手伝いをするために・・・」
そこまで言って、思い出した。オレはその仕事を押し付けられたんだった。
「第三部隊の?」
おっ、こいつ知ってるみたいだな。
「おう、なんだかよくわかんね〜けどそこが潰れそうだから手伝えって言われたんだよ」
我ながらわかりやすい説明だ。これならこのぼけぼけ男にもわかるだろ〜な。
「それで、“だいさんぶたい”の奴はどこにいるんだ?」
とりあえず聞いてみた、が・・・アイツがいない。いつのまにか姿が見えなくなっている。
「お〜い!どこにいったんだ〜!!」
「ここだ、ここ」
声のした方を見ると、俺の入っていたダンボールのそばにアイツはいた。
「おい!人が話をしてる時になにしてんだよ!!」
「ああ、フォスター隊長からの手紙を読んでたんだ」
「ふぉすたー?誰だ、それ?」
「・・・お前を召還した人じゃないのか?」
そう言われればわかる。あの、人の話を聞かずにダンボールに詰めたおっさんだな。
「ああ、あのおっさんのことか」
「おっさん・・・って、フォスター隊長だって」
「ふぉすたーってなんかいいにくいんだよな、他にないのか?」
「他にって・・・名前はリカルドだから・・・」
「よし、決まり」
「決まりってなにがだ?」
「おっさんのことだよ、リカルドでいいじゃね〜か。決めたぞ、オレは誰が何といお〜がリカルドって呼ぶからな」
「・・・まあ、おっさん呼ばわりするよりはましか」
よ〜し、こいつも納得させたし本題にうつるか。
「で、“だいさんぶたい”の奴はどこだ?」
「俺がそうだけど」
「なに〜!!」
「そんなに驚かなくても・・・」
「じゃあ、お前がオレの部下になるんだな」
「まあ、そうなるな・・・って、なんで俺がお前も部下になるんだよ!?」
「うるせ〜!オレが決めたんだからそうなんだよ!!」
「また勝手な・・・」
「とにかく、今日から俺が手伝ってやるから覚悟しろよ!」
「なんで、手伝ってもらうのに覚悟なんだ?」
「いいんだよ!そんなことはどうでも!それよりお前の名前はなんなんだ?」
「俺か?俺は・・・」
これがオレとだいさんぶたいののちの隊長になるアイツとの出会いだった。
試験期間に何を書いてるのだろうか、私は。
最短で書いた物ですから(約100分)おもしろくないかも知れません(弱気)
7/24 21:00 なんとなく送ろうとして書き始め
同日 22:44 あまりに早く書き終わり