●第361話 投稿者:レイズ  投稿日: 7月 1日(日)12時53分41秒 「え〜と…」  クラウド医院のベッドの上で目を覚ましたシェイドは、腕を組んで考え込んでいた。  その内容は、ここがどこか、ではなく。 「…なんで結界魔法が発動したんだろう…。」  …彼が使った魔法により、瞬間的にあらゆる物の接近を拒む結界魔法がシーラに張られ、吹き飛ばされてしまったらしい。結界の効果時間は一瞬だったようだが。 「…まぁ、いつものことか。」  ほんとにそれで納得していいのか?  と、急に周りを見渡す。そこには、傷を負い、呻き声をあげる町の人たちがいた。  シェイドの表情が悲しげにゆがむ。彼は、こういった苦しむ人たちを見るのは好きではない。が、自分では彼等をどうすることも出来ないと気付いていた。魔法を使って癒してもいいが、失敗する可能性が高いとなると迂闊には使えない。…それでも時々使うのだが。  彼にできることは、ほんの少しだけ。 「…暗き、深き闇よ。汝、今ここに来たりて彼の者達を夢に誘え。平穏なる安息を与え、彼の者達の心を癒せ…」 『ダーク・スリーピング』  使い方次第では相手を永久に目覚めぬ眠りへと突き落とす闇の魔法だが、威力を調節してやれば苦しみを和らげ、一時的に平穏な眠りを与えることも出来る、そんな魔法。  事実、呻き声は聞こえなくなり、安らかな寝息がそこかしこから聞こえてくる。…一部、いびき等がうるさい奴もいたが。 「…これで少しは持つかな。目覚めるのは明日の朝だけど…まぁ、いいか。」  何故か闇の魔法は失敗しないという妙な特技を持つ彼は、そうやって怪我人たちを優しき眠りへと誘ってからベッドを降りて。 「さて…誰か人を探してここがどこかと、荷物はどこかを聞かないと。」  …どうやら自分が見なれない場所にいる、程度の認識はあったらしい。  とりあえず、人を探して病室を出ていく。  数秒後、クラウド医院を手伝う人間が一人増えたことは言うまでもない。  ところ変わってさくら亭。  ケインも加わって(どうやら誰かのおごりと聞いたらしい)宴会が盛り上がり始めた片隅で。  何故か消えずに残ったグリフレンツがまだ闇なべをつついていた。誰にも気付かれずに。 ●第362話 投稿者:ブレードキング  投稿日: 7月 1日(日)19時34分14秒 『しかし、あの男・・・何者だ?』 アグレッサーが言っているのはセネカの事だ。 「さぁ・・・はぐれフリュートの実験台になった人みたいだけど、詳しい事は聞かないのがあたし達の鉄則だし。」 はぐれフリュート、フリュートの厄介者的存在で、集団で動いては実験台を探している厄介なヤツラだ。 アグレッサーはアイリの出したパネルで街の状況を見ている 『ふぅむ・・・面白い街だ。ところでアイリはどうする気だ?』 その言葉にアイリが待ってましたと言わんばかりに、 「もっちろん♪友達百人作る気だょぉ♪もー、人から魔物まで♪」 アイリは別に実験台とかじゃなく、初代の友達だったらしい。 不老長寿の薬を飲んだ時点で実験台の気がするが・・・ 『・・・どっかの歌みたいな台詞だな。』 「よー、兄ちゃん。ヤブ医者さんに手伝えとでも言われたんかい?」 クロウだ。軽いノリなのはかなり楽しんでる証拠でもあるが。 シェイドも手伝いをトーヤに頼まれたみたいだ。 「・・・どなた?」 「俺の名はクロウ・フリュート。イチオー鍛冶師やってる」 「俺はシェイド・ティアライト。」 簡単にそれだけの挨拶。 「・・・あ、そうそう。あんたの荷物、無愛想なにいちゃんが持ってきたぞ。」 その言葉を聞いてシェイドは玄関の方へ走っていく。 怪我人を再び見て。 「あぁ、鍛冶師の仕事じゃねぇよ。やっぱ。」 また怪我人の治療を始める。 ●第363話 投稿者:ファウスト  投稿日: 7月 2日(月)18時18分10秒 アーウィルが「させて〜」と言った後、セネカが。 「とりあえず、ここから別の場所に行きましょう」 『そうだな』 スシュカルとセネカがそう言って、消える。魔法転移であろう。 「さてと、自分達はどうしようか?」 『どうしようって言っても・・・あなたが決めてよ』 「そうか?じゃあ・・・・」 アーウィルと<コードα>はこれからどうするのか・・・。 二人は、誰もいない所についた。セネカは時波を下ろす。 「ここで、少し話を聞かせてください」 『私は時波を起こしてくれと、言ったんだが』 少々、疑問を浮かべた顔でスシュカルが尋ねる。 「私はどうも、あなたの事しか知らないようです。色々聞かせてください」 『そうだな・・・さっきの会話はただの思い出話だったしな。しかし、まずは君からだ』 「何でしょうか?」 『先ほどの戦いでは、普通の魔法しか使っていないようだったが、君はあの時何を会得してきたのだね?』 「あの時?ああ、人だった頃、あなたと別れてからですか。うーん、結構ややこしいんですよね」 『構わん、教えてくれ』 「そうですか、では説明しますよ。簡単に言うと、文字を使う魔術です」 『文字?それなら、何処でも使われているのでは?』 「いえ、呪文の代わりに空中に描きます。そして、呪文とMPがいらないんです。そのかわり、文字を書く筆がいるんですよ。今ないんです。使うとなくなるんです。鉛筆のような物ですから」 『なるほど、魔法の効果は?』 「魔法の効果は書いた文字によって決まります。威力は文字の長さと難しさと筆に込めた魔力で決まります。これが、もともとあった魔術ですが、私は自分で応用方法を見つけました」 『何だい?』 「私の眼を少し変えて、物質を文字に見えるようにしたんです。そのおかげで、もともと書いてある物質の文字を書き換えると、物質は他の物質に変えることが出来るようになりました」 『ほう・・・なんでも好きなようにか?』 「いや、あまり無茶な事をすると一瞬で筆がなくなります」 『なるほど・・・それじゃ、まず筆を手に入れるか』 「あの、金属で出来ているので今までは鍛冶屋にしてもらっていたのですが・・・」 『この街に鍛冶屋なぞ、いたか?』 「さあ。それと、私だけじゃ造れないので」 『なるほど、魔法でも造れないと言う事か』 「はい。それでは、まず鍛冶屋を探しに行きましょう!」 『そうだな。だが、その前に<コードΩ>にあいつをぶつける』 「はい?」 『思い出話に出てきた守り神の所へ案内してくれ。金髪に取り憑く。あいつ、ヴェルナーは取り憑かないと出せない』 「はあ・・わかりました」 『<コードΩ>・・・力では勝てないのか、どうか、試さして貰おう・・・』 スシュカルが誰にも聞こえないような声で呟く。 「あの、行く前に私にもあなた以外の人の事を説明してください」 『そうだな、それじゃ、一気に説明するよ。まず、ニエプス、こいつは気が弱いが薬、毒、毒薬を使うエルフ。ハイヘンス、動く人形や式神ばかり造っている変人。ミレーヴァ、さっき出てきた女の子で天才クラスの魔導士。ラエネク、性格は軽いが銃器マニアで銃器なら何でも使える。ゲールハルト、眼に殺気がこもっていて無口な奴だが、機械、器械ならたいがい造れる』 「・・・・・・・・」 全員、会いたくないと思った。しかし、 「ヴェルナー・・・と言う人は?」 『あいつは・・・キリングマニアだ。百戦錬磨の殺人のプロで殺人鬼の殺人狂。・・・私達がほとんど魔術に興味を持ったのに、奴だけは魔力を捨て、力任せの戦いをする』 「・・・・・・」 『魔力を捨てた代わりに、奴にはどんな魔術も魔法も魔力も通じない。当然、回復魔法も』 「そうなんですか・・・・」 『格闘技を極めるより、とにかく体と筋肉を鍛えていた。そして、馬鹿でかい武器を持って戦う。めたらやたらに振り回してな』 「何の武器ですか?」 『でかくて、刃の部分が多ければ何でも良いらしい。好きなのは、刃がついている武器だそうだ』 「なるほど、金髪と同じだ・・・」 『もういいかね。それでは行こうか』 「はい。少し待ってください」 『どうした?』 セネカが魔法を唱える。そして、金髪が写った鏡が出てきた。 「場所もわかりましたので、行きましょう」 鏡が消える。 そして二人は、また転移魔法で消えた。 ●第364話 投稿者:レイズ  投稿日: 7月 4日(水)13時26分09秒  玄関に走ってきたシェイドは、クロウの言葉どおりに無愛想そうな男…ルシードを見つけた。  とりあえず声をかける。 「…俺の荷物を持ってきてくれたの、あんた?」 「ああ。」 「サンキュ。俺はシェイド。あんたは?」 「ルシード・アトレーだ。」  答えるルシードはどこか上の空だった。そのことに気づいて、問い掛けるシェイド。 「…どうかした?」 「いや、何で病院がこんなに繁盛してんのか気になってな。ここにくる途中も町がぼろぼろになってたし…何か知らねぇか?」 「俺はこの町に来たばかりだからなぁ…俺が知りたい。」  しばしの沈黙。やがて何かに思いついたようにルシードは走り出す。 「じゃぁな」 「ああ、じゃ。」  さくら亭へと向かうルシードを見送って、荷物の確認をする。財布と、寝袋と、その他旅の必需品。そして、二振りの剣と一冊の名が書かれていない本。  剣は町に入る前に一応しまっておいたのだ。いくらシェイドでも町に入っていきなり騒ぎを起こすのは遠慮したかったのだろう。…すでに町では騒ぎが起こっていたのだが。  と、急にシェイドが首をめぐらし、医院のほうへと顔をむける。 「…空間のゆがみと…魔力?転移魔法で誰かが医院の中に来るのか。」  つぶやくと、再び医院の中へと戻っていく。 「…厄介事にならなきゃいいんだけど…」  魔力よりも先に空間のゆがみを感知したその青年は、とりあえず頼まれた仕事にもどることにした。 ●第365話 投稿者:ブレードキング  投稿日: 7月 5日(木)11時33分46秒 クラウド医院の病室に二つの影が落ちる・・・ 「!?」 と、思ったらいきなり空間が歪曲し始める。 『話をするにはここがいい。もっとも・・・御前等の目的は大体わかる。』 人型を保ったアグレッサーがいた・・・ 「なら、金髪を貸してもらいましょうか。」 『やはり・・・か。あいつは宝玉が消えた今、人間時間しか生きれん・・・どうかそっとしておいてくれないか?』 アグレッサーが二人を正面から睨みながら頼みかけるように声を発する。 『駄目だと言ったら・・・?』 スシュカルもアグレッサーを睨みつける 『私は過去の人間・・・過去の力・・・この魔王と呼ばれた人間・・・アグレス・ヴァーントライハルトが相手になるだけだ。』 その言葉にセネカが反応する・・・ 「アグレス?雇用条件は「自分が気に入ったら」という変わった人間、一振りで街をも滅ぼす脅威の存在・・・」 『そう・・・私は500年前から100年前程の時間を持っていた人間、もっとも人間が生きられる時間ではないが、私は生きた・・・その時間を。そして、私が御前等の邪魔をしよう・・・』 周囲に魔力を溜め始めるアグレッサー・・・いや、アグレス。 「スシュカル、ここは退きましょう。」 あっさりと言うセネカ。 『退いてくれるなら有難いな。しかし、また我々を利用すると言うなら・・・容赦はせん。』 魔力を解くアグレス。 『分かった・・・』 スシュカルは静かにそう吐いた。 それを見たアグレスは指を鳴らして二人を転送する。 『しっかし、方々で恨みをかってるようだな。<コードΩ>・・・』 空を見上げて・・・ 「気づいていたとは。完全に気配を消したつもりだが・・・」 アーウィルが姿を現す。 『全く、覗き見とは趣味が悪い。ま、私も人のことは言えないが・・・』 からからと笑う。 彼の笑い顔を見た人間はいない。 『・・・さて、では空間を消すか。』 「そうしてくれ。」 そして空間が徐々に薄くなっていく。 ●第366話 投稿者:タムタム  投稿日: 7月 5日(木)19時09分58秒  街外れに転移させられた後、それぞれは思い思いに行動を始めた。 ―ジョートショップ― 「ただいま〜」  かなり気の抜けた声を出し、アーシィはジョートショップのドアをくぐる。実際、かなり身体に力が入らないのだが、取り合えず平静を装っているようだ。 「アーシィさん、お帰りなさいっス。ご主人様〜」  出迎えたのはテディだった。そして、キッチンへ向かって声をかける。あまり間を置かず、奥からアリサが現れた。 「お疲れ様、予定より早かったのね?。ゆっくり休んでね」  そう、労いの言葉を掛けながら紅茶を入れて、差し出してくれる。 「ありがとうございます。あ、アリサさん。この仕事を受けてきたので、その申請をして来ましたから」  そう言って差し出したのは旅芸人の講演申請依頼の書かれた紙と、依頼料の3割。残りは公演が終了してから受取る事になっているので、この3割は前金だ。  実はジョートショップへ戻る前にリヴェティス劇場と役所へよって、手続きは済ませてきている。  宣伝に関してはトリーシャ達に広めてもらえば大丈夫だろう。しかも、ちゃんとお礼はするので問題は無い。 「あと、これはおみあげです」  言いながらコートの中から取り出したのはちゃんとラッピングされている小さな箱だった。その中身は…秘密である。  しばらく紅茶を飲みながらくつろいでいたアーシィだが、多少疲れも取れたので、さくら亭へ向かおうと思い、立ち上がる。フローネの安全を確認するために。 ―さくら亭―  確認するまでも無く、フローネは元気だった。しかも、いつにも増して機嫌がいいようだ。言うまでも無く、グフリレンツが原因なのだが。 「ん〜、凄い状態だね」 「お、アーシィも来たのか。取り合えず一杯どうだ?」  宴会の盛り上がる中、アーシィに気付いてそう言って来たのはケインだ。しかも、手には酒を持っている。が、未成年ではないので問題は無い。アーシィの年齢は若干怪しい物があるが、大丈夫なはずである。多分。 「いただくよ」  ケインから酒を受取り、飲み干す。あまり強い酒ではないようだ。まあ、アーシィはアルコールに弱いわけではないので、バカみたいに飲まなければ大丈夫だろう。その前に、そこまで飲みはしないだろうが。  どうやらここは平和なようである。ディムルが酔っ払ったアレフに絡まれているようだが、気にしてはいけない。 ●第367話 投稿者:ファウスト  投稿日: 7月 7日(土)05時44分11秒 病院を後にして二人は歩いていた。 「断られちゃいましたね。どうしましょうか?」 『ああ・・・まさか、アグレスがいるとはな。耳にしたことがあるだけだったが・・・』 「それにしても、なんなんでしょうね、この街にいる人ってのは」 『類は友を呼ぶ、だな。私たちが知らないだけで、もっとヤバイのがいたりしてな』 「かなり嫌ですね。で、どうするんです」 『そうだな。君はヴェルナーが使う武器を用意してくれ。ついでに君が使う鉛筆のような物も。それと、ヴェルナーが取り憑く体も用意してくれ』 「はあ、大変だな・・・」 『私は、私で、何するか考えておく。とりあえず今は時波のしたいようにさせるよ・・・』 「そうですか、それじゃ、早速」 『宜しく頼むぞ』 「任せといてください」 セネカはそう言うとどこかに向かって歩き出す。セネカの外見はほとんど人間だから、街をうろついていても大丈夫だろう。 そんなことを考えながら、スシュカルは・・・。 『とりあえず、さくら亭に戻って部屋にいておくか。それなら、時波も安全だろうし』 そして、スシュカルは時波に取り憑き、さくら亭に向かって歩き出す。 そのあと、アーウィルがさくら亭に泊まっている事、今はさくら亭で宴会が行われている事を知るのだった。 「・・・・・」 「・・・何もないな・・・」 アルベルトとリカルドは浮遊山が無くなったので、困っていた。 「何があったんだ?一体・・・」 「帰るぞ、アル」 「いいんですか?」 「仕方ないだろう」 そんな感じで、二人は事務所に戻っていった。そして、それを見送る男が一人・・・。 「なんで、俺は自警団に行かずに、ここにいるんだろう・・・・?」 温厚な人格に戻ったシュウだった。 「・・・・ま、いいや、腹も減ったし、さくら亭でなんか食って帰ろ。今日はもう、サボりだ」 テクテク歩いて、そんなことを一人呟く。 また、宴会に参加する奴が増えたのだった。 そして、 「俺も、暇つぶしについてくか・・・」 これから、どうしようか何も考えていなかったジェノアはシュウについていくのだった。 それからしばらくしてセネカは、アイリからクロウが鍛冶屋であることを教えてもらう。 武器などはクロウに頼む事にして、体の方はどうしようか・・・・と考えているうちに、ハメットに出会う。 色々話をした結果、二人で協力して体を創ることにしたのだった。 いつ完成するのだろうか・・・・。 ●第368話 投稿者:レイズ  投稿日: 7月 8日(日)13時30分50秒  かなり暗くなってから、クラウド医院から一人の青年が出てきて伸びをする。 「ん〜…疲れた〜…」  シェイドである。どうやらやっと開放されたらしい。ちなみに、治療費は当然ただにしてもらっている。なお、クロウはシェイドより一足先に開放されていた。 「さて…と…」  呟きながらあたりを見回し、まだ灯りがついているところを探す。この時間ならまだ酒場は開いているはずである。  やがて、灯りが着いている家…宴会がまだ続いているさくら亭…を見つけ、そちらへと歩き出し…  唐突に止まった。  荷物の中から一冊の本を出し、語りかける。 「…メルト。気をつけろって言っていたのは<コードΩ>だっけ?」 『…いや、<コードα>もだ』  淡く発光し始めたその本…メルトが答える。 「で、そいつは目に見えなくても存在する…幽霊みたいなものなのか?」 『…ふむ、近いかも知れぬな。』 「…影からこっそり…いや、そっちからしたら堂々と、かもしれないけど、とにかく見るのはやめたほうがいい。とりあえず、声ぐらい掛けたほうがいいよ」  シェイドの言葉に、一瞬動揺したような気配が伝わってくる。やがて、 『気付いてたのね』  虚空より、少女の声が聞こえてきた。 「まぁね。実体、非実体問わず、俺の『領域』に存在するものは全て感知できるから。ま、その領域もそんなに広くないけど」 『どれぐらい?』 「最高で国一つ。でも、そこまで広げたら俺が動けなくなるけどね。普通に行動できるレベルだと…町一つって所かな」 『…それは十分に広いぞ…』  突っ込むメルト。だが、シェイドは無視。 「で、君がこの周辺一帯に『存在して』るのはわかってるんだけど、俺を『見る』時には声をかけてくれないかな」 『…もし、声をかけなかったら?』 「君を消滅させる」  言うと同時、彼はその左腕を上げる。そこにはめられた腕輪が、静かに輝く。その腕輪から感じられる魔力は、魔王と呼ばれる物の魔力をも上回っているように思われた。  しばしの沈黙。やがて。 『気をつけるわ』  という言葉とともに<コードα>が彼の『領域』を出て行く。領域は今は彼の周囲数十メートルほどなのだ。 『…できるのか?』 「どうだろ。多分…出来ないと思う」  メルトの問いにそう答え、再び歩き出すシェイド。 「…でも、戦闘すれば<コードΩ>にも簡単には負けないと思うけど」  呟くように付け足して、満天の星空を見上げる。 「…なんにしろ、このままずっと平和に…ってわけにはいかないみたいだね」  エンフィールドに、ひと時の平穏が訪れる…。 「…何があったんだろ…」 『…分からん。とりあえず言えることは…』 『宴会してる…』  さくら亭にたどり着いた二人(一人と一冊)が同時に呟いた。 ●第369話 投稿者:熱血王  投稿日: 7月 9日(月)02時10分04秒 「なんだかな・・・この街には退屈しないな。到着早々変な化け物に襲われて,翌日にはキマイラ の大群を相手にして・・・。しかし疲れた。」 コウはローズレイクの近くの木にハンモックを架けて横になっていた。 「そう言えば・・・勢いで出てきたけど,さくら亭の代金払ってないんだよな〜。まあ,それは明日でいいか。」 本当にいろいろあった一日のせいで,いまいち考える事がまとまらない。 少しすると,近くで物音がした。コウは慌てず落ちついていた。と言うより疲れていていち一々警戒する気も起きないらしい。 「・・・あれ?」 暗闇の向こうから出てきたのは自分より大分歳の離れた男の子だったあ。 「う,う・・・お腹が減った・・・。ここは・・・」 ロイである。自分が山から町外れへ飛ばされた時には,アーシィやシュウ達と一緒だったはずだ。 「君・・・何してるの?」 「あ,あなたは・・・何か食べ物・・・持ってませんか?」 「は?・・・いや,すまないけど無いよ。」 「う・・・。」 ロイは本当に泣いているようだ。町外れに飛ばされた時はアーシィ達と一緒だったんだが,その後 さくら亭で宴会をやる事になって少し歩いているうちに周りには誰もいなくなっていたのだ。 「ちょ,ちょっと大丈夫かい!?」 目の前で本気泣きされて少し慌てるコウ。 「あ,あの・・・さくら亭まで連れてって・・・下さい・・・」 そう言ってロイは意識を失う。 「・・・こういう場合どうすれば?とりあえずさくら亭に行くべきか・・・代金も払えるし。」 目の前で泣かれ,そして倒れてしまった子供の頼みを断れるはずもなく,と言うか子供をこんな所 にほおって置けるはずもなく。コウはロイを担ぎ財布を持ってさくら亭へ向かった。 ●第370話 投稿者:ファウスト  投稿日: 7月10日(火)16時19分22秒 「いやあ、それにしても全て解決してよかったなあ!」 「全くだ!いやー、めでたい、めでたい!」 アレフとケインが酔っ払ってハイになって、喋っている。 他に酔っ払っている奴はいないが、皆嬉しそうに物食ったり飲んだり喋ったりしていた。 そんなところにまた客が来た。 時波だった。 「ん・・・・何だ・・??」 さくら亭に着いたのはいいが、何故か宴会中だった。 よ〜く見て見ると、メンバーはアーシィ、アレフ、シェイド、クロウ、メロディ、リサ、ケイン、フローネ、グリフレンツ、などだった。ディルム、パティは忙しそうに仕事している。シェイドの事を知っているのは、クロウだけなのに、何故か宴会に混ざっている。 そして、シェイドより先に病院から出て行ったクロウは何故かさくら亭に来たのだった。 時波はかなり関わりたくない、と思ったが、無視する事も出来ないだろう。 テキトーに流して部屋に行こうと考えながら、さくら亭に入った。 カラン、カラン 客が入ってきた事を次げるカウベルの音が鳴った。 そして、それによって何人かが時波のことに気付く。 で、一番最初に気付いたアーシィが時波に話し掛けた。 「あ、時波君じゃないか、そういえば君、アーウィルに連れ去れたけど大丈夫だったかい?」 アーシィが話し掛けてきたその時。 「ええ・・・ああっ、しまっ・・・・」 「?」 何だか時波の様子がおかしく感じたアーシィ。そして、次に時波の口に出てきた言葉は・・・、 「・・・うう・・・あれ?何で僕、さくら亭に・・・?」 「どうしたんだい?時波君、大丈夫かい?」 時波が意識を取り戻した為、意識が、身体に取り憑いたスシュカルから、元の時波に戻る。 だから、いつもの記憶のずれが時波に起こった。 「おーー、時波、お前も飲むか?あー?」 そこに酔っ払いのケインが絡んできた。後ろから時波に抱き付いてきたので、アーシィが止める間もない。 「や、止めてください・・・」 「コラ、ケイン、酔っ払いはアッチ行け」 「お?誰が酔っ払いだと?俺は酔ってねぇー―!!」 時波の耳元で叫ぶ。いい迷惑だ。 「う、五月蝿いです・・・」 「ケイン!」 「ああ、そうか、オマエはまだ酒は飲めないよなぁ・・・よし、俺の酒を飲まなかった罰だ。何か余興をやれ、えーと・・そういや、木琴・・木琴が出来るんだったな。ディルムから聞いたぞ。それで良い、やれ」 「わ、わかりました・・・だから離してください・・・」 誰が見ても、ただ逃げたいが為に返事をしたとしか見えない。結構かわいそうな時波だった。 「何言ってんだ、さっきから話しているだろうが、変な事言う奴だなあ、アハハハ」 「・・・・・・・」 酔っ払いは手におえない。ただ呆れる時波だったが・・・。 「よいしょっ。ケイン、酒は飲んでも飲まれるな、だ。酔いを覚まして来い」 アーシィがケインをつかんで上に持ち上げる。これでようやく時波はケインから開放された。 「ちょっとこいつに水飲ましてくる。それにしても、ここに木琴があったら聴いてみたかったね。君の木琴」 「あ、ありがとう、アーシィさん。それと、そう言うならやりますね、木琴ありますから・・・」 「あるの?何処に?」 「しまってるんです・・・取ってきます」 そう言うと、さくら亭に預けた荷物をとりに行く時波。それを見ながらアーシィは・・・。 「ふーん・・・・・・?。ん〜、ケイン。その間に軽く酔い覚ますぞ」 「えー?あー?わかったーー!!」 ヘベレケ状態のケインを寝かして、水を取りに行くアーシィだった。 そして、その後にシュウとジェノア、コウとロイがやってきてまだまだ宴会は続くのだった。