●第341話 投稿者:ファウスト  投稿日: 6月11日(月)18時01分57秒 その頃、ケインは・・・。 「よっと」 ペンデュラムでモンスターを切断していた。そして、切られたモンスターは霧の様になって消えていく。 「ふう、まだいるのかね。・・・ん・・・何だ・・?」 ケインがそう言って、見た先には、なんだかおかしい状態の浮遊山があった。 「ったく、何やってんだあいつら」 今、自分が浮遊山へ行ったほうがいいのだろうか・・・。それとも、このままモンスターと、相手していればいいのだろうか・・。しばし、考えてケインは。 「よし、俺は・・・」 その頃、コウは・・・。 「ああ、でも盆栽に土は欠かせないんでな。やはり、いい土を使いたいのだ」 「はあ・・・」 コウはゼファーに、盆栽の話を聞かされそうになっていた時、コウが浮遊山の状態に気付いた。 「君はこれからどうするね。差し支えなければ、お礼をしたいのだが・・・」 「いや、ゼファーさん、お礼は後にしなければならないようです」 そして、コウが浮遊山を指差す。ゼファーはそれで、浮遊山を見る。 「・・・なるほど、確かにその通りの様だ。それで、もう一度聞くが、君はどうするね?」 「僕は・・・」 ところ変わって、さくら亭。 相変わらず、リサと、アーウィルはさくら亭によってくるモンスターと戦闘していた。 「リサ」 「何だ?」 アーウィルが、モンスターの一匹の息の根をとめてリサに問い掛ける。 「見ろ、あれを」 やはり、アーウィルも浮遊山を指差す。そして、リサもその先を見る。 リサは浮遊山を見て一言。 「・・・・やれやれ、あいつら、なにしたのかね」 「あの状態だから、自分が行った方がいいかも知れないのだが、ここを君一人に任せて良いかね?」 「うーん、そうだね・・・」 さくら亭の中 「カキ」 「キウイ」 「イチゴ」 「ゴ?ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、・・・」 「はい、アレフの負けね」 「アレフちゃん、また負けなのだあ」 「だーーっ、ゴなんて、ないっての!」 さくら亭にいる、暇人三人は果物だけのしりとりをしていた。で、負けた者は罰ゲーム。 「はい、どうぞ食べてください」 パティが笑顔で、パンを差し出す。 そして、その罰ゲームとは、いわゆるロシアンルーレットだった。六個のパンの中に一つ、タバスコがたっぷり入ったパンがある。負けた者は、その中の一つを食べなければならない。 で、今すでに、残り二つ。 「くっ・・・よしこれだぁぁぁ!!」 アレフは、選んだパンを一気に口に入れる。そして、 「ぐふぁぁぁぁぁ!!!!辛ェェェェェェ!!!」 「アハハハハハッ。全部食べなさいよ」 「つっ次こそは、そのセリフ、お前に言ってやるからなあ!!!」 涙目になりながら、アレフはパンを食った。 「じゃあ、もういちどなのだあ」 メロディが仕切りなおして、また、次のしりとりが始まった。 で、浮遊山のアーシィ、ジェノア、ディルム、ロイ、時波は・・。 「うーん・・・・」 時波は混乱していた。確かに自分は、50問目を答えられなくて、魔法で吹き飛ばせられたはずなのに、気がついたら、何故かここにいた。 おまけに、キーアイテムの髪飾りを持って。 ここにいたというのは、魔法で飛ばされて、運良くテレポートの罠にかかって、ここに飛ばされた、という説明がつくが・・・。 髪飾りを持っていた、というのがどうしてもわからない。しかも、髪にとめてあったのだ。誰かがつけてくれたのだろうが・・一体誰が・・・? 「どうした?時波」 ジェノアが話し掛けてくる。ディルムがさらに間を開けているので暇になったのだ。 「いや、ちょっと、訳わからなくて混乱しているんです」 「そうか、まあ、お前はそこでこの状況が何とかなる方法を考えとけ」 「・・・・はあ・・・」 確かに、今はそのことを考えた方が良いかもしれない。仕方ないから、疑問はとりあえず置いておく事にした。で、時波は、考え始めた。 ●第342話 投稿者:タムタム  投稿日: 6月11日(月)22時09分36秒 「…って事だ」 「…それはまた、随分と無理言うね」 「無理とか無茶とか言う以前の問題だな」  時波が考えている間にディムルの説明が終わった。確かにやって出来ない事は無いと思うが…かなりの根性がいるだろう。 「さて、そうと決まれば行動あるのみ」  アーシィがそう言いながら、紫色のカードを取り出す。その間に、ジェノアは時波をディムルはロイを持ち上げ背負う。 『シルフィード・フェザー』  初級の魔法ならとりあえず発動させる事が出来るため(それでも負担は普段より大きいが)アーシィ、ディムル、ジェノアが風の加護を得る。  ここまでやればもう判るだろう。早い話、ダッシュで逃げる。これだけだ。三人は全力で走り出した。ちなみにリュートはアーシィが持っていたりもする。  浮遊山が崩れ落ちる中を3人はひたすら走っていた。アーシィが先導し、一番距離が短いと思われる歩いて来た道を走り続けたる。  時々出てくる魔物はジェノアとディムルにまかせっきりだ。確かここは異次元に存在しているはず。もしここが完全に崩れおちれば、彼らは異次元に取り残され、エンフィールドも元には戻らない。責任は重大だ。  そして何より、こんな所で死にたいと思っている奴は誰もいない。その想いが彼らの走る速度を上げているのだ。  かなりの速度で走っていたのだろう。罠が大量にあった道を無事に通り抜け、別の空間に出る。もうそろそろ半分を踏破すると言った所か?  それよりも何よりも、これだけ走っているのに先に出発したトーヤとクロウの姿が見えないのはなぜだろう?。どうせなら、一緒に下山したほうが早くて良かった様なきもするが、今更言ってても仕方ない。 「ディムル、ジェノア、大丈夫かい?」 「何とも無い」 「こっちもだ」  ジェノアが答え、ディムルが答える。二人とも、体力の消耗を抑えるためにあっさりとそう答えただけだ  もう半分ほどで、浮遊山から出る事は可能だろう。問題は三人の体力がそこまで続くかどうかである。 ●第343話 投稿者:熱血王  投稿日: 6月13日(水)10時53分28秒 「僕はあの浮遊山に行ってみる事にします。」 コウはゼファーに言った。 「そうか,なら止めはしないが・・・無事に戻ってきたら何か礼をさせてくれ。」 「わかりました。」 そう言うとコウは,一人浮遊山に向かって走っていった。 「(あれが『ウェポン・ファイター』か・・・肩書きだけの実力はあるようだな)」 ゼファーはコウとは逆の方向に歩きながらそんな事を考えた。 「さて,いい土を探すとするか。」 「これは・・・困ったな。」 わかり易く呟くアーシィ。辺りには数十匹のキマイラ。 先ほど,五人の目の前に三つの頭を持ち,蛇の尻尾を持った化け物・・・キマイラが現れた。 しかしその時はアーシィ,ジェノア,ディムルが二分くらいで片付けたのだが,今回は少しばかり 厄介だ。キマイラを倒して,浮遊山を下山していると,シルフィード・フェザーを使い続けていた アーシィが限界に達したため少しだけ休む事にした。ジェノアもディムルもロイと時波を背負って いたため,体力的にも辛いものがある。 悲劇はそこで起こった。休み始めて五分ほどして,そろそろ体力が戻ってきた頃,大きな足音をさせて一匹のキマイラが現れた。 三人が警戒して攻撃を開始しようとした時だった。 『ううおおおぉぉぉぉ〜』 と,三つの頭が同時に吠え始めた。最初は何がしたいのかよくわからなかったが,その理由をすぐに知る事になった。 そのキマイラを倒した後,間髪入れずにまたキマイラが現れたのだ。先ほどのキマイラの叫びを聞いた他のキマイラ達が一斉に現れたのだ。その数は3,40匹はあるだろう。 「どうするよ?」 ジェノアは誰に言うでもなく言った。 全員が同じ気持ちだろう。まだ体力はほとんど回復していないし,アーシィは魔力を使いすぎる訳にはいかない。 「ん〜,これは考えてなかったな。」 「逃げようにもこの数じゃあな・・・。」 ディムルは辺りを見まわした。前方から現れたキマイラ軍団は左右に展開し,こちらとの距離を縮めていた。 ●第344話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 6月14日(木)17時24分01秒 「…と思ったんだが……」  視線を近くへ戻し、アーウィルは肩をすくめた。 「また新手だ」  その視線の先。雑多な魔物がスクラムを組んでこちらへ進んでくる。  それを見て、リサもうんざりしたように肩をすくめる。 「面倒だね……」 「しょうがないな…。これは、本来別の目的のために仕掛けておいたんだが……」  言いつつアーウィルは拳銃を仕舞い、懐をごそごそとまさぐると、黒い箱を一つ取り出した。  ちょうど掌に収まるほどの平たい板のような箱だ。表面に、赤いボタンがいくつかついている。 「ま、背に腹は代えられないな」  言うなり、アーウィルの指がその赤いボタンの一つを押す。  同時。  魔物の集団の足元、強固な石畳に覆われた路面が容赦なく爆発した。  何の隔てもなく、全ての石畳が魔物を道連れに強烈な爆風と炎に砕かれ、空高く舞い上げられる。 「…………」  それを冷静に、しかし据わった目つきで観察し、リサはアーウィルへ向き直った。  そしていきなり胸倉を掴み上げる。 「さて……、どういうことだが白状してもらおうじゃないか。言っておくけど、隠し事するとロクなことにならないよ」 「とりあえず、法律に定められてる『緊急避難』が適用されると思うんだが、この場合」  アーウィルはけっこうな長身だが、リサも背はかなり高い方だ。腕を伸ばせば、 アーウィルを宙吊りにするぐらいわけはない。 「殺しても死なないようなあんたが言っても説得力が無いよ。それとも、どのくらいやったら死ぬか試してみるかい?」 「いや、遠慮しとく」  ひらひらと生身の左手を振り、アーウィルは辞退した。 「まあ、いつの間にやったのかは大体見当がつくけどね…。最近、あの二入から逃げる時に、 やたら地面に潜って逃げてただろう? おおかた、その時に爆薬か何かを仕掛けたんだろうさ」 「当たり。実を言うと、今の地雷原の他にも色々仕掛けてある」 「やっぱりね」  納得し、リサは手を離した。 「まあ、パティには黙っておく。さくら亭がいつの間にか要塞なみの場所になってたなんて知ったら、 卒倒しかねないからね。それにしても、ずいぶん用意が良いね」 「は?」  傭兵としての立場で納得したリサに、アーウィルが怪訝な顔をする。 「だから、こういう場合を予想して色々仕掛けておいたんだろう?」  リサも怪訝な顔をする。 「いや、単に自分は対あの二人用に仕掛けておいただけなんだが……」  あの二人とは、言うまでもなくアーウィルの天敵、トーヤとディアーナのことである。  それを理解した直後。  リサのアッパーがアーウィルの顎をぶち抜いた。情け容赦無く。  結局、リサから逃げるために、アーウィルは浮遊山まで地中を潜っていく羽目になった。 ●第345話 投稿者:タムタム  投稿日: 6月16日(土)16時43分32秒  前方、左右に展開したキマイラの数は約40。今の状態で正面から戦い、突破できるような相手ではない。時間も体力もない情況でははっきり言ってこれはきつい。 「…ん〜、あまり確実な方法じゃないけど、仕方ないね…」 「…まだ打つ手があったのか…」  眉をひそめながら、アーシィが黒っぽく丸い物体を取り出したのを見て、ディムルが呆れたように呟いた。本当なら嬉しいと言えるような気もするのだが、なぜか判らないがそんな呟きがでてしまったのだ。 (…あのコートの中はどうなっているのでしょうか)  どう見ても普通のコートである。しかし、なぜか色々出てくる。さらに、何が入っていようと外からはそれらしいふくらみも見えないのである。ロイがそんな事をぼんやりと考えていると、アーシィがそれを地面に鋭く叩きつけた。  すると、何の音も立てずに黒いもやが辺りを包み込んだ。煙玉の様な物だろうが、臭いも無く風にも流されない様だ。それはしばらくその場に留まっていたが、次第に空気に溶け拡散して行く。  黒いもやが消えた後、その場には誰も残っておらず、なぜか山頂へ向かって走る3人の姿が会った。それを見たキマイラの群れは速度の差はあるが、すぐに追いかけ始める。 「(行ったか?)」 「(ん〜、全部ではないけどね)」 「(ご苦労だったね、時波君)」  “その様子を見ながら”、ジェノア、アーシィ、ディムルがひそひそと話し合っていたりもする。  種明かしをすればなんて事は無い。煙玉で相手の視界を奪った後、近くの草むらに見を隠す。そこで時波が、魔法で三人が走っていく幻を作り出し、勘違いしたキマイラが追い駆けて行ったと言う事だ。  出遅れたのか、気が付かなかったのか、勘が良いのかは判らないが、4、5体のキマイラがまだ周りをうろついていたりもする。しかし、何処かに行ってくれそうに無い情況では隠れていても仕方ない。  なるべく気付かれないように移動をはじめ、いきなり飛び出し走り出す。気が付かれてしまうが、突然見通しのいい場所になってしまうので、こそこそするのが無理だと言うだけだ。  それに気付いたキマイラが追い駆けて来るが、構わずに走り続ける。いや、ディムルの背中にいるロイが赤や青い色をした玉をキマイラ目掛けて投げ付ける。それは当たると同時に炎や氷を撒き散らした。 「…アーシィさん、威力が低くありませんか?」 「ん〜、元々それ程強力な物じゃないからね」  確かにその威力は低かった。炎も火傷を負わすくらいだし、氷も表皮に張り付く程度。だが、足止めくらいの役には立っている。  もうすぐ下山できると言う所で、前方に人影が見えて来た。それは…コウだった。 ●第346話 投稿者:ファウスト  投稿日: 6月18日(月)22時55分07秒 コウの存在にアーシィが一番最初に気付く。 「コウ君!」 「コウ!」 「誰です?」 「誰ですか?」 「は、初めまして、コウ・ウイックで・・・」 その言葉をさえぎって、ジェノアが言う。 「お前、ちょうど良いとこに来たな!後ろの奴らは任せた!!」 ちなみに、時波とロイはコウと初対面。それはさておき、アーシィの声でディルム、時波、ロイ、ジェノアの順でコウの存在に気付く。で、コウを見てジェノアがキマイラを押し付けようと思ったわけだが。 「待ってください。とりあえず、この状況を説明してください」 当然、コウはわけがわからない。さっきここに来てうろうろしていたら、魔力を感じたのでこっちの方へ来てみた。そしたら、この連中と出くわした、というわけだった。来たとたん、こんな事言われても困る。 「説明は、後ろのキマイラを倒して、今から下山する俺たちに追いついたらしてやる。なるべく、急いだ方がいいぞ、でないと、タイムアップになるからな。それじゃ、アーシィ、ディルム、そいつらを持って、とっとと行くぞ!」 「よし、俺はジェノアに賛成だ!頑張れよ、コウ。じゃな!!」 と、言ってロイ片手に駆け出すディルム。真っ先に皆置いて走っていった。 「ん〜、でも、流石に一人はキツイだろう。私も残ろうかな・・・」 「魔法も使えない、銃も使えない、魔力もから、お前見たいなシ・・・」 その瞬間、ジェノアの挑発にアーシィはコートの中から、『月光双牙』を取り出して投げる。両耳を掠めてナイフは後ろの木に刺さる。 そして、次の瞬間、アーシィは近くにいた時波をつかんでぶん投げた。 「おっと、返すぜ!」 ジェノアも見事にキャッチ。そして、投げ返す。 「くっ。ジェノア・・・」 アーシィもちゃんとキャッチする。 「うう・・・人を投げないで・・・」 コウは見ていたが、ただ、呆れて、止めようとも思わないようだ。 「時波君を投げるなんて・・・ん〜、どっちにしろ、さっきと同じ目にあわせてやる」 誰も、突っ込まない。 「やれるもんならやってみろ。はーはっはっはっはっはっ・・・」 で、結局、ジェノアも走り出す。アーシィは『月光双牙』を木からコートの中に戻し、時波を抱えて追いかける。 その時、ジェノアがコウの方に目をやって、親指を立てるような仕草をした。その瞬間、コウは理解した。 多分、ジェノアと言う人は、アーシィさんが残ると僕が戦いにくいだろうと思って、自然にアーシィさんがいなくなるように仕向けてくれたんだろう。でも、他に方法はなかったんだろうか・・・? しかし、あの人に僕は会ったことあったけ・・・?忘れたのかも・・・。何だかまるで、僕の事を知っていたような・・・?さらに、エルフなのに時波・・・?どう考えても、これはライシアンの名前だろう。別にどうでもいいけど、後で聞いてみようかな。 そんな事を考えてから、コウは今やるべきことを思い出した。 「ま、とりあえず、こいつらを瞬殺しないとな・・・。時間もないみたいだし」 変な事で時間を食ったみたいだが、コウは何匹かのキマイラを相手に、無限流の構えをとる。キマイラもそれが何を意味するか分かったようだ。 少々遅くなったようだが、戦闘開始。 ●第347話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 6月20日(水)17時43分20秒  崩壊しつつある浮遊山のほぼ真下。その地面が不意に爆破されたように弾け、 人影が飛び出してきた。 「やれやれ。もうちょっとのんびりするつもりだったんだが……。とりあえず、適当にやるか」  言いつつ、地中を移動してきたアーウィルは背後を振り返る。 「で、そちらは何の用かな? カイル」 「ちょっとした好奇心だよ」  家ほどの大きさがある岩塊が降り注ぐ中、アーウィルの視線を受け止めた男……カイルは愉快そうに答えた。 「見物してるだけのつもりだったが、面白そうなので参加させてもらう。 それに……自分の弟子の事を心配するのは、師匠として当然だろう?」  そう言うカイルの頭上へ、轟音を立てて巨大な立方体状の岩が落下してきた。 一辺の長さは軽く十メートルはある。間近で見ると、ほとんど壁だ。 「………」  対するカイルは動揺した気配も見せず、巨大な岩塊へ向けてハエでも追うかのように軽く右手を振った。  直後。  岩は無数の細片に砕かれ、カイルの手が起こした微風に飛ばされたかのように、 進行方向をそらされて真横へ吹っ飛んでいった。 「だいぶ調子が良いようだな」  至極当然、といった顔でアーウィル。 「ああ。自分で調整したからな。この体にも慣れた。まだいくつか改良の余地はあるが、 ほぼ完璧だ」  アーウィルは頷き、 「では、そろそろ行くか……。君の弟子は大丈夫かね?」 「愚問だな。あいつはこの程度では死なん。死んでもらっては困る。他の連中もな……」 『さてと。そろそろこのゲームもおしまいね……。で、わたしたちの話、考えてくれたかしら?』 「受け入れなければ殺す、とでも言いたげだな。選択の余地は無い、ということか」 『あら失礼ね。この可憐な乙女に向かって』 「笑わせるな。どこが可憐だ」  盆栽用の土をこぼさないように注意しながら、ゼファーは宙を睨んだ。 『まあ、もっと考えてくれても良いんだけど。たっぷり時間をかけて、よく考えることね。 今回の目的は果たしたし、あとは後片付けだけね。…あ、そうそう』  不意に、声は何かを思い出したような、思わせぶりな調子で響いた。 『時波って子がいるんだけど、あとで会ってみると良いわよ。何しろ……今のところ、 <コードΩ>を倒したことがあるのは、あの子の前世のスシュカルだけだもの。 あの時は……たしか女の子だったかしら?』 「なに?」  視線を険しくし、ゼファーは再び虚空を睨む。 『力に頼っていては駄目だ、という良い見本だったわね、あれは。運の要素も大きかったけど。 そんなことがあったから、<コードΩ>はずいぶんあの子を気に入ってるみたいよ。 あとで挨拶に行くとか言って、珍しくはしゃいでたわね。向こうはそう思ってないみたいだけど』  まあ無理もないでしょうけど、と楽しげな口調でつけ加え、それきりその気配はゼファーの周囲から消えた。 ●第348話 投稿者:タムタム  投稿日: 6月22日(金)19時21分32秒 ―浮遊山― 「あいつらは何やってんだ…」 「…元気ですよね…」  ジェノアを追いかけるアーシィを見ながら、ディムルとロイが呟いた。時波はアーシィの背中で目を回していたりするが。  そしてしばらく…。  ようやく、と言うか、走り続けた結果、浮遊山唯一の出入り口に辿り着いたようだ。そのまま走り続け、とうとう下山する事に成功した。そうなると、もうやる事は決まっている。 「ん〜。さて、冗談はこのくらいにして、ディムル頼むよ」 「…どう言う冗談なんですか…」 「おれには本気に見えたんだが…」  上空に浮かぶ浮遊山を尻目に、アーシィがディムルへリュートを渡す。先ほどのアーシィの行動に疑問が残るものの、とりあえずリュートを受取り、軽く弦を弾いてみる。 ♪ポロロ〜ン……♪  なかなかに綺麗な音がした。何処からとも無く誰かが出てきそうな気がしたが、誰も出ては来なかった。そして、その音を聞き、ディムルは二つの事に気が付く。 (…この音には魔力が込められている…)  魔楽器と言うだけあって、その音色には魔力が宿っていた。と言うより、魔力そのものを音に変換しているのだろう。この変質した空間を元に戻すためにはかなりの魔力を広範囲に届けなくてはならない。  そう考えると、魔楽器の効果を打ち消せるのは魔楽器だけと言うのもうなずける。そして、もう一つ気付いた事、それは、 「アーシィ、お前、知っていたんじゃないのか?」 「何がだい?」  よく意味がわからず、アーシィは首をかしげる。それを見て、ディムルは魔楽器の事を話す。つまり、アーシィの使う魔法に同じ様な性質の物があるのを思い出したのだ。 「ん〜、多分偶然…ではないと思うね」  確かに、このような技術を使っていて、偶然は無いだろう。祖を同じくしている物なのかも知れない。だが、 「だからと言って、私の魔力では元に戻す事は出来ないからね」 「いや、疑問に思ったから聞いてみただけなんだ」  そう言い、ディムルはもう一度弦に手をかける。が、 「やるなら、早くした方が良いんじゃないか」  ジェノアの言葉に手が止まった。見ると、遠くから近付いてくる人影が見える。それを確認し、ディムルはすぐにリュートを弾き始めた。 「これで、当座の目的は果たしたわけだな」  突然背後から声をかけてきたのはいつも?の如く、アーウィルだった。いつの間に後ろに回ったのだろうか。いや、それ以前にいつの間に現れたのか。 「アーシィ、その子は自分が預かろう」  そう言いながら時波を摘み上げ、自分の腕に抱き抱える。アーシィも、何も疑問に思っていない。と言うより、その余裕すらないのだ。  魔楽器の旋律により、空間が硝子の様に砕け散りながら、元の世界に戻るのを視界に捕らえながらも、その男から、誰も目が離せなかった。  近付いてくるのが、カイル・ゼルレームだったのだから……。 ●第349話 投稿者:熱血王  投稿日: 6月22日(金)22時30分45秒 「やっぱり・・・誰にも見られずに・・・戦えるって・・・いいなあ!」 うようよと現れるキマイラ他いろいろな化け物相手に戦闘を続けるコウ。 本領を発揮する為にコウは手足に巻いた包帯をはずしてズボンに挟んでいる。この包帯は,生活に 必要の無い怪力をセーブできるように師が作ってくれた物で遠慮のいらない戦闘でははずすように している。 「あれ?なんか・・・山の頂上が低くなってる気が・・・」 コウはやっと状況を把握した。ジェノアが「タイムアップ」と言っていたのはこの事だったと。 浮遊山が崩壊している事に,今の今迄気付いていなかった。 「しっかし,このまま山から下りたら,こいつ等も少なからず街に出てくるだろうな。」 化け物の攻撃をたんたんと捌きながら独り言を続ける。 「あの・・・協力して戦いませんか?」 いきなりコウはその場に誰かいるように語りかける。 「気付いてたのか?」 「それはそうですよ。化け物の死骸に刃物で切断された物があれば気付きます。」 「そうか。わかり難く行動していたつもりだったんだがな・・・」 そして初めて男は姿を現した。そこには刀で化け物を切り刻むシュウがいた。 「あの,僕はコウって言うんですけど。名前,教えてもらえますか?」 「・・・シュウだ。」 言い放つシュウ,二人とも手を休めない。 「ええと,何かこの場を手っ取り早く片付ける方法とかあります?」 「特に無いな。」 「じゃあ提案。ちょっと時間を稼いでください,で合図したら大きく後ろに跳んで下さい。できればその後,僕を担いで山を下りて欲しいんですけど。」 「・・・わかった。」 「じゃあ,お願いします。」 言うと,コウは大きく後ろに跳んで叫ぶ。 「シルフィードフェザー!」 そして今度は右手に魔法を篭める。 「大気よ,この手に集いてその威を示せ!!シュウさん跳んで下さい!!」 それを合図にシュウは大きく後退しコウの後ろへ着地。 「・・・はあ!!」 コウは地面に正拳突きをする。するとそこからキマイラ等の軍団へ地割れが襲う。 「・・・壮絶だな。行くぞ。」 シュウは目の前の風景を見て一言感想を言う。化け物達は地割れに飲みこまれるか,その場を動けないでいる。 そしてシルフィードフェザーで軽くなったコウを掴み下山を開始した。 「一つ聞くが,手伝う必要はあったのか?」 「そりゃ・・・そうですよ。時間稼ぎが必要だし・・・包帯はずして魔法を篭めると・・・その後 今みたいに・・・体が極度の疲労に襲われるんです・・・。」 シュウに背負われて喋るコウは息が大分乱れている。 「できれば・・・今見た事は・・・あまり人に話さないでもらえますか?」 「・・・わかった。」 どちらにしろ《今》の自分は人前に出ないのでその心配は無いが,シュウは了解した。 ●第350話 投稿者:ファウスト  投稿日: 6月23日(土)15時15分19秒 何だか、目が回っていたせいではじめはよくわからなかった・・・。 だけど、僕の眼にその姿が見えた時、意識はすぐに元に戻り、その男に関する記憶が溢れ出て来た。 一人で、とある国を滅ぼした者。その数は不明。 眼に付いた物を片っ端から、消すことのできる者。 <戮皇>と言う武器を、使用する者。 下手な自然災害よりも、ずっと始末が悪い者。 その行動から、<城砦潰し><機甲裁断師><全方位殲滅師>の名で呼ばれる者。 <コードΩ>が本名であり<コードα>と、二つで一つだった、者。 他にも、エトセトラ、エトセトラ・・。 そして、最後に、僕の家族、恋人、友人、住んでいた国、全てを消し去った者・・・・。 あれ、なんだ、最後の記憶は・・・?初対面のはずだ。この男とは・・・。 だが、こいつに対する、今の感情は怒りが、最も強い・・・!!。 「アイシクル ・ スピア!!」 何かもう、腹が立ってしょうがないのでとりあえず魔法をかけてみる。 きかない。 僕が使える攻撃魔法でもっとも強いのに・・・。 「やれやれ、久しぶりに会った友人に対して、もう少し優しくしてくれてもいいんじゃないかい?」 他の連中はカイルのせいで、アーウィルと時波のことをほっといている。特に、ディルムは。皆、カイルのような有名人を誰も知らないわけがなかった。初対面の連中は何人かいるが。 話がそれたが、二人は・・・。 「それにしても、本当に久しぶりだなあ。もう、何年ぶりになるか・・・」 「・・・・・・・・・」 「よし、折角だから、二人きりで今までの事を聞かせてくれ。積もる話もあるだろう」 「!」 その瞬間、アーウィルたちは青い光に包まれた。他の連中で、カイル以外はその事に気を向けなかった。 二人は、誰もいない所に姿を現した。 「ここらでいいかな・・・確か、今の名前は空草 時波、だっけ?エルフにしては珍しい名前だ」 「・・・・両親はライシアンだったんでね。僕は養子だ、ちなみに双子の妹も」 何だか、こいつの事は好きになれそうもない。一体何なんだこいつは? 「さてと、君についても興味はあるが・・・それよりも、だ」 アーウィルがそう言った直後。時波の後ろの方で、大きな石が中に浮いた。アーウィルがやっているのではない。 「!?」 「?」 ちょっと驚くアーウィル。時波は気付いてない。 で、その石はふわふわとこっちにやってきて、時波の頭にヒット。 「グッ・・」 気絶、そして・・・。 「おっ?」 アーウィルは黒い空間に吸い込まれた。あっという間に跡形もなく消え去る。 そして、時波の体からトキハが現われる。ついでに、物質になっていたセネカも。 「トキハさん、簡単に終わったじゃないですか。どんな奴でも、ブラックホールに送ってやれば即死ですよ」 そう、石を動かしたのも、アーウィルを黒い空間に包んだのもセネカだった。 『この程度で死ぬような奴なら私がとっくにやってるよ』 その瞬間、青い光と共に空間が裂けてアーウィルが現われた。 「なっ・・・!?」 「手厚い歓迎だね・・・おおっ!スシュカルじゃないか!久し振りだなあ、元気にしてたかい?」 『チッ、やっぱり、あの程度では死なんか・・・・』 「いやー、懐かしいなあ。自分には、旧友なんて数えるほどしかいないし、ほとんどが変な奴だし、まともなのは君ぐらいだからなあ」 セネカを無視して、べらべら喋るアーウィル。 「ところで、私を倒したあの女の子の名前なんだっけ?忘れてしまってね。教えてくれないか」 『ふ・・・ん、後でまた聞かれるのは嫌だから、全員言ってやる。マーク、ラルテ、ヒュパテア、アグノ、シャルル、ハイヘンス、ルリア、ラエネク、コンラッド、ウィラーズ、レイフ、ゲールハルト、ヴェルナー、ニエプス、オーティル、ミレーヴァ、スシュカル、時波だ。 で、この中で、私と、お前を倒したルリア、ニエプス、ハイヘンス、ミレーヴァ、ラエネク、ゲールハルトだけがこんなふうに出てくる事が出来る。他にも、一応いるがな・・・』 「そうか、じゃ、ルリアに変わってくれ」 『ふん・・・・』 嫌そうだったが、スシュカルはルリアに変わった。