●第281話 投稿者:ブレードキング  投稿日: 4月16日(月)15時51分14秒          『不思議な箱の絶大な効果』 クロウは今、空に浮かんでいる。 と言ってもクロウにそんな力はない。 昨日の戦闘で、あまりにも強い怒りの感情の近くにいた為、肉体が部分的に魔属化しているのだ。 蝙蝠のような羽が生えている。 仕事はさぼり。 ローラは見つかったが、心配は無さそうだったので晴れて自由の身。 自由になっても大して変わりは無いが・・・ クロウの目の前には解析が終った三つの鉄板。 それと、小さな箱。 「・・・鉄板はとりあえず使い道はない、この箱は・・・使い方によっちゃもの凄いことになるよな・・・」 この箱は、開けると周囲の人間の感情や願いを具現化させる能力がある。 使い方によっては何でもできる。許容範囲はあるが、よほど無理なことでない限りは可能だ。 その時、ふいに強烈な横風が吹く。 「あ、しまった!!」 風に流されて・・・箱とクロウが別々のところに吹き飛ぶ 軽い素材でできている箱は既に見えなくなった 「のわああぁぁぁぁ・・・・」 情けない声が遠ざかっていく・・・ 箱は何処へ行ってしまったのか。 ・・・今日は凄まじい日になるだろう。 ●第282話 投稿者:熱血王  投稿日: 4月16日(月)22時58分41秒 「ふぁ〜・・・(ん,ここは?)」 見たことの無い場所に自分が寝ていた事に驚くが,気絶した前のことを思い出して 少し納得する。 しかし,いきなり病室のような所にいるのは都合がよすぎるとも考えたが。 (ガチャ) 「ん,もう起きたのか。ずいぶんひどいゲガをしていたのだがな。」 ドアを開けて入ってきたのは医者の格好をした若い男だった。 「はぁ・・・あ!。あのここは?」 「見ての通り病院だが。」 当然と言った感じの答えが帰ってくるが。 「いや,あのこの街のことです。」 「ああ,そうかここはエンフィールドという名の街だ。」 「そ,そうですか。やった。ついに来たんだ。」 今度は少年の期待に添える答えがでたようだ。 「喜んでる所悪いが,名前を教えてもらえるかな?診察記録を作らなきゃいけないんでな。」 「あ,はい。自分はコウ・クイックと言います。」 「うむ,私はトーヤ・クラウド。見ての通りここで医者をやっている。」 コウと名乗った少年は自己紹介が遅れたことを申し訳なさそうに言った。 コウは目の前の医者が何か書いてる間に周りを見まわして,あることに気付く。 「あの,自分の荷物が見当たらないんですけど。」 少し不安そうに聞く。 「そうか?おまえはこの街の住人に運ばれてきたんだが,そんな物は無かったぞ。」 「そうですか・・・困ったな。」 荷物を森の中に置きっぱなしになってるかもしれないと思っているようだ。 「しかし,自警団事務所から運んできたらしいからそこにあるんじゃないか?」 「本当ですか!?」 森に置き去りにしていないという希望が見え喜んでいる。 その最中に,トーヤが声をかける。 「そうだ,朝になったらディアーナという子にお礼を言っておいてくれ。おまえが起きる 少し前まではここでおまえを見ていたんだがな,寝そうだったんで今は自室で寝ている。」 コウはそんなこととは知らずに,ずっと寝ていた自分が恥ずかしくなった。(ケガのせいだが) 「そうですか,なんかいろんな人にお世話になったみたいですね。その人達に ちゃんとお礼を言わなくてはいけませんね・・・」 またもや申し訳なさそうに言った。 「うむ,いいことだな,しかし今はまだ寝ていろ。何本か肋骨にひびがはいっているからな。 安静にしているんだ。いいな」 (ガチャ) そう言い残しトーヤは部屋から出ていった。 トーヤの言葉に優しげなものを感じ,コウは素直にしたがうことにした。 ふと窓の外を見ると,何か小さな四角い物が飛んでいくのが見えた。 「?」 そして次の瞬間,窓のすぐ外に魔力を放ちながら人が落ちてきた。 ●第283話 投稿者:タムタム  投稿日: 4月19日(木)19時57分02秒  箱は風に流されながらも下降を始めている。そして風が止んだ時、落下を始めた。その下にいるのは…、 「ぽっかぽっかのたい〜よう〜♪。おさんぽのとちゅうきづいたの♪」  歌を歌いながら歩く、何だかご機嫌なメロディだった。何も持たず、一人で歩いている所を見ると、散歩の最中だろか?。  その足取りは軽く、弾むようにして歩いている。ちゃんと前を見ながら。もちろん、上には一切気を使っていない。 「あ!アレフちゃんだ〜」  道の横手から現れたアレフへメロディが声をかけた。その時、少し強めの横風が吹き、箱が流される。 「ん?」  声のした方を見ると、メロディがいた。こちらに向かって走って来ているが、アレフも普段のペースで近寄っていく。そして、地面にバナナの皮が落ちているのを発見し、 「あ、こんな所にバナナの皮が、って滑る訳無いよな」  そんな事を言いながら、ひょいと飛び越える。だが、前方には気を使っていなかった。風に流された箱が、見事なまでのタイミングでアレフの額にヒットする。 「かっこーん」  余裕なのか、わざわざ自分で効果音を付けながらも、額に当たった箱をキャッチする。そして、一歩後ろに下がり踏み止まろうとするが、そこにあったのは先ほど飛び越えたバナナの皮だ。 「あ、こんな所にさっき飛び越えたバナナの皮が。つっる〜ん」  とても楽しそうな声をあげながら、アレフは派手にすっ転ぶ。 「だいじょうぶですか〜?」  何と無く心配?そうに、こちらを見下ろすメロディを見上げながら、アレフは思った。なんで小ネタをしなくてはならないのか?と。 ―さくら亭― 「よっ、パティ」 「こんにちはっなの、っだー」 「あら、珍しいわね。由羅は一緒じゃないの?」  二人を出迎えたパティは何気ない質問をした。何と無く、由羅がいないから聞いてみただけだ。 「おねえちゃんはおうちでごろねをしてまーす」  メロディが元気よく答えた。そして、聞いてもいないのに、アレフが口を開いた。 「さっき、ジョートショップに行ったんだけどさ。アーシィ、ローレンシュタインまで行ったんだってよ。あいつも大変だよな」 「はあ!?。ずいぶん遠いわね。なんでまた?」  突然脈絡の無い話を始めたアレフに対する疑問より、その内容に対する疑問の方が大きかった。 「仕事だろ?。なんか配達するとか言ってたぞ」 「ふーん。そう。それで、何時帰ってくるのよ?」 「三日位だってよ」 「はやっ!」  本当、何しに行ったんだか。その前に、三日で往復する気なのか?。 「それよりこれ、何だと思う?」  そう言ってアレフが差し出したのはさっき飛んで来た箱だった。 ●第284話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 4月22日(日)10時38分09秒 「さあ…? こういうのは、アーシィとかが詳しいと思うけど……」  彼は現在、不在だが。 「そうだよな……。あ、そう言えばアーウィルは? あいつも、けっこう詳しくなかったか?」  ぽんと手を叩いたアレフにパティは、 「アーウィルも、昨日の夜からどっか行っちゃってて……。リサが、また何か企んでるんじゃないか、って」  ふむ、とアレフは首を傾げた。 「とりあえず、自警団にでも届け出るか……」  と、微かに階段を軋ませてフローネが食堂に降りてきた。 (そう言えば、フローネも詳しそうだな……。一応、魔法犯罪を扱ってるわけだし)  ふと思いついたアレフは、フローネに箱を指して見せた。 「フローネ、これ何だか知らないか?」 『実験開始、ね。とりあえず周囲の空間封鎖は終了したわ』 「仕様変更はうまくいったようだな」 『クロウが寝てる間に、いくらでも時間があったから。彼女以外では発動しないようにしておいたわ』 「しかし、あれがまだ残っているとはな……。壊し残しがあったようだ」 『良いじゃない。造り直す手間が省けたわ』 「変わった箱ですね……」  アレフの手に乗った箱をしげしげと見つめ、フローネは呟いた。  何気なく、手を伸ばしてそれの表面に触れた。それが引き金だった。  唐突に箱の表面に光が走り、蛇のようにのたうつと複雑な紋様を描く。 「っ…!」  驚いたフローネが手を離すより速く、その紋様の中心から閃光が迸ると彼女の全身を包み込んだ。 「うわわっ!?」  慌ててアレフが放り出そうとするが、空中に張り付いたように箱は宙に浮き、 一度放出した光を手繰り寄せるように吸い込んだ。  ほんの一瞬の間に、光は消え、箱は音を立てて床に落ちた。  そしてフローネの姿も、光とともに箱に吸い込まれたかのように消えていた。  あまりのことに、パティがその場にいる全員の気持ちを代弁する言葉を漏らす。 「……え?」 『解析に三十分。発現に三十分。効果が現れるのはだいたい一時間後ぐらいからね』 「流石に早いな。フローネ専用に仕様変更しておいたかいがあったか」 『さて、こちらも解析を開始するわよ。フローネも、楽しんでくれると良いんだけど』 「夢を見ているような状態だからな……。本人には特に害はない。むしろ、災難なのは周囲だな」 ●第285話 投稿者:HAMSTAR  投稿日: 4月22日(日)15時11分19秒 「平和だ・・・」  そんなことを呟きながらケインは日向ぼっこを楽しんでいた。場所はセントウィンザー教会の屋根。  「ここ最近やたらと騒動に巻き込まれてたからなぁ。平穏がこんなにいいものだとは思ってなかった・・・」  と、言いつつも意識は先ほどから疑問を投げかけてくる。 (カイル・ゼルレーム・・・か。また妙なやつが出てきたみたいだな)  ケインも以前は旅をしていた。その中で多少の噂に聞いたことがあった。特SSS級の危険人物指定をされた魔法使いの噂は。 (結局のところ、“強い魔法使い”なんてのは両極に分かれるわけだな・・・人のために力を振るう者と、己の気の向くままに力を使う者と)  カイルは、間違いなく後者だと言える。やつの放つ狂気の波動は、そのことを如実に伝えている。もっとも、“狂気の波動”といったところで結局は『勘』なのだが。 (よくよく考えてみれば、この町は本当に騒動を引き寄せている町だな。俺が知っているだけでどれだけの事件が起きた?)  指折り数えてみるが、ほんの半年の間に起きるにしては数が多すぎる。ついでに言えば、その事件の危険性も。 「なんつーか、新参者が来るたびに事件の規模が拡大してないか、おい?」  自分もその『新参者』の一人なのだが、この際放っておくことにして。もっとも、事件の発生は恐らく必然だったろう。自分たちがこの町に来たのは偶然だが。いや― 「言い切れるか?全てが偶然だったと・・・」  呟いて空を見上げる。白い雲が渦を巻いて流れていく―  ズン・・・  どこかで魔法が炸裂した。ばっと上体を起こして身構える。が、 「あっれ〜?なんで失敗しちゃったんだろう?今度こそ上手くいくと思ったのにぃ〜」 「『今度こそ』って・・・あんたこれで何回目だい?町中での魔法の暴発」 「ぶ〜、うるさいわね、馬鹿エル!」 「なんだって〜!こんの年中暴発娘!」  教会から見下ろせる路地で言い合っているのは、マリアとエルだ。どうやらマリアが魔法をまた失敗させたらしいが。 「そーいやマリアも“強い魔法使い”を目指しているんだったな・・・」  ケインがぼやく。マリアが俗に『大魔法使い』と呼ばれるほどの力を手に入れたとして、彼女はその力をいかに振るうか。人のために?それとも自分のために? 「万が一マリアがカイルみたいな道に走ったら・・・俺が止めるか。まああいつは意外と聡いから自分の力を人のために―」 「今度こそ!ルーン・・・バレットォ!」  キュズドーン! 「だから止めろっての!」  再び始まる口喧嘩。それを見やりながらケインは絶望的に悟った。  マリアも、自分の楽しみ最優先にするタイプなんじゃなかろーか、と。 ●第286話 投稿者:タムタム  投稿日: 4月22日(日)19時11分18秒 「フローネちゃんがきえちゃったよ〜?」 「うわー!なにこれ?もしかして俺のせい!?」  状況をあまり理解していないのか、ただ不思議そーに首を傾げたメロディとは対照的に、アレフは頭を抱えながら、思いっきり取り乱していた。 「うるっさいわねー!。ちょっとは落ち着いたらどうなのよ!」  そう言うパティも落ち着いてはいなかった。こういう状況で冷静に対処しろと言う方が無理である。…一部の人間を除いてだが…。 「落ち着いて、落ち着いて考えよう…。ルシードは?」 「出かけたわ!」 「ゼファーちゃんは?」 「そっちも出かけてるわ!」  アレフは混乱する頭で考えた。他に頼れる人間は…。 「魔法に詳しいやつ…アーシィ!」 「あんたがいないって言ったんでしょうが!」 「パティちゃん、わがままいっちゃだめだよ〜」 「…わがままで言ってる訳じゃないって…」  メロディのその一言でパティは脱力してしまった。思わずカウンターにしなだれかかる。 「ん〜じゃ、クリスでどうだ!もってけ泥棒!」 「誰が泥棒よ!」  『ぼぐっ』っと、何だか面白い音を立てて、パティの拳がアレフにめり込んだ。グーで殴っているのである。何だか痛そうだ。馬鹿な事を言ったアレフが悪いのだが…。 「相変わらず騒々しいね。何かあったのかい?」  そう言いながら、二階から降りてきたのはリサだ。ここまで騒々しくされたら気になって仕方ない。 「いい?リサ。落ち着いて聞いてね」  そう言うと、パティは神妙な面持ちで説明を始めた。 「確かにそれは厄介だね。で、適任者がここにはいないと」  箱を片手で弄びながらリサは言う。箱を開け様としたが、開ける事は出来なかった。いっそのことナイフで切ってやろうかと思ったが、中に居るフローネに危害が及ぶ可能性もある。それは自重した。 「ん?。今日はディムルの姿が見えないね」  何気なく辺りを見回して、椅子にぽつんと座っているディムルと目が合った。なんてことはありえ無い。 「もうすぐしたら来るんじゃない?」  時間的に考えて、いつもディムルがやって来るのはもう少ししてからである。もしかしたら、何かわかるかもしれない。 「…ああ、フローネ。俺がこんな箱を見せたばかりにこんな目に遭ってしまうなんて…。 この罪滅ぼしに今度デートしよう…」  相変わらず、本気なのか冗談なのかよく判らないことを口走るアレフを見ながら、パティは思った。ディムルには出来るだけ早く来て欲しいと。 「…ディムル、早く来ないと自給下げるわよ…」  パティはポツリと呟いてみた。 ●第287話 投稿者:美住 湖南  投稿日: 4月22日(日)21時45分01秒 「はー。平和だーー。この平和が続くといいんだが」  空は碧く、快晴。小鳥が鳴いている。どこかで爆発音が小さく聞こえるのが気にくわない。ディムルは思いっきりのびをする。  パティが「時給下げる」発言をした瞬間・・・。 「!!!、っなんなんだ!?この悪寒は・・・風邪引いたか?」  しかし、咳、くしゃみといった類の症状は出てきてはいない。 「早く行った方が良さそうだな・・・」  呟くと駆け足でさくら亭に向かいはじめた。 「・・・どうしたんだ?この重苦しい雰囲気は」 「やっと来たか。ほら」  箱を差し出すリサ。訳が分からず受け取るディムル。 「なんだこれ?」  その箱は見た目はただの箱。上から見ても、下から見ても。形はほぼ立方体。 「・・・あんたの結論は?」  言ったのはパティだ。 「・・・ビミョーに・・・魔力を感じる。でもそれほど強いものじゃないし・・・開けてみていいか?」 「いいよ。でも空かないと思うよ」 「ま。ものは試しだ」  リサがやっても空かなかったのだから、もちろん軽い力じゃ空かない。今度は全力で力を入れる。・・・空かない。 「ディムルちゃんのちからでもあかないの〜」  全然全く、ひしゃげてない。 「・・・・・・・・・。おれが来る前にいったい何がどうなったんだ?きっちり説明しろ」  ぐるりと見回すと、一番まともに、説明してくれそうな人物を選んだ。 「リサ、頼む」  別にパティじゃだめなわけではなかったのだが・・・。 「・・・また厄介事かよ」  げんなりした表情を隠そうともせず表す。不謹慎かもしれないが、ディムルは休ませてくれと言いたい。 「ルシードとゼファーとかってやつはいないんだろ?アーシィ不在。アーウィルも行方不明。それ以外に役に立ちそうなのは・・・」  ここまで言うだけでも人がいないことが悲しくなってくる。 「ケインはどうだい?」 「そーだな。どうだ、みんな」  満場一致で呼ばれることとなったケイン。 ●第288話 投稿者:紅の狸  投稿日: 4月23日(月)01時15分50秒 『・・・いい・・風・・・』 「ああ・・そうだな」 ここは陽のあたる丘公園、ジェノアは公園の木を背に座り心地良い風を受けていた。 エンフィールドに来た時は悪魔の大量発生の真っ最中、それが収まったと思ったら間髪入れず人造魔獣の事件、魔属と闘うのがレイブンの役目だが今まで旅してここまで続けて厄介事が起きる町は初めてだった。その為こういう時間は久々でそれなりに満喫していた。 「・・・フン、よく調べてやがる」 今、ジェノアは一冊の手帳を眺めている。それはこの前した依頼の結果報告だ。 頼んだのはこの町で活動している組織があるかどうかだが、それと一緒にこの街に居る異常な能力を持った者のことも調べてあった。 「二重人格の超能力者に、タナトス魔法の使い手か・・・他にまだいるみてェだな・・・」 「それに・・・やっぱり在りやがったか・・・」 結果報告は十分満足のいくモノだった。 「また・・忙しくなるか」 魔属に関係するモノはレイブンとして放っては置けない・・・たとえ自分には荷が重くても。 「その前に・・・一眠りする・・か・・・」 心地良い風と心地良い日の光で眠気も増しそのまま眠りに入ろうと考えた時 『・・・ジェノア・・・』 突然、イリスが呼びかけてきた、理由は大体判っている。 「ああ、微かに妙な魔力を感じた・・・」 いままでいろんな魔力を感じたが今のは感じたことの無い魔力だった、しかも何故かどこから感じるのかよく解らない。 「・・・どうやら騒ぎの無い日はないみてェだな・・・」 『・・・そう・・みたい・・・』 やれやれといった感じで立ち上がると、魔力を感じた場所をさがして陽のあたる丘公園を後にした。 ●第289話 投稿者:ファウスト  投稿日: 4月23日(月)07時14分21秒 「やっと、着いた」 と、エンフィールドに到着したばかりの少年が、呟いた。 「とりあえず、宿屋に行かないと・・」 ―その頃さくら亭― 「よし、それじゃ、俺がケイン探してくるぜ」 「アレフ一人じゃ、逃げるかもしんないからディムルかメロディも一緒に連れてきな」 と、リサ。 「あのな・・・」 「そのままナンパに行きそうだしね」 パティが笑って言う。 「メロディ、アレフと一緒にケインを探してきてくれ。アレフが逃げそうになったら、大声で叫んでくれ。その声はそのまま俺に伝わるから」 「わっかりましたぁ」 「わかったよ・・・メロディと一緒に行けばいいんだろ・・」 そして、アレフとメロディはカウベル鳴らしてさくら亭から出て行った。 ―その頃クラウド医院― 「おわぁ!!」 コウは驚いてベットから落ちそうになった。人が空から落ちてきたら、誰だって驚く。 「・・く・・しまった・・箱を落としてしまった・・」 と、呟くクロウ。 「大丈夫ですか!!」 「あんまり大丈夫じゃねえ・・」 「今、ドクター呼んできます!!」 コウはドクターと叫びながら、病室を出た。 ―その頃のさくら亭― アレフとメロディが、ケインを探しに行って少し経つ。 そして、カウベルを鳴らしながら人が入ってきた。 「ケイン?」 「ケインかい?」 「いや違う、客だ」 入ってきたのは、小さい少年だった。パティとリサが叫んだので少々驚いている。 「・・・・」 「あっ、ゴメン。いらっしゃい」 落ち着きを取り戻した少年が言う。 「ここ、宿屋だよね・・?」 「そうよ」 「泊まりたいんだけど・・部屋空いていますか・・?」 「空いてるわよ。泊まるのね、じゃ、ここに名前を」 「あ、はい」 少年は宿帳に名前を書き込んだ。 「空草 時波、これでいいですか?」 「ええ、ところで名前、なんて読むの?」 「カラクサ トキハといいます」 「ふーん、男の子だよね。」 「ハイ、そうですが・・・」 「そ、そうよね、じゃ、これ部屋の鍵」 パティは、時波に部屋の鍵を渡した。 「どうも・・・アレ、あの箱・・」 「ん?どうかした?」 「いえっ、それじゃ」 時波が、部屋に行こうとしたとき、 「ここかっ」 バンと扉を開けて、ジェノアが入ってきた。後ろに、アレフとメロディとケインもいた。 ●第290話 投稿者:ashukus  投稿日: 4月23日(月)08時32分17秒 何だかさくら亭にたくさんの人が集まったようだが・・・・ 「何だか騒々しくなったね・・・・」 「同感だ」 リサが椅子に座って呟いた。その声が聞こえたようでディムルが返す。続いてジェノア 「魔力の主はこれか・・・・」 「ふみぃ、ケインちゃんこれだよ、フローネちゃんがきえちゃったのぉ」 「見た目はただの箱だな」 ケインがそう言って箱を調べようと箱に近づいていく。と、その時だった。 辺りが一瞬だが激しい光に包まれた。そして・・・・・ 「なんだこれは?」 光が引いて呟くアレフ。そこには唐突に紫の身体、両手には牙のような手がついている一見すると魔物がいた。っていうか魔物だ。 と、その魔物を前にしてケインが冷静に口を開く。 「こいつはグリフレンツか・・・ニコラス・ピースクラフト作『恐怖の闇鍋パーティー』に登場する魔物だな」 「闇鍋?」 思わずパティが呟いた。 「そうだ。『恐怖の闇鍋パーティー』とはこの魔物グリフレンツが一心不乱に闇鍋を突つく『だけ』という凄まじい内容のホラー小説なわけだ」 「どこがホラーなのよ・・・」 「分からん、その部分に引かれたのかこのピースクラフトとやらには一部に熱狂的なファンがいるらしいが。フローネもその一人らしい」 「ってことは、これはどういう事なんだい?」 リサはグリフレンツを睨みながら言う。 「多分、フローネの記憶から引っ張り出したか、夢を見てるか、願望か何かか、だろうなぁ」 かなり投げやりなケインだが・・・・その瞬間、再び辺りが光に包まれた。 「またか・・・・」 誰が呟いたかは分からないが、光が引くとそこには・・・・ 「ふみぃ、おなべなのぉ!!」 メロディが嬉々として言う。そこには炎も無いのにグツグツと沸騰したイカスミたっぷりの真っ黒な鍋がポツンと置かれていた。 「・・・・・・」 一同思わず沈黙、しかしそんな一同を他所にグリフレンツはゆっくりと鍋に近づいていき・・・・・・・・突つく、文字通り突つく。 「うみゃあ、メロディもたべるのぉ!!」 「止めなメロディ・・・」 闇鍋に便乗しようとするメロディをリサが止めた。その間もグリフレンツは一心不乱に闇鍋を突ついていた。