●第221話 投稿者:ブレードキング  投稿日: 2月21日(水)16時56分54秒 「・・・マジぃな。」 巨大なハンマーを持っている、クロウ。 その後ろと前には、二体の上級悪魔がいる。 「ふん、諦めたらどうだ?人間。」 「・・・我々も忙しい身でな。」 二体の悪魔の台詞に対し、 「・・・残念、『移動術』」 クロウの姿が消える。 「なにっ!?」 「・・・案ずるな、む!ちぇい!!」 ガキィン!! 悪魔の掛け声と共に、クロウの姿が飛び出し、悪魔の剣とクロウの刀がぶつかる。 「・・・どうやって見切った?」 クロウの声がまた、冷たさを放つ。 「・・・わずかな空間の乱れを見つけるなど、造作もないこと・・・」 クロウの移動術は空間を操り、瞬間移動のような作用を起こす。 「うらぁ!!」 もう一人の上級悪魔が斬りかかって来る。 「くっ。」 クロウはバックステップでそののの攻撃を避ける。 「どうだぁ!!俺達のコンビネーションは!!」 (この悪魔共、上級悪魔なだけでも厄介なのに、コンビネーションまで最高か・・・) 「・・・中々、だが、俺にはまだ秘策がある!!」 そう言って、クロウは刀を前に差し、精神統一を始める。 「・・・何をやらかす気か知らんが、先手を打つ!!」 そう言い、悪魔がクロウへ、向かい、クロウを切り捨てようとする。 しかし、悪魔の剣が何かに当たり、灰と化す。 「おいおい、結界ぃ〜?」 「・・・これでは、先手を打つ事は不可能か。我等は待つのみ・・・」 悪魔達は悟った、待つだけは、己の死を意味する事に・・・。 「・・・『変化術』 ウィップアーウィル」 そう唱え、姿がアーウィルへと変わる。 「第四起動!!」 アーウィルの技を放つ。 青い光が無くなった後には、悪魔は姿形すらなくなっていた。 そして、元に戻ったクロウは・・・ 「やっぱ、この術は無理だな・・・」 元に戻ったクロウはローブはズタボロになり、体中から、血を流しているクロウだった。 「・・・ちっ」 それを最後にクロウは倒れる。 ●第222話 投稿者:YS  投稿日: 2月22日(木)01時38分31秒 「・・これでいいですか?」  ロイはシュウの手当を魔法を使わずに行った。はっきりいってこの方が早い。止血と血抜き程度の治療だが、少なくとも戦闘を行うのに支障はないはずだ。・・戦闘後どうなるかは別だが・・。 「・・さて、結界ですが・・」  ロイは結界の維持装置を見た。複雑ではあるが・・。 「・・はっきりいってこれは意味ありませんね・・」  ロイはその装置を確認して言った。  今の装置は悪魔を寄せつけないだけのもの、攻撃能力などはない。 「・・まあ、これをポチが張るのは確かに無理ですね・・」  そういうと、ロイは装置を組み替えはじめた。  数分後。 「・・思ったより組み替えやすいですね、今度作り方を聞かなくては・・」  そういうと、ロイは装置からはなれていたポチを呼ぶ。  そして、ポチに何か命令すると空間が歪み、そこから大量の宝石や貴金属、マジックアイテムが出てきた。  ちなみにこれはケインのものである。もちろん無断で出している。 「・・ポチ、これぜ〜んぶ”餌”・・」  ロイのいう餌とはポチの原動力ともいえる魔力を持った物のことである。ケインの親父さんーーヴァンパイアーーの魔力で暇潰しとはいえ、作られたそれらのアイテムは普通の物より魔力は多く含まれている。しかも、かなりの量がある。本人の魔力の以上の力は発揮されるだろう。  これらをすべてポチが自分の魔力として”一時的”に取り込めば多少強い魔族でも、簡単に葬ることができるだろう。  その攻撃を今ある結界の範囲に対魔族攻撃に限定して、ロイは行うつもりなのだ。一時的に大量の魔力で攻撃されれば、中級であればおそらく即死、上級であっても耐えられる者はいないだろう。 「・・さて、ポチはそこで出力最大で魔力を放出してください・・」  (・・まあ、ケインさんが耐えられるかわかりませんが・・) 「ロイ・・いや、無駄か・・」  またも、シュウが口をはさむが、諦めたようだ。もともとシュウには関係ない話だ。  それにケインは”一応”封印されている、ほかの魔族に比べると影響は少ないはずだ。 「・・というわけで、ポチ骨は拾ってあげますからね・・」  とんでもないことを言う。ロイにしてみれば、長時間は持たないことから、壊れたらあとで修理するということだろうが・・。  そして、攻撃型結界は起動した。 ●第223話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 2月22日(木)17時39分22秒 「思ったよりは簡単にいったな」  視界を埋め尽くす光が消えたことを確認し、アーウィルは即座に結界を張り直した。 「大丈夫でしょうか? あんな光に包まれたら……」 「そのへんは心配ない。たぶん、街に居る連中にはあの光は見えなかっただろうから」  心配そうなシェリルをアーウィルは安心させ、 (しかし、本当に予想以上に簡単にいったな。ローラが居たとは言え、とんでもない資質だ)  シェリルの力に驚きつつ、視線を周囲に転じる。  結界の周りは、下級の悪魔で埋め尽くされている。中に入ってこられないとは解っていても、 まともな神経の持ち主には少々きつい状況だろう。 (状況の経過を報告してくれ) 『了解。ロイは街の中の悪魔を一掃するつもりみたいね。それから、シュウは生きてるわよ。 ティセは保護したし、ブルーフェザーのデータも採れたわね。それほど目立った損害もないわ』 (つまり、問題無し、だろう?) 『まあそうね。ああ、それから、街の外に『レイブン』が来てるわ。年齢から見て、先代の後継者みたいね』 (ふむ。今日はエンフィールドの人口が増える日らしいな) 『そうね。で、あなたはこれからどうするの?』 (とりあえず、『整調化』は成功した。あとは、残っている悪魔を掃討するだけだな……。 街の中は、自分がでしゃばる必要はない。シェリルたちを無事に送ることにする) 『そう。じゃあ、わたしももう一仕事してくるわ』  血塗れで倒れているクロウの体が、突然摘み上げられるように宙に浮き、ふいに消えた。 『無茶なことするわねー。並の人間だったら死んでるわよ』 『同感だ』 『あらそう。とりあえず、治して上げるついでにサービスもしちゃおうかしら?』 『どんな?』  意識を失ったクロウに代わって問うアグレッサーの声に対して少し考える気配があり、 『耳だけじゃ中途半端だから、尻尾も生やしてあげる。きっと似合うわよ』 『……見てみたい気もするが、断る』 『猫耳猫尻尾の方が良かった?』 『………』 『心配しなくても良いわよ。偽物じゃなくて、本物の耳と尻尾だから』  そういう問題ではない。  しかし声はかまわず話題を変えた。 『それにしても、<戮皇>を使用して生き残った人間って、はじめて見るわ』 『ただの変化術ではないからな』 『そうでしょうね。普通に使ったら、精神を貪り喰われて自滅するのよ。例外無く』 『何故解る?』 『実験したから。元々は人間用の兵器だったんだけど、試作品を装着した人間はみんな一気に第六起動以上まで<戮皇>を暴走させて、 その余波で自身も跡形も無く消し飛んだのよ。街が六つ消えたあたりで、人間が使用する案はボツになったわ』 『その話は人間だったときに聞いたな。おまえたちの主……つくづくとんでもない男だ』 『自分自身に素直なだけよ、あの方は。それに、あの方はもう人間であることをやめているわ』 『……あの話、やはり本当だったか。おまえ達は、ただ過去の亡霊に従っているわけではないんだな』 『だったらどうする?』 『別に……どうもしない。“あの男”がまだ生きていて、しかもこの世界を手中に収めようとしているなど…… 誰が信じる?』 『誰も信じないわね。それこそが、わたし達の最大の強み。それに、全てが完了するのは三百年後の予定よ。 まあ、「世界征服」はあくまで手段であって、目的ではないのよ。別に独裁者ごっこをして遊ぶような趣味は、 あの方には無いわ』 ●第224話 投稿者:タムタム  投稿日: 2月26日(月)05時42分55秒 ―ロイ(ポチ)の攻撃型結界が起動する少し前― 『カーマイン・スプレッド!』  ディムルの槍が悪魔の脇腹を貫き、一瞬の隙が出来た。そしてアーシィが、悪魔に吊るし上げられていた状態から、悪魔の頭を鷲づかみにして魔法を放つ。  至近距離で放たれた魔法は超爆発となり、思わず手を離してしまった悪魔共々アーシィを弾き飛ばした。 「どうする…逃げるか?」 「賛成。したいとこだけど、それは無理だよ…」  悪魔を睨み付けながら、ディムルとアーシィは言う。二人がかりで戦ってもまだ向うの方が上だ。軽口の一つも叩きたい所だが、肉体的にも、精神的にもすでにきつい。  アーシィの背中にある翼は残り二枚。残された魔力はそれだけだし、神聖魔法がアーシィに効果を及ぼさない為、何時倒れてもおかしくない状態だ。  ディムルも自分自身を回復しながら戦っている為、疲労困憊。アーシィよりはまだマシ、な状態である。にもかかわらず、二人の目はまだ死んでない。 「良いぞ、この感覚。…後ろの女は戦わないのか?」  焼け爛れた顔を抑えながら、フローネを見る。その顔には“更なる戦いを楽しみたい”と言う笑みが浮んでいた。 「生憎だが、女性は守らなくてはならないんでね」 「それに、お前の相手はおれ達だけで十分だろう?」  二人はずたぼろの身体でフローネの前に立つ。実はフローネは戦っていない訳ではない。補助魔法を悪魔に気付かれない様に掛け続けているのだ。第一、フローネを前衛に出す様な真似はしたくない。  大鎌を構えながら、一歩一歩、近付いて来る悪魔へ、アーシィは銃をディムルは槍を向けて身構える。例え勝ち目が薄くともここで逃げる訳には行かないし、かといって“例え死んでも倒す”という気持ちも更々無い。辺りに緊張感が高まり… 「!!!」  アーシィの背中に冷たいものが走るのと、ディムルの耳が危険を捉えたのはほぼ同時。二人はありったけの魔力で障壁を張り始めた。だが、完成するよりも早く…光が、降り注いだ…。 ―ジュオッ―っと言う奇妙な音を残し、目の前に居た悪魔は消滅した。が、それだけでは終わらない。敵を打ち消し、行き場を失った魔力の余波が、未完成の障壁を容赦なく叩き続ける。綻んだ障壁の隙間から漏れる力が二人を襲い…次の瞬間!  〜♪。どこか遠くから、歌声が聞こえて来た。聖なる力に満ち溢れた天使の歌声。それは彼らに遅い来る魔力を打ち消し始める。 「…おい、見てみろよ」 「…?結界が、変化していく…?」  ディムルに言われ、天を仰いだアーシィが見たものはその姿を変え始めた魔方陣だった。アーシィたちが張った結界よりも強力な魔力で張られたそれは悪魔達に対する絶対的な防御機構となるだろう。  これで、この街がこれ以上の戦闘行為にさらされる事も無い。後は街の外に残っている悪魔を“駆逐”するだけで良い。が、しかし、 「…これ以上の戦闘は自殺行為だよ…」 「…同感。おれもいい加減休みてぇ…」  悪魔が消えた事で緊張が解けたのか、力を使い果たしてしまっていた二人はその場に崩れ落ち、そのまま意識を失ってしまった。 「お疲れ様でした」  倒れた二人にフローネは優しく声を掛けると、人を呼びに教会の中に入って行った。そして、二人は教会の中に運び込まれ、手当てを受ける事になる。 ●第225話 投稿者:紅の狸  投稿日: 2月27日(火)04時41分08秒 ロイの強化型結界が張られ、町中の悪魔が消え後は、町の外の悪魔のみとなった。そして外では・・・・。 ザシュ!!「ガァ!」「ギャ−−!!」 外では、ジェノアが下級悪魔を相手に闘っていた。 町の中に入ろうと、入る場所を探していたとき結界が更に強化され、町の中の悪魔の気配が消え「どうなってんだ?」と、考えていた時に外の下級悪魔がこちらに群がってきたのだった。 「ハァ、ハァたく、きりがねェ!・・・今、一体何匹目なんだ?」 『・・・137匹目・・・』 「チィ!まだ、それだけか」 ジェノアは、魔力はあるものの魔法は使えないため全体を攻撃する方法がない。その為とにかく斬りまくっていたが、数が多くそれにも限界があった。 「仕方ねえ、少し本気出すか」 そう言うとジェノアは、王太刀の柄を開けた。 「おォォォ!!」 柄の中の魔石がジェノアの魔力を吸収し始めた。そして、王太刀の刀身が炎に包まれ赤熱化していった。 「くらえ!!」 高速で横薙ぎの斬撃を放つと、斬撃の形をした炎が飛び十数体の悪魔を一瞬で灼き尽くした。 「イリス!力を貸せ!」 『・・・判った・・・ヴォ−テックス・・・』 イリスが魔法を放つと、突風が巻き起こり悪魔を吹き飛ばした。 「(これで少しは、マシになったがどうする、このままじゃどちらにしろジリ貧だ。いくら下級でも数が多すぎるこれじゃ俺もイリスも魔力がもたねぇ。どうする・・・)」 どうするか、闘いながら考えていたが、なかなか良い方法が思いつかない。 「オォォォ!」 連続で斬撃を繰り出し、いくつもの斬撃の炎が悪魔を灼いていく。しかし悪魔の数が多くほとんど焼け石に水のようだ。 『・・・ヴァ二シング・ノヴァ・・・』 イリスも、更に強力な魔法を放った。悪魔は爆発と衝撃波で吹き飛んだが、それでもなかなか数が減らない。 「チィィ!(こうなったら、マジで本気を出すしかないか・・)」 「死ね−−!」 「!!」 ザシュ! 「クッ!!」 不意を付かれ右腕を鎌で切り裂かれた。 「テメェ−!!」 ズバァ−! 頭にきたのか一太刀で、切り付けてきた悪魔を消し飛ばした。 「ハァ、ハァ考えてる暇はねえな・・・」 そう言うと、ジェノアは頭のバンダナを取った。そして悪魔の方に向き直ったときジェノアの顔に変化があった。 「な、なに!」「ば、ばかな!」 悪魔達は、気がついたようだジェノアの頭に二本の角があることに。 「鬼だと、馬鹿な!!」 「知らなかったのか・・・レイブンとは代々鬼族がつとめていることを・・・」 言い終わると、先ほどとは比べ物にならないスピードで悪魔を斬り倒していった。 「クッ、くらえ−!!」 悪魔は、ジェノアに向けて魔法を放ち直撃した。 「どうだ・・・!そんな馬鹿な!!」 驚いた悪魔の先にはジェノアが無傷で立っていた。 「あいにく、この状態のときには下級、中級クラスに対してほぼ完璧な魔法防御状態になる」 「なッ!」 「あまり時間が無いからな、さっさと済まさせてもらうぜ・・・」 強がっては、いるものの長くこの状態でいられる訳ではなくいまだ決め手も無いままだった。 ●第226話 投稿者:YS  投稿日: 3月 2日(金)05時02分56秒  教会の中では怪我人の治療が行われていた。 「・・えーと、街の方はどうなったんでしょうか・・」  ロイはアーシィの応急処置を済ませると通信球をのぞき、街の様子を伺う。ロイの見た限りでは悪魔は街の中には残っていないようだ。 「・・ケインさんもいませんね・・」  気になっていたケインを探すが、街の中にその姿はない。  いくらなんでもあれだけの力の持ち主が簡単に死ぬわけがない。そう判断して、ロイは探査範囲を広げてみた。 「・・困りましたね・・」  何とか見つかった。どうやら何の影響も受けていないらしい。発動直前に街から出ていたのかも知れない。  しかし、どうやら近くに上級魔族もいるようだ。今も戦闘状態は続いているように見える。ほかには上級魔族は見あたらない。どうやら作戦そのものは成功らしい。  アーウィル達はこちらに向かってきているが、シェリルやローラを守るため、雑魚の相手をしている。援護に向かうのは無理だろう。  現在ポチは力を使いすぎたのか、それとも強制的に結界を張ったためかまったく動かない。完全に使い物にならなくなったわけではなさそうなのが、せめてもの救いだ。結界もかろうじて下級魔族が入れない状態なので街の心配もない。とはいえ、持続時間はもって30分ほどだろうが・・。  結果として、今すぐケインの援護に向かえるのはシュウやアーシィ、ディムルだろう。 (・・さて、この状況どうしましょうかね・・)  結界を張るためとはいえ、ケインの持ち物を勝手に使ってしまったのは事実だ。だからといって、怪我人を向かわせるのも無茶だ。  ロイは自分自身が混乱するほど思考を繰り返し・・。  この時、ロイの心を読んでいたシュウは頭痛さえ覚えた。 「・・行きますか・・」  ロイは一人で教会を出た。  そして、あっさりと道に迷った。 「・・ケインさん何か助けようとしなきゃよかった・・」  しかも、ご丁寧に下級魔族にであっていた。 「うまそうなガキだな」  ロイは生まれて始めて、うまそうといわれた。  今までは食えないガキとしか言われたことがなかったのだ。 「・・お誉めに預かり光栄です・・」  ということで、丁寧にお辞儀をした。ロイの感謝の気持ちだ。 「このガキ・・なめてんのか?」  下級魔族が言う。ロイ自身はなめた覚えなどないので首を傾げるしかない。 「馬鹿にしやがって!!」  何かよほど腹の立つことがあったのだろう。魔族は大きな鎌をロイに降り下ろす。  あっさりとそれを回避し、ロイは魔族の後ろに回り込んだ。 「・・魔族に効くかは、わかりませんが・・」  そういうと魔族の腕を取り、それを捻る。ただそれだけのことだが、魔族の腕は不自然に曲がり、元に戻らなくなる。 「・・グアァ!」  そう叫ぶと魔族は空に逃げる。接近戦は危険だと判断したか、あるいは腕が曲がったので、もう鎌を振るうことができないか。 「こっんのガキがあぁぁ!!」  どちらにしても魔族は空で叫び、光球を生み出す。 「・・ガキですか・・」  ロイは魔族の動きを見ながら、同様に光球を生み出した。 「死ネエェ・・!!」  魔族が光球を放つ。 「・・あなたが消えるんですよ・・」  ロイも光球を放つ。ただし、ぶつからないように気を使いながら。  魔族の光球はロイが避けたため地面にぶつかり、ロイの光球は魔族にぶつかり、魔族を消し去った。 「・・魔族はわからないですね、誉めてくれたかと思えば、いきなり襲ってくる・・」  心底そう思い、ロイはまた歩き出した。  ケインのいる方向とは逆へ向かって。 ●第227話 投稿者:HAMSTAR  投稿日: 3月 2日(金)10時15分16秒  空間を白い輝きが薙ぎ払う。その輝きをやはり白刃が打ち払う。  ケインと悪魔の一対一の戦いはいつの間にやら町の外にまで発展していた。  なぜとは聞かないで欲しい。刃を打ち合わせ、間合いをとり、有利な地形を探し探しするうちにこうなってしまったのだから。ちなみに、さっきまでいた下級悪魔たちは、いつの間にかいなくなっていた。 「はあああああ!」 「ひゅうっ!」  ケインの上段からの切り下ろしを悪魔は軽く切っ先を絡ませる程度で弾く。そのまま流れる動作でケインを両断しようとし― 「ルーンバレット!」  解き放たれた魔力弾が悪魔の面前で炸裂し、悪魔はわずかに押し戻される。その隙にケインは間合いを開く。 「やりおる・・・」 「きついねぇ・・・」  お互いに息を整えながらケインは正眼に、悪魔は刀を担ぐように構える。もう何度目かの膠着状態だった。 (ったく・・・ここまで強いってのは反則だぞおい)  胸中で呟く。この悪魔は魔力そのものはたいしたことはない。人間の一流魔法使い並だ。  だが、剣術のうでが凄まじい。こちらの攻撃軌道を見切り、かわし、確実に一撃を放ってくる。いままで戦えているのはひとえにケインの魔法力のおかげといえる。  悪魔や天使というのは魔力の強さがそのまま階級につながることが多い。そんな、言ってみれば魔力の強い者勝ちの世界でこの悪魔はこの地位を手に入れるのにどれほどの修羅場をくぐってきたのか、ケインには想像もつかない。  だからといって魔法を主軸に攻撃をしかけても、これまた軌道を見切られ、または迎撃されて逆に間合いを詰められてしまう。  たいしたことは無いと言っても、全ての魔力を防御に回せばこちらの無詠唱魔法程度はあっさりかき消してくれる。 「町に、結界が張られたようだな。もはや後は外の者らを討つのみか」 「みたいだな。俺は知らんけど」 「・・・もはや退きどき。しかし、お主との勝負、持ち越しは忍びない」 「帰れよ。こっちは迷惑してんだ」  言いながら、お互いに構えを変えた。悪魔は刀を鞘に戻しての居合抜きのいう東方の構え。  対するケインは、剣を天高く突き上げた防御度外視の構え。 「・・・死ぬ気か?」  悪魔がわずかに狼狽する。この構えならば、動き出したら例え両断されようとも相手を道連れに出来るはずだ。 「そうじゃなきゃ、あんたを倒せねえだろ」  沈黙が流れ、木の葉が一枚舞い落ちる。その葉がにらみ合う彼らの視線に入った刹那。  疾風が駆け抜け、閃光が空を切り裂いた。  二人は、位置を逆にして背を向け合っていた。  悪魔の刀は完全に振りぬかれ、ケインの長剣も地面を切り裂くように打ち下ろされている。 「ぐあっ」  ケインが地面に膝をつく。右の脇腹から大量の血が流れている。  ヴァンパイアとはいえ、痛覚までないわけではない。ヴァンパイアの死亡要因のトップ3は不摂生、頭部の完全破壊、そして痛みによるショック死だ。  ケインは顔だけ悪魔の方を向いた。悪魔はこちらを振り向こうとしない。     「・・・見事」  そういって、悪魔は縦に両断されていく。切りかかる一瞬前、ケインが覚えたての精霊魔法「エーテルバースト」を使っていたのだ。 「そうでも、ないさ。あんたの方が、強かった・・・」  一応傷を塞ぎながらケインもうめく。ケインが勝てたのは、防御を無視した構えをとったことでの攻撃への意識の集中、精霊魔法による能力強化、そして― 「この、耐刃服を切ったせいで、アンタの刃が威力を保てなかった、それだけだ」  刃の摩擦をなくして切れ味を殺す耐刃服。これがなければ間違いなく相討ちだったろう。それを切り裂いた悪魔の技量は、真っ向からの戦いではアーウィル以外誰も勝てないだろう。 「あと、一つ言っておく。俺はまだ、死ぬ気はないんだ。マリアが、生きてるうちは、な」  それだけ言うと、ケインは悪魔を伏し拝んだ。 ●第228話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 3月 2日(金)17時23分30秒 『現在の反射速度 通常の約四十五倍を計測』  この反射速度では、下級悪魔の動きなど止まって見える。 (しかし、やりにくいものだな)  超音速衝撃波や、概念破壊攻撃は周囲に与える被害が大きすぎて使えない。ローラたちを巻き込んでしまう。  そのため、使用するのは全て通常の物理攻撃に限定。魔法も、効果範囲が広すぎて使うわけにはいかない。  ……と、 『おまたせ。やることは全部終わったわよ』 (データは採れたか?) 『ええ。やっぱり、ナマの戦闘データが一番ね。その他の雑用も、完璧よ』 (じゃあ、とりあえずローラたちを街に転送してくれ。自分は残った悪魔を片付ける) 『了解。それから、例の『レイブン』がちょっと大変そうだから、手伝おうかしら?』 (好きにしろ) 『はいはい』  同時に空間が揺らぎ、ローラたちの姿が消える。シェリルは、あの水晶球を持ったまま。 「隠そうかと思ったが、気が変わった。君に預けよう、シェリル。君なら、正しくその力を使いこなせるだろう。 我が主も、君には期待している」  楽しそうに口元を一瞬吊り上げ、アーウィルは音速超過の斬撃を放った。 『よく眠ってるわね』  完全に傷が癒えて熟睡しているクロウを見、“彼女”はもう一方に向き直った。 『それにしても単純な……』 「これ美味しいですぅ」  口の周りをチョコレートだらけにして、幸せそうなティセがそこに居た。  因みに、ティセの方からはクロウの様子は見えない。 『あんまりたくさん食べると体に悪いわよ?』 「はい〜〜」  返事はするが、あまり解った様子ではない。 『まあ、二人とも解析は終了してるから、あとは騒ぎが終わったら元の場所に戻すだけね』  一瞬、ティセの記憶を蘇生させたい衝動に駆られたが、自制する。後始末が大変だ。 『さて、もう一仕事ね』 「くそっ! きりが無いな。蛆みたいに湧いてきやがって」  二十体ほどの下級悪魔をまとめて叩き切り、ジェノアは悪態をついた。  一体一体は雑魚もいいところだが、なにしろ数が多い。人海戦術で来られると非常に厄介だ。 『苦戦してるみたいね』 「!?」  唐突に響いた声とともに、ジェノアの周囲の区間が歪む。 『動かないほうが良いわよ。生きたまま挽き肉になるのが趣味なら別だけど』  妙に幼い少女の声が続け、まるでミキサーのように空間が凄まじい歪みを生じる。 『……これは……』 『あなたの代では、はじめまして、ね。先代までは何度かお付き合いがあったけど』 「……なるほど、テメーらか。話は聞いてる」  空間の歪みに挽き潰された悪魔の肉片がボトボトと落ち、地面をどす黒く染め上げる。  それを横目で見、ジェノアは剣を構えた。今の攻撃で、とりあえず周辺の悪魔は一掃されたようだ。 「三年前の例の事件では、上級悪魔を利用して国を一つ消しただろう? テメーが居るってことは、 あの馬鹿でかい右腕のバケモノも居るってわけだな」 『正解。実際に見るのは初めてでしょう? 先代から話は聞いてるでしょうけど』 「まあな……。今回のこれも、テメーらの仕業か?」 『いいえ、これは完全なアクシデントね。だいたい終わったから、今は後片付けで大変なのよ。 あなたも『レイブン』なら、当然協力するでしょう?』  幼いが、同時に老獪な狡猾さを感じさせる声に、ジェノアは強烈な違和感を覚えた。 ●第230話 投稿者:ashukus  投稿日: 3月 2日(金)21時41分00秒 「あなた達は・・・」 静かだった教会は一気に騒がしく(?)なった 「これは・・・彼・・・・いや、彼女の仕業ですね」 とそんな教会から出ていく人間が一人 「・・・・・・」 シュウだ。無言で歩いている。とそんな彼にフローネが声をかける。 「どこへ行く気ですか?」 「・・・騒がしいのは好きじゃない」 一度立ち止まり、そのままの体勢で言葉を放つ 「そうじゃなくて、まだ傷が」 「・・・関係無いな」 フローネの言葉を他所にシュウは出口へと歩き出した。と、フローネはそんなシュウに言葉をかける。 「少し優しくなりましたね」 「・・・何?」 フローネの意味深な言葉に再びシュウは立ち止まる。 「眼がシープクレストで会った時より優しい感じがして」 「・・・フン」 そしてシュウは再び歩き出した。と、彼が扉の前に立った時・・・ バタン 勢い良く扉が開き、ルーティが姿を現した。全力で走ってきたのか息が切れている。 「はぁ、はぁ・・・あ」 「・・・お前は」 目が合った。シュウは微動だにしないがルーティはどこからか巨大なハンマー取り出し、身構える。 ちなみにこのハンマーは打撃だけではなく、魔法効果をも放つ道具としてルーティが重宝して・・・・・・・・とにかくルーティの武器だ 「何よ。ここで戦う気?」 睨みながらのルーティ。ルーティから見ればシュウは凶悪犯なので仕方ない事だが 「・・・そんな気はない。自分のするべき事をするんだな」 「自分のする事?」 「・・・今考えてる事だ」 「あっ、ちょっとぉ〜!!人の頭の中を勝手に読まないでよ!!えっち!!」 「・・・誰が」 後ろでフローネが何か笑みを浮かべているようだが、そのままシュウはルーティをかわして外へと消えて行こうとする。 「ちょっと待ってよ」 ルーティが彼を止める 「・・・何だ」 「バーシアが言ってたし。あんたも回復しなきゃいけないんだから」 「・・・必要無い」 訳は無いのだがそのままシュウは教会を後にした。と、ルーティにフローネが声を掛ける 「そう言えばルーティちゃん。どうしてここに?」 「あっ、フローネ、怪我人は?」 という訳でルーティはアーシィとディムルの所へと駆けて行った