●第81話 投稿者:HAMSTAR  投稿日:11月12日(日)09時11分15秒  夜の道。そこで二人は対峙していた。互いに間合いをとり、相手の隙をうかがう。一人は黒ずくめの男。もう一人、死神の鎌のような武器を携えるは―アーシィ。 「聞きたい事がある。君は誰だ?何故僕を狙う?」  アーシィが口を開く。だが、返答はつれないものだった。 「へっ。いわねえよ。俺らみたいなのは基本的に秘密主義なんでな」 「いきなり襲い掛かってきてずいぶんといってくれるね・・・」  黒ずくめは微かに笑ったようだった。 「恨むな、とは言わねぇ。諦めてくれりゃぁいいさ」 「断る」  そして、二人の間に沈黙が下りる。空気は張り詰め、冷たく凍りついたかのようだ。その時― 「ルーンバレット!」  ケインの声。彼が魔法を放ったようだ。双方ともその方角に目を向ける。しかし、 「ほひ〜〜〜!」  どうやらアーシィの危機を察してというわけではないようだ。 「ルーンバレット!ルーンバレット!!ヴォーテックス!!!」  ドムッ!ドムッ!!ズドドドドーン!  轟音が町すら揺るがす。 「ちっ!邪魔が入ったか!おい、『フォービル』!次にお預けだ!」  黒ずくめはそういって姿を消す。こういった事に慣れているようだった。 「ふぅ・・・」  アーシィがため息をつき、鎌のような武器の刃を消す。生命力の消費は結構辛い。 「ヴァニシング・ノヴァ!」  最後の轟音が轟く。 「なんなんだ?」  音の響く方を見ると、仮面をつけた黒焦げの男と、金髪にコートを纏った男、ケインが現われた。ケインは仮面の男をズタボロにしているようだったが。 「ハメット?それに・・・ケイン?」 「ほひ〜〜〜助けて欲しいでございますぅぅぅ」  ケインはハメットの胸倉をつかむと、しばし沈黙した。 「人違いか・・・ところでアーシィ、こんな所でなにしてる?」 「人違いでここまでやらないで欲しいでございます!」  ハメットの抗議を、ケインは聞き流していた。 ●第82話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:11月12日(日)10時41分49秒 「ん?」  リオとトゥーリアのデートのお膳立てを済ませ、さくら亭への帰路に着いていたアーウィルは、怪訝な顔をした。 「今の魔力反応は……アーシィと……ケインか。こんな街中で何やってるんだ?」  先日、<戮皇>の第三起動で空間破壊をやった事を棚に上げ、呟く。  と…… 「ちっ……邪魔が入ったな……とりあえず、次までお預けか………ん? お前は……」  前方から黒服の男が走ってきた。 「成る程ね……相変わらず、君の情報は正確だ。<コードα>」  無表情に呟くアーウィルの数メートル手前で、その男は足を止めた。 「ほう……資料を見たときはまさかと思ったが……貴様まで居るとはな……」  面白そうに口元を歪める男を見、アーウィルは言葉を返した。 「随分と久しぶりだな、ランディ・ウエストウッド殿。騎士団団長は廃業したらしいが」 「ああ、貴様に都市破壊の依頼をした時以来だな、<全方位殲滅師>。この街で何をしている」 「自分も、傭兵を廃業してね。この街にしばらく住むつもりだ」  親しげなようで、二人の間には異様な緊張感が漂っている。 「ふん……勿体無いな。だが、貴様みたいなバケモノまで居るとは……面白くなってきたぜ」 「一人で盛り上がらないでくれ。そちらは何の用でこの街に?」 「仕事だ。それ以上は言えん」  黒衣の男……ランディの答えはそっけなかった。 「仕事ね……戦争でもやるのか?」 「そうかもな……邪魔をするなら、貴様でも殺すぜ」 「邪魔をするかどうかは、現時点では解らんな。自分の行動原理は、邪魔になるものは叩き潰す、利害の一致するものは利用する、どちらでもないなら無視する、だからな」 「良いやり方だ」  一言で評価し、ランディは向きを変えた。 「もう行くのか。まあ、これでも持って行け」  立ち去るランディの背中に、アーウィルは酒瓶を放った。一瞬後には、それはランディの手に収まっている。 「……何だこれは」 「できればどこかの店で一緒に飲みたいところだが、そうもいかないだろう? 一人で飲んでくれ」 「相変わらず、よく解らん奴だ……」  毒気を抜かれた表情でぼやくと、ランディは今度こそ姿を消した。 『面白くなってきたわね』 「しつこいぞ」  アーウィルは苦い顔をした。 ●第83話 投稿者:美住 湖南  投稿日:11月12日(日)18時19分18秒  アーシィ達3人が襲われる少し前。  リカルドから話を聴いていて遅くなってしまった。今は夕方、西の空が赤く色づいている。 「黒ずくめの男はおそらく、ランディ・ウエストウッド、元騎士団団長。ってところですか」 「かなり業績を残したようだな。ウエストウッド、西の大樹・・・か」 「大都市を一大隊で破壊したっていうのは冗談にしても、かなり腕の立つ男だろうね」  言った順番は、シュウ、ディムル、リサ。そして3人一緒にため息をついた。 「相手をすることになったとしたら、おれ、勝つ自信ねぇぞ」 「おや?泣き言とはディムルらしくないねぇ」  からかうようにリサは言った。 「ディムルは勝てない勝負はしない主義ということですか」 「そーいうこと」  少し沈黙の時が流れる。最初に口を開いたのは、リサ。 「で、どうするんだい?十中八九、あのバカも関わっていると思うけど」 「俺達だけで調べるのも大変ですよねぇ」 「俺達って、おれも入ってるか?その中に」 「「当然」」  がっくりと肩を落とし、その場にうずくまった。 「これも運のうちです。今回は運が悪かったってところで」 「あぁ、そうするよ。アーシィのほうにも声かけてみるか?」 「そうですねぇ。アルから情報、入っているかもしれませんから。そういえば、教会での交流会、なにかやるんですか?」  『孤児院と住民達の交流』を名目に開かれる演奏会だ。シーラとアーシィが一緒に演奏するらしい。 「あぁ?ローラが「ディムルさんもなにかやってぇ」つってきたから考えてはいるけど・・・」「なにかできるのかい?」 「ヴァイオリンが少し・・かじった程度だけど」 「へぇ。すごいじゃないか。演奏したら?」 「そうですよ。孤児院の子達も喜ぶと思いますよ」  このままいくと演奏することになりそうだ。と思った。 「あぁ・・ぅ・・・」  いきなりこめかみのあたりを指先で押さえるディムル。 「?どうしたんだい」 「なにかあったな・・これは・・・炎系の攻撃魔法、か?風系もか!?」  このとき、ケインがルーン・バレットとヴォーテックスを連発したのだ。 「なに言ってるんですか?」 「あ、とどめか?炎系の攻撃・・・終わったな」  これはヴァニシング・ノヴァ。  さすがに、毎日のように魔法が連発されれば小さな魔法発動の音には慣れるというものだ。自分で少しは調節が利くが。 「それじゃあ、ジョートショップに行くか」 ●第84話 投稿者:ashukus  投稿日:11月13日(月)17時58分12秒 ジョートショップ カラン リサ、ディムル、シュウはジョートショップの扉を開け中へと入る、と、そこには少し疲れた様子のアーシィ、 アリサの治療を受けているボロボロのハメット、やりっぱなしと言う訳にもいかずそれに立ち会うケイン、 そして手伝いをしているテディがいた。ちなみにルーは帰宅、アレフはシーラを送って行き、アルベルトは事務所へと戻ったらしい 「これは、どうしたんだい?」 リサが真っ先に口を開く 「人違いで殺されかけたのでございますよ」 と、ハメット続いてディムル 「人違い?まぁいいか、てっきり例の黒ずくめに襲われたのかと思ったぞ」 「それなんだけど・・・・」 アリサがアーシィのこれまでの状況を話した 「大変だったね、大丈夫だったかいアーシィ」 「ん〜なんとかな」 と、アリサがシュウに向かい話す 「アルベルトさんが今回の件で事務所に戻っていきましたけど、シュウクンはいいのかしら?」 「そうなんですか?それじゃあ俺は失礼します、ありがとうございましたアリサさん」 そう言うとシュウは自警団事務所へと帰っていった と、話は続く 「それで、アイツは何者だ?」 ケインの問いにリサとディムルが答えた 「あの黒ずくめの男の名はおそらく、ランディ・ウエストウッド、今は地図上に存在しない国の騎士団団長をしていた男だ」 「おっさんの話では国の滅亡と共に死んだ事になっているらしいね、それから腕はかなり立つようだよ」 「アーシィさんそんなのに襲われて大丈夫だったっスか?」 「ん〜まぁこの通り大丈夫と言えば大丈夫だけど」 カラン その時、突然アルベルトとシュウがジョートショップへと戻ってきた 「どうしました?アルベルトさん、事務所の方に戻ったのでは?シュウクンも」 と、アリサ 「あっ、いや、そのアリサさん、言いにくい事なんですが」 アリサの前で固まっているアルベルト、仕方なくシュウが喋りだす 「俺が話しますよ、アルベルトさんが事務所でした話によると、今回のアーシィさんの件を自警団としては一切干渉しないそうなんですよ」 「どういうことっスか!?」 「議会から自警団に圧力がかかったんだ、理由はしらねぇがな、クソッ」 テディの前では態度の変わるアルベルト 「なにか、匂うね・・・・」 リサ、続いてケイン、ディムル 「確かに、しかしどうする?下手に動くと危ないぞ?」 「深入りしない方がいいだろ、とりあえずこれからのことを考えよう」 と、アルベルトが口を開く 「今、狙われているのはアーシィだろう、なら俺達でジョートショップ付近を見回りすりゃ大丈夫なんじゃねえか?」 「正直、私一人では少し厄介な相手だからな、それはありがたい、ん〜しかし、自警団は干渉できないのだろう、そんなことをして大丈夫なのか?」 そこでシュウが口を開く 「う〜ん、たぶん見回り程度なら大丈夫ですよ」 と言うことで話は大体まとまった、そして忘れられるハメット ●第85話 投稿者:タムタム  投稿日:11月14日(火)19時24分52秒  薄暗い部屋の中央。そこで二人の男は向かい合っていた。一人は鎧に身を包んだ、未だ歳の若い男。もう一人は黒衣を纏った中年。ロビンとランディだ。 「まさか、魔導師相手にしくじられるとは思わなかったな。しかも一騎討ちで」  溜め息交じりにロビンが漏らした。ランディは渋い顔になっている。 「邪魔が入った。確か…こいつだ」  数枚の用紙をパラパラめくり、相手に突き出す。そこには長い金髪を後ろでまとめている男の顔と、その人物に関する様々な情報が書き記されていた。 「ケイン=T=クライナム…か。接近戦重視で魔法も使える。厄介な奴だ」  ろくに用紙を見もせずにロビンが言う。仕事を依頼した時点で一通りは目を通している為、ある程度は記憶に残っている。そして、適当に用紙をめくりながら言葉を続ける。 「随分、殺り難くなったぞ。本当なら気付かれる前に一人くらいは消しておきたかったんだが」  言いながら、用紙をランディに手渡す。仕舞い込もうとしたが、何やら気になる事が記されていたらしく、もう一度用紙を覗きこむ。 「オイ、『フォービル』の事だが、<神聖系以外の全ての魔法を操る可能性有り>ってどう言う事だ?」  どうやら見落としていたらしく、今更になってロビンに訪ねる。 「そのままの意味じゃないか?古代魔法は確認したが、噂だとタナトス魔法も使えるらしい」 「…俺はそんなのを相手にしてたのか…」  それが本当なら、もう少し対策を練ってからの方が良さそうだ。接近戦に持ち込めれば、さほど怖い相手ではない。 「それよりも、未だターゲットはいるんだ。目立たない様に殺ってくれ」 「何故、其処までする必要がある?」  どうでもいいような疑問が口を突いて出る。 「俺は知らん。上から廻って来た命令だ」  返ってきた言葉は答えにならない答えだった。 「解からん。こんな事は始めてだ」  ルーは一人、タロットカードを前に呟く。先日、占いの結果に従い行動したはいいが、特に変わった事は起こらなかった。  そして今日。何時もの日課として占ってみたのだが、カードの意味を全く読み取る事が出来なかったのだ。 「…実に不愉快極まりない…」  険しい表情で呟くが、それを見ていたのは兎のアーサーだけだった。 ●第86話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:11月15日(水)17時59分40秒 「成る程、アーシィが狙いか……まあ、自分がでしゃばる筋じゃないな。こちらは高みの見物といくか。 もう少しデータを集めたいし」  聞こえない筈の声に耳を傾け、アーウィルは結論を出した。今のところ、彼らの行動は自分の目的の 障害にはならない。むしろ、利用できる。 『本当に無関係を決め込むなんて……面白くないわね』 「やかましい。こちらはデータの収集で忙しいんだ」 『データね……この前の件で、相当な量のデータが採れたけど、まだ足りないの? 何人かは遺跡の 中に入ってくれたから、かなり正確なのが有るけど』 「ふむ……君が真面目にやっていたとは……驚きだな」 『遊びのついでにやっただけよ。……ああ、それからあのシェリルって子だけど、以前にあのファランクスを御したそうよ』 「ファランクスを……? それはまた……」 『驚いたかしら? あのコントロール不全の『欠陥品』をよ。しかもあの若さで』 「ああ……将来が楽しみだな……」  数時間後。さくら亭。 「何か、どういう体の構造をしてるのか見てみたいわね……」  店の中でメロディと由羅を相手に、壮絶な戦いを展開しているアーウィルを見、パティは嘆息した。  彼女の見たところ、由羅の敗北は確実だ。メロディはかなり善戦しているようだが。 「うう……」  完全に酔いつぶれる寸前の由羅がうめいて杯を空けた。現在、アーウィルが十杯リードしている。 「由羅。この勝負に負けた方が勘定を払うって言ったのは、あんただからね」 「うう……」  どうやら、この飲み比べ勝負はアーウィルの勝ちのようだ。彼は全く酔った様子が無い。 「おうて」 「む……」  メロディが、将棋の駒を進める。パティにはよく解らないが、かなりの接戦のようだ。 「アーウィル。あんた、よくそんな大酒を飲みながら将棋を指せるわね……」  要するに、彼は由羅と飲み比べ勝負をしつつ、同時にメロディと将棋を指しているのだ。 「そう言えば、リサは今日は帰らないらしい。ジョートショップに泊まるってさ。ディムルも泊まるらしい」  メロディの攻撃を凌ぎ、さらに王手を決めながら、アーウィルは言った。  由羅は酒瓶を枕に眠ってしまっている。 「ジョートショップに? 何で?」 「さあ……何かあったらしい事ぐらいしか知らない」 「アーウィルちゃん。またおうてだよ」 「む……またか……」  パティがロクに何も聞かないうちに、アーウィルはまた将棋に没頭してしまった。 「もう……」  リサやディムルが居ないなら、酔っ払いはアーウィル一人で相手をする事になるだろうが…… あれほどの大酒を飲んで、本当に大丈夫なのだろうか? (さて……皆、どうする? ランディは一筋縄ではいかない相手だぞ?)  崩れかけた防御を固め、メロディの猛攻を防ぎながら、アーウィルは密かに笑った。 ●第87話 投稿者:HAMSTAR  投稿日:11月15日(水)18時54分04秒 「ランディ・ウエストウッドか・・・また厄介なのが出てきたな・・・」  深夜の教会の一室。そう広くない部屋の中で、ケインは一人呟いた。部屋の中には赤い光。ファイア・ペンデュラムを使って明かりにしている。もっとも、どの魔法ペンデュラムでも明かりは採れるのだが。  ランディについてはあまり知らない。だが、噂話や今日の一件を総合するとかなり危険な人物だ。 「議会からの圧力・・・ヤツを町の外に連れて行った男、ロビンとかいったか?そいつも絡んでるのは間違いない。  だが、なぜアーシィを狙う?あいつは別にこの町の重要人物というわけでもない・・・あいつを殺すメリットが解らん。実質、後手に回るしかないか・・・どう思う、ロイ?」 「お気づきでしたか」  途端、ロイが扉の向こうから姿を現す。傍らには、ポチ。 「気配くらいは感じる。ま、気配も錯覚と大差ないというのが師匠の言い分だが」  ロイは机に近づくと、エンフィールドの地図を広げる。 「彼らが何を企んでるのかは解りませんが、もしテロの類とするなら狙うのは・・・」  しばし考え込む。やはり立ち聞きしていたようだ。 「まずは役所。それから魔術師組合、クラウド医院、自警団事務所。あと、災害対策センター。その辺ではないでしょうか?ただし、議会が絡むのでしたらその限りでもないですが」 「このませガキ・・・まあその通りだ。少数精鋭でかかる以上、町政の中枢や治安維持機関、医療所をたたくのが有効だな。あとは、町民にパニックを起こせるような精神的支柱か」 「一応、僕もアーシィさんの護衛をやりましょうか?今は彼が狙われているだけです」 「ああ、頼む。ただし、危険だと思ったら逃げの1手だ。あと、感謝料とかは払わんぞ。じゃあな、おやすみ」 「ええ、おやすみなさい」  部屋を出て行くロイ+ポチ。扉から離れた事を確認するとケインは地図に向き直る。  もうひとつある。お偉いさんを殺傷し、自警団の目をしばらく眩まし、町民にパニックを起こせる場所。 「セントウィンザー教会の、演奏会か・・・まあ、アーシィだけが狙いなら問題ないが。それだけってわけは・・・無いな」  そこまでいってふと気づく。また自分が巻き込まれている事に。 ●第88話 投稿者:美住 湖南  投稿日:11月15日(水)22時07分13秒 「さて、このジョートショップ付近はアルベルト達が見回りをしてくれてるけど、私は他にも狙いそうなところがあると思うんだが、みんなどう思う?」  ここはジョートショップのカウンター。いるのはアーシィ、リサ、ディムル、シュウ。アルベルトは数人の部下を連れて見回りをしている。時間ごとの交代制だ。部下のほうはアリサに世話になったやつらを無理矢理連れてきたらしい。アリサ、テディはすでに寝ている。 「そうだね。議会から圧力がかかってきたというのも気にくわない。なにかあるのかねぇ?」 「アーシィを殺して得するヤツがいるとは思えないが・・・」 「なかなか、厳しい一言だね。ディムル」 「でも、悪いようだけど、的を得ています。町を混乱させるなら役所や魔術師組合のほうを狙った方がいいでしょう」  シュウがそこまで言うと、しんとなった。目的が判らないのだ。  沈黙を破ったのはディムルだ。 「・・・狙いはアーシィだとして、だ。へたに襲撃するより、なにか他の形で狙った方が得策だと思うんだよな」  言うとカウンターに肘をつく。  さっき言っていたことは違うと思いながらもリサが言葉を継ぐ。 「シュウならどうする?」 「え?・・・やっぱり、人混みに紛れて、こう、“どすっ”と・・・」  シュウはアーシィの背中にまわり、ナイフを後ろから突き立てるジェスチャーをする。 「まあ、そうだね。もちろん判らないように、だけど」 「そういうふうにする魔法なら私が何個か知ってるよ」 「おれもだ。で、町民にわかりにくい場所、もしくは行事というと・・・」 「「「演奏会」」」 「護衛はどうしますか?」  そこにアルベルトが入ってきた。 「おい、交替だ。はやくしろ」 「次はおれだな」  槍を持ち、いそいそと出ていく。 「逃げたね」 「でも、ちょうどいいのは彼ですよね」 「?なんで」 「彼、ローラから誘われてるんですよ。なにか演奏してくれって」  さて、さくら亭では・・・。  ケンカを始めようとしていた酔っぱらいどもが止めに入ったアーウィルに襲いかかった。しかし・・・。  目にも留まらぬ速さで攻撃され倒れる酔っぱらい。見事に重なり気絶している。 「さすがだわ・・・」  ため息を一つつくと、またメロディと将棋を指しにかかった。 ●第89話 投稿者:YS  投稿日:11月16日(木)00時01分39秒 演奏会当日。 「・・えと、その辺りに置いてみてください・・」  教会の一室、まだ朝も早いのと昨日の夜起きていたことが原因で眠たいのだが、ロイはポチに指示を出していた。  運ばせているのは演奏会で使うピアノだ。 「・・とりあえずここでいいかな、少し下がっていてください・・」  ピアノの場所を適当に決め、ポチを離れさせるとロイは運ばせたピアノの前に座る。  一呼吸の後、ロイの指は鍵盤の上を滑っていた。曲名は禿山の一夜、何というか教会にはあわない曲だ。  一通り演奏が終わると拍手が聞こえてきた。 「ん〜、君はピアノが弾けたんだね」  部屋の入り口を見るとアーシィが立っていた。先ほどの拍手は彼らしい。今日ここでフルートの演奏をすることになっている。 「・・まあ、少し位なら・・」 「それでもすごいと思うけどな」 「・・狙われてるって聞いたんですけど大丈夫なんですか?」  照れ隠しを兼ねて質問する。ロイは誉められるのが苦手だった。 「今のところは、皆警戒してくれてるし、夜はあまり出歩かない様にしてるからね」 「・・そうですか。ところで、音はうまく響いてましたか?」 「ん〜、いいと思うよ」  それを聞いてロイは椅子から降りる。 「・・それと、今暇ですか?」 「ん〜、まあ暇かな?」 「・・そうですか、だったら手伝ってくださいね・・」  そして、アーシィは会場の椅子運びを手伝わされることになった。  実はケインもすでに教会の世話になっていることを理由に手伝わせていた。 「・・あのくそガキ、借金ならまだしも、神父の名前を出すか?」  ケインは今、会場に椅子を並べていた。愚痴を言いつつも体は動かしているのは、昼すぎから始まる演奏会に間に合わなかったらポチの攻撃対象にされかねないのも理由の一つだが、午後から他の仕事をするつもりなのだ。  この街には何でも屋がすでにあるのでケインにまわってくる仕事はあまり多くはないからだ。 「・・あ、頑張ってるみたいですね・・」  いつものように寝ぼけた顔をしてロイが声をかける。 「・・できれば報酬を貰いたいくらいだ」 「・・無理ですよ、ここの教会かなり貧乏ですから・・」  そういいながらロイはピアノの側に箱を置く、調律用の道具箱だ。 「調律までできるのか?」 「・・まさか。調律の方はディムルさんに任せてありますよ。彼は耳がいいみたいですから・・」 「・・たまに、お前がガキに見えなくなることがあるよ」 「・・誉め言葉として受け取っておきます。あ、あとここが終わったら飾り付けの手伝いもお願いしますね」 「・・はい」  さりげなくロイは見せた契約書を見て、ケインはそう答えるしかなかった。 ●第90話 投稿者:ashukus  投稿日:11月16日(木)16時45分52秒 ルー宅 先日に引き続き占いにより行動が決まらない為、自宅にいるルー、と、誰かが扉を叩いたいる ドンドンドン 「・・・・・・・」 ドンドンドン 「なんだ騒々しい」 ルーは扉に歩み寄り扉を開けようとする。しかしその向こうの声に手を止めた 「ルーさん、いいかげん健康診断を受けてください」 「気が付いてからでは遅い病気もあるんだからな」 どうやらディアーナにトーヤが押しかけて来たらしい。最近ルーの住所が発覚し自宅にも押しかけてくる 「相変わらずだな、自分のことは自分が一番わかると言うのに」 そう言って部屋へと戻っていくルー、いつもならここでトーヤ達が諦めるのだが カチャカチャ・・・ガチャ 「残念だったな、管理人に合鍵を借りた」 「さぁ観念してくださいルーさん」 トーヤ達が部屋へと踏み込む、が部屋に居るのはウサギのアーサーのみ、だが窓が開いている、どうやら逃げたようだ、 恐るべき反応の速さ、流石は天才と言った所、しかしここは何階であったか? 陽のあたる丘公園 トーヤ達の追撃を逃れベンチの上でタロット占いをしているルー、 ちなみに一つの問題を掘り下げていくケルト十字法というかなりポピュラーな展開法を使っている さしずめ今日の事あたりを占っているのだろう、と、結果が出た 「現在の状況・・・タワー正位置か、思わぬ災難、事故、なるほどあの二人か」 ルーは次に自分の立場のカードに目をやった。障害、心情、過去などの項目のカードは適当に見ているらしい 「・・・テンパランス逆位置、ということは、今日は落ち着いていた方が良いのか」 と、周囲の状況のカードに少し気になることが出ていた 「ハングマン正位置、試練、困難にぶつかる・・・そして後の平安」 気を取り直して、最終予想のカードに目をやる 「これは、デス正位置、終末、死・・・・だが古い物を脱ぎ捨てると言う意味も有る」 いろいろ不吉であったが、とりあえず落ち着いた方が良いという事でルーは落ち着きそうな所を模索する 「そう言えば今日は教会で演奏会があるな」 ルーはローラに何かやってとしつこく言われていた為、演奏会の事を知っていた。と言う訳でルーはセントウィンザー教会へ向かう セントウィンザー教会 手伝いをしているアーシィとピアノの調律をしているディムルを除いた、アルベルト、リサ、シュウは警護の配置を話し合っていた 「よし、オレとリサは外を見まわっている、ディムルは演奏、あとアーシィとシュウは観客に混じって警護だ、くれぐれも怪しまれねぇようにな」 「シュウはアーシィにも伝えといておくれ、それとアーシィを狙ってくるかもしれないから気を付けるんだよ」 アルベルトとリサはそう言うと外に出ていった 「緊張するな〜、そうだ配置を伝えとこう」 シュウはそう言うと椅子運びの手伝いをしているアーシィに小声で声をかける 「アーシィさん、配置の件ですが・・・・・・・・・・と言うことです」 「ん〜そうか、わかった」 「それと、アーシィさんが狙われるかもしれないという事なので気を付けてください」 「ああ、気を付けるよ」 と、ケインとロイの飾り付け作業が大体終わったようだ、ディムルも調律を終えシーラと共にリハーサルに入る そしてアーシィの椅子配置作業も大体終了した、果たしてランディは現れるのか? メロディとアーウィルの将棋の勝敗は?そして今、演奏会が始まる