●第51話 投稿者:美住 湖南  投稿日:10月25日(水)20時51分27秒  ディムルが目を覚ました場所は木が生い茂る場所。日が射し込んでいないので時間はわからない。 「ててて・・・いったいなんなんだぁ?ありゃあ」  思いっきり吹っ飛ばされたらしく後頭部が痛む。そこを手で押さえながら近くの木を支えに立ち上がった。幸い、武器である槍は自分の手元にある。これならば襲われても大丈夫だろう。 「んん・・・・」  女性の声がする。おそらくヴァネッサ。下草が多いため姿が見えない。 「ヴァネッサか?いるなら返事しろ。気がついてるんだろ?」 「その声は・・ディムル君かしら?」  声の聞こえた方の草をかき分けると体を起こそうとするヴァネッサがいた。彼女は腰を打ったらしくなかなか起きあがれないでいる。 「大丈夫か?手、貸すか」 「お願いするわ。腰うったみたいね」  ディムルはヴァネッサに手を貸し、立ち上がらせると、 「はやくエンフィールドに戻りたいところだが、ここがどこかわからねぇんだよな。ヴァネッサ、わかるか?」 「ぜんぜん。太陽が見えないから時間もわからないわ。どっちが北なのかもね」  さすがにディムルの槍では木を切り倒すことはできない。ヴァネッサの武器もしかり。 「前途多難。どうすればいいのか全然わかんねぇ。ま、いまわかってることと言えば、アーウィルのヤツがあの鎧武者を引き受けたらしいってことと、その衝撃波でおれ達は吹っ飛ばされた。そして、全員ちりぢりになりやがってお互い、どこにいるのかもわからねぇ。ってとこか?」  指折り数えるが、どんどん話は悪い方向へと進むばかりのようだ。 「クス、アルベルト君よりは物事を考えるようね。同じ槍使いだから似た者同士なのかと思ったわ」  クスクスと口元に手を当て、わらいながら言う。 「少なくとも、アイツはアイツで考えて行動してるんだと思うぞ。人には人のやりかたってのがあるからな。おれは物事を並べて考えるだけだ」  気を悪くした様子もなく、冷静に答える。これがディムルの長所であり、短所でもある。 「冷静ねぇ。もうちょっと驚いてもいいと思うんだけど」 「それはヴァネッサ、おまえも同じだろ?おれはこんな事はざらだから。別に驚きもしないさ」  肩をすくめて言う。その時、魔法の発動した“音”がディムルの鼓膜をふるわせた。 「魔法が発動した音・・・。何かあったのか?」 「え?音?聞こえないけど・・」 「普通のヤツには聞こえないだろうさ。おれだからわかるのかもな」  目を瞑り、耳をすましながら受け答えをする。瞼を持ち上げると、 「こっちからだ」  いきなり走り出した。 「あ、待ちなさいよ!置いてかないでよ!!」  下草が生えているため、走るのは遅いが男と女、体力が違う。どんどん差は離れていく。  ディムルはある程度のところを行くと立ち止まり、後ろを見る。ヴァネッサがついてきているのか確かめるためだ。ついてきているのを確認するとまた走り出す。それを二度三度繰り返すとまた、立ち止まった。今度は振り向きもしないし、走り出しもしない。 「はあ・・・はあ・・・どうしたのよ」  よく見ると、ディムルは槍を構えていた。隙のない実践で磨かれた構えだ。その前には自律行動型魔法兵器が3体も姿を現していた。 「いったい、ここはどういうとこなんだよ。飽きねぇけど、ここまでくるとな・・・」  呟きながらも隙は見せない。 「ヴァネッサ、武器はなんだ?」 「え・・銃だけど・・」 「腕前は?」 「・・・・・・・・・・全然ダメ」  小さく呟くヴァネッサ。しかし、耳のいいディムルには十分に聞こえている。軽く舌打ちをすると、槍を地面に突き立てた。 「仕方ねぇ・・・」  囁くと右手で印をつくり、左手では魔法石を包み込む。口には出さず、心の中で詠唱する。いわば精神集中だ。 「(精霊よ力を貸したもう、我が名はディムル、火を属性とし土を生ずる者、行け精霊たちよ、世界の理(ことわり)を崩す者に鎖を与えよ)」  土で創られた鎖と言うべきものが地面から無数にのび、魔法兵器を縛り上げる。  槍を地面から引き抜くとヴァネッサの手を取り走り出した。ディムルとヴァネッサの実力ではこれくらいが精々だ。魔法石は先ほどよりも輝きを失っていた。 ●第52話 投稿者:ashukus  投稿日:10月25日(水)21時51分31秒 『音』のした方へと走るヴァネッサの手を取り走っているディムル 「ディムル君、気のせいかもしれないけど・・・」 魔法石の輝きの違いに気が付いたヴァネッサ、その言葉が終わる前にディムルが答える 「ああ、まだ大丈夫だ、だがそんなにのんびりしてらんないぞ」 と、先ほどの魔法発動の音を目指し走っている。二人は止まればまた魔法兵器に遭遇するため走りつづけている 「さっきの音、少し気になるな・・・」 ディムルが呟く 「えっ?ディムル君何か言った?」 「いや、すこし気になってな」 マリアをお姫様状態で担ぎながらかなりのスピードで走っているアーシィは考えていた 「(ん〜、こんな大量の魔法兵器が・・・・)」 普通、起動している魔法兵器などは非常に珍しくここまで大量に現れることはまず有り得ないはずだった 「(この辺りの遺跡に大量に保管されていたのか?しかしなぜ今ごろ動き出した・・・)」 と、アーシィはアーウィルの言葉を思い出した 『最強にして最凶の魔法兵器、この<戮皇>の前に散るがいい』 「(ん〜もしかすると、魔法兵器同士の干渉によるものか?)」 と、ここでマリアが口を開く 「ここまで来れば大丈夫じゃない?」 アーシィはマリアを下ろす 「これからどうするの?」 「とりあえず早く下山したほうが良いな」 と、またも草の茂みからまたも自律行動型魔法兵器が姿を現す、銃を構えるアーシィ 「ん〜異様な数だな、こんな所にもいるとは」 言葉が終わるより先に魔法弾が撃ち込まれた その頃一人森の中を歩いているシュウ 「・・・・・(フッ好都合だな、アイツが気を失ったおかげで出られた様だ、あの時以来か・・・無論、このまま帰るのは簡単だが・・・・・・魔法兵器か・・・興味がある)」 とシュウが何かに気が付く 「・・・これは・・《もう、みんな何処行っちゃったんだよ》《みんな大丈夫かしら》」 シュウの近くにトリーシャ、シェリルがいるようだ、ちなみに本人格シュウの読心術は半径100メートル以内の思念をキャッチでき、逆に思念を送ることも可能な能力である 「・・・・・俺が俺として見つかるのは都合が悪い・・・・かなり精神力を消費するが・・・しかたないか」 『瞬間移動』 シュウが二人の思念から位置を割り出し、背後に瞬間移動する 『強制転送』 シュウが二人の背中を撫でる、と一瞬にして姿が消えた。『強制転送』この能力は『瞬間移動』の応用で、人や物に接触し彼の意思で強制的に瞬間移動させる能力である。移動先は彼の知っていることろならば何処へでも飛ばせるらしい 「・・・・さて・・・」 そう言うとシュウは瞬間移動する 瞬間移動した先は先ほどアーウィルと鎧武者が対峙した場所跡だ、すごい熱だ、そこらへんの木が炭化している。普通の人間なら一瞬で黒焦げだろう 『障壁』 シュウは間髪いれずに俗に言うシールドを展開する、薄い膜がシュウを囲んでいる、だがこの熱ではそう長くは持たないだろう 「・・・もって10分か」 と、爆心地に目をやる、そこにはこの熱の中平然と立っているアーウィル、そしてさっきまで鎧武者であっただろう物が横たわっていた ●第53話 投稿者:HAMSTAR  投稿日:10月26日(木)16時43分10秒  悲鳴。大地を踏みしめる音。そして。宙を凪ぐ白刃。  ケインの手にしたナイフ―以前、師匠に“この長さなら短剣と呼んだ方がいいのでは”といったら、“先人はナイフと呼んだのだからナイフだ”と言い返された―は、その魔法兵器を貫いた。 「ちぃっ!」  手に残る痺れ。かまわずに、障壁を展開する。すでに刃の食い込んだ物は機能を停止している。だが、敵は一体ではない。残る2体が飛びかかるが、障壁で弾かれる。  ケインはナイフから手を離すと、意識を収束させる。その両手には、四つ全部のペンデュラム。黄色の輝きを放つ、槍のように研ぎ澄まされた振り子は、放たれると2体の魔法兵器それぞれの軌道で貫く。 「サンダーペンデュラム・ロンド」   呟きと同時、強大な雷撃が魔法兵器を襲い、沈黙させる。 「これで、片付いたな。・・・どうでもいいが、いつまで腰を抜かしているつもりだ?」  ため息をつきつつ、傍らの少女、ローラに尋ねる。 「う・・・うるさいわよ・・・だいたい、なんですぐに助けなかったのよ・・・」  完全におびえた口調で言い返す。かなり、迫力にかける。 「俺が吹き飛ばされたのはあの木の上だ。お前の悲鳴のすぐ後に来れたのだから上等だろう?」  指差したのは、高さ5メートルほどの木だった。実を言えば、あの木からの落下威力をふくめたからこそ、最初の一体を貫けたのだ。 「まぁ、それはそれとして、ローラ、この場所から登山道への帰り方は?」 「わかんないよ・・・こんな所、来た事ないもん」  ようやく立ち直ったローラに手を貸して立ち上がらせる。 「つまり、状況は悪化しただけか・・・ったく、手におえん事ばかり起きるな」 「ねぇ・・・あれ、なんなの?魔物とかじゃなさそうだけど」  ナイフが突き立った一体を指差して、ローラが聞いてくる。 「よくはわからんが、古代の魔法使いたちの作った侵入者迎撃装置みたいなものだろ。これだけ大量に稼動するとはな・・・とにかく、前に進もう。ここにいても埒があかない」  ナイフを引き抜きながら答える。本来なら動かずに救助を待つのがいいのだろうが、この状況では救助を待つ間にさっきのが大挙してきそうだ。    ローラとともにさまよいはじめてすぐに、なにか変な音が前方から聞こえた。見ると、そこにはセリーヌが座り込んでいた。ついでに、魔法兵器の残骸も。 「セ・・・セリーヌさん?どうしたの!?」  二人が駆け寄る。一方のセリーヌはいつも通りのほほ〜んとした顔をしている。 「ローラちゃん、ご無事だったんですね〜。気がついて歩いてたらこれが襲い掛かってきたんですよ〜」 「で、倒したと?これを?素手で? 本気か?」 「はい、そうですけど・・・?」  とりあえず深呼吸をして、ケインは思考の渦に入り込んだ。セリーヌに逆らうのは止めておいたほうがよさそうだ。 「それはともかく、セリーヌ。先頭にたって歩いてもらえるか?」  ケインの提案に真っ先に反応したのはローラだった。 「ちょっ、ちょっと待ってよ。セリーヌさんの方向音痴は並外れてることは、ケインもしってるでしょ?」 「この状況で方向音痴もなにもないだろ。なら、方向音痴に賭けてみるのも一興だろ。ひょっとしたら、道に出るかもしれないし」 「そういうことでしたら、いきましょうか〜?」  こうしてセリーヌを先頭に三人は歩き出した。行く手になにが待つかは、見当もつかなかった。 ●第54話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:10月27日(金)19時15分03秒 「……それで、どうしましょうか? アルベルトさん……」 「どうするって……とにかく、他の連中を探しに山狩りでもするか?」 「でも、大規模な山狩りなんかしたら、さっきの魔法兵器にやられちゃうんじゃ……」 「……うーん……」  エンフィールド学園の他の生徒と共に無事下山したクリスとアルベルトは、今後の方針について話し合っていた。  しばらくすれば、連絡を受けたリカルドが来る筈だ。 「あの魔法兵器が街に降りて来ないって保証はありませんし……とにかく、こういったことに詳しい魔術師組合に協力を要請したらどうでしょう?」 「そうだな……とりあえず、全く未知の代物じゃなさそうだし、何か対抗手段もあるだろ。ただ問題は、 実物を見た専門家がアーシィだけで、しかもまだ帰ってきてないことだな……」 「そうですね……」 「とにかく、こっちはこっちで自分の出来ることをやろう。考えるのはそれからだ!」  一発自分の頬を叩いて気合を入れ直し、アルベルトは立ち上がった。 「……思いっ切り体育会系ですね……」 「何か言ったか?」 「……いえ、何も……」 「無茶苦茶……と言うか、非常識と言うか……何と言うか……」  高い木の上でロイは相応しい言葉を探していた。 「……デタラメな戦闘能力ですね……」  ここは魔法兵器と遭遇した場所を一望できる。爆発で吹き飛ばされ、気が付いたらこの高い木の上に引っかかっていたのだ。  眼を醒ますと、丁度アーウィルと魔法兵器の戦いが始まるところだった。  否、それは戦いとは言えない、一方的で徹底的な破壊だった。  遠いこともあるが、アーウィルの動きは殆ど視認できなかった。魔法兵器の高熱弾は全て回避されるか無効化され、 意味を成さなかった。  どれほど破壊的な威力を秘めた攻撃であろうと、当たらなければ無意味。  それを、彼は証明してみせたのだ。 「……本当に人間ですか? まあ、自分が人間だとはっきり言ったわけではないですが……」  そして、気が付くとアーウィルは巨大な義腕に更に巨大な剣を構えていた。 「……なるほど、あれが<機甲裁断師>と呼ばれる所以ですか」  一撃で、魔法兵器の胴体部が断ち切られた。  だが、それだけでは終わらない。上半身と下半身に分断された鎧武者の全身が、砕けた。  目に見えない鉄槌の乱打を受けたかのように、一瞬で粉砕されたのだ。 「……一体、どんな術を使ったのやら……」  全身を砕かれた古代の兵器は、それと同時に持っていた巨大さを失い、二メートル程のサイズに縮んだ。  何らかの技術で質量と破壊力を増大させていたらしい。  そして…… 「おや、あれは……シュウさん? いつの間に……?」 ●第55話 投稿者:タムタム  投稿日:10月27日(金)21時02分39秒 「!」  誰かに背中を触られたような気がして、トリーシャとシェリルは同時に振りかえる。だがそこには誰もいなく、見なれた町並みが広がるだけ。 「えっ!」  今まで雷鳴山にいた筈なのに、何故かここはエンフィールド。不思議に思うが考え込む前に、『ゴン』突然頭に激痛が走る。 「トリーシャちゃん、大丈夫?」  シェリルが心配そうにこちらを見ているが、答える事が出来ない。痛む頭を押さえつつ見上げると、扉を開けた状態でこちらを見ているリサと目が合った。 「何やってるんだい?扉は頭で開けるもんじゃないよ」  困惑した表情でこちらを見ている。その向こうにはパティが見える。もしかしてと思い、見上げると『さくら亭』と書かれた看板。 「ええ〜!なんでボク達、街にいるんだよ〜」  突然立ち上がりシェリルの肩を揺さぶる。 「お、落ち着いて、ね」 「なんでシェリルはそんなに落ち着いて居られるのさ。雷鳴山じゃ大変な事になっているんだよ!」  そう言いながら、さらに激しく肩を揺らす。確かに大変な事になってはいるが、シェリルにとっては今の状況の方が大変である。目を回しているシェリルの肩を離すと、 「そうだ!ボク、お父さんに知らせてくる!」  それだけ言うと、トリーシャは自警団事務所へ向けて走り出した。 「大丈夫…じゃ無さそうだね」  そう呟くと、リサはくらくらと目を回しているシェリルをさくら亭へ運び込んだ。 「…おかし過ぎる…」  何体目かの魔法兵器を倒しながら、アーシィは一人呟く。数もさる事ながら、おかしいのはその強さ。強い魔力を感じるが性能が低すぎる。それに、こいつ等は先ほどの魔物と違い、実体を持っている。 「何がそんなにおかしいのよ?」  独り言が聞えたらしく、マリアがそう尋ねてきた。 「ん〜。この魔法兵器達は弱すぎる。本来なら、私一人で倒せるような奴等では無いんだよ」 「えっ☆嘘でしょ?」  マリアの顔が少し引きつる。その言葉が本当なら、無事に下山できるかどうか判らない。 「本当さ。過去に一度だけ戦った事があるけど、その時は十人ほどの傭兵達が一緒だった。倒すまでに一時間、生き残ったのは三人だけ」  その言葉を聞いてマリアの身体が硬くなっていく。 「で、でもさ☆アーシィが強くなっただけじゃない?」 「なるほどね」  アーシィはマリアを安心させるかのように笑顔で答える。マリアもその笑顔に安心したのか、緊張が解けている。 「早く街に帰りたい〜☆」  いきなり駄々をこね始める。 「同じのばっかり相手にしてもつまんない〜☆」  ハッキリ言って戦っているのはアーシィである。マリアは何もしていない。(されても困るが) 「同じ?…もしかして…」  そう、全く同じだった。戦い方、こちらの行動に対する反応、そして、感じる魔力の強さ。第一、全く同じ行動を取る様では兵器としては役に立たない。 「何か判ったの?」  考え込んだアーシィに声をかける。 「もし、オリジナルを“複製”する事が出来る装置があったとしたら…。それなら、大量の魔法兵器が出て来るのも、本来より弱いのも頷ける」 「そうなの?」 「推測だけどね。ま、その推測もマリアちゃんのお陰かな」 「マリアの?じゃあさ、今度魔法教えてよ☆」  期待に満ちた眼差しで見つめて来る。断るのは難しそうだ。 「ん〜。勉強は教えて上げれるけど、魔法はちょっと・・・」 「ぶ〜☆」  どうやら、色んな意味で前途多難のようだ。 ●第56話 投稿者:美住 湖南  投稿日:10月28日(土)20時24分00秒 トリーシャがリカルドと接触しようと走っている頃(リカルドが自警団事務所からでている頃)。  2人はそれなりに整備された道を走り続けていた。 「ね・・・・・ねぇ、ディムル君・・・・」  走り続けている所為で息が切れている。 「なんだ?」 「なんで・・・・・こんなに走らなきゃいけないの?」  わずかな怒りをこめた声。 「気に・・なる事・・・って?なにも知らされないで、走る側のことを考えて・・・・」  その言葉を聞くとディムルは走るのを止めた。 「・・・・・そうだな。・・わりぃ」  ヴァネッサの息が整ったのを見ると話し始めるディムル。 「『音』が聞こえたんだ」 「さっき言ってた『音』?なにも聞こえなかったけど」 「まあ、おれはある意味特殊だから、聞こえなくても当然だろうな。魔法が発動した『音』が聞こえたんだ。なにかに形容すると金属の物と物がぶつかる音って言えばいいのかな?キィーンって・・・」  ヴァネッサはよくわからないといった様子だ。 「・・・・よくはわからないけど・・・進めて」 「あぁ。『音』には色々種類があるんだが、さっき言ったのは何かと何かが干渉してでる音なんだ。『最強にして最凶の魔法兵器』なんてアーウィルが言ってたから、魔法兵器同士の干渉だろうな。どうしてかはおれにゃわからねぇけど」 「・・・どうして走らなきゃいけないの?歩いてもいいんじゃないの?」  疑問符だらけの言葉。わからなくもないが。 「興味本位と、依頼の遂行と、命を守るため、だ」 「??????」  言葉にならない疑問。当然だ。理由だけ説明されても。 「どうして、そんな『音』がでたのか知りたいだろ?あと、マリアを見つけなければいけないんだ。理由は聞かないでくれ。そして、魔法兵器に殺されたくないだろ?」 「・・・それにつき合わされなきゃいけない訳ね。こちらは」  片手で頭を抱え込んだヴァネッサ。不運といえばいいのかなんと言えばいいのか。 「つき合わされたくないなら1人で町に戻ってもいいぞ。おまえの戦闘能力だと殺されるだろうけどな。(今の状態じゃおれもそうだけど。さすがにこれはいえねぇな)」  無理矢理一緒に行動させようという魂胆が見え見えな言葉だが、ディムルの言うことも一理ある。 「わかったわ。あたしも死にたくはないし。いいわよつき合うわ」  というわけで一緒の行動をすることになった。  セリーヌ、ローラ、ケイン、の順番で歩いている3人。これは戦闘能力の問題でこういう順番な訳だが・・・。 「・・・にしても、なにもでないな」  幸運なのか、セリーヌが方向音痴すぎるのか、それとも両方なのか、それは誰にもわからない。 「なんか、退屈ですねぇ・・・」 「この状況を退屈の一言で片づけられるセリーヌさんはすごいと思うわ」 「そうですか〜?」 「そうよ」  似たような会話は何度されたのかわからない。  そんなこんなで道にでた。それなりに整備された道だ。おそらく、登山道。 「やった〜!これで帰れるぅ!」 「ローラ、どっちに進めばいい?」  右に進むと下り。左に進むと登り。 「当然、右!」  ローラが先頭になって歩き始めた。行く手に待つものは 「ありがと。どうする?登るか下るか」  そういうディムル。 「そうねぇ・・・登りましょうか」 「理由は?」 「何となく。この状況で悩んでも仕方がないわ」 「そりゃそうだ」 「あれ?ヴァネッサさん」  少し高めの、声。ローラの声だ。 「え?」  その後ろには、ケインとセリーヌ。待っていたものはヴァネッサとディムルだった・・・。 ●第57話 投稿者:ashukus  投稿日:10月28日(土)21時05分00秒 「みんな無事だったんだ」 「ええ、でもよかったわ」 ヴァネッサ、ディムルが、セリーヌ、ローラ、ケインと合流、 協力し山を降りることにした。しかしいきなり道が2つに分かれている。そしてケインが口を開く「方向からしてエンフィールドは左の道だ」 左の道へ進もうとした時ディムルがあるものに気が付いた 「この穴・・・・」 と、ヴァネッサが口を開く 「何かを突き立てたような跡かしら」 そう、そこにはあるものが突きたてられたのだ。それは約10分前 アーシィそしてマリア彼らの前には2つの道があった。後にヴァネッサ、ディムル、セリーヌ、ローラ、ケインが訪れる分かれ道だ 「どっちの道かな〜☆」 迷うマリア、と、アーシィが1歩前へ出る 「ん〜それじゃまかせろ」 コートに手を入れるアーシィ・・・・出てきたのは3度目、赤い宝石のついた杖 「アーシィ、それで何するの?何かの魔法?」 「まぁ、それは見てのお楽しみ」 杖を地面に突き立てるアーシィ、地面が硬いらしく強く突き立てている。と、マリアは直感的にアーシィが何をするかを悟った 「・・もしかして・・・」 案の定、アーシィは杖を倒した。 「よし、こっちか」 歩き始める二人。 そして約10分後、ヴァネッサ、ディムル、セリーヌ、ローラ、ケインがその道に訪れた。 ちなみに杖は右の道の方へ倒れていた。エンフィールドとは逆へなにかに導かれるように・・・・・・ と、ヴァネッサ達が分かれ道にいる頃 「・・・・・こいつはあんたが殺ったのか?」 シュウが無残に破壊された残骸を見てアーウィルに一言 「ああ、そうだ」 アーウィルはあっさりと答える。と、シュウが続ける 「(これは人間業か?)・・・・・一つ聞く」 「なんだ?」 「・・・・・お前は人間か?そして目的はなんだ?」 質問の内容にアーウィルは冷たい笑みを浮かべ答える 「答えても良いが、その後でどうなろうと知らないぞ」 「・・・・・・・・」 と、何かがこっちの方へ来る気配がする 「またか、所詮は量産型、何度来ようと無駄だ」 「・・・・・話は後か・・」 姿を現したのは2メートルほどの自律型魔法兵器3体、とアーウィルの姿が一瞬にして消えた。いや、消えたのではない高速で移動したのだ。アーウィルは義腕に構えた巨大な剣で魔法兵器を2体同時に真っ二つにし、葬った。 「・・・・速い(あのスピード、そしてあの剣、化け物か?)」 と、シュウは流れるような動作で刀を構え、呼吸を整え精神を集中する 『瞬間移動』 『亜楠流剣術奥義ノ四 飛水』 魔法兵器の背後に瞬間移動したシュウの一撃が魔法兵器を両断する。この技は本人格シュウのみ使える六つの奥義の四番目。精神を集中し刀に全ての力を込めて敵を両断する一撃必殺の奥義である。間合いが取りにくい技であるが『瞬間移動』を混ぜることにより真価を発揮する。 「・・・・・手ごたえがないな・・・こんなものか?・・・・」 と、またも姿を現す同種の魔法兵器2体、そしてアーウィルが口を開く 「同型、量、そして強さ・・・・・なるほど、そういうことか(ならばここでいくら戦おうと無駄だな)」 その頃 アーシィとマリアの目前には大きな洞窟があった 「アーシィ、道、間違えたんじゃないの?」 「ん〜おかしいな」 と、突然アーシィが銃を抜き、洞窟へ銃口を向ける 「マリアちゃん、少し離れて」 そう言うとアーシィは魔法弾を連射する 「ん〜手応えはあったはずだ」 と、洞窟から2メートルほどの自律型魔法兵器が姿を現した、が、アーシィの魔法弾の直撃を受け既に機能を停止していた。と、そこでマリアが口を開いた 「ねぇ、もしかしてここってさっき言ってた」 「ん〜確証は無いけど、おそらく・・・」 ●第58話 投稿者:YS  投稿日:10月29日(日)02時46分41秒 「・・二人共強いですね・・」  木の上からアーウィルとシュウの戦いを見ていたロイはそう呟いた。 「・・それにあの動き、力学的にはありえないモノですね・・」  それはアーウィルの人間離れした力技とシュウの剣技の感想だった。  一方、その本人たちは、 「・・なるほどそういうことか」  アーウィルはそう言うと、自分の頭の中で話をまとめあげる。 「・・・・なるほど、そういうことか」  シュウは何も聞かず、すべてを理解した。 「どうかしたのか?」  アーウィルはシュウに問いかけた。 「・・・・これは本物ではないということだ」  またまた、ロイに戻り、 「・・なるほど、偽物ですか・・」  二人の口の動きを見て会話の内容を聞き取る(?)とロイは呪文を唱え始める。 (・・もし、あれがコピーでオリジナルがあるとすれば・・)  ゆっくりとしたペースで呪文を唱え終わるとそのまま木から飛び降りる。木の根元にはロイを狙ってか、それとも他の理由でか、魔法兵器が2体ほど立っていた。  そのままの勢いで1体の真上に降りたロイは術を発動させる。するといきなり魔法兵器はロイを乗せたまま隣の魔法兵器を粉砕した。 「・・予想通りですね、この子達はある特定の魔法に反応するようですし、コピーである分プロテクトが弱いですね・・」  そこまで言ってロイは、一人で話していることが空しくなった。 「・・とりあえず、アーウィルさん達と合流して、この魔法の発信源を探しましょうか・・」  ロイは操ることに成功した魔法兵器にポチという名前をつけて、アーウィルのいる方向に向かわせた。 「・・もっとも、オリジナルがあるならこんな手は効かないでしょうけど・・」  その頃、ディムルはアーシィの選んだ道を進んでいた。音が聞こえる方向と同じだったことがその理由だ。  そして、他のメンバーも一緒についてきている。 「あ、あれはマリアちゃんじゃあ・・」  その一人、ヴァネッサがマリアを見つけた。隣には誰もいない。 「えっ?・・あ〜☆みんな無事だったの」 「一人なのか?」  念のためディムルが問いかける。 「さっきまでアーシィと一緒だったよ、この中に入っていっちゃったから今から追おうかと思ってたんだけど・・」  とにかく無事を確認できた。これで依頼は一応果たしたことにはなる。聞こえている音もここかららしいが、ここから先には何があるかわからない。この先にマリアを進ませるわけにはいかないが・・ (・・言って聞く子なら心配はいらないか・・) 「わかった、だったら一緒に行こう」  そういいながらディムルは洞窟の中に入っていく。 「・・マリアも連れていってくれるの?」 「帰れといって聞くのか?」  マリアは無言でうなずくと、その後に続いた。 ●第59話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:10月29日(日)14時16分29秒 「ふむ。よく解ったな。その通り、こいつらは『紛い物』だ。見ろ」  アーウィルが、自分が粉砕した残骸を指し示す。 「ほう。なるほどな……」  先程破壊されたばかりのその残骸は、既に朽ちはじめていた。乾いた泥のように脆くなり、大気に溶けるように消えていく。 「さて、行くとするか。他の連中が遺跡の中に入りでもしていたら、面倒な事になる」 「その口調だと、もう見当がついているようだな」 「まあね。この街に来る前に、周辺の遺跡は全て調べてある。興味があるんだろう? ついて来るか?」 「ふん……いいだろう。……ところで、他の連中が入ると、何故面倒なのだ?」  シュウの質問に、アーウィルはあっさりと答えた。 「ああ、単純な事だよ」  何の感情も見せないまま、 「あの遺跡の防衛機構は特殊でね。こんな出来損ないどもとは勝手が違う。死ぬことは無いだろうが、 中に入ることも外に出ることもできなくなる、一種の牢獄だな」 「ん〜。これは私一人で入って正解だったな。……これは一種の防衛機構か?」  そう言うアーシィの周囲は、堅固な石の壁で固められている。通路の幅は十メートル程、天井は見えないほど高い。 「『無から創られし実在する幻影』と言うものか、これは? 実際に見るのは初めてだが……」   言いつつ、壁に魔法弾を撃ち込む。 「む……」  一旦砕けた壁は、陽炎のように揺らぎ、一瞬後には元通りに再生した。  触れても、確かな石の感触が有る。  洞窟に足を踏み入れた瞬間、一瞬視界が白濁したかと思うと、この前後に無限に続く石の通路の中に立っていたのだ。 「中に入れず、外に出さず、か。最悪の防衛機構だな……」  さくら亭。 「……なるほど。雷鳴山でそんなことが……」 「はい……まだ何人か残っている筈です……」  回復したシェリルから、リサは事情を聞いていた。 「……ったく。アーウィルも居るって? あのバカは……」 「アーウィルさん、大丈夫でしょうか? 一人であんなのと戦って……」 「あのバケモノのことなら心配する必要なんかないよ。死ぬほど頑丈だからね。まあ、死んでくれたら、 世の中は今の千倍くらい平和になるけどね」 「……どうするの? リサ」 「あのバカが何を考えてるかは解らないけど、どうせロクなことじゃないよ。何かやる前に一発殴ってやらないとね……」  ……と、リサの目の前の空間が、ゆらり、と揺らいだ。 「?」  怪訝そうな表情を作り終わる前に、空気から滲み出るように一人の少女が姿を現した。 「アーウィルは? どこに居るの!? 大変なんだから!」 「トゥーリア!?」 ●第60話 投稿者:HAMSTAR  投稿日:10月29日(日)16時53分17秒  さくら亭。 「どこなの?アーウィルは?!とにかく大変なのよ!解決できるのは彼ぐらいしか・・・」 「ああ、この水飲んで落ち着きなよ。なにがあったんだい?」  出された水を飲むと、トゥーリアは落ち着きを取り戻した様だった。 「イブさんの家で片付けを手伝ってたら・・・急に人形が動き出したの。なんか『主の遺産』がどうのこうの言ったら、姿を消して・・・」 「はぁ・・・またとんでもないことだね、それは。邪精霊の類かね・・・」  トゥーリアも一応人形なのだが、コッペリア効果で命を持った彼女は『人間』として生きている。このことは一部の者しか知らない。 「アーウィルさんは雷鳴山ですよ。ただ、どこにいるかはわかりませんけど」と、クリス。 「で?その人形の特徴は?髪が赤いとか、背が高いとか」  リサの質問に軽く首を振ると、トゥーリアは口を開いた。 「それが・・・どこにでもありそうな『腹話術の人形』なんです・・・」  沈黙。冷たい風が吹いたような気がした。 「やられたな。前進も脱出もできやしないな」 「ん〜、一人で来て正解だったなと思ったんだけどね。まさか皆そろって来るとは」 「ぶ〜☆なんでこうなっちゃうのよ〜」 「ど〜しましょうか〜?」 「あ〜ん!こんな所で死にたくないよ〜」 「どこからが間違いだったのかしら・・・」 「手が打てないな。『ファング』の障壁なら幻像を破ったままにすることも出来るが・・・」 『なら、やれよ!』  全員のツッコミにたじろぎながら、ケインは壁に刃を突き立て、意識を尖らせた。  先に入ったアーシィを除く全員が洞窟に入ったと同時、視界が白くなり、気がつけばアーシィともども遺跡のトラップである『無限回廊』(勝手に命名)に閉じ込められてしまったのである。 「障壁よ!!」  刃を中心に、直径2メートルほどの穴があく。かなり応用的な使い方だが、意外と役に立つ。  その向こうには、やはり通路があった。この場所とは少し雰囲気が違うようだが、ここと同じ罠が掛けられているかもしれない。 「解決にはならんだろうが、行くか?」  ケインの問いかけに全員が腰をあげる。  シャレですまないような状況になっているのに、泣く事も出来そうにない。それが、ちと悲しかった。