●第41話 投稿者:タムタム  投稿日:10月18日(水)19時27分50秒  雷鳴山の中腹辺り、魔法学園の生徒が休息を取っている中でトリーシャはちょっと、いや、かなり困っていた。後ろをついて来ていたはずのマリア達と一緒に、付き添い人であるはずのアルベルトとヴァネッサまでいなくなっているのである。 「もぅ、何処行っちゃったんだよ〜」  ぼやいていてもいなくなった人間が出て来るわけではない。だが、付き添い兼護衛である二人がいないとこの先少々危険な気がするし、親友三人がいないのも不安で仕方がない。 「トリーシャさん。一体どう言う事です?」  引率の先生が刺のある口調で尋ねてくる。アルベルトは自警団の団員で、トリーシャの父親は自警団の隊長。どうやらその辺の関係でやつ当りされている様だ。 『ボクのせいじゃない!』と叫びたいのだが、アルベルトを推薦したのが自分であるため、ほんの少し責任を感じてしまい言い出せない。 「ボク、ちょっと様子を見てきます」  そう言うと、先生の返事も聞かずに今きた道を戻り出す。『こんな事なら、シュウ君かアーシィさんに頼めばよかった』心の中で思っても、口には出さないトリーシャだった。 「あ、あのー」  不毛な言い争いを続ける二人に恐る恐る声をかけてみたものの、なかなかこちらに気付いてくれない。クリスはちょっと困ってシェリルに助けを求めるが、困った表情でこちらを見ているシェリルと目が合ってしまう。 「どうしよう?」 「どうしようって言っても・・・マリアちゃんはいなくなるし、皆とは逸れるし」  相談しようとしたが、現状を確認しただけで二人は泣きたくなってきた。大人二人は役に立ってない。いっそのこと置いて行きたくなるが、余計心細くなるだけで自体がよくなるとは思えない。 「・・・」 「・・・」  二人は顔を見合わせるが、意見の代わりに溜め息しか出なかった。 ●第42話 投稿者:美住 湖南  投稿日:10月18日(水)20時59分23秒  そんなトリーシャが困っているとき、ジョートショップでお茶をしているアーシィとリサとディムルがいた。 「ふー。このお茶おいしいですね〜」  ディムルが敬語を使っている。かなり珍しいことだ。 「そうッス!ご主人様のお茶は最高ッスよ」 「そんなことないわ」  こういう風にいっても嫌みを感じないのがアリサのすごいところだ。  と、その時。ドアが開かれた。 「あの〜。すいません」  それはマリアの家の執事だった。  話が長くなるので簡単に説明してしまおう。  モーリス・ショート氏が親バカなのは有名なことだが、その親バカぶりがここでも発揮されたのである。  探索授業にいったマリアの事が心配になったショート氏はジョートショップに依頼をしたいという。  依頼内容はマリアの様子を見てくること。そしてできれば一緒に戻ってきて欲しい。とのこと。何かがおかしいと思うかもしれないが、これが依頼だ。 「それで、ジョートショップに依頼を」  執事の話が切れて最初に口を開いたのはアーシィだ。 「はい。そうです」 「へぇ。ショート氏が親バカだって事は聞いてたけど、ホントなんだな」  変なところで感心するやつだ。 「それで、受けてもらえるでしょうか?」  受けてもらわないとこっちが困るといった表情で執事が見てくる。アリサは、 「いいですよ。ご依頼お受けします。アーシィクンいいわよね」  アリサはアーシィを見てきた。 「えぇ。別にかまいませんよ。アリサさん」 「大変だな。行く所って雷鳴山だろ?二日酔いのアルベルトとヴァネッサがいるぜ」  これが、命取りになるとも知らず、言ってしまった。 「そうか、行く場所を知っているなら一緒に来てもらおう。人では多い方がいい」 「なんだってぇぇぇぇ!?どうしておれが」 「いったいどれだけここで食事していったと思ってるんだ?『仕事して返します』なんていってるのにいままで返してもらってないぞ」  詰まるディムル。食事を何度もしているのは事実。仕事して返すと言ったのも事実。 「がんばりなディムル。男に二言はないだろう?」  背中を押すようにリサが言った。 「わかったよ。行けばいいんだろう?」 「じゃあ行こう。一応武器も持っていったほうがいい。それなりにモンスターも出るからな」  アーシィは支度をし始めた。それなりの装備は持っているようだ。 「おれは家に行かなきゃ装備はないぞ」 「そうか?それなら貸すぞ」  剣をディムルに差し出す。しかし、それを断った。 「いや、おれには一応相棒がいるからな。行く前に家に寄ってほしいんだ」 「あぁ。別にいいぞ」  風見鶏館から出てきたディムルの持っているのは一本の槍だった。柄が青い。実用性を追い求めたような槍だ。石突きに当たる部分が妙に浮いているのは目の錯覚だろうか。 「それが相棒か?」  青い槍を指さした。 「そうだ」  これから2人は雷鳴山へ行く。 ●第43話 投稿者:ashukus  投稿日:10月19日(木)17時55分06秒 アーシィとディムルが雷鳴山へ向かっている頃、アルベルトとヴァネッサの前で途方にくれている二人 「はぁ・・・こんな時にトリーシャちゃんがいれば」 もしこの場にトリーシャがいたならば迷うことなく、アルベルトとヴァネッサに『トリーシャチョップ』を叩き込んでいただろう 『トリーシャチョップ』とは自分の世界に入った人間を強制的に現世へと呼び戻す(?)トリーシャの必殺技である 「でもトリーシャさん達ともはぐれちゃったみたいだよ・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 二人が諦めかけたその時 「トリーシャチョ〜ップ!!X2」 ビシッ バシッ アルベルトとヴァネッサに『トリーシャチョップ』が撃ち込まれる、撃ち込んだのは言うまでも無くトリーシャだ 「トリーシャちゃん!」 「トリーシャさん!」 「探したよ、まったく皆何処か行っちゃうんだから・・・・マリアはどうしたの?」 「・・・・それが」 と、アルベルトとヴァネッサも正気(?)を取り戻す 「う?あん?、ここはどこだ?」 「あれ、みんな揃っちゃって授業はどうしたの?」 状況が全く飲み込めていない大人二人、シェリルとクリスは今までの経緯、マリアがいなくなってしまった事 恐らく自分達ははぐれているという事などを話した 「ほう、それじゃマリアを探したほうがいいんじゃねぇか?」 「でも闇雲に動けば私達も危険だわ、一度合流しましょう」 「あっ向こうに先生達がいるし、ボクが案内するよ」 とりあえず一行はトリーシャの道案内で山の中腹目指し森の中を進んでいった 約10分後 未だに休憩所に辿り着いていないトリーシャ達 「あの・・・トリーシャちゃん?」 「アハハハ、シェリル心配しないでってば、もう少しだよ」 さらに10分後 今度はクリスが口を開く 「トリーシャさん・・・・もしかして」 「アハハあれ〜?おかしいなぁ〜」 さっきから同じ所を回っている気がする、まさかと思いアルベルトがトリーシャに質問する 「なぁトリーシャちゃん、ここは通った気がするんだが・・・・・・」 「私もそう思うわ」 ヴァネッサも続く 「・・・・ア、アハハ、なんか迷っちゃった・・・かなぁ・・・・」 「・・・・・・・・・・」 ●第44話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:10月20日(金)17時52分15秒  一瞬全員が脱力しそうになった時…… 「!」  突然、人間の聴覚では聞き取れないほどの巨大な爆発音が、辺りの大気を振動させた。  轟。  と風が咆哮し、風圧の壁が周囲の木の葉を散らせる。 「な、何だあ!?」 「ま、魔法?」 「た、確かに魔力は感じたけど、こんな魔法って……」  少なくとも、正規の魔法ではない気配だった。 「何だ!?」  マリアに声をかけようとしたケインは、再び響いた爆発音に身構えた。  地震のように大地が揺れ、マリアは危うく転びそうになったようだ。先程より近い。  森の木々から、驚いた鳥が一斉に飛び立つのが見える。 「物騒な気配がするな……」  とにかく、この辺りは危険だ。 「!」  ジョートショップからさくら亭に帰る途中だったリサは、唐突に首筋の毛が逆立つような感覚を覚え、 反射的に振り向いた。  遠くに見える雷鳴山の森に巨大な白い光が膨れ上がり、爆発する様子がここからでもはっきりと解った。 「……何やってんだい? あのバカは……」  似たようなものを以前見たことがある。  その時も、今のように遥か遠くから見たのだが、あのように基本を無視した、破壊力だけの魔法を放つ人物と言えば、 一人しか思い浮かばない。 「ちょっと前まで何かコソコソしてたと思ったら……今度は一体何を企んでるんだか……」  ……と、 「いい加減に観念しろっ!」 「嫌だっ!!」 「アーウィルさん! 自覚症状が出てからじゃ手遅れの病気もあるんですよっ!」 「誰がなんと言おうと断るっ!!」  騒々しく騒ぎながら、通りの向こうから人影が三人、猛烈なスピードで走ってきた。  一瞬、リサはポカンとした。 「……アーウィル?」  まさに、今思い浮かべていた人物が、トーヤとディアーナの二人に追いかけられていたのだ。 「とにかくっ!! どうでもいいから健康診断を大人しく受けろっ!!」 「第三起動!」  トーヤの声を無視し、アーウィルが放った叫びに応じて、右の義腕<戮皇>が咆哮を上げた。  肩の装甲が展開し、その隙間から青い光が溢れ出す。 「誰が健康診断なんか受けるかっ!!」  声と同時に、青の光が金属の拳に集まり、輝きを増す。 「!」  無音の気合と共に、アーウィルは<戮皇>の拳を振った。  拳は何もない空間を殴り、同時に硝子を砕くような音が響く。  青い光が爆発した。  その光爆が収まると、アーウィルの姿は消えていた。 「……空間を破壊して逃げたか……そこまでして……」  リサはしばらく呆れていたが、重要なことを思い出して我に帰る。 「あの爆発……あのバカじゃなかったのかい!?」 ●第45話 投稿者:タムタム  投稿日:10月21日(土)21時25分57秒  ここは雷鳴山の森の中。アーシィとディムル、そして、アルベルトが二日酔いと言う理由で半ば無理やり連れて来られたシュウの三人は突然起こった巨大な爆発音に耳をふさぐ。 「いったい、何が起きてるんです!?」 「ん〜。それは私が聞きたいくらいだよ・・・」  シュウが声を張り上げるが、雷鳴山へ来た理由が理由なため、アーシィとしても答え様がない。 「すっげぇ、やな予感・・・」  ディムルもこんな仕事割に合わない!と叫びたい所だが、ご馳走になったのがアリサさんの手料理である。そんな事は口が裂けても言えないだろう。 「どうやら、急がなくてはいけない様だね・・・」 「・・・何処へ?」  呟くアーシィにシュウがつっこむ。説明不足のため、事態がよく飲み込めていない様だ。 「何処にいるのか判るのか?」 「まぁ、任せなさい」  アーシィはディムルの言葉に自信を持って答えると、コートの中から先端に赤い宝石のついた短い杖を取り出す。 「それは?」 「とある遺跡から発掘して来た物さ」  簡単に説明すると、それは生命力を刃に変換する武器らしい。ロッドの状態なら剣になるし、柄の部分を伸ばすと(何故伸びるかは不明)槍にもなるし大鎌にもなる。  説明を終えてから、杖の状態にしたその武器を地面に立てる。『・・・まさか・・・』そんな予感を胸に抱き、見守る二人の前でそれは起きた。(パタッ)ゆっくりした動作で杖が倒れる。 「ん〜、なるほど」  何がなるほどなのか、倒れた杖を拾いロッドに戻すとコートの中にしまい込む。 「さあ、行こうか」  ちょっと疲れた様子を見せる二人に声をかけると、杖が倒れた方へ何の迷いも無く歩き出す。逆にシュウとディムルは不安で一杯になって来た。 ●第46話 投稿者:YS  投稿日:10月22日(日)01時42分18秒  その時、ロイはピクニックの準備をさせられていた。教会のみんなで雷鳴山まで行くためである。  この時期は自警団が街の周囲の魔物退治を終えた後なので、比較的魔物の数が少なく安全だから、というわけだ。 「・・だからといって、わざわざ山に行かなくてもいいと思うんですけどね・・」  そう呟いていた時だった。突然何かが割れる音がしたと思ったら、青い光が現れ、ロイは何物かに潰された。 「・・どうやら逃げ切れたようだな」  ロイの上に現れたのは診察から逃げてきたアーウィルだった。 「・・重いです・・」 「・・ん?・・ロイか、なんでそんなところに?」 「・・あなたが潰したんですよ、<孤児潰し>さん・・」  何とかアーウィルの下から自力で這い出し、皮肉を口にする。 「ああ、すまなかった。なにしろ急いでたものでな」 「・・そう思うなら手伝ってください、おかげで折角の荷物がめちゃくちゃです・・」  そういいながら、ロイは荷物を片付けはじめる。アーウィルも手伝ったおかげですぐに荷物は片付いた。 「・・つまり、診察から逃げるために無我夢中で逃げたらここに出たんですね・・」  片付いてから、二人はゆっくりと話を始めた。  そして・・ 「・・では、一緒にピクニックにでも行きましょう・・」  適当に話を聞いたところで唐突にロイはアーウィルを誘った。 「・・こちらとしては護衛の方は一人でも多い方がいいですし、そちらとしても診察から逃げるには街を離れるのがいいでしょうから・・」 「・・そうだな、そうさせてもらうか」  こうして、アーウィルとロイ、それに孤児院のメンバーは雷鳴山に向かうこととなった。  そして雷鳴山に向かったのだが・・ 「・・ここはどこでしょうか・・」 「さあ〜、どこなんでしょうか〜?」  セリーヌとロイ、それと護衛としてついてきたアーウィルにおまけのローラは他の子供達とはぐれ、迷っていた。 「も〜、どうしてロイもついてるのに迷うのよ〜!」 「・・あの、ローラさん。方向音痴だって言いませんでしたか?」 「聞いてないわよ、それにアーウィルさんだってついてたのに・・」 「・・彼には責任はありませんよ、目的地も知らされてませんから・・」  とにかく冷静に答えるロイ。どうあがいても迷っていることに違いはない。 「・・とにかく誰か探しましょう、この時期なら雷鳴山に来る人も結構いるはずですから・・」  他の子供達や行楽客は先ほどから続いている爆発のため、危険と判断しほとんどが山を降りたことを知らず4人は人を探して山道を迷い続けた。  まもなく、4人は巨大なクレーターとマリアとケインの二人を発見することとなった。 ●第47話 投稿者:美住 湖南  投稿日:10月22日(日)10時12分35秒 「おい、本当に、大丈夫なんだろうな・・・」  道に迷っているとしかディムルには思えないが、アーシィは確信を持って歩いている。 「大丈夫だと、信じたいですけど・・・」  同じようにシュウも思っているようだ。  何度か同じように杖を倒し、その指し示した方向を歩いてきた。爆発音がした現場に近づいてきているのか、細い、若い木はなぎ倒されている。おそらく爆風に耐えられなかったのだろう。 「おれはマリアがやったんじゃないかと思ってるんだが、それともアーウィルか。リサがそれくらいのことはできるとか何とか言ってたし」  容疑者に二名あげた。マリアは魔法の実験と称してやりかねない。アーウィルはわからないが。  前方からオーガーが現れた。かなり唐突だが。かなり興奮している様子だ。爆発音に驚いているに違いない。まだ遠いが、こちらに走ってくるものと思われる。 「・・・・・・・ん〜、自警団が魔物退治をしたっていきいたんだが。それは間違いだったのかな?」 「いや〜、一応、第三部隊はこのことに関与していませんから。魔物退治は他の部隊の仕事ですし」 「・・・・・で、どうするんだ?倒してこのまま行くか、あえて倒さず回り道するか。おれはどっちでもいいぞ。あのおっさんの依頼はマリアに会うこと、だ」  2人は大物なのか、ただのんびりしているだけなのか。そのことを頭の中で考えながらも言葉を発した。おっさんとは執事のことである。 「悪いことをしているようには思えませんから、このままでいいんじゃないですか?俺は回り道」 「ディムルの言葉、前にも聞いたことがあるようにも思えるが・・私も回り道を。杖をまた倒せばいいわけだし」  シュウ、アーシィの2人は回り道を選んだ。今までは獣道を歩いてきたが、今度は道無き道を歩くこととなる。草をかき分けて進む3人。  しばらくして、少し広いところに出るとアーシィはまた杖を倒した。大丈夫なのか?信じていいのか?と、疑惑の目を向けるシュウとディムル。その目に気がついているのか、またっく、気がつかないのか、自信を持って歩き始める。あても無く歩くよりはまだいいと一緒になって歩く。今度は一応、道があるため疲れなくてすむ。  遠くに行楽客と思われる人々が下山しているのが見える。ぞろぞろ子連れの親子、ベタベタのカップル、老人会できたと思われる爺さん婆さん、等々。 「やっぱり、この爆発で、ですかね」 「多分な。一般人には恐怖にしかならないだろ?それで、さっきの質問。マリアがやったか、アーウィルか」 「さあなぁ・・」 「どうでしょうね」  2人とも答えは出ないようだ。マリアの実力を完全に知っているわけではないので、ディムルも答えは出せない。爆裂魔法お壌のあだ名を知っているのと路上で小さな爆発を起こすのを見たことがあるだけ。ここまでの爆発はない。  すると、アーシィがのぼる煙を見つけた。 「・・・ん〜、あれは爆発の煙と思っていいのか?」 「おそらく」  3人は煙のする方向に走った。一位アーシィ、シュウ、ディムルはほぼ同着。わずかにシュウが速かったか。これは余談である。  そこにあったのは見事なまでのクレーター。周りにいるのはマリアとケイン。お互いが向き合う感じだ。3人はマリアからみて右、ケインから見て左の方向、2人がつくる弧のちょうど真ん中にいる。その時、3人の反対側から、セリーヌ、ロイ、アーウィル、ローラが現れた。  後は二日酔いのアルベルトとヴァネッサ、エンフィールド学園生徒トリーシャ、クリス、シェリルを待てば、役者は揃う。 ●第48話 投稿者:HAMSTAR  投稿日:10月22日(日)14時48分23秒 「お前じゃないのか・・・だとすると、アーウィル、お前の生まれ故郷のやつがここいらにいると聞いたことは?」 「ないね。どうして僕と同郷の人間だと?」 「いや、お前みたいな人外魔境なのがあちこちにいるわけないし・・・お前の故郷ではお前みたいなのが量産されているんじゃないか、と思ったんだが」  クレーターの周囲には、今話していたケイン、アーウィルのほかに、自己紹介を互いにすましたアルベルト、ヴァネッサ(二日酔い)、クリス、シェリル、トリーシャ、マリア、ディムル、シュウ、アーシィ、ロイ、セリーヌ、ローラが集まった。全員が全員、道に迷っていた。  「そんな奇妙な物語はおいといて、今はこの爆発について考えよう」  アーシィが口をはさむ。まぁ、それが正論だが。 「そうだな。とにかくいまの状況はだ・・・」  ディムルが指折り挙げていく。 「みんな道に迷った。謎の爆発がすでに二回。誰がやったかも不明」 「最悪ですね・・・」  シュウがため息混じりに肩を落とす。ちなみに、歳若いクリスたちは黙ったままだ。この状況では経験がものをいうと、本能的にわかっているようだ。  唐突にケインが動いた。近くの木の幹に振り子を刹那のうちに絡ませると、鋼線が幹を両断。音を立てて倒れる。そして、切り株を観察する。 「・・・ねぇ、なにやってんの?木なんか切って・・・」  マリアが問い掛ける。他の者も呆気にとられているようだ。それらを無視して、ケインが呟く。ある方向を指差して。 「年輪からすると・・・南西、つまりエンフィールドはあっちだ。さっさと帰るぞ」 「えぇ〜帰っちゃうの?!こ〜んなことやれる魔法使いがいるかもしれないのに?」 「君子危うきに近寄らずだ。―だいたい、そいつにあってどうする?弟子入りでもするか?最初に言っておくがな、地面を溶かすほどの熱量もった魔法を放てるやつ相手に、打つ手なんぞない!障壁で魔法自体は防げても、魔法の影響で発生した熱による気温変化まで防げないんだ!干物になりたいんなら止めんがな、俺はまだ死ぬつもりはない!」  マリアの反論に、ケインは一気にまくし立てる。セリーヌも口を開いた。 「そうですよ〜マリアちゃん。変に刺激して干物になっちゃったら大変ですよ〜」  その他の子供も一斉にうなずく。マリアだけが、むくれている。 「ディムル、アーシィ、マリアの説得頼めるか?」 「いいよ」 「じゃ、俺は先に行く。―このあとどうするかは、自分たちで決めるんだな」  淡白に言い放って行こうとするが、 「ケインさん、僕らの護衛はしてくれないんですか?」 「・・・なら、ついてこい。今日は自由行動すると神父にも言ってあったはずだ。お前らがどうしようと、俺に保護義務はない」  ロイの一言に、かなり黙り込んでから答える。その瞬間、  ズン、ズン、ズン・・・  なにかが近づいてくる。爆音のようでもあり、足音のようでもある。それも、進みかけていた方角、つまり、エンフィールドのほうから。 ●第49話 投稿者:ashukus(宇宙の道化師)  投稿日:10月22日(日)21時54分13秒 「…! これは……!」  その足音とも爆音ともつかない連続する音を聞き、アーシィが顔色を変えた。 「この反応は……なるほど、確かに自分と同郷と言えば言えるな……」  接近する音に、アーウィルの呟きは掻き消され、誰の耳にも入らなかった。 「アーシィ。知ってるのか? この音を」  緊張で、だいぶ酔いが醒めたらしいアルベルトがアーシィに尋ねる。  アーシィは重々しく頷き、 「とにかく、逃げたほうがいい。説明は生き延びた後」 「……いや、どうやら手遅れらしいぞ……」  ディムルがぼそりと呟き、槍を構える。  同時。  目の前の木々が薙ぎ倒され、身長十メートルはある巨大な人型の影が出現した。 「な、何だこりゃあ!?」  それは、まるで武骨な鎧を纏った武者のようだった。しかし、肌の露出している部分は無く、 顔面も完全に仮面のようなものに覆い隠されている  「やはり……! しかし何故こんなものが……?」 「おいアーシィ。一人で盛り上がってないで、説明してくれ。何なんだこれは!?」 「古代の魔法技術で製作された、自律行動型魔法兵器。ごく稀に作動しているものが遺跡で発見されて、 多くの被害者を出す事がある」 「おい、魔法兵器って……」  アルベルトが放つ言葉を断ち切るように、巨大な鎧武者が吠えた。 「……!」  音、と言うより、巨大な衝撃が周囲の木々を打ちのめす。  そして、その頭上に視覚を焼き尽くすような、強烈な白い光が出現する。 「くっ……!」  全員が反応するより、何かの行動をとるより早く、その光球が射出された。  炎は、ある一定以上の温度に達すると色を失う。空気が焼き尽くされ、仮に白い色がつくだけ。  一瞬にして、視界が白一色に塗り潰される。 『右腕部特殊兵装<戮皇>・緊急発動 第一起動→第四起動 出力加圧  反射系・視覚素子直結 リミッターカット  現在の反射速度 通常の約四十二倍を計測』 「<戮皇>よ!」  白一色で埋まった光景に、声が響く。  そして、先程の咆哮を凌駕するほどの咆声が飛ぶ。  白い光が、まるで硝子を砕くように割れた。  光だけではない。熱も、音も、全てが涼しげな音を奏でながら砕け、霧散し、掻き消える。 「如何に強力で強大であろうと、所詮は火力のみの量産型。最強にして最凶の魔法兵器、この<戮皇>の前に散るがいい」  装甲を震わせて唸りを上げ、表面に青い光を漂わせる<戮皇>を構えて、アーウィルが無表情に呟いた。 「おい、今のは一体?」  既にナイフを抜き、構えたケインが尋ねる。 「説明は後だ。こいつは自分が引き受ける。恐らく、最も脅威度の高いものを優先的に攻撃するようにプログラムされている筈だ。 皆を連れてエンフィールドに逃げろ」 「くっそうだなしかたない、いくぞ!!」 アルベルトはそう言うと全員を連れてエンフィールドへと向かう その時、巨大なエネルギーの衝突による爆発が起きた、音そして衝撃波が一行を襲う 「なっ!!」 「うわぁぁぁぁ・・・・・」 「いたたたたたたた」 マリアは目を覚ました。だが辺りが真っ暗だ、そう今朝の夢のように、とりあえずマリアは如何にしてこうなったかを考える 「たしか、みんなでエンフィールドへ帰ってたらまた爆発が起こって・・・・みんな飛ばされちゃったんだった」 状況を理解したマリア、とにかくじっとしても意味は無いし魔法を唱える、照明魔法だ 「エイッ☆」 辺りが明るくなったここは洞窟のようだ、そして後ろと前に道があるどっちかが出口だろう、とりあえずある程度の視界を確保したマリアは歩き出した と、奥に小さな光が見える、マリアは今朝の夢を思い出しまさかと思い後退りする 「もしかして〜」 案の定その光は唸り声をあげマリアへ近づいてきた、と言うより走ってきた 全力疾走するマリア、と出口か?先が明るいこれまた夢通りだが、マリアはその光に飛びこんでいった ●第50話 投稿者:タムタム  投稿日:10月24日(火)20時00分20秒  光の中に飛びこむと、そこには木々や草が生い茂っている。どうやら外に出る事が出来たようだ。何だか力が抜けその場に座り込んでしまいそうになるが、後ろから聞えてくる唸り声にはっと振りかえる。 「うっそ〜」  そこにいたのは白い毛並みをした狼のような動物。しかもかなりの大きさで、角まで生えている事から魔物と推測できるが、この様な魔物が確認された例は報告されていない。  低い唸り声を上げながら、子牛ほどの大きさの体を沈め飛びかかる体制をとる。狙うは・・・マリア!  どうやらアルベルトとクリスは仲良く吹き飛ばされていた様だ。気が付いた時には何故か魔法学園の生徒に囲まれてはいたが。 「一体何をしていたんです?」  質問と言うよりは尋問しているかのように、引率の先生がアルベルトに問い掛ける。 「何って言われてもな・・・」  馬鹿正直に言うわけにもいかず、上手い言い訳を考えるが・・・思いつかない。その代りに重大な問題を思いだし大声を張り上げる。 「ここにいたら危険だ!今すぐ山を降りるぞ!」  突然の事に生徒達がざわめき始めるが、クリスが判り易く事情を説明したおかげで、混乱する事無く下山を開始する。  ちなみに、そこにいないマリア、トリーシャ、シェリルの三名はヴァネッサと一緒に先に下山したとクリスが嘘をついたため、問題は発生していない。 『ルーン・バレット』  マリアは先手必勝とばかりに魔法を唱える。すると、四発の火球が生まれ魔物へ向けて突き進む。珍しく成功したようだ。が、 「・・・うそ・・・」  信じられないと言った表情で魔物を見る。それもそのはず、着弾したはずの火球が表面で弾かれ、魔物のはるか後方で爆発する。  その魔法に触発されたのか、魔物は『グガァ!』と鋭く吼え、一気にマリアへと躍り掛かる。 ―やられる―そう思い反射的に目をきつく閉じる。が、いつまで経っても何も起こらない。恐る恐る目を開けると紫色のコートが見えた。魔物はその前方、距離は三メートルほど。 「大丈夫だったかい?マリアちゃん」  どうやらアーシィが助けてくれたらしい。だが、魔物は未だ目の前にいる。恐怖を覚えたマリアが口を開くより早く、魔物へ六発の魔法弾が射ち込まれる。すると、魔物の身体が形を失い消失していく。 「何、今の?」 「・・・今の魔物は実体を持っていなかった。おそらく、アーウィルが戦っている魔法兵器も同じだろう」  マリアの質問が聞えていなかったのか、アーシィは独り言のように呟く。 「説明して!」  今度はさっきよりも大きい声。その様子に驚きながらも、アーシィは説明を始めた。 「ん〜。これは私の推測なのだが、先ほどの魔法兵器と魔物は魔力で形成された物だろう。魔法兵器は覚えているね?」 「うん」 「あれは精々二、三メートルくらいの物しか造られていない筈なんだ。十メートルを超える物は殆ど無い。ろくにしまう事も出来ないからね」  そこまで言い一息つく。そのとき、何かが近付いて来るような音がした。ガサガサ!茂みが揺れ、姿を現したのは自律行動型魔法兵器。大きさは2メートル程度。アーシィは瞬時にカードを取り出し呪文を唱える。その手にあるのは緑色のカードが三枚。 『すべての源たるその力を解き放て≪フォース・プレリュード≫』  手にしたカードから地の属性の魔力が開放されアーシィの周りを漂い始める。魔法兵器が近付こうとするが続けて呪文を唱え始める。左手に一瞬魔方陣が現れ、 『バインディング・チェイン』  聞いた事の無い魔法が放たれる。地面から巨大な鎖が多数生え、魔法兵器を絡め取る。 「今のうちに逃げるか」  何やら騒ぎ立てるマリアを抱え(俗に言うお姫さまだっこ)凄まじいスピードでその場を後にした。