●第11話 投稿者:ashukus  投稿日: 9月25日(月)03時55分19秒 「うーむ、しかたない」 リカルドの話によればこうだ、今朝方、流れの情報屋から情報で巨大な義腕を持った 男がエンフィールドの方へ向かってきたらしくその男と言うのが傭兵稼業の間では少々名が売れており <城砦潰し>の異名を持つ、ウィップアーウィルらしいというのだ、 ちなみにマリアが聞いた<城砦潰し>と言う異名についてだが、リカルドもあまり詳しくは分からないようだが、 彼は攻城戦などを最も得意としていたらしくそれが関係しているのではないか、だそうだ。 そして彼がなぜエンフィールドへとやって来たかは分からないが、念の為、傭兵稼業の方面に詳しいリサを呼び、 さらにエンフィールド中の見回りの人数を増やしていたというのだ。 そこであの騒ぎである。という訳で自警団としてもまだ詳しいことはなにも分からないらしい。 「ふ〜ん☆そうなんだ〜」 「でも、あの方は私を助けてくださいました、悪い人には見えないのですが・・・」 「確かに、こちらに何か危害を加えたわけでもないからな・・・・」 「でもさ、お父さん、なんでもっと早く教えてくれなかったの?」 「下手に話したところで不安にさせるだけだろう」 「街中、自警団の人ばっかりでも不安だと思うんだけど・・・」 「・・・それは・・・・・まぁ・・・な」 「それにしても、二人ともいつまで話してるのかな〜」 トリーシャは再びドアに貼りつき中の様子を探ろうとする、と カチャ 「えっ」 ゴン 突然ドアが開きリサとアーウィルが出てきた、トリーシャはもろに側頭部をドアにぶつけてしまった 「いたたた」 「なにしてるんだい、あんたは」 「えーと、大丈夫かな?」 「えっ、あ・・アハハハハハハ、大丈夫」 トリーシャはアーウィルの言葉に一瞬あっけに取られたようだ と、リサが今回の事について話し始めた ●第12話 投稿者:YS  投稿日: 9月26日(火)06時05分57秒  リサが状況説明を始めたころ、ヘキサはセリーヌを教会に送り届けていた。 「おい、着いたぞ」 「ありがとうございます〜、ちょっと待っててくださいね〜」 「おう、早く食い物持ってこいよな」  ・・・数分後、 「・・・遅い」  さらに数十分後、 「セリーヌの奴、まさか教会で迷ってるんじゃないよな」  一方リサ達は・・ 「・・・と、言うわけなんだよ」  リサが説明を終わらせていた。 「つまり、ただの勘違いだったってこと?」 「ぶ〜☆ つまんないの〜」 「当然です」  トリーシャとマリア、それにクレアが言う。 「ふむ、では皆に知らせてこなければいかんな」  そういうと、リカルドはその場を離れた。  そして、ヘキサの方はというと、きっちり1時間待たされてから、セリーヌと再会した。  セリーヌの手には、二つの包があった。 「まさか、教会でまで迷ってたんじゃないよな」 「すいません、迷っていました〜」  その通りだった。 「・・・まあいいか、それより食い物は?」 「すいません、今ちょうど切らしてました〜」  トドメになった。 「うう〜、俺のメシ〜」 「それで、今度はジョートショップまで行くんですけど〜、一緒に行きませんか〜」 「ジョートショップ?」  そういえば、今日通った時にピザを焼く準備をしていた気がする。 「はい〜、どうでしょう?」 「よし、案内してやる」  ピザをめざした空腹のヘキサは、あっという間にジョートショップにたどり着いた。 「まったく、冗談じゃないよ。人騒がせなんだから」  そこには自棄になってピザを食べているリサがいた。 「ん〜、そうですね」  そして、その前には今日はひたすら人の愚痴を聞き続けていたアーシィがいた。 「あ、ローラさんもここにいたんですね〜」 「あ〜!セリーヌさん、あたしの焼いたクッキー間違えて持っていったでしょ〜」 「あんなまずいのどうする気だったんだよ」 「何かいった、ヘキサ」 「いや、別に」 「はい、ローラさん。アーシィさん」  そういって、ローラとアーシィにそれぞれ包を渡す。  アーシィが包を開けると、そこには彼がなくしていた愛用の銃があった。 「どうしたんですか?これ」 「はい〜、迷った時に拾いました〜」 「それより、ピザくれ、ピザ」  そういいながらヘキサは部屋に入っていく。・・・が、 「な・・・ない、俺のピザ〜!!」 「昆虫に食べさせるピザなんてないッス」 「ごめんなさいね、ピザはリサさんが食べてるので最後なの」  その最後のピザもすでにない。  完全にトドメをさされ、呆然としているヘキサの横を事件のことを伝えるために自警団員のシュウが走っていった。  こうして、平和な街、エンフィールドの一日は終わった。 ●付章 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 9月27日(水)13時27分33秒  ……そんなわけで、妙な住人の多いエンフィールドに、また妙な住人が一人増えた。  それで、この事件は終わりの筈だった。多くの人々にとっては。  さくら亭の客室の一つ。 「うーむ。リサがこの街に居たとは。予想外だったな。道理で治安組織の反応が早いわけだ」  完全な暗闇の中、微かに金属音が連続する。 「……まあ、あれで誤魔化せたとは思ってないけどね。……そろそろ出てきたらどうだ? 何か 話があるんじゃないかな?」 「ふん……さすがは<夜鷹>の名を持つだけのことはあるね。夜目がきく。話ってのは、大体 見当がついてるんじゃないかい?」  暗闇に響く声が二つに増えた。 「自分は口下手でね。そちらから言ってもらえるとありがたいんだが」 「じゃあ、昼間もした質問をもう一度だよ。……この街に何の用だい? あの時はドアに三人も 張り付いてたからはぐらかされたけど、今度は喋って貰うよ」  言葉が空気を振動させると同時、何か鋭いものが宙を走る音が響く。 「喋らなければ喉を掻き切る、と言いたいのかな? このナイフで」 「あんたにこんなものが通用するとは思ってないよ。これはこっちが本気だっていう意思表示さ」  ふう、という吐息が漏れる。 「とりあえず、この街を”潰す”つもりはないことは納得して貰えたよな?」 「まあね……信じられないけど。それ以前に信じられないのは、あんたの行動だよ。腑に落ちな いことばかりだ」 「例えば?」 「クレアを助けた事と、アルベルトを殺さなかった事。以前のあんただったら、目の前で人がどうなろうとなんとも思わなかったはずだ。ついでに、自分に対して攻撃の意思がある者なら、気絶し ていようと何だろうと、原形を留めない肉片に変えていた」 「酷い言われようだな」 「事実だよ。あんたの攻撃対象になって、原形を留めていたものは何も無いんだよ。何もね」 「また人聞きの悪い事を……」 「あんたの異名<城砦潰し>……これを文字通りの意味に受け取る奴は、まずいないだろうね」 「そういうことを言い触らすのは止めてくれよ。……で、以前の自分について知ってるのは今の 所誰と誰だ?」 「聞いてどうする? そいつらを消すかい?」 「必要ないね。余程の馬鹿でない限り、そのことを吹聴してまわったりしないさ」 「……その様子だと、喋るつもりは無さそうだね」 「ふーむ、やはり誤魔化せないか」 「ふん……まあいいさ。改めてあんたに戦争をやるつもりが無いことが確認できただけでも収穫 だよ」 「収穫があったついでに、このナイフどけてくれないか? 喉元に刃物を突きつけられるのは趣味 じゃないんでね」 「やっぱり変わったね……あんたが笑ったり冗談を言ったりするとは……はっきり言って、悪夢みたいだよ」 「何か、さっきから凄まじく酷いことをポンポン言われてる気がする……」 「気のせいだよ。じゃあ、今のことはさっさと忘れて、いい夢見なよ」  同時に、微かにドアの金具が軋み、部屋の中には気配が一人分取り残された。 「喉に刃物突きつけられた後で、いい夢が見られるか。まったく……」  ぶつぶつ愚痴りながらも、その気配は数分後には安らかな寝息を立てていた。 ●13話 投稿者:タムタム  投稿日: 9月27日(水)18時52分12秒                   『消えた人形』  例の騒ぎから1週間。街はおおむね平和だった。しかし、事件は突然訪れた。 「あなた方に頼みたい事があるけれど、よろしいかしら?」  イヴがジョートショップを訪れたのはお昼過ぎ。調度、アリサの焼いたピザを食べ終えた頃だった。テーブルを囲んでいるのはアリサ、テディ、アーシィ、アルベルトの4人。 「いらっしゃい。イヴ、どうしたんだい?」 「こっちへ来て座るっス」 「ええ。そうさせてもらうわ」  アーシィとテディがそれぞれ声をかけると、イヴは少し暗い表情でテーブルへ歩み寄って来る。 「アルベルトさんも居たのは好都合ね」  チラッとアルベルトの方を見てから椅子に腰を掛け、ゆっくりと話し始める。『突然消えた人形』について。 「冗談だろ・・・」  少し青ざめながらアルベルトは呟いたが、アリサは平然としているし、アーシィは何やら考え込んでいる。 「冗談を言いにここまで来るほど暇ではないわ」  口調が少し強くなっている。が、別に怒っている訳ではない。・・・多少焦っているかもしれないが・・・。そのとき、考え込んでいたアーシィが口を開く。 「ん〜・・・ありえない事じゃない・・・。けど・・・」  過去に見た、ルーク・ギャラガー氏の人形。実際、生きていると思わせるほどの完璧さ。確かにイヴが言ったような事が起きても不思議は無い。その内容とは次の通り。 ―カタン。微かな物音と共に目が覚める。今は真夜中。屋敷の中には彼女の父、ルーク・ギャラガーの製作した人形が多数保管されている。  少し不安になった彼女は念のため、人形の保管してある地下へと降りていく。だが、部屋の鍵は掛けられており、誰かが侵入した形跡も無い。気のせいだと思い自分の部屋へと戻ろうとしたとき、カタカタカタという音が響く。どうやら、保管室の中から聞えてくるようだ。イヴは鍵を外し、扉を無雑作に開く。  音の原因はすぐに判った。箱に保管されていたはずの人形が上体を起こし、こちらを見て笑っていたのだ。その人形はイヴの目の前でふわりと浮かぶと、跡形も無く消え去った。その箱に刻まれたbヘ294・・・―   「・・・以上の事を自警団とジョートショップへ正式に依頼するけどよろしいかしら?」  イヴはそう言うと、静かに返事を待つ。先に口を開いたのはアリサだった。 「ええ。お願いね、アーシィくん」 「分かった」  続いてアルベルトが口を開く。アーシィは軽く頷いた。 「よろしくお願いするわ」  そう言うと、イヴはジョートショップを後にした。 「・・・アル、協力してやろうな」 「・・・そうだな・・・」  二人は顔を見合わせ、軽くため息をつく。依頼の内容、それは、『普通の人形に戻し、傷をつけずに持ってくる事』である。アーシィは心の中で呟いた。 (アリサさん。はっきり言って難しいです。この依頼・・・) ●第14話 投稿者:ashukus  投稿日: 9月28日(木)23時01分26秒 「ん〜何処からあたったらいいものか・・・」 「人形の行きそうなところじゃねえのか」 アーシィは何処だそれは?と思いつつ人形の行きそうな場所を考える 「んっ」 「おっ、なんかおもいついたのか?」 「ん〜いや、今日は彼どうしたんだ?」 「彼?ああシュウのことか?、なんか朝からどっか行ってるみたいでよ、 時々ふらっとどっか行っちまうんだよなアイツ」 今朝、自警団団員寮 「おい、シュウいくぞ」 「・・・・・・・」 部屋からの反応は無い 「あん?、あいつまだ寝てやがるのか」 ガチャ 部屋には誰も居ない 「・・・・・なんだ先行ったのか?・・・と鎧は置きっぱなしか、 まぁアイツは普段からあんまり着けてねぇけどよ・・んっ、アイツの刀が無ぇな やっぱ先行ったのか」 「てなわけでな、結局事務所には来てなかったし、 たしか前のバイトもサボりすぎてクビになったらしいしな、ったくよー何処いってんだかな」 「はは、それは大変だな、さてどうする?まずは情報でも集めるか?」 「まぁそれしかねえな」 「ん〜何か知ってそうなのは魔術師組合かカッセルじいさん辺りか」 「どっちから行くんだ?オレはどっちでもいいぜ」 「・・・・・・・・・」 と、アーシィが突然黙り込む 「あん?、どうした」 「いや、なんか視線を感じたんだけどな」 「気のせいじゃねぇのか」 「ん〜・・・そうか?・・・」 ●第15話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日: 9月29日(金)14時46分02秒 「ほう……No.294か……思ったより早かったな。流石はルーク・ギャラガー、と言うべきか」 「え? 何か言った?」  カウンターに座ったリサと話していたパティが、顔をもう一人の知り合いに向ける。 「ん? いや、何も言ってないけど?」  巨大な義腕を隣の席にのせ、大量のホットケーキを恐るべき速さで平らげている、まだ少年の面影の残る男が答えた。 「そう? 何か聞こえたような気がしたんだけど……」 「気のせいじゃないかな?」  まだ首をひねっているパティを見ながら、アーウィルは意識を眼前のホットケーキに戻した。 (ふむ、考え事をしているときは独り言に注意しなくてはな、悪い癖だ)  それにしても……、と手を休めずに思考を続ける。 (いきなり大当たりか。この街に来て正解だったな。ルーク・ギャラガー、か。できれば生きている内にその存在を知りたかった……)  ……と。 「ん?」  今、さくら亭の前の道路を誰かが通り過ぎていったようだが…… 『視覚素子・精密視界情報 思考中枢内に蘇生』 (シュウか……しかし、どうも妙だな?)  何か引っかかる。 (とりあえず、このことは覚えておこう、念のため) 『圧縮記憶野・精密視界情報 圧縮記録……完了』  その後、1時間ほどは何事も無く過ぎた。  丁度、例の騒ぎから一週間経つので、今日のさくら亭は開店休業状態だ。  リサはコロシアムでピザの早食い大会があるらしく、いつの間にか姿が消えている。 「暇ねー」  とあくびをしながらパティ。 「同感」  と本を広げながらアーウィル。 「ねえ、それ何の本?」  よほど暇らしく、普段はあまり本を読まないパティが、アーウィルの広げている本を覗き込む。 「えーと。あ、これイヴのお父さんのことじゃないの?」 「そ。稀代の人形作り、ルーク・ギャラガー」 「へー、こういうのに興味があったの? アーウィルって」 「……その意外そうな視線は一体……」 「気にしない、気にしない」  「……コッペリア効果って知ってるか?」  唐突に、アーウィルが話題変える。 「? 何それ?」 「長年にわたって使用された器物に生命が宿る現象の事だよ」 「……そんな事があるの?」 「あるんだよ。特に、人形に多い。邪精霊なんかの憑依と混同されやすいが、ゴーレムなどとは全く異なる、本当の生命が無機物に宿るんだ」 「へえー。じゃあ、イヴの所の人形も、そのうち動き出すのかな?」 「さあね……。ただ、問題なのはそういった人形の扱いだな」 「どういうこと?」 「さて、どういうことだろうね……」  と、ふいにパティの目が焦点を失い、瞼が落ち、寝息を立て始めた。 「とりあえず、自分が外に出ている間は眠っていて貰うよ。厄介事を増やしたくないからね」  そっと、カウベルが鳴らないようにドアを開け、外に出る。 「No.294を人形に戻させるわけにはいかないな……たとえ、元は人形だろうと、今は一つの生命なのだから……」 ●第16話 投稿者:タムタム  投稿日: 9月30日(土)23時01分23秒  カランカラン、カウベルが軽い音を立てて客の来訪を告げる。入ってきたのは若い男。だが、パティはその事に気が付かず、静かな寝息を立てている。男はカウンターに座るとその寝顔を見つめた。そこで、ようやく眠りから覚めたパティが顔を上げる。 「・・・あれ?いつの間に寝ちゃったんだろ?」  とりあえず、記憶をほじくり返してみる。確か、アーウィルと話していて、人形の本を見て、それから・・・?そこで記憶が途切れてしまう。いきなり寝ちゃったのかな?そんな事を考えながら何気無く隣を見ると、一人の男と目が合う。 「や、パティ。起しちゃったかな?」 「ア、アレフ!いつから居たのよ!」  寝顔を見られていたかと考えると、『何故』居るのかよりも、『いつ』から居たのかが気になってくる。 「さっきからさ。パティのかわいい寝顔を見ていたら起す気になれなくってね」  どうやら、しっかりと見られていたようだ。そう考えると、今度は気が遠くなってくる。 「で、何しに来たのよ」 「冷たいなぁ。パティが淋しがっていると思ったから、会いに来たのに」  アレフはそう言うと少し淋しそうな顔をする。 「あら、あんたが来なくても別に淋しくないわよ?・・・暇だったけどね」  だが、帰ってきた答えはそっけなかった。  ここは陽のあたる丘公園。散歩に来た人や、遊びに来た子ども達で賑わっていた。だがそんな中に、一人で遊んでいる少年がいた。リオである。 「・・・誰かな?」  リオは一人呟く。さっきから、こちらを見ている少女がいる。歳はリオと同じくらい。短めの黒い髪に、黒い大きな瞳。そして、赤いワンピースに大きめのブローチが輝いている。 『なんだかお人形みたいだ・・・』そんな可愛らしさを持った少女に目を奪われる。すると、向こうもリオの視線に気が付いたのか、小走りで近寄って来た。 「ねえ、何しているの?」  少女は覗き込む様にして尋ねてきた。リオより少し背が低いため、そうなってしまう。 「・・・遊んでいるんだ・・・」  恥ずかしさのせいか、少しうつむいて答える。 「一人で?」  その言葉に、リオの表情が暗くなる。別に、一人で遊ぶのが好きなわけではない。皆と一緒に遊べないだけ。 「じゃあ。一緒に遊ぼ」 「え?でも・・・僕・・・」  いきなりの言葉に上手く口がまわらない。そんなリオにかまわず、少女は手を引っ張っている。 「いいでしょ?初めて外に出られたんだもん。最初の友達になってよ」  最初の友達?考えてもどう言う事なのかはわからない。だけど、少女の嬉しそうな顔を見ていたら、そんな事はどうでも良くなってきた。 「うん。いいよ。僕はリオ・バクスター」 「リオっていうんだ。ヨロシクね。わたしは・・・」  そこで少女の口が止まる。少し考えた後、にこっと笑い 「なんて名前だと思う?」  少女は少し悪戯っぽく訪ねた。  その頃アルベルトは旧王立図書館にいた。アーシィが『人が集まる場所に情報は集まる』と言ったのと、もう一度情報の確認をするためである。アーシィ自身はカッセルのところへ出かけてしまっているが。 「人形の外見は12,3歳。黒い髪と眼。背は130cmくらい。赤いワンピースとブローチが特徴っと、これでいいのか?」 「ええ、その通りよ」  今日は図書館にきている人が少なく、情報収集ができない。確認だけで終わりそうだと、アルベルトは考えていた。それにしても、別れ際に呟いたアーシィの言葉が、気に掛かる。 『邪精霊が原因ならまだ・・・でも、もし違ったら・・・』何が言いたかったのかは分からなかった。だが、それ以上に気になる事がアルベルトにはあった。 『何故、今日は自警団の人間がいないんだ?』  彼は、今日が休みだと言う事に気が付いていなかった・・・。 ●第17話 投稿者:ashukus  投稿日:10月 1日(日)18時51分04秒 日が傾き始め空が赤く染まる アルベルトは小走りでアーシィとの合流地点に向かう と、後ろの方から声がする 「アル、どうした?そんなに急いで」 アルベルトは後ろを振り向く 「隊長!」 振り向いた先には自警団第一部隊隊長リカルド・フォスターが立っていた 「そういえば隊長、なぜ今日は自警団の人間がいないのですか」 アルベルトの妙な質問にリカルドは一瞬考え込んだが 「アル・・・・今日は皆非番だろう」 「あっ・・・・」 アルベルトの頭上でカラスが鳴いている 合流地点 「アーシィ、外見は大体把握できた、こんな感じだ」 アルベルトはアーシィに外見を書き記したメモを渡す 「なるほど、外見は普通の人間と変わりは無さそうだな」 と、アルベルトが思い出したように 「そういやぁよ、あん時に言ってた事はなんだったんだ?邪精霊の憑依が原因じゃなかったらとかなんとか」 あの時とはアーシィとの別れ際のことである 「ん〜実際に見てみないことには断言は出来ないけど、No.294が動き出した原因として 二つの可能性がある、一つは邪精霊の憑依、もう一つがコッペリア効果によるもの」 「コッペリア効果?なんだそりゃ」 「長い間使われた物に生命が宿る現象のことだ、実際に起こるとは思わなかったけど」 「邪精霊の憑依とかとは違うわけか?」 「よく一緒にされることが多いけど実際には全く違う、コッペリア効果で動き出した物それは既に個の生命なんだ」 「生命ね・・・・それで、居場所なんかはわからねえのか」 「ん〜動けるようになったからには人形だった時にやりたかった事をしている可能性が高いな」 「あん、やりたかった事?」 アーシィは少し考え込んで 「ん〜例えば・・・外に出て遊びたいとかだな」 陽のあたる丘公園 この時間になると遊んでいる子供達もいなくなり、今公園内には二人の子供が残っている。 「あ〜楽しかったね」 謎の少女 「うん」 そしてリオ と、リオはふと時計に目をやる 「あっ、こんな時間、僕もう帰らなきゃ・・」 リオのこの言葉に少女の顔が少し暗くなる 「えっ・・・・・そうだよね・・・」 「う、うん、ごめんね」 「いいの、それじゃあねバイバイ」 少女に笑顔が戻る、だがその笑顔はそれまでの笑顔とは何かが違っている 「うん、それじゃあ」 と、リオは少し歩いたところで突然立ち止まる 「あの、君の名前は・・・」 振り返った先に少女はいなかった ●第18話 投稿者:宇宙の道化師  投稿日:10月 2日(月)12時42分44秒 「リオ」 「え?」  名残惜しい気持ちで家路についていたリオに、唐突に声がかけられた。  振り返り、思わず後退る。 「えーと、すまん。どうもこの格好だと子供に敬遠されるみたいだな」  いつの間に接近したのか、振り返った先に巨大な義腕を装着した、背の高い男が立っていた。  小柄なリオから見ると相当威圧感がある上に、威嚇的な外観の義腕をつけている為、はっきり言って怖い。 「あ、あの……何の……御用ですか?」  何とかなけなしの勇気を引っ張り出して、言葉を作る。 「ああ、別に難しい事じゃないんだが、さっきの……えーと……」 「?」 「……ま、いいか。とにかく、さっきの女の子と遊んでたのは君だったな?」 「は、はい。そう……ですけど……」 「ありがとう」 「え?」  思わず聞き返したリオの言葉には答えず、その男はリオに背を向け、歩き出した。  少しの間、呆然とその後姿を見ていたリオは、はっと我に返ると慌ててその後を追いかけた。  先程感じた恐怖感は消えている。 「待って下さい! あの子のことを何か知っているんですか!?」  追いつき、その前に回り込む。  しばし、互いの視線が交差する。 「……知っている、と言えば言えるな……」  リオから目を逸らすと、独り言のように男が呟いた。 「じゃ、じゃあ……」   あの少女の、せめて名前だけでも尋ねようとしたリオの機先を制するように、再び男が口を開いた。 「……一つ、頼まれてくれないか?」 「……え?」 「明日、またあの子と遊んでやってくれ」 「え。そ、それは……もちろん……」 「そうか」  と、突然リオの視界がぐらりと傾いた。 (あれ……?)  同時に、急速に意識が曖昧になり、何も考えられなくなる。  気が付くと、いつの間に辿り着いたのか、自分の家の門の前に立っている自分にリオは気付いた。 「いったい……」  周囲を見回すが、誰も居ない。  公園からどうやってここまで来たのかも記憶に無いが、あの男が言っていた事ははっきりと覚えている。 『明日、またあの子と遊んでやってくれ』 「こちらは、もう大丈夫だな。安心していい。明日もきっと来てくれるさ」 「うん……」 (問題は、あの二人だな。どう出る? 場合によっては、少しばかり手荒な真似をしなければならないが……) 「あの……」 「うん?」 「もしかして……」 「君が何を考えてるか大体解るが、違うよ」 「…………」 「さて、もうすぐ夜だ。早いとこ、ここから離れよう」 (アーシィ、と言ったか。相当な切れ者のようだからな。そろそろ、結論に辿り着いていてもおかしくない……)  微かに、右肩から獣の唸り声のような低く重い音が響く。  それをなだめるように左手で右肩を撫で、背中に負った小さな人影を揺すり上げ、歩き出す。  耳を澄ますと、寝息が聞こえてきた。 (初めてだからな。遊び疲れたか。無理も無い……) ●第19話 投稿者:タムタム  投稿日:10月 3日(火)16時33分30秒  早朝、仕事へ赴く人達の中をリオは軽い足取りで駆けてゆく。昨日の、名前も知らない少女と遊ぶために、陽のあたる丘公園を目指して。 ―今日は何をして遊ぶのかな?―少女はベンチに腰を下ろし、リオが来るのを待っている。朝早いためか、公園にいる人はほとんどいない。そのため、公園に入ってくる子供の姿にすぐ気が付く事ができた。 「リオ。こっちだよ!」  少女も楽しみにしていたのだろう。大きく手を振りながら、声を張り上げる。 「おはよう。待った?」  走ってきたため、少し息が切れている。とりあえず落ち着こうと思い、リオは少女の隣に腰を下ろす。 「おはよう。さっき来たとこだよ。それよりも、これ似合うかな?」  少女は立ち上がると、リオの前でくるっと回って見せる。昨日と違い、薄いピンク色のスカートに白いシャツ。その上に、水色を基準とした少し大きめのパーカーといった、動きやすそうな格好。 「うん。似合ってる」  リオが頷くと、少女は照れたような笑顔を浮かべる。その笑顔にリオの顔が少し赤くなる。 「疲れてる?じゃあ、もうちょっとしたら遊ぼうね」  そう言うと少女はもう一度ベンチに座り、リオと喋り始めた。 「アーシィ、迎えに来たぞ」 「アル。随分早いな?」  アーシィがジョートショップで紅茶を飲んでいると、ノックもせずに扉が開かれ、アルベルトが顔を出す。その後ろにも、もう一人いるのが辛うじて見える。どうやら今日は、シュウも一緒のようだ。  取り合えず紅茶を飲み干すと、カップを置いて立ち上がり、テーブルの上にホルスターごと置いといた銃を腰に着ける。 「あら?もう行くのかしら?」 「そうみたいっス」  洗濯をしていたアリサとテディがリビングに出てくる。 「ア、アリサさん。お、おはようございます」 「迎えが来たんで、行ってきます」  アルベルトとアーシィが同時に声をかける。 「気をつけて行ってらっしゃい」  そう言い、壁に掛けてあった薄紫色のロングコートをアーシィに手渡す。 「行ってきます」  もう一度言い、三人はジョートショップを後にした。  ここは陽のあたる丘公園。三人は少女を捜して辺りを見まわしている。と、アルベルトの動きが止まる。 「お、リオじゃねぇか?あれ」 「何だか、楽しそうですね〜」  目線の先ではリオと少女が一緒に遊んでいる。本当に楽しそうで何だか微笑ましい。 『服装は違うが・・・特徴は同じ。・・・邪精霊の気配は無い様だ』  どうやら戦う必要が無さそうなので、ホッとしながら近寄って行く。  その様子を遠くから見守っていた男がいた。 「どう出るか様子を見たいところだが・・・心配だ・・・」  義腕の男、アーウィルはぶつぶつ呟きながら、彼等の方へ歩み寄って行く。今の所、話をしているだけの様だが、油断はできない。 「?」  調度、アーシィ達の後ろから回り込むような形になった為、少女は首を傾げながらこちらを見つめる。その様子を変に思ったのだろう、三人が一斉に振り向いた。 「うおっ」 「あの時のっ」  アルベルトとシュウの声が遠くから聞えて来るような気がする。意識がハッキリしない。アーシィはその義碗を見た途端、色々な記憶が浮かび上がってきたのを感じた。  子供の頃の記憶。封印の下に眠る、遠い過去。それは、自分を育ててくれた優しく美しいライシアンの女性、そして、低く響く機械音、壮年の男のやらしい笑み、・・・捕獲業者!そこまで思い出した途端、右手は勝手に動いていた。 「・・・!?」  抜く手を見せず、銃をアーウィルの額に押し付ける。が、トリガーに指は掛かっていない。『違う、あいつとは・・・違う。・・・まだ、思い出してはいけない』頭に響くその声を最後に、彼は気を失った。 ●第20話 投稿者:ashukus  投稿日:10月 4日(水)15時15分26秒 気を失ったアーシィにアルベルトとシュウが駆け寄る 「アーシィ!?」 「アーシィさん!!とにかくまずは病院に・・・ってアルベルトさん!?」 アルベルトはアーウィルにつかみかかる 「てめぇアーシィに何をしやがった!!」 「何もしていない、勝手に倒れたんだ」 実際アーウィルは銃を額に押しつけられたが、何かをしたわけではない、 だが前回の一件でアルベルトはアーウィルに対して過敏になっているようだ 「こいつ!!・・・・クッ、アーシィを病院に運ばねぇとな」 幸い日陽のあたる丘公園からクラウド医院は目と鼻の先だ アルベルト落ちているアーシィの銃を取りはアーシィを担ぐとクラウド医院へ歩き出した と、シュウが突然足を止め、謎の少女を凝視する 「オイ、どうした」 「・・・・・・・・・・・」 シュウの眼が凍ったように冷たくなりアルベルトの声にも反応しない、明らかに普段と様子が違う 「あ、頭の中に声が・・・・・」 シュウが少女の頭に直接語りかけているらしい 「う、うう《・・・・念波を受け取れるのか、本当に人形が命を持つとはな・・・ だが人形であったお前が人間社会に溶け込めると思うのか?・・・リオ、とかいったか そいつはもちろんお前が人間だと思っている。実はお前が人形だと知ったらどうするかな? 町の人間もそうだ、お前のような存在を受け入れるか?いや、迫害し追放するだろう》 な、なんでそんなことがわかるの?《・・・身をもって知ったからさ、 いつかお前も分かるさ『人間』と言うものの本質を、な・・・・・・・・ 残酷なことを言っているかもしれないがこれは事実だ、覚えておくことだな》」 「・・・・昨日の今日だからな、限界か」 シュウはそう呟くと普段の彼に戻った 「オイ!!、シュウ」 「・・・・えっ、あれっどうしたんですか?」 「どうしたじゃねぇよ、いきなり立ち止まったと思えばボーっとしやがって」 「立ち止まった?・・・・あれっ?」 もちろん彼に立ち止まったと言う記憶はない 「早く行くぞ」 「あ、はい」 アルベルト、シュウそして気を失ったアーウィルは陽のあたる丘公園を後にした クラウド医院 ガシャャャャャン 「ウッ」 「あぁ先生、すいません」 「・・・俺に謝る前に患者に謝れ・・・・」 ガラガラガラ 「グッ」 「あぁぁぁぁごめんなさい〜」 パリ〜〜ン 「あぁぁぁぁ」 「・・・・・・・・・・もういい」 アーシィのトーヤとディアーナによる診断(?)を受けていた、 だがディアーナは外に追い出されたのか待合室に座っている 「あ、えと、そう落ち込むなよディアーナ」 「アハハ、ありがとうシュウ君・・・・・・アハハ」 「・・・えと・・・・ああ」 ガチャ どうやら診察が終わったようだ 「大丈夫だ特に外傷も無かったはずだ、ただ気を失っているだけだ」 「その『無かったはずだ』ってのはなんなんだ」 アルベルトの質問にトーヤが少し呆れながら答える 「ここに来るまで外傷は無かったということだ」 「・・・・・・・・・・・・」 「まあ外傷と言っても軽いねんざ程度だがな」 一同しばし沈黙