updated Dec. 12 2000  派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)
 質 問 と 回 答 例 (F A Q)

4070. 派遣先に団体交渉を申し入れようと思うのですが?


 派遣先事業主も、派遣労働者を指揮命令し、労働基準法や労働安全衛生法の使用者責任を負うなど、派遣労働者の労働条件を直接に支配する立場にあります。したがって、派遣労働者の所属する労働組合の代表者との団体交渉に応諾する義務を負うと考えられます。

 最高裁判所は、派遣先使用者に、派遣労働者の組合と団体交渉する義務を確認しています。朝日放送事件・最高裁判決参照。

 『がんばってよかった 派遣から正社員へ』(かもがわ出版)には、派遣労働者が派遣先と交渉して成果をあげたいくつかの事例が掲載されています。

 とくに、最近では、派遣先事業主が、派遣労働者の採用、賃金査定、解雇に至るまでの幅広い問題で、派遣元事業主を飛び超えて使用者として振る舞う事例が増えています。こうした派遣先事業主の態度は、労働者派遣法の趣旨に反するものであり、直接の雇用責任を問われてもしかたがないものです。労働省も、派遣元事業主の存在を無視するような派遣先の直接面接などには、直接の雇用責任があることを認め、職業安定法第44条で禁止された労働者供給事業に該当すると、警告を発しています。

 このような違法な労働者供給に該当すると考えられる場合には、直接の雇用責任を含めて、派遣先は、使用者としての責任を負うと考えられますので、当然に、団体交渉の交渉事項としても、関連した問題が対象となると考えられることになります。

 ILO181号条約は、政府と使用者(派遣元・派遣先の両方を含む)に、派遣労働者の結社の自由と団体交渉の権利を尊重することを求めています。派遣先事業主が、派遣労働者の労働組合との交渉に応ずることは当然の義務です。

 派遣労働者が、独自に労働組合を結成する場合はもちろん、派遣労働者が組合が派遣先の正社員を中心とした組合(例えば、少数派組合)に加入したときにはその労働組合、また、地域の誰でもが加入できる地域労組(地域労連、一般労組、コミュニティユニオン、合同労組など)であっても派遣労働者が加入した労働組合であれば、派遣先事業主は、それらの労働組合と団体交渉に応ずる義務を負うことになります。


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