updated May 26 2000
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3360. 派遣先でセクハラ(性的嫌がらせ)の被害を受けたがどうすれば?
 派遣先会社の上司の男性と仕事のことで折り合いが悪くなり、皆の前で口論になりました。その男性上司は、異性関係が派手だという噂を流し、追い出そうとしました。それが原因でか、派遣会社が、それまで更新を前提にしていたのに、次の契約更新をしないと言い出しました。セクハラだと思いますが、どうすればよいのでしょうか?
(以下は、Aug. 24 1998付の回答です。その後、1999年12月施行の労働者派遣法では、派遣先のセクハラ管理責任が明記されています。)
 セクハラとは、労働省の指針では、
 「職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により女性労働者の就業環境が害されること」(職場におけるセクシュアルハラスメント) とされています。
 派遣労働関係では、派遣先が大企業(ここでは「大手の通信」会社)であること、派遣元が零細の業者であること、派遣労働者が弱い立場にあること、とくに女性が多いことなどから、派遣先の従業員が派遣労働者の人格侵害をする例が多くなるのだと思います。日本の企業社会に温存され続けている企業意識、正社員優越意識、男女差別意識が背後に潜んでいるのだと推測しています。

 ご相談の事例は、いわゆる「環境型セクシュアルハラスメント」(労働者の指針参照)に該当するものと考えられます。
 本来、従業員を守ることがたてまえとなっている派遣元も派遣先に強く対応して派遣労働者を守ることはしてくれません。

 セクハラは、派遣の関係でも同様に争えるのは当然です。
 最近の朝日新聞に、派遣労働者がセクハラを争った事件で次のような記事がありました。

 派遣社員がセクハラ被害と訴え 上司に一八〇万円の支払い命令
 派遣会社に勤める二十代の女性が、派遣先の東京の家庭用品販売会社の三十代の男性係長から性的人権侵害(セクシュアル・ ハラスメント)を受けた、として、この男性に、慰謝料や逸失利益など計約三八〇万円の支払いを求めた訴訟の判決が、三一日、東京地裁であった。山崎恒裁判官は、被告に約百八〇万円の支払いを命じた。
 判決によると、この女性は、派遣されて二日目に開かれた歓送迎会で酒に酔い、被告に送られる途中、ホテルに同宿した。被告が、眠り込んだ原告の服を脱がせたため、気がついた原告がバッグを振り回して抵抗すると、顔を殴るなどして、押さえつけた。原告は、けがと精神的ショックから出社できなくなり、就業の機会を失った。
 山崎裁判官は「原告が真意から同意してホテルに入ったとは到底認められず、仮に被告がどのように誤解したとしても、性関係を明確に拒否された以上、すぐやめなければならなかった」 として不法行為を認めた。(1997・2・1朝日)


 労働省は、派遣先の責任を明確にするためのガイドラインを定めました。

 派遣110番のホームページに「派遣元・派遣先が講ずべき措置に関する指針(労働省告示)」掲載していますのでご覧ください。

 そこでは、「派遣先責任者の適切な選任及び適切な業務の遂行」として、「派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めること」として、派遣先責任者を選任することにしています。

 こうした派遣先責任者に苦情を申し出ることもできます。

 派遣契約の途中解除についても、この指針では、派遣先の責任を定めています。
 あなたは7月31日の契約満了前に「解雇」されたということですが、これほど不当な解雇はありません。解雇の理由が、派遣先側にあるのに、あなたの責任にされていると思われるからです。少なくとも、何故解雇されたのか、その解雇理由を明確にさせる必要があると思います。不当な理由の解雇は無効です。不当な解雇については無効ですので、賃金を含めた損害賠償も請求することができます。あなたが犠牲になって諦める必要はまったくありません。

 実際には、争わなければ具体的な解決は得られません。個人ではなかなか争いにくいので、誰かの助力が必要です。派遣110番では、これまでかなりの事例を解決していますが、その場合は、弁護士、行政機関、労働組合などに協力を求めて、相手方に解決を迫ることになります。

 公共職業安定所に申告して、指導をしてもらったり、場合によっては労働者派遣事業の許可を取り消してもらうように求めたらどうでしょうか。派遣労働者を守ってくれない、派遣会社は、存在の意味がありません。

 そこまでは考えていない、ということでしたら、私のこの回答を適当に抜粋して相手方(派遣元会社や派遣先)に見せていただいても結構ですので、権利侵害の回復(損害賠償など)を主張したらどうでしょうか。

 これまでの回答の事例では、私の回答をもとに、論点を整理して相手方に改善を求めたら、そこまで判っているならと、派遣先の責任者がセクハラをした部下をたしなめて、職場環境を改善してくれたり、派遣元が表沙汰になるのをおそれて、契約満了までの賃金+アルファを支払ってくれたなどの例も出ています。

 とくに、監督官庁である公共職業安定所に指導を求めたり、投書をするというだけで、派遣元の営業担当者は、それまでの無責任な態度を掌をかえしたように改めて、まともに対応してくれるようになった例もあります。もし、逆上したり、開き直ったときには、実際に公共職業安定所に訴えて、無責任で横暴な姿勢を改めてもらう以外ありません。

 以上が、差し当たっての回答ですが、派遣労働者は弱いものだと諦めていては何時まで改善はありません。毅然とした態度をとれば相手もよく判っていますので、それなりの対応をすると思います。

 ただし、実際に争うとなれば、相手も社会的な地位がかかっていますので必死に対抗してきます。ご相談にありますように、派遣先の従業員も保身のために、証言などをしてくれるかの心配もあります。
 いざというときのために、是非、詳しいメモ(いつ、だれが、何を、どうしたか)を書いておいて下さい。必ず役に立つと思います。また、周囲の信頼できる人の意見も聞いてメモをしておいて下さい。

 京阪神にお住いでしたら、私ども110番の弁護士や労働組合が相談にのります。
 それ以外の地域にも紹介できる方がいますし、東京地区では労政事務所などでも相談を受け付けてくれます。実際の解決のためには、利用できる方法がいくつもありますので、地域そのたの事情を知らせていただければ、適当なコメントが可能だと思いますので、再度メールをいただければ幸いです。

 なお、労働省は、いわゆる「セクハラ指針」を1998年2月2日発表し、3月には、これを告示しています。
1999年4月施行の改正男女雇用機会均等法を前にセクハラ防止のための事業主の配慮義務を詳しく定めたものです。この指針は、派遣労働者の場合には、派遣先事業主にも適用されることになると考えられます。


 1998年3月の「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止に関する指針」概要は次の通りです。

 1 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容

 (1)「対価型セクシュアルハラスメント」
 職場において行われる性的な言動に対する女がその労働条件につき不利益を受けるもの
 (典型例)性労働者の対応により当該女性労働者
 ・性的関係を要求したが、拒否されたため、女性労働者を解雇すること。
 ・腰や胸に触ったところ、抵抗されたため、不利益な配置転換をすること。

 (2)「環境型セクシュアルハラスメント」
 職場において行われる性的な言動により女性労働者の就業環境が害されるもの
 (典型例)
 ・性的な内容の噂を流布され、苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
 ・事務所内にヌ一ドポスタ一が掲示されており、苦痛で業務に専念できないこと。
 2 雇用管理上配慮すべき事項

 (1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
 事業主の方針を明確化し、労働者に対してその方針の周知啓発をすることについて配慮しなければならない。周知・啓発に当たっては、原因や背景についても理解を深めることが重要である。
 (例)社内報等各種広報・啓発資料の配付、服務上の規律を示す文書への記載と配布又は掲示、就業規則への記載、研修・講習等の実施

 (2)相談・苦情への対応
 相談・苦情のための窓口を明確にすること、内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮をしなければならない。発生のおそれがある場合や、職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するが、否が、微妙な場合であっても、相談・苦情に対応することが必要である。
  イ 相談・苦情処理窓口の明確化
 (例)相談担当者を予め定めておくこと、苦情処理制度を設けること
  口 適切がっ柔軟な対応
 (例)人事部門との連携等による円滑な対応、マニュアルに基づく対応

 (3)事後の迅速がつ適切な対応
 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること、その事案に適正に対処することについて配慮をしなければならない。
  イ 事実関係の迅速がつ正確な確認
 (例) 相談担当者、人事部門、専門の委員会等によるもの
  口 事案への適正な対処
 (例) 事案の内容や状況に応じた雇用管理上の措置、就業規則に基づく措置

 3 その他
 ・プライバシ一の保護が必要
 ・不利益取扱いに対する留意とその旨の周知が必要

 なお、1999年12月施行の新労働者派遣法では、派遣先のセクハラ管理責任が明確になりました。
 1999年労働者派遣法改正で、男女雇用機会均等法のセクハラ管理責任が派遣先事業主に課せられることになりました。

★1999年労働者派遣法のセクハラ関連規定

(雇用の分野における男女の均等な機会及ぴ待遇の確保等に関する
法律の適用に関する特例)
第47条の2
 派遣に係る就業に関しては、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、当該派遣労働者を雇用する事業主とみなして、雇用の分野における男女の均等な機会及ぴ待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第3章の規定を適用する。この場合において、同法第21条第1項中「雇用管理上」とあるのは、「雇用管理上及ぴ指揮命令上」とする。

★男女雇用機会均等法の関連規定

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第3章 女性労働者の就業に関して配慮すべき措置
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(職場における性的な言動に起因する問題に関す  →いわゆるセクハラ関連の責任です。
る雇用管理上の配慮)
第21条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。

 2  労働大臣は、前項の規定に基づき事業主 が配慮すべき事項についての指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。

 3  第4条第4項及び第5項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第4項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは「聴く」と読み替えるものとする。

(妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置)
第22条 事業主は、労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な 時間を確保することができるようにしなければならない。


第23条 事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を 講じなければならない。

 2  労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
 
 3  第4条第4項及び第5項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第4項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。

★セクハラ指針

 この規定にもとづく労働大臣からの「セクハラ指針」は、次の通りです。
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 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上
配慮すべき事項についての指針(平成10・3・13労告20号)
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1 はじめに

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るためには、職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により女性労働者の就業環境が害されること (以下「職場におけるセクシュアルハラスメント」 という。 ) がないようにすることが必要である。
しかしながら、現状では、 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容についての事業主や労働者の理解が十分ではなく、また、その防止のための措置を講じている事業主が少ない状況にある。また、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る状況等が多様であることから、事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントが生じないよう雇用管理上配慮をするに当たっては、その状況等に応じて最も適切な措置を講ずることが重要である。
この指針は、 こうしたことを踏まえ、職場におけるセクシュアルハラスメントの内容を示すとともに、事業主が雇用管理上配慮すべき事項を定めるものである。

2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容

(1) 職場におけるセクシュアルハラスメントには、 職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの (以下「対価型セクシュアルハラスメント」 という。 ) と、 当該性的な言動により女性労働者の就業環境が害されるもの (以下「環境型セクシュアルハラスメント」 という。 ) がある。

(2) 「職場」 とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、 当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。例えば、取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であればこれに該当する。

(3) 「性的な言動」 とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、 この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。

(4) 「対価型セクシュアルハラスメント」 とは、職場において行われる女性労働者の意に反する性的な言動に対する女性労働者の対応により、 当該女性労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることであって、典型的な例として、次のようなものがある。

@ 事務所内において事業主が女性労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該女性労働者を解雇すること。
A 出張中の車中において上司が女性労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、
当該女性労働者について不利益な配置転換をすること。
B 営業所内において事業主が日頃から女性労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、当該女性労働者を降格すること。

(5) 「環境型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる女性労働者の意に反する性的な言動により女性労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該女性労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることであって、典型的な例として、次のようなものがある。

@ 事務所内において事業主が女性労働者の腰、胸等に度々触ったため、 当該女性労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
A 同僚が取引先において女性労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該女性労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
B 女性労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、 当該女性労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。

3 雇用管理上配慮すべき事項

職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主は、雇用管理上次の事項について配慮をしなければならない。

(1) 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

事業主は、職場におけるセクシュアルハラ
スメントに関する方針を明確化し、労働者に対してその方針の周知・啓発をすることについて配慮をしなければならない。
(事業主の方針の明確化及びその周知・啓発について配慮をしていると認められる例)
@ 社内報、パンフレット等広報又は啓発のための資料等に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する事項を記載し、配布すること。
A 服務上の規律を定めた文書に職場におりるセクシュアルハラスメントに関する事項を記載し、配布又は掲示すること。
B 就業規則に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する事項を規定すること。
C 労働者に対して職場におけるセクシュアルハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を実施すること。

なお、周知・啓発をするに当たっては、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止の効果を高めるため、 その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。

(2) 相談・苦情への対応

事業主は、相談・苦情への対応のための窓口を明確にすることについて配慮をしなければならない。また、事業主は、相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮をしなければならない。
(相談・苦情への対応のための窓口を明確にすることについて配慮をしていると認められる例)

@ 相談・苦情に対応する担当者をあらかじめ定めておくこと。
A 苦情処理制度を設けること。
(相談・苦情に対し、 その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮をしていると認められる例)
@ 相談・苦情を受けた場合、人事部門との連携等により円滑な対応を図ること。
A 相談・苦情を受けた場合、あらかじめ作成したマニュアルに基づき対応すること。

なお、事業主は、 職場におけるセクシュアルハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、 その発生のおそれがある場合や、職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否が微妙な場合であっても、相談・苦情に対応することが必要である。

(3) 職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合における事後の迅速がつ適切な対応

事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合において、その事案に係る事実関係を迅速がつ正確に確認することについて配慮をしなければならない。 また、事業主は、 その事案に適正に対処することについて配慮をしなければならない。
 (事実関係を迅速かつ正確に確認することについて配慮をしていると認められる例)
@ 相談・苦情に対応する担当者が事実関係の確認を行うこと。
A 人事部門が直接事実関係の確認を行うこと。
B 相談・苦情に対応する担当者と連携を図りつつ、専門の委員会が事実関係の確認を行うこと。
 (事案に適正に対処することについて配慮をしていると認められる例)
@ 事案の内容や状況に応じ、配置転換等の雇用管理上の措置を講ずること。
A 就業規則に基づく措置を講ずること。

4 その他

(1) 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る女性労働者等の情報が当該女性労働者等のプライバシ一に属するものであることから、 その保護に特に留意するとともに、 その旨を女性労働者等に対して周知する必要がある。

(2) 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関して、女性労働者が相談をし、又は苦情を申し出たこと等を理由として、 当該女性労働者が不利益な取扱いを受けないよう特に留意するとともに、 その旨を女性労働者に対して周知する必要がある。

 労働省発表の「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止対策の取組状況について」(労働省女性局女性政策課 平成12年4月28日)によれば、
 「事例4 派遣社員に対するセクシュアルハラスメントの事例」として、次のような相談内容と労働行政の対応が示されています。一つの解決方法として参考にできると思います。 →各地の雇用均等室

【相談内容】

派遣会社F社の女性労働者G子は、派遣先のH社において日頃から「派遣契約を更新して長く働いてほしい」と言われていたが、急に契約を更新しないことを通告され、身に覚えのない理由を告げられた。H社の人事権を持つ管理職から職場の宴会の後で性的関係を求められたのを断ったことがあったせいではないかと思い、派遣元F社に訴えたところ、F社にとってH社は顧客なので抗議できないと言われた。このようなF社の態度に失望したので退職するつもりだが、今後このようなことがないよう必要な指導をしてほしい。

(労働局雇用均等室の派遺元F社への指導)
そこで、派遣労働者のセクシュアルハラスメント防止について派遣元も雇用管理上の青任を負うことを説明し、均等法に基づく防止対策を講じるとともに、事実調査や再発防止措置などの適正な対処を派遣先企業ヘ申し入れる等の対応をするよう求めた。

(労働局雇用均等室の派遣先H社への指導)
H社に対し事情聴取したところ、H社ではすでに就業規則及び社員向けホームページにセクシュアルハラスメント防止の方針を盛り込んだ他、相談窓口として担当者を配置し直通電話を開設するなどの体制を整えていたが、今回のG子の問題については把握していなかった。そこで、派遣労働者のセクシュアルハラスメント防止については、派遣先企業にも必要な配慮が義務づけられていることを説明し、防止対策を徹底し、再発防止のための措置を講ずるよう求めた。

(会社の対応等)
派遣元F社では、就業規則や社内報で社員への周知啓発を行い、相談窓口を設置するとともに、派遣先企業にあててセクシュアルハラスメント防止のための配慮を依頼す勺 文書を配付した。また、派遣先のH社では、行為者とされた上司に事情聴取し、上司が行為を認めたため厳重注意処分とした。さらに全社員を対象に研修を実施することとした。
F社に対し事情聴取したところ、本社から各営業所に対し、セクシュアルハラスメン卜防止対策を講じるよう指示されていたが、G子の所属する営業所では少人数であることを理由に対策が講じられていなかった。

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