updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

3082. 昼休みの帽子着用に異論を述べたことを理由として解雇されました。
 1年半ほど、派遣されて食品工場の製造現場で働いています。
 製造現場では、髪の毛の混入を嫌って帽子や服装チェックをしていますが、昼休みも帽子をかぶるようにQCサークルで話合いがありました。作業場だけでなく、作業場とは別棟になっている建物でも帽子をかぶるという提案がありました。この点について、私は、「休憩時間自由利用」の原則があるから、昼休みに帽子をかぶらせることを決めることはできないはずだと主張したが、納得してもらえませんでしました。
 派遣先の上司は、最初、昼休みも帽子をかぶることを「お願い」だ、と言っていましたが、最後は、「ルールだ」と言い出しましました。
 私は、納得はしなかったのですが、皆と同じように昼休みも帽子をかぶったままいました。
 ところが、突然、30日後に解雇する旨の予告書が派遣元から速達で届けられました。 解雇の理由は、休憩時間自由利用を過度に主張して、派遣先の施設管理の指示に従わなかったから、ということでした。

   ご相談の事例は、全体として、違法な労働者供給=労働者派遣であり、また不当な解雇であると言えます。

 (1)休憩時間中であっても食品製造の特殊性から、一定の衛生管理上の指示をすることは、施設管理権の点からできないわけではありません。しかし、それは合理的な理由、必要性や適切な範囲に限られています。作業場に直接関係のない別棟の食堂や休憩所でまで、帽子の着用を求める指示には、合理的な根拠がありません。
 作業場に入るときに、服装チェックをすれば済むことです。昼休みに、作業と直接関係のない場所で必要以上の服装を強制することはできません。

 (2)昼休みの帽子着用を命ずる規定上の根拠(就業規則など)がありません。
 QCサークルで、派遣先従業員から提案されただけでは、労働者を拘束しません。
 派遣労働者であるのに、会社に楯突く不埒な輩、という明らかな濫用的解雇です。

 (3)派遣元から派遣先への労働者派遣は、明らかに職業安定法第44条に違反した、労働者供給事業です。
 食品製造は、労働者派遣法の対象業務には含まれていません。請負ということもできません。単なる労働者だけを派遣し、他の派遣会社からの派遣労働者や日冷の正社員との混在労働であり、労働者供給事業としかいいようがありません。
 派遣元は、職業安定法違反の労働者供給業者であるから、まともな使用者ではないから、あなたを「解雇」することはできません。
 同時に、労働基準法第6条の賃金の中間搾取をしていたことになります。1年半分の賃金中間搾取分を全額返却しなければなりません。
 派遣先は、違法な労働者供給を受入れていた訳ですから、本来の使用者としての責任をとって、労働者を直接雇用すべきです。

 個人で労働基準監督署や公共職業安定所に申告することができるが、一人では相手にしてもらえない可能性が強い(実は、労働基準監督署には相談に行ったそうですが、解雇理由の争いについては担当ではないと追い返されています)。

 労働組合に相談して、駆込みで取上げてもらったらどうでしょうか。話を聞いてくれる地域労組があると思います。


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