updated Sept. 6 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2360. これまで何回か更新されていた派遣契約が更新されず、派遣元からは他の仕事を紹介してもらえないのですが、しようがないでしょうか。
 派遣契約というときには、派遣元・派遣先の間の労働者派遣契約を指すことが多いのですが、ご相談にある「更新されない派遣契約」というのは、派遣元との労働契約(雇用契約)のことだと思います。
 期間を定めない労働契約の使用者からの一方的な解約である「解雇」であれば、労働基準法第20条の予告が必要ですし、判例によって解雇についての合理的な理由が必要と言えるのです。期間を定めた労働契約(短期契約)が期間が満了したときには、契約は終了することになるのですが、実態として契約が継続し、形式的に契約更新を反復していたときには、ある時点で突然に更新拒否することは「解雇」と同様に考えられ、理由がなければできません。短期労働契約を反復更新しているときには、更新拒否には合理的な理由が必要であると考えられます。

 登録型労働者派遣だけでなく、常用型労働者派遣でも短期契約のパートタイマーの形態が増えています。こうした派遣労働者についても、派遣元との短期労働契約が反復更新されていれば、更新拒否には解雇と同様の合理的理由が必要というのが判例法理です。

 最近の判例では、盛岡市のビルメンテナンス会社「協栄テックス」が、女性パート労働者の契約更新を拒否した事件で、盛岡地裁1998年4月25日に「期限付き契約でも、正当な理由がなければ解雇できない」として計約385万円の支払いを命じる判決を言い渡しています。この事件では、期間1年のパートの契約を結び、病院の給食配ぜん業務などに派遣されていた女性が、1995年4月、労組で活動していることなどを理由に契約更新を拒否されたことが組合活動を嫌ったものだとして争われていました。裁判所は、人員縮小の理由など解雇の合理的理由がないとして解雇権の濫用を認め、不払い分の賃金支払を命じています。〔1998/04/25共同通信ニュース速報より〕

 とくに、派遣元による労働契約更新拒否の理由が、派遣先からの労働者派遣契約の途中解除であるときは、一九九六年法改正の際の労働省指針によって、派遣元から派遣先への損害賠償や派遣先が関連会社などでの仕事を派遣労働者に紹介するなどの措置をとることが求められています。また、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、組合活動を理由とした、労働者派遣契約の解除も禁止されていますので、派遣先に対する損害賠償も可能です。


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