updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2285.派遣元会社の指示で派遣先の面接を受けたところ、予定されていた派遣がキャンセルされてしまったのですが、しようがないのでしょうか。 
 重大な労働者派遣違反が含まれており、損害賠償などの請求も考えられます。
 労働者派遣法では派遣先が派遣労働者を直接面接して派遣を受入れることを禁止しています。最近、派遣先が「直接面接」する例が多いようです。何社も派遣会社から派遣労働者を連れてこさせて、そのなかから派遣先が気に入った派遣労働者を選択する「トライアル」と呼ばれる慣行もあるようです。
 これらはいずれも違法な慣行です。しかし、派遣労働者が、派遣先・派遣元のこうした労働者派遣法違反を問題にしていては、派遣就労につながらなくなるため問題にできないこともあって、実際には広がっているようです。しかし、法的には派遣先の直接面接は、派遣元・派遣先・派遣労働者の三面関係を否定することになり、職業安定法で禁止された違法な労働者供給と考えられます。派遣先が面接をするのであれば、労働者を派遣先に直接採用すべきであるというのが労働者派遣法やの建て前です。
 労働者派遣法の建て前では、専門的能力をもつ派遣労働者を派遣元が雇用して、派遣先からの要請に応えて、必要な能力をもつ労働者を派遣する責任を負うことになります。実際に労働者を指揮命令して就労させる派遣先が、派遣労働者の選考までするのであれば、派遣元は必要がありません。形だけの派遣元に、雇用主としての大きな責任を負担させたり、実際には三割から四割といわれる派遣元の派遣料金から取り分の実質的理由がないことになります。
 労働省も、こうした派遣先による直接面接が、職業安定法や労働者派遣法に違反するとして、派遣業者の団体に注意の手紙を送っています「派遣労働者の履歴書等の送付について」
 しかも、ご相談のように、労働者が、違法な直接面接を受けさせられ、結果がでるまで拘束されながら、キャンセルになってしまったということであれば、派遣元・派遣先から違法な行為によって被害を受けたことになります。被害について派遣元と派遣先に対して損害賠償を請求することが可能ですし、違法行為について公共職業安定所に事情を申告して、派遣元・派遣先への行政指導を通じて改善を求めることもできます。


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