updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)


質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2135. 派遣と請負とはどう違いますか?  会社グループ内に派遣業の会社があり、そこから受入をする予定です。
この際、請け負い契約にて受入をしますが、この社員は派遣業法の適用をうけるのでしょうか。(担当業務等)更にこれを契約社員と呼んでいますが正しいのでしょうか。 請け負い業と派遣業はどこがちがうのでしょうか。

   労働者派遣業は人だけを派遣しますが、請負は仕事の完成を目的にするもので、使用者としての責任をすべて負担するなど、実体がなければなりません。
 請負には実体が必要です。労働者を供給するだけの「人貸し」だけの「請負」は、本当の意味での請負ではないと考えられ、禁止されています。

 請負という名目で、派遣会社が人を派遣することは、「偽装派遣」「偽装請負」になり、違法です。
 職業安定法第44条は、次のようにこの「人貸し請負」=「労働者供給事業」を禁止しています。

 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。

 悪質な場合は、職業安定法第64条で、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられることになります。
 重要なことは、違法な派遣を行った業者だけでなく、受入れ側も処罰されることになりますので、注意して下さい。

 職業安定法第44条を受けて、職業安定法施行規則第4条は、次のように規定しています。

 職業安定法施行規則第4条
 労働者を提供しこれを他人の指揮命令を受けて労働に従事させる者は、たとえその契約の形式が請負契約であっても、次の各号のすべてに該当する場合を除き、法第5条第6項の規定による労働者供給の事業を行う者とする。
 一 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
 二 作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。
 三 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
 四 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものではないこと。
 2 前項の各号のすべてに該当する場合であっても、それが第44条の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が労働力の供給にあるときは、法第5条第6項の規定による労働者供給事業を行う者であることを免れることができない。
 3 第1項の労働者を提供する者とは、それが使用者、個人、団体、法人又はその他如何なる名称形式であることを問わない。
 4 第1項の労働者の提供を受けてこれを自らの指揮命令の下に労働させる者とは、個人、団体、法人、政府機関又はその他如何なる名称形式であるとを問わない。



>更にこれを契約社員と呼んでいますが正しいのでしょうか。

 請負の場合は、仕事の指揮命令などはすべて下請会社が行います。

 契約社員という言い方は、受入れ側が直接に指揮命令をしていると考えられる呼び名ですので、本来は、受入れ側が派遣会社を通さずに直接雇用すべき場合だと思われます。

 メールだけでは事情がよく分りませんが、他にも、対象業務以外の労働者派遣も禁止されています。派遣会社は、仕事を引き受けるために、対象業務外の場合は、請負という形をとることが最近少なくありません。

 こうした場合は、違法派遣にあたります。そして、そうした違法派遣を受入れることも違法であることに注意して下さい。派遣やそれに類似した「間接雇用」には大きな問題点があること、法律上も問題点が少なくないことをご理解下さい。

 最近、派遣労働者の弱い立場を無視して、安上がりに使える労働力としてしか考えない派遣先(受入れ側)の対応がトラブルの原因となって、110番への相談が集中しています。

 あまりにも人格を無視した対応(セクハラを含む)のために、裁判などの争訟に至ったものや、派遣労働者や契約社員の個人的な恨みがコンピューターのデータ破壊などの歪んだ形につながってしまった事例もあります。

 派遣労働者も、生活のために働く労働者であり、人格をもった人間です。
 身分的・差別的な扱いは、労働者派遣法の趣旨にも反するものです。

 労働者派遣法は、労働基準法や安全衛生法などかなり細かく派遣先の責任を定めていますし、1996年の法改正で、派遣先の責任がより重くなっております。
 こうした責任についても、しっかりと理解されるようにお願いします。


目次に戻る
110番の書き込み欄へ