updated Sept. 24 1999

派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)

質 問 と 回 答 例 (F A Q)

2121. 労働者派遣法の改正で対象業務が自由化されると聞きましたが、どういういことですか?

 改定労働者派遣法が1999年6月30日に国会で成立し、7月7日に公布されました。6ヵ月以内に施行となっていますが、現在、年内での施行に向け、1999年9月現在、関連する政令・省令が作成されている途中です。

労働者派遣法改定と派遣対象業務

         外側の円は、改定後 内側の円は、改定前

         A 改定前・改定後 派遣対象26業務(政令)

         B     改定後 派遣対象業務(原則自由化) * 派遣期間1年まで

         W 改定前     派遣禁止業務(原則禁止)

         X 改定前・改定後 法律による禁止業務  * 港湾運送、建設、警備(なお、警備は改定前は政令で禁止)

         Y     改定後 附則による禁止業務     * 製造業務 当分の間

         Z     改定後 政令による禁止業務     * 審議中

 

 現行法では、政令(労働者派遣法施行令)で、26の派遣対象業務 A が指定されています。
 今回の法改定では、この派遣対象業務の限定から、「原則自由化」とされました。

 しかし、ご質問のように「自由化」というのは正確ではありません。派遣の対象とできない業務として、いくつかの種類が定められています。
 この禁止業務が広く定められることになれば、無制限な自由化に歯止めがかけられます。また、禁止業務ということが明確になることで、違法派遣であることがより明確になるという面もあります。禁止業務をできるだけ広く、また、明確に定めることで、無制限な派遣の広がりに歯止めをかけ、できるだけ派遣労働を常用・直用の雇用(正社員)にしていくことが課題となっています。

 この禁止業務には、次の3種類があると考えられます。
 X 労働者派遣法自体に規定された「建設」「港湾運送」、「警備」の3業務、 Y 派遣法の附則に「当分の間」に限って派遣の対象とできない「製造業務」、 Z 政令で禁止される業務の3種類です。

 また、派遣対象業務のなかでも、従来の26業務 A は、現行法通りとされ、新たに自由化される業務 B とは区別されます。
 つまり、 A は、その多くが期間1年で2回まで更新(最長3年)とされるのに対して、 B は、最長期間1年で、それを超えるときには、派遣先が雇い入れる努力義務を負うことになります(直用努力義務)。つまり、派遣対象業務には、大きく2種類が生まれることになります。従来から、業務についての限定があいまいななかで、いわば「二本建て」に業務が分類されますので、新たな複雑な問題が生まれることになるわけです。

 なお、 適用除外業務 Z として検討されているのは、(1)医師、看護婦等が行う医療に係る業務、(2)検数、検定等の業務、(3)バス、タクシー、トラックの運転業務、(4)林業関係業務、(5)人事・労務関係業務と伝えられています。

 また、「産前産後休業や育児休業者の業務についての派遣」は、対象業務の限定はないとされ、派遣期間も1年の制限を超え最長3年までとすることができるという方向で、 Y の製造業務の範囲は、ライン業務に携わる者とする方向での検討が進められているといわれています。(1999年9月現在)

 


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