題名:[ml-goudou 163] 大阪市立大学 レジュメ Date: Sat, 13 Oct 2001 大阪市立大学 合同ゼミ レジュメ        文責 本田千尋 『介護保険における企業参入の是非を考える』 1.企業参入の制度と現状 社会福祉を目的とする事業は、社会福祉法2条2項、3項により、強い規制を 受けている。 第1種社会福祉事業 施設経営の事業(介護保険で利用できるのは特別養護老           人ホーム・老人保健施設・療養型病床群の3種)。           経営主体は都道府県、市町村、管轄庁の許可を受けた非           営利の社会福祉法人に限られている。    第2種社会福祉事業 施設経営以外の事業(主に訪問介護などの在宅サービス           事業)。           経営主体の制限はなく、事業開始の届け出を負うに過ぎ           ない。 介護保険制度実施後もこの規制は変わっておらず、「施設サービス」には今後 も企業の参入は認められない。また「在宅サービス」であっても医療系サービ ス(通所リハビリ・訪問リハビリ・医療系ショートサービス)には企業は参入 できない。   在宅サービス 1 訪問介護 2 訪問入浴 3 訪問リハビリ 4 訪問看護 5 居宅療養管理指導 6 日帰り介護(ディサービス) 7 通所リハビリ(ディケア) 8 短期入所介護(ショートステイ) 9 痴呆対応型共同生活介護(グループホーム) 10 有料老人ホーム等における介護 11 福祉用具の貸与、購入費の支給 12 住宅改修費 13 ケアプラン作成費の支給 以上13種類のうち、3・7・11・12・13には企業は参入できない。  1989年(ゴールドプラン策定時)より、在宅サービスでは、企業も自治体か らの委託を受け、ホームヘルプ事業を行うことができるようになった。また、 介護保険施行の前から、これまで企業の委託に消極的だった自治体も、増大す る需要に対応し、積極的に委託を行うようになっていた。  介護保険のもとでは、各指定業者は独立採算の事業体となった。またホーム ヘルプ事業の最大の委託先であった社会福祉協議会(社協)も、市町村との委 託関係を解消された。 現在、大阪府で指定を受けている居宅サービス事業者数は3200あまりである。 介護保険施行時の指定事業所数は2628であった。2001年4月現在では3132であ る。事業所の統廃合や事業撤退が見られるものの、新規参入が続いている。ま た、社会福祉法人と企業の事業所数はほぼ同数である。 2.企業参入のメリット・デメリット メリット ・価格の引き下げ競争が活発になる。 ・サービスの柔軟性、総合性を出していける。 ・適正な利益を事業継続・拡大の担保とすることができる。 ・利用者に選択されない業者は淘汰され、質の向上につながる。 デメリット ・利用が抑制されるなど、需要が減ると企業が撤退せざるを得なる可能性があ る。その際の処理。 ・利潤追求によって人件費ガ削減されると、ヘルパーの労働条件悪化、同時に サービスの低下につながる。 ・ 悪徳業者によるお年寄りの被害。 ・医療系サービスを併設できないため、サービスが限られる。 3.解決策の提案 ・情報公開制度を充実させる。 ・ケアマネージャーの中立性確保。 ・オンブズマン制度の拡大を図る。 以上