学生の強制加入問題について

     立命館大学社会保障法ゼミ

1、現 状

   適用対象者   206万8000人
   保険料免除者 64万1080人
   保険料未納者   20万6800人
         未適用者 22万7480人 (平成7年)

2、強制加入の根拠

   平成元年の改正で、学生を強制加入とし、第一号被保険者とした根拠
   には、以下の点が挙げられる。

1) 進学率の高まりと学生期間の長期化
進学率は、昭和35年3月には9%弱であったが、昭和62年3月
    には47%になり、89万人に増加した。また、「社会人入学」も制
    度化され、大学院進学者も増え、学生の態様は、量的・質的に変化し
    た。
2) 障害基礎年金の適用問題
昭和61年の改正により、20歳未満の国民年金加入以前の問題で
    あっても、障害基礎年金を20歳に達したときから支給されるように
    なった。しかし、国民年金に未加入の20歳以上の学生が障害状態に
    なった場合は、障害基礎年金の支給対象とはされなかった。
よって、任意加入していなかった在学期間中に事故等により障害者
    になった場合に、年金が支給されず無年金障害者となる問題が出てき
    た。
3) 40年加入の満額の老齢基礎年金の受給資格に欠ける
老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間の保険料納付また
    は、拠出金負担を要件にしていて、学生期の未加入期間を補う措置が
    制度化されていない。
4) 任意加入制度
任意加入制度は逆選択を許し、社会保険の基盤を揺るがせるもので
    ある。強制加入、保険料の強制徴収が社会保険本来の姿である。
5) 学生と支払い能力
支払い能力の乏しい学生以外の被保険者、例えば学種学校の学生や
    定時制・夜間部の学生、予備校生あるいは自営業者の専業主婦などと
    比べて、昼間部の学生を収入が少なく、保険料負担能力に乏しいとい
    う理由により、任意加入とするのは不公平である。

3、強制加入の問題

■ 親は自ら年金保険料を支払い、子供の保険料も払い、さらに、場合
    によっては老親を扶養すれば、三重の負担を強いられることになる。
  ■ 進学率の高まりと学生期間の長期化は学生数を増やし、彼らを国民
    年金の外におくことは、その分保険料収入が減じることになる。
  ■ 障害年金の補障の網の目から、学生が洩れ落ちることは防止しなけ
    ればならないが、実際は無年金障害者が発生している。

4、解決策 ( 3つの案 )

■ 学生の間は全員免除適用とする。免除期間の保険料については、後
    日納付可能とする。
  ■ 学生の間は老齢基礎年金については免除適用とし、障害年金につい
    ては保険料を低額に設定し徴収する。
  ■ 学生は第三号被保険者と同じ扱いにする。

以 上