合同ゼミ  高齢者虐待−静岡大学が考える「高齢者虐待防止法案」− 00/11/11
                                  鈴木・廣田

法律案の内容

 (1)定義
  虐待の定義
   @身体的暴力による虐待
   A性的暴力による虐待
   B心理的障害を与える虐待
   C経済的虐待
   D介護等の日常生活上の世話の放棄、拒否、怠慢による虐待
         高齢者虐待防止マニュアルより
  高齢者の定義
   65歳以上の者  cf.老人福祉法

 (2)虐待への「通告」規定を盛り込む。
   "虐待を発見した場合には、遅延なく通告する"
  論点:・通告義務にするか?
     ・罰則付きか?
     ・通告義務の対象者は?
     ・守秘義務は?
     ・免責規定は?
     ・どこに通告するか? 
  実態:通告義務はなく、またどこに通告するのか特定されていない
      →義務化して、どこに通告するのか明確にすべき

 (3)虐待の有無、あるいは程度を調査する「立入調査」規定を盛り込む。
  論点:・誰が調査するのか?
     ・どこまで権限を持たせるのか?
  実態:虐待に気づいたサービス提供者などが当事者の話を聞いている
      →立入調査として確立すべき

 (4)被虐待者の「保護」規定を盛り込む。
   "必要なときは、被虐待者を保護することができる"
  論点:・どこで保護をするのか?
     ・基準は定めるか?
     ・期間はどうするのか?
  実態:家族の了承が得られず、保護をする、または続けることができない
    →本人の意思を尊重すべき。ただし、差し迫った危険のある場合は、本人の意思とは関係なく保護できるようにすべき。

 (5)虐待者への「指導」規定を盛り込む。
  論点:・強制的に指導を受けさせることができるか?
  実態:指導を受け入れる虐待者にのみ指導している
      →指導を受け入れようとしない虐待者にも指導すべき

参考文献

・高齢者処遇研究会『高齢者虐待防止マニュアル』1997.
・長寿社会開発センター『高齢者虐待の全国実態調査−主として保健・福祉機関調査より』 1997.
・いのうえせつこ『高齢者虐待』親評論、1999.
・佐藤進『高齢社会の法律』早稲田大学出版、1997.