第四十一話 泥田坊    1967年5号(1月29日号)掲載

 雨の日も、風の日も田や畑を耕していた老人がいた。
ところがある日、この老人が死に、田や畑が息子のものになった。

 しかし、その息子は、毎日遊んでばかりいてちっとも田畑を耕さない。
挙げ句の果てに、田畑は人手に渡ってしまった。

 こんなことへの恨みからか、夜になると一つ目老人の妖怪が出て、「田植えはー!?」と、悲しく叫びつづけるという。

 これは田畑に出る、「泥田坊」という妖怪の仕業だ。


第四十二話 あみきり   1967年6号(2月5日号)掲載

 時々、しらないうちに干し物や蚊帳が破かれていることがある。
しかも、人が手で破いたり、ハサミで切ったよりも鮮やかに切れている。

「うちの子がやったのでは?」と勘違いするお母さんもいるが、そうではない。これは「あみきり」という、エビのような妖怪が現れて切ったものだ。

 この妖怪は人のいるところには現れないので、正体は不明である。


第四十三話 すっぽんの幽霊
             
1967年6号(2月5日号)掲載

 江戸時代、名古屋に住む、すっぽん好きな男がいた。
仕事から帰っては、すっぽんの肉をつまみながら、お酒をチビチビと飲んでいた。

 ある日、戸棚を見ると、好物のすっぽんがない。そこですっぽんを買いに出た。

「すっぽんの肉を少しくれないか。」とその男がいうと、「へーい」と出てきた主人を見て、男はびっくり仰天。主人の姿たるや、足は長く、口はひょっとこのようで、手は鱗だらけ。

 その男は一目散に家に帰り、戸を閉めてガタガタ震えていたという。

 昔から、すっぽんは執念深いと信じられていた。だから、いじめたり、食べたりした人のところには、すっぽんの幽霊が出るといわれた。


第四十四話 枕返し    1967年7号(2月12日号)掲載

 夜寝るときは、きちんと枕をしていたのに、朝目を覚ますと、足下の方へ枕が飛んでいる。相当寝相が悪かったのだなと思ってみると、布団はきちんとしている。枕だけがとんでもないところへいっているのだ。

 これは夜中に「枕返し」という、いたずらな妖怪が現れ、枕を頭と反対の方向へ持っていくのだという。ある説だと、「枕返し」は手をふれず枕を返すという。

 この場合、「枕返し」は壁から現れ、人が来ると消えるらしい。


第四十五話 ふっけしばばあ
             
1967年7号(2月12日号)掲載

 風もないのに、木の枝がザワザワいったり、火が消えたりする。

 これは「ふっけしばばあ」という妖怪が、遠くの方から、プーッと奇妙な息を吹くからだといわれる。


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