第五十六話 ひょうすべ 1967年13号(3月26日号)掲載

 ひょうすべはヘラヘラと不気味な笑い声を立てて飛び出してくる。

 昼は川の中の横穴の空洞になったところに住み、夜は田畑に出て落ち穂を食べるという。

 人間の前にはなかなか姿を現さないので、ある一人の男がひょうすべの正体を見極めようと決心した。男はひょうすべが山に入っていくところを、鉄砲で狙い撃った。だが、手応えはあったのに死体は見つからない。

 次の日、男は高熱を出して倒れ、「ひょうすべが来る…」と、うわごとを言って死んだ。男を見舞いに来た人も、一年後には死んでしまったという。

 それ以来、ひょうすべを見ると病気になるという言い伝えが広まり、正体を見極めた人はいない。一説には河童の同類だとも言われている。

 昔、宮崎県や長崎県にいた妖怪である。


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