第四十六話 うわん    1967年7号(2月12日号)掲載

 人の住まない古屋敷のそばを通ると、「うわん」という気味の悪い声が聞こえ、冷や汗をかくことがある。

 これは「うわん」という、古屋敷に住む妖怪の仕業らしい。


第四十七話 川赤子    1967年8号(2月19日号)掲載

 人里離れた川や山の谷間で、赤ん坊の泣きわめく声が聞こえることがある。不思議に思って行ってみると何もいない。しばらくするとまた別の方で泣き始める。

 これは「川赤子」という、川や沼のゴミの中に住む妖怪で、正体はなかなか見せない。


第四十八話 餓鬼     1967年8号(2月19日号)掲載

 旅人が旅の途中で、急に腹がへって動けなくなることが昔はよくあった。腹がへって気分が悪くなり、一歩も歩けないのだ。だが、何か食べ物をおなかにおさめると、今までの苦しさはどこへやら、ピタッと治る。

 これは飢え死にした人の恨みが、やせ細った意地の汚い「餓鬼」となって、旅人にくっついたのだ。

 だから、昔の旅の僧などは食事を少しずつ残した。残りは「餓鬼」につかれたときの用意にしていたのだ。


第四十九話 土ぐも    1967年9号(2月26日号)掲載

 昔、京都に近いある村で原因不明の病気が流行った。わけもなく頭が痛くなったり、高熱が出る、おかしな病気だ。

 ところがある時、真夜中に2メートルもある怪法師が現れ、病人をさらおうとした。「これは怪しい」と村の若者が竹で突くと、パッと姿を消してしまった。

 あくる日、血の跡のある大きな塚に人間の何十倍もの「土ぐも」がいた。早速退治すると、病人はすっかり元気になったという。


第五〇話 油赤子    1967年9号(2月26日号)掲載

 昔、火の玉が知らぬ間にスーッと家の中に入ってくることがよくあった。様子を見ていると行灯の前で赤ん坊の姿に早変わり。行灯の中にまるまる太った顔をつっこんで、ペロペロと音をたてて、舌で行灯の油を、腹一杯なめている。

 なめ終わると、フーッと一息ついて、油に酔ったように足下がふらついている。
帰る頃には、また火の玉に早変わりしユラユラと家を出る。

 これは滋賀県の大津の辺りを飛び歩いた妖怪「油赤子」だ。
普通は火の玉のような形で飛び回っている。特に行灯の油を狙ってはあっちこっちをまわるのだ。


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