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第28回  工房の更衣室

「ねえ、ねえ、聞いたぁ?」
「うん、聞いた聞いた、本当なんですってね」
「ビックリしたわよねぇ、寝耳に水だったわよ。」
「うんうん。」

「それにしても、驚いたわねぇ」
「ビックリなんてもんじゃないわ、
 超びっくりよ!」
「そんな生易しいもんじゃないわ〜、
 ウルトラビックリだったわ。」
「そうよねぇ、、、、。」
「・・・・・・・・・、ふぅ。」

「そうそう、そう言えば、
駅前にできた『花○うどん』、もう食べた?」
「え〜、何時できたの?」
「知らないのぉ?」
「ええっとね、一昨日よ。」
「駅前って、どっち?
北口?南口?」
「吉野屋のある方よ。」
「北口かぁ、あんまり通らないのよね。」
「で、美味しかったの?」
「それがね、すっごい行列だったから、
諦めて帰ってきちゃったのよ。」
「なによ〜、じゃ、食べてないんじゃないの!」
「えへへ。」
「えへへ、じゃないでしょ。」
「でへへ。」
「でへへ、じゃないでしょ。」

 「じゃあねえ、部活が終わったら、行く?」
 「そうねぇ、行ってもいいけど」
 「緋沙詞先輩もさそおうか?」
 「えーっ、緋沙詞先輩来てるの?」
 「昨日から来てるわよ。」
 「えーっ、うそぉ、ホント? じゃあ、お先に!」
 「待ってよぉ〜」

 二人が出て行った更衣室に独り残った輝豸雄は静かに考えた。

 どうして、人は更衣室に入ると、自然と オネエ言葉になってしまうのかしら?  と。

                                                   第29回に続く