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第86回  工房の ロケットのある風景  〜突然の別れ〜

「えぇ〜!!」

クラス全員が悲鳴混じりの声を上げたのは、
その年の本格的な冬が始る前のことだった。

「は〜い、みんな、静かにして下さ〜い。
 というわけで、今日までみんなと一緒にお勉強してきた麝弐猪くんが、
 お父さんのお仕事の都合で転校する事になりました。
 はい、麝弐猪くん、ご挨拶してください。」

クラス中が静まり返っていた。
女子生徒の中には、涙ぐんでいる生徒もいる。

「え〜っと、、、、。
 急に決まってしまったので、ぼくもビックリしています。
 向うに行っても頑張るので、
 みんなも頑張って下さい。」

口下手な麝弐猪らしい挨拶だった。

    

「みんなもお元気で。」
それが 麝弐猪の最後の言葉だった。

                                                   第87回に続く