番外編  工房の 今年初めての雪の降った日


其の日は、今年初めて雪が降った日だった。


輝豸雄達二人は、ず〜っと雪の降るのを眺めていた。

「よく降るねぇ。」
「ほんとうだね。」
「雪かぁ。」
「うふふ。」
「何だよォ〜。なに笑ってんだよぉ?」
「てでおくんとはじめてあったのは、スキーじょうだったよね。」
「そ、そうだったね。」
「なにか、うえのほうからおおきなゆきのかたまりがころがってくるなぁ って
 みてたら、なかからてでおくんがでてくるんだもの。びっくりしちゃったよ。」
「スキーは苦手なんだよォ〜。しかし、良く覚えてるなぁ。」
「たのしかったもの、わすれないよぉ。
 それに、さっぽろもたのしかったね。」
「そうだねぇ、楽しかったねぇ、、、。急な旅行で十分日程を検討できなかったのが
 残念だったけど。」
「うふふ、ラーメンも、じんぎすかんも、ビールもおいしかったね。」
「うんうん、流氷は観れなかったけど、楽しかったね。」
「すすきのにも いっちゃったし。」
「う〜ん、俺は行きたくなかったのにぃ〜。」
「うふふ、たのしかったな。」
「今度は、暖かい処に行きたいなぁ〜。」
「うふふ。」




「ゆきもやんだみたいだから、そとにでてみようよ。」
「いいよ、でも、寒くないかな?」
「こぐまは かぜのこ だよ!」




「ずいぶんつもったんだねぇ〜。」
「冷たいけど、気持ち良いね。」
「うん、きもちいいいね。」
「今日は、どうしたんだい?」
「なんでもないよ。
 あのひ たべた タイヤキ も、おいしかったなぁ。」
「あ〜、あの鯛焼き!! 食べた食べた!みんなで思いっきり食べたよな。」
「ぼくが12こで、てでおくんが8こたべたんだよ。」
「そんなに食べたかなぁ、俺?」
「たべたよ〜。50このタイヤキが、あっというまになくなっちゃたもん。」
「そうかぁ〜、そんなに食べたかぁ〜。」

    

二人は、雪の中に立っていた。



「てでおくん。」
「何だい?」
「あくしゅして。」
「? 何?」
「いいから、あくしゅして。」
「良いけど、、、。何か今日、お前変だよ?」
「いいの、いいの。  じゃ、あくしゅ。」
「握手 っと。
 、、、、、う〜ん、やっぱり何か、お前、今日は変だよ。」
「うふふ、そんなことないよ。 きょうは、そんなひなんだよ。」
「よく判らんなぁ?」
「でも。」
「でも、何だい?」
「きっと、ぼく、、、きょうのことはわすれない。
 てでおくんとのあくしゅのことは わすれない。   わすれないよ、きっと。」
「?」
「うふふ、やっぱりなんかへんだね。」
「変だよ、今日のお前。」
「うふふ、そうかも。」









あの日のことを、輝豸雄は昨日の事の様に思い出す。
輝豸雄にとっても、あの日は 忘れられない日だったのだ。

                                                   番外編おわり
                       
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