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第56回  工房の 夏休みの自由研究

輝豸雄の夏休みはまだ続いていた。


なぁ、夏休みのさぁ。
なんだよぉ。
なになに?それ美味しいの?
何聞いてるんだよぉ、、、、。だから、夏休みの、、、
夏休みの、何さぁ?
宿題だよ、し・ゅ・く・だ・い!
それが、何さ
なになに?もう食べたの?
ちょっと、黙ってろって!
いいから、早く言えよ。
もう、やった?自由研究?
今、やってる最中。
えっ、やってるの?
やってちゃ、悪いかよぉ
ねえねえ、それって美味しい?
だから、ちょっと、黙ってろって! どんな事やってるの?工作?研究?
観察日記だよ。
観察日記ぃ〜?
そうだよ。
観察って、一体何を?朝顔?向日葵?蝉?亀?それとも?
なになに、なに食べたの?美味しかった?
コラっ!ちょっと、黙ってろって!
なにを観察してるのさぁ?
いやぁ、知らないんだよ。

知らないっていうか、わかんないんだよ。
?、わかんないって?
先週の金曜日、雷のあった日に見つけたんだよ。
?、どこで?なにを?
ドカン公園の土管の前で、アレを、、、、。
アレって、、、。
アレとしか言いようが無いんだよな、あれは。

観る?
観る観る観るっ!見せてくれるの?
ボクもっ、ボクもっ!
いいよ、ドンドン大きくなって来てるしな。最初はすっごく小さくて、、薄っペラだったんだ。
? !
じゃ、持ってくるよ。





    

どうだい、結構でかいだろう?
うっ
美味しそうだねぇ。
いや、、それ、、って、、、
どれだけ大きくなるかって思ってな。観察絵日記を書いてるんだ。


自慢気に語る彼を見ながら、
”その観察絵日記に 「角」 とか、「背鰭」とか書きませんように” と、輝豸雄は思った。

                                                   第57回に続く