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第49回  工房の スラムダンク!

その試合は、突然始まった。

この街では、勝負は全て 3on3 で決める。
民事から刑事まで、ハッキリさせたい事は総て 3on3で決めてきた。

些細な事がきっかけだったのは、間違いない。
肩があたったとか、眼が遇ったとか、挨拶しなかったとか、お腹が空いていたとか、、、。
或いは、其処にゴールが在ったからなのかも知れない。


パスッ!  ドリブルッ!! シュートッォ!!!
ネットが揺れる度に、集まったギャラリーから歓声が揚がる。

ディフェンス!  オフェンス!!
目まぐるしく換わる試合状況の中で、輝豸雄は一人活路を探していた。

一進一退の攻防が続く。
タイムアップが近い。
きっと、最後の攻撃になるだろう、輝豸雄は時計を横目で見ながら、
最後の力を振り絞って地面をけって走り出した。

   

「てでおく〜ん、お・ね・が・い!」 
「おぅ、任せなさいっ!」 最後のパスを受け取って、輝豸雄は走り出した。

ディフェンスの戻りが一瞬遅かった。

 ”いける!”

フリースローラインを超えた時、輝豸雄は、鳥になった。

                                                   第50回に続く