◆□キノの旅でハァハァしよう3□◆
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1045648241/
上記スレ、422さん作。



パタン・・・と箱を閉めた

十台半ぐらいだろうか、精悍な顔立ちをした人物が、
森の中で神妙な面持ちをして一台のモトラド(空を飛ばないものだけを指す)の前に立っていた
その人物は、大きなため息をつくと、もう一度箱を開けて中を見た。

「・・・・・何なんだろう・・・厭になる。」

そこには一冊の本があった。
明らかに文章を掲載した書籍とは違うカラフルな表紙、その人物の地味な荷物とは不釣合いなその書籍は、白を基調とした土色の荷物の中で
ひときは異彩を放っていた。

すると、箱のくくりつけてあるモトラドが、その人物に対して愚痴を零す。

「キノ、早く行こうよ、日が暮れちゃうよ!」

キノと呼ばれるその人物は少ししどろもどろしながら答えた
「ちょ・・エルメスちょっと待ってて・・」
どうやらこのモトラドにはエルメスと言う名前がついているらしい。
「仕方ないなぁ、早くしてよ」
そう言うとまたモトラドは沈黙した。

少し周りを見回すと、キノは箱の中から、かの本を取り出し
いそいそと森の茂みの奥に入って行く


何時の世にも、人間には付き物の感情がある、
一つは物欲
もう一つは食欲
最後に性欲

これらをなくしては人間といえないが、何故か人間と言う生き物はこの三大欲をひた隠しに生きようとする。
それはキノも例外ではない・・・

小走りに森へ入ってゆく、やけに息が苦しい。
普段のキノなら・・・いや、ただのそこら辺にいるような人でも、もろともしないような距離である、たった2〜30メートルのことだ。
無論、その胸を締め付けるような息苦しさは全て、両手に持ったその『本』に因る物だった。

キノは周りをきょろきょろと見回すと、さっと草叢に腰を下ろす。
「・・・・いけないことなんだよね、これ」
後ろめたさを感じながらも、その『本』のページを開く
総天然色のページ中には、男性と女性が全裸で絡み合う、猥褻な写真が氾濫していた。
キノは顔を真っ赤にしながらも、少しばかりトロンとした目で、その写真に見入った。
「・・・はぁ・・」

熱い吐息を漏らすと、キノは足を伸ばした。
同時に、腰を締め付けるベルトを緩め、ベストとシャツを脱いだ。
「ふぅ・・」

本当に、つつつ・・と音が出るかの如くその華奢で、美しい脚に白い手を這わせる。
「何やってんだろ、ボク・・・」

自分に呆れながらも、キノの行為は続く。
指先はとうとう腰骨に達し、まるで意思の違う他人の手であるかのように、キノを焦らす。
呼吸がますます速くなってゆく、キノはうっすらと汗を額に浮かべ、『本』に目をやる・・・
体の芯がとろけて行くような感覚、目まいがする。


「・・んぅ・・」

指はその秘部を間近にし、なおも自分自身を焦らし続けた。

「・・・あぁ・・ん・・くぅっ・・」
空いた片方の手で、お世辞にも大きいとはいえない乳房を摩る、先端はとっくにその硬度を増していた。

とうとう股間を焦らしていた手を、秘部に挿入する。
キノは一層真っ赤になって目をつぶった・・・・

明らかな異物感だが、不快とも言えない、宙にふわふわと浮いている感じがする。
「はぁ・・・あぁぁ・・・。」

こうしてキノが自分を慰めるのはまだ数えるほどしかない、到底異性との関わりも持てないこの旅の身空で
キノがつい最近までこの手の行為に興味を示さなかったのは、このキノの性格の故であろう

あまり物に固着しない。
たったの今まで、自分が楽しく談笑していた相手のいる国が、高温の火砕流に埋められようと、砲撃で更地にされようと顔色一つ変えなかった。
そんな性格故、年相応の胸のうずきもさっさとケリをつけてしまっていたのだろう。

あの国で、この本を拾うまでは。

本編にも出てこないようなその小さな国は、大人の子供に対する束縛と言う物がまったく無かった。
そのせいか、路地裏には年端も行かない子供達がたむろしてタバコを吹かしていたり
白昼堂々、顔にあどけなさの残る子供たちが引ったくりを行うようなことが当たり前のような国だった。

その国の路地裏で見つけた一冊の本、

それが、キノの胸の内に仕舞われた感情に一気に火をつけた・・・・。


・・・・指は、敏感な箇所を執拗に刺激する。
熱っぽい眼差しで、キノは『本』を眺め続けていた。

くぐもった音が静かな森に遠慮なく漏れる
馴れないキノはまるで見えない誰かに覗かれて居るような気がしてたまらなかった。

声は出せない。

「・・・くぅ・・・ふ・・ぁ・・・ん・・・あ・・いや・・」

絶頂を間近にますます秘部を弄る指はその鋭さを増す。
頭の中が白くなって行く、自分が壊れてしまうような、そんな気がしてきた。

同時に、一握の理性からなる、自分の行為に対する嫌悪感が生まれた・・・・

その嫌悪感は、そのまま行為への抑止力になる

しかし

とまらない、止められない、いや、止めたくない

いや、むしろ

このまま 壊れたい

「・・・・・・く、くぅ〜っ・・・んぁああっ、あぁああああっ!」

普段のキノの口調からは想像も出来ない「女」の声が彼女の口を突いて出た。


キノはその雪のような白い肢体をのけぞらせ、緑の色調の中で果てた。
うつろな目は、宙を彷徨う・・・・・・

何時の世にも、人間には付き物の感情がある、
一つは物欲
もう一つは食欲
最後に性欲

これらをなくしては人間といえないが、何故か人間と言う生き物はこの三大欲をひた隠しに生きようとする。
しかし、三大欲が露見することを防止すべく、人々の張る「理性」と言う名のベールは、あまりにも脆く
余りにも未完成要素が多すぎる。
キノが旅してきた旅路の中でも、それ故、人間の不完全さ故、滅んだ国がいくつも有った・・・・・


・・・数分後、モトラドの前に、一人の女の子が立っていた。
「お待たせ、エルメス」
「もう、何してたんだよぉ、本当に日が暮れるよ?キノ」
「へへ・・・ごめん」
「さぁ、乗った乗った、目的の国までまだまだ有るよ!」
「はいはい、よいしょ・・・」
森に、モトラドの規則正しいエンジン音が響き渡る。
「忘れ物は無いね、キノ?」
「うん、ない」

すっきりしてしまったキノは、あんな本は本当は忘れて行ってしまいたいような気分だったが、なぜか捨てられない。
「そういえばキノ、さっき森に持っていったあの本は何なの?」
「え!・・あぁ、あ、あれはね、その・・・」
「なになに?」
「・・・パースエイダーの・・カタログ・・・なんだ」
「なるほど、『そんなもん読んでるのをボクが師匠に言いつけると大変』って訳だね?」
「・・・・」
「大丈夫、ご安心を、言いつけやしないし僕も読んでみたいから、今度からは堂々と読みなよ。」

キノは心の中で「本当に目の前で読んでやろうか」と思ったが、口には出せなかった。

モトラドのエンジンは回転数を上げ、旅人の姿は夕闇の迫る森の中に紛れていった
暖かな風の吹く夕方の出来事だった・・・・・

THE END