補正下着 その2

 今度は、そこそこ年配の、えらく口調の上品なおばさんからだった。
 
女 「補正下着のご案内なんですけども、とても良い品なんですよ」
女 「若い方は特に、体型のことをお気になさるでしょう? 私どもは、そのお手伝いができたら、と思っているんですよ」
私 「あの、私、今ダイエット中なんです」
女 「まあ、頑張ってらっしゃるのね。(さらりと話題を戻して)この下着が、他のものと違って素晴らしいのは・・・」
私 「あの! すみません、そんな誘惑されたら、ダイエット出来ないじゃないですか」
女 「あ、そうねえ。(ちょっと戸惑ってるみたい)まじめに頑張ってらっしゃるのね」
私 「はい。頑張ってます」
女 「でもね、万が一・・・あ、いや、その、ダイエットのお手伝いが出来たらと・・・」
私 「いや、その甘える心が失敗の素なんです(キッパリ)」
女 「そうね。(ため息が聞こえた)じゃあ、ダイエット頑張ってね。もしも・・・いや、そう、こんな良いものがあるって、覚えていておいてちょうだいね」
私 「はい、ありがとうございます」

 とても礼儀正しい方だとお見受けした。「もしもダイエットが失敗したら」という台詞を何度も呑み込んでいたあたり、大人の女性だなあ、と感心してしまう私だった。

(2000.6.11)