架空請求2・東京管財事務局

■今度は実家に私宛の架空請求葉書が届きました。今度の葉書はこんなカンジです。お役所っぽく見せようとしている気持ちだけは受け取っておきましょう。

 
電子消費者未納利用料請求最終通達書

 
 分類コード SR637202
 
 この度ご通達致しましたのは、貴殿のご利用された「電子消費者料金未納分」について、ご契約会社、および回収業者から委託を受けましたので大至急当局までご連絡下さい。
 こちら「電子消費者民法特例法」上、法務省認可通達書となっておりますので、連絡無きお客様につきましてはやむを得ず裁判所からの書類通達後、指定裁判所へ出廷となります。また裁判後の措置と致しまして給与差押さえ及び、動産物・不動産物差押さえを強制執行させていただきますゆえ当局と執行官による「執行証書の交付」を承諾して頂くようお願いすると同時に、債権譲渡証明書を一通郵送させて頂きますので承諾の上ご返送ください。
 尚、書面での通達となりますのでプライバシー保護の為、請求金額・御支払い方法等は当局職員にご確認下さい。
 以上を持ちまして最終通告とさせて頂きます。
 
 裁判取下げ最終期日 平成16年7月2日
管理課  03-6403-5951  相談課  03-6403-5955
     03-6403-5952       03-6403-5956
入金課  03-6403-5953       03-6403-5957
     03-6403-5954       03-6403-5958
 営業時間 平日8:00〜18:00 休業日 土・日・祝日
  〒105-0012 東京都港区芝大門 3-4-21
  法務省認可特殊法人 東京管財事務局

■「架空請求1・大山興業」のページを作るのをサボっていたら、またもや実家から「またアヤシイのが来たで。今度はお姉ちゃん(私のコト)宛」と連絡が入りました。
 こちとらン年も前に結婚して、姓が変わってるがな。一体何の名簿使っているのやら。
 
「契約会社および回収業者から委託を受けた特殊法人」だと名乗ることによって、「法務大臣が許可した債権回収会社でなければ,債権管理回収業を営むことができません」(法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求にご注意ください」より)をクリヤしているつもりなんでしょうね。ちょっとはアタマを使っているようです。
 
 でも、仮に何か未納金があったとして、借金返してくれと言うべきなのは「ご契約会社」なのがスジですし、その請求を他人に任せようってなら、それ相応の連絡が債務者にあってしかるべきなんですよね。
 そういった手続きをすっ飛ばした挙句に「最終通告」とか言われても。やっぱりダメダメですな。
 
 それに、「プライバシー保護」と言って請求金額やら契約会社やらを伏せてあるのも、いただけません。
 
 それなら封書で出せよ。
 
 まあ、はっきり書かないことによって、「もしかしてアノ時・・・」なんて思わせようと目論んでいるんでしょうけど、架空請求バレバレです。
 債権を回収しようという重要な書類に、具体的な情報が皆無だなんてありえませんからね。
 
 そもそも、「電子消費者民法特例法」ってなんですか?
「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」は普通「電子消費者契約法」か「電子民法特例法」と略されます。法務省に認可された、法律に基づいた通達書が、該当法律の略称を間違えないでください。
 それに、債権を回収しようという重要な書類に、根拠となる法律名を略称で書くなんて(以下略)
 
 裁判云々となにやら脅しているようですが、内容以前に文章が滅茶苦茶です。
 堅苦しい文章を綴ろうとしている心意気は買いますが、もっと句点を打ってください。文の切れ目がわかりません。主語もわかりません。時制もわかりません。
 
 もうすこしがんばりましょう。
 
 添削してみようかとも思ったんですが、自分の国語力にそんなに自信が無いということと、元の文章が影も形も無くなってしまうことから、やめました。根本の「内容」自体がヘンなので、たとえ物書きのプロでも不可能かもしれません。
 
 「自称」特殊法人の東京管財事務所って何? とか
 指定裁判所って何? とか
 裁判って、誰が訴えるの? とか
 裁判する前に、勝手に裁判後のことを語っていいの? とか
 債権譲渡証明書って何? 誰から誰に譲渡するわけ? とか
 東京都港区芝大門は二丁目までしかありませんが? とか
 ツッコミどころは山のようにありますが、キリが無いですね。この葉書の存在自体がナンセンスなわけだし。
 
 とりあえず、このテの請求は完全無視ってことでよろしくお願いします。

(2004.7.28)

■このページをアップした後、夕方のテレビ番組「ちちんぷいぷい」で架空請求が取り上げられていました。
 ネタになっていたのは、奇しくもこのページで取り上げたモノと殆ど同じ葉書でした。受け取られた方は、携帯もネットも使わないということで、この請求のデタラメさが如実に表れています。
 
 番組のスタッフが、葉書の連絡先に電話した様子も放映されました。執拗に電話番号を聞き出そうとし、それが叶わないとみるや「それでは、裁判所の方から、呼び出しがかかりますので」とのたまう始末。「契約会社」が既に告訴しているそうです。本人に通知の無い告訴って、ある意味スゴイですね。
 
 請求金額は幾らなのか、の問いには
「既にお金を払えば良い、という状態じゃないんですよ」
「高額です」
「もう時間が無いので、弁護士の方の個人口座に直接振り込んでいただきます」
 
 でも、具体的な金額は、電話番号を教えてもらわないと言えないんだそうです。
 契約会社とやらから委託を受けたのなら、そんで契約会社とやらが告訴したのなら、電話番号ぐらいわかるでしょうに。
 
 番組にコメントを寄せておられた弁護士の方(名前失念・・・)によると、
・電話番号を教えたら最後、払うまで脅しつづけられるだろう。
・そもそも葉書の内容が法律的にもめちゃくちゃ。
・役所からの通知なら、もっと簡潔で分かりやすい。
・「電子消費者民法特例法」なんて無い。
・葉書に金額が書いていないので、この葉書自体は「詐欺未満」である。
 
 電話の向こうは、若そうな女性でした。ためらいもよどみも無く、淡々と上にあげたようなトークをしゃべっていました。自分が行っているのが犯罪だとわかっているのかわかっていないのか・・・。
 なんにせよ、相手はカモが連絡してくるのを、首を長くして待っているようです。
 番組でも「相手に電話はしないで」と結んでいました。やはり無視が一番のようです。

(2004.7.29)

■当サイトに寄せられた、架空請求ネタの記事の一覧は、「体験談総目次 不当請求・架空請求」にあります。ご参考にどうぞ。
 
 また、架空請求ハガキの名称を並べてみました。「架空請求ハガキ考」でそのバカさ加減を堪能してくださいね。