総合管理局

■ペンネーム「スミス」さんからの投稿です。

 H17.12.15に私の祖母宛にこんな文章のハガキがきていました↓
 郵便局の方が届けてくださった時に、親切に「これは悪徳なんで気にしないでくださいね」と言ってくださったので、だまされることはありませんでしたが…
 
 
        司法処分出延要請通達書
 
          分類コード K-5456257
 
 この度ご通知致しましたのは、貴殿のご利用された「総合消
費料金未納分」について通信販売規約会社より平成17年12
月13日に民事訴訟を受けましたので、下記期日までにご連絡
下さい。
 こちら「総合消費者民法特例法」上、法務省認可通達書と
なっておりますので、ご連絡なき場合には、本通達書連載の
裁判所へ出延となります。また司法処分の措置として、給与及
び賞与、動産物・不動産等の差し押さえを民執法156条第1
項に基づき強制執行させて頂きますゆえ、当局と執行官によ
る「執行書の交付」を承諾して頂くようお願い致します。
 
 又、本案件に関して取り下げ手続きを執り行う場合は、下記
期日までに当局までご連絡をお願いいたします。
尚、当局は原告側から訴訟の通達、又訴訟の正当性を確認
する期間であり、当局が金員を要求する事は原則としてありえ
ません。類似した葉書や通達にご注意下さい。
 
 ※身に覚えがない方でも架空請求業者が貴殿の個人情報
を悪用し、実際に小額訴訟の手続き(判決が一日で出る裁
判。もし放置してしまうと欠席裁判となり原告側の言い訳通りの
判決が出される)を利用した新しい手口の報告もございます。
 
    万が一身に覚えがない場合早急にご連絡下さい。
 
    裁判取り下げ最終期日 本書到達後3営業日以内
 
 03−3242−3373(訴訟管理課) 平日9:00〜18:00
 
    〒103−0027 東京都中央区日本橋2−16−3
 
                       総合管理局
 
 
 最初私が見たとき、何か数字が半角だったり全角だったりおかしいな〜と思いました!!!
 その後で「総合消費者民法特例法」って聞いた事ないなと思い、まず地図で書いてあった住所を調べたら…その住所の所に「総合管理局」なんてありませんでした〜!!!
 それから、「総合消費者民法特例法」を調べたら、このサイトにたどりつき、いろいろ見ていると…なるほど〜!!でした!!

■「司法処分」というと、昨日にページを作った「訴訟通達局」と同じですね。やっぱり新しい流派が誕生したみたいです。詐欺師は詐欺師なりに、色々試行錯誤しているのですね・・・。
 でも・・・今回のは、文面がかなりお粗末です。「総合消費者民法特例法」なんて、ウチでは「民事通達局」以来の登場ですし。未だにこんな言い回し使っている架空請求ハガキがあったんですね。
 このバージョンのハガキについては、ツッコミもあらかた出尽くしているのですが、久しぶりなので徹底的に上げ足をとりまくってみたいと思います。

1.「総合消費料金未納分」
 ・・・わけがわかりません。未払金、というフツーな単語では、「箔」が付かないと思っているのでしょうか。サンバの衣装ならともかく、必要の無い「箔」は意味が無い、いやむしろ逆効果です。
2.通信販売規約会社
 何だコリャ。規約会社? 類義語に「校則学校」とか(笑)
3.平成17年12月13日に民事訴訟
 裁判所から本人に通知が無い民事訴訟ってありえないんだけど。ああ、脳内裁判だから仕方が無いのか・・・。
4.民事訴訟を受けました
 この文章では、まるで訴えられたのは「総合管理局」サンではないですか。
5.「総合消費者民法特例法」
 いや、そんな法律無いから。
6.法務省認可通達書
 いや、そんな文書無いから。
7.本通達書連載
 連載かよ。(笑)
8.司法処分の措置
 要するに裁判後の措置のことですね。・・・裁判も始まっていないのに、その結果を勝手に創作しないでください。裁判の意味解ってます?
9.民執法156条第1項
 民事執行法 第百五十六条
 第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。

 ええっと、民事執行法の第百四十三条から第百六十七条までは、債権に対する強制執行についての条文となってますね。裁判所が債権の差し押さえ命令を出した場合の話です。
「第三債務者」とは、差し押さえるべき債権の債務者(債務者に支払わなければならない人)のことです。
 で、「供託所」とは・・・
【供託所】法令の規定により、金銭および有価証券の供託事務を取り扱う機関。法務局・地方法務局、その支局または法務大臣の指定する出張所などをこれにあてる。(「大辞林 第二版」より)

 複数の債権者がいた場合なんかに、債務者が供託所に金銭を供託すると、裁判所が優先順位やら期日やらを決定し、債権者達に配当の形で支払いをしてくれる、ということだそうです。
 
 つまり、「民執法156条第1項」は、
「差し押さえ命令が出たら、債務者は、債権の分のお金を法務局に渡して、債権の支払い方法を裁判所に任すことができる」と。・・・それが何か?
 
 総合管理局さん、使う条文間違えてます。
10.当局と執行官による「執行書の交付」
 執行書を交付するのは誰なんでしょう? 交付されるタイミングは? 交付されたらどうなるんですか? で、いつになったらこの無意味なカギカッコは無くなるのですか?
11.本案件に関して取り下げ手続きを執り行う場合
 だーかーらー、被告に訴訟の取り下げができてしまうと、裁判制度が成り立たないんですってば。
12.原告側から訴訟の通達
 だーかーらー、それは裁判所の役目でしょう。ってか、「原告側から」って意味不明なんですけど。
13.訴訟の正当性を確認する期間
 正当な訴訟かどうかは、裁判を通じて確認されるわけですが。正当だったら、原告側の主張が通るし、不当だったら通らない。それだけです。
 それと、「期間」って、スミスさんの誤植かなあ? それとも総合管理局さんの誤植? 後者ならイタすぎです・・・。
14.原告側の言い訳通りの判決
 言い訳かよ。(笑)

 なんと言うか、「民執法」とか「強制執行」とか「執行書」とか、専門用語を惜しげもなく見せびらかすだけのわりに、「小額訴訟」についてはカギカッコ内に丁寧に概要を付記してくれるなんて、わざとらしすぎて、もう・・・(笑)。
 ここまでしてウォッチャーを楽しませてくれなくってもいいから、さっさと姿を消して欲しいものです、架空請求。
 
■当サイトに寄せられた、架空請求ネタの記事の一覧は、「体験談総目次 不当請求・架空請求」にあります。ご参考にどうぞ。
 
 また、架空請求ハガキの名称を並べてみました。「架空請求ハガキ考」でそのバカさ加減を堪能してくださいね。

(2006.1.20)