常務からのプレゼント

■ペンネーム「ケンヂ」さんからの投稿です。

 以前私宛に会社に直接かかってきた電話です。
 
「もしもしケンヂさんですか?」
「はい、そうですが。」
「私、○○社の△△と申します。本日はケンヂさんにインターネットにおける情報収集の講座をご紹介させていただきたくて、お電話差し上げております。」
 
 話としてはインターネットなどを使用した情報収集、及び情報処理の通信教育らしい。まあただの教材販売のたぐいなのだが、ここからが揮っていた。
 
「はあ、私は特に必要ないんですが。」
「いえケンヂさん、実を言いますと今回のご紹介は御社の××常務からのご依頼で行っているものでして。」
「ほう?」
 
 話を聞くとこうである。××常務(確かにうちの会社の人事関係の重役である)は以前から自社の社員のパソコンの能力に疑問をもっており、もっとパソコンを利用した情報処理能力をもった社員を育てたいと考えている(らしい)。
 そのため今回は中堅社員に絞って○○社に人材の育成を依頼した(そうだ)。
 
「という訳で、御社の中堅社員の方々にお電話差し上げている次第です。」
 
 電話の主は暗に断ると今後の昇進に響くぞ、というニュアンスをにじませていた。ちなみに講座の料金は40万円程度。
 馬鹿な話である。正直言ってどこの会社の重役が手前勝手な理由で、社員に40万円もの負担を強いるよ。しかも昇進に響かせたりしたら、たとえ重役でも会社の中で生きていけんぞ。
 
「いや、でも私はやっぱり必要ないと思うので。」
「ですがケンヂさん。実は同期の方は貴方以外全員申し込まれているんですよ。」
 
 来たよ。同期と比べれば加入するだろうって作戦だよ。
 
「同期って、何人ですか?」
 
 ちょっとカマをかけてみる。
 
「○人です。」
 
 合ってる。ちぃ、こいつうちの会社の名簿を持ってるな。
 
「ともかくですね、ケンヂさん。お電話が遅くなって非常に申し訳ないですが、参加申し込みは今日が締め切りなんですよ。」
 
 おいおい!!不安感を煽って契約に持ち込もって腹かよ!
 ちょっと腹も立ってきたので、嫌がらせをしてみた。
 
「同期全員ということは□□(同期の名前)も参加しているってことですよね。」
「はい。」
「そうですか・・・おーい□□、お前パソコンの通信教育受けるの?・・・・何、そんなもの知らないって? あっそう・・・何か本人知らないみたいですけど。」
「え、あ・・・□□さん、そこにいらっしゃるんですか・・・・?」
「ええ、ちょうど出張で。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・し、失礼しました。」
 
 当然のことながら私の隣には同期などいなかったが。
 
 その日私の会社ではそのネタでみんな大笑いした。
 
 
 後日談。
 事務所の女性が、
「□○さん(私の先輩である)、○○社の△△さんという方からお電話が入っていますが。」
その瞬間、先輩と私は叫んだ。
 
「切れ!!」

■残念ながら(?)私はこのテの電話は受けたことがないのですが、話に聞く通信教育・資格モノの電話ですね。
■「失礼しました」と尻尾を巻いたってことは、結局口から出まかせだったんですよね。おだてたり、脅したり、煽ったり、色々手が込んでいますなあ。

(2001.11.21)