水道水の水質検査?

■ペンネーム「ゆずりは」さんからの投稿です。

 浄水システム?の勧誘が来た時の事を投稿させていただきます。
 
 チャイムが鳴ったのでドアを開けたところ
 
男 「こんにちは、今水道水の水質検査で近くのお宅を回っているんですけど、ちょっとだけ調べさせてもらってもよろしいですか? お水を一杯いただければ、ほんの数分で終わりますので」
私 「はぁ」
 
 半ば強引に玄関に上がりこまれ、その人が持参した紙コップに水を一杯くださいといわれる。
 その際うちの蛇口に市販の簡易浄水器がついているのを見て、「浄水」の水をくんでくれと言われその通りにしました。
 
男 「今からカルキに反応する試験薬を入れます。水が赤くなったらカルキが出ているということです」
 
 と錠剤を水に溶かしました。
 その人のシナリオでは、そこでうちの水道水(しかも浄水)からカルキ反応が出て「このままでは体に悪い!」と勧誘に進むつもりだったのでしょう。
 が、しかし。うちの水道水からはカルキ反応は全く出ませんでした。
 
男 「あれ・・・? 反応出ませんね・・・フィルター交換したばかりだったんですか?(汗)」
 
私 「(本当は1年近く交換してないけど)ええ、まぁ」
 
 私、心の中でガッツポーズ。
 
男 「・・・(気を取り直して)まぁ今回は反応出ませんでしたけど、本来なら浄水器を使っても少なからずは反応が出てしまうものなんですね。
 消毒薬の危険性っていうのは、奥様もご存知だとは思うんですけど・・・小さいお子様がいらっしゃるとなおのこと気になりますよね。例えば煮沸したとしても、カルキは抜けないんです。だから、なるべくお料理には水道水は使わないでいただきたいんですね」
私 「はぁ・・・(余計なお世話だし)」
男 「その代わり、市販のペットボトルのお水でしたら安全ですし、お料理との相性も水道水より抜群に良いですから、これからはそっちをお使いになるようにしてくださいね」
私 「は、はぁ・・・」
男 「でもお料理も毎日の事ですから、お水も毎日必要になりますよね。2Lのペットボトルだって安くてもそれなりにしますし、お金もばかになりませんよね?」
私 「(むむ、来たか勧誘!?)まぁ、そうですね」
男 「そうしましたら、うちの浄水システムをつけていただければ、毎日使いたい放題安全なお水をご家庭の蛇口からお使いいただけるんですよ。
 今すぐできる簡単な工事ですし、本日は工事費無料でやらせていただいております。ただし来月から、使用量として1日にたった130円くらいなんですけど、そちらだけはご負担いただく形になります。
 じゃぁ、ちょっと蛇口のサイズを見せてもらってよろしいですかね?」
 
 さらっと半ば強引に取付工事をされそうになったので、
 
私 「ちょっと待って。誰が工事するって言いました?うちには必要ありません」
男 「え、なぜですか?1日130円くらいで使いたい放題ですし・・・」
私 「そう言われても、私毎日料理しないし、家をあける事も多いんで・・・(これ本当のことです)市販のものを使ったほうが無駄にならないかも。
 それに今はスーパーで専用のペットボトルさえ買えば格安だったりカード持っている人は無料だったりとかで、おいしい水を給水してくれるサービスがあるんですよ。知りませんか?
 そういうわけですので、申し訳ないですけど必要ありません」
男 「・・・わかりました・・・」
 
 わりとすんなり引き下がってくれました。 ただし、帰り際にこんな捨てゼリフを残して・・・
 
男 「ではこれからのお料理には、市販のペットボトルの水をお使いになって下さいね」
 
 結局なんていう会社の勧誘だったのかは不明です。
 水質検査を装って来て、しかもかなり進め方が強引でした。
 後で計算してみたら、1日130円位ってことは、1ヶ月4000円近くかかるってことです。意外と高いじゃないか。
 こちらのサイトを拝見していたおかげで、うまく撃退することができました。ありがとうございます!
 また何かありましたら投稿させていただきます〜。

■販売目的を隠して、「水質検査です」という口実で玄関を開けさせるとは、悪徳商法の王道をいっている会社ですね・・・。
 
 それに加えて、特商法ので定められた禁止行為、第六条第二号「商品(権利・役務)の価格の不実告知」も犯しているようです。
「工事費無料」かもしれませんが、1ヶ月4000円のリース契約は大きいです。そこを伏せて契約に持ち込んではいけません。
 
 あ、まさか浄水器のローンの月額を誤魔化していたってことはないですよね?
 もしもそうだったら、第六条第一号「商品(権利・役務)の内容の不実告知」から違反してしまうことになりますが・・・。有り得ない、と断言できないところがカナシイ・・・。
 
■さて、販売員氏のトンデモ具合を突っ込む前に、まずは言葉の定義をはっきりさせておきましょう。

カルキ [(オランダ) kalk]
〔石灰の意〕クロルカルキの略。さらし粉の俗称。〔「加爾基」とも書く〕(「大辞林 第二版」より)

 石灰というと、酸化カルシウムとか、場合によっては水酸化カルシウムとか、要するにカルシウムですね。電気ポットの内側に使用年月とともに付着する白いものことを「カルキがこびりついた」なんて言いませんか? アレです。
 
 で、さらし粉というのは、漂白剤です。正式な物質名は次亜塩素酸カルシウムといい、水酸化カルシウムに塩素を吸着させて作ります。身近なところで、プールの消毒に使われる、白くてデカイ錠剤です。所謂カルキ臭の元となるものですね。水道水の消毒に使われているのは、主に次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムです。
 
 蛇口やポットにこびりついた「カルキ」と、カルキ臭の「カルキ」は、名称が同じでも別物なんです。
 
 前置きが長くなりましたが、「カルキに反応する試験薬」なんてあやふやな言い方をしている段階で、販売員氏のトークに少々問題アリだと思います・・・。
 
 で、販売員氏は水道水について「消毒薬の危険性」なんてことを言っています。そりゃ、高濃度の次亜塩素酸ナトリウムは危険でしょう。醤油だって、1リットル一気飲みすれば、かなりヤバイですし。
 キッチンハイター浸け置き液(約160倍希釈)で有効塩素濃度は 0.03%。
 ミルトン(哺乳瓶消毒用)浸け置き液(約80倍希釈)で 0.01%。
 で、水道水の残留塩素は厚生労働省水道水質データベース」内の「水質基準等の解説」によると1mg/L程度以下、つまり 0.000001% に満たないのです。
 
 そして、ごく少量の次亜塩素酸ナトリウムは、たんぱく質などと反応(還元。対して、たんぱく質の方は酸化)して、簡単に塩化ナトリウム(食塩)になってしまいます。
 
 NaClO(次亜塩素酸ナトリウム) → NaCl(塩化ナトリウム) + O(酸素)
 
 さらに、次亜塩素酸ナトリウムは加熱によって分解されてしまう為、水道水を煮沸すると、所謂「残留塩素」は取り除くことが出来ます。
 つまり「煮沸したとしても、カルキは抜けない」なんて嘘っぱちですね。
 あ、このカルキがカルシウムのことを指していたらどうしよう(笑)。そうか! ここで逃げ場を用意するために、あいまいな名称を使用していたのか! 恐るべし!(笑)
 
 ・・・冗談は置いておいて、煮沸によって塩素が抜けるということは、殺菌力が無くなるというわけですから、湯冷ましの飲用はお早めに。菌が入れば、後は増える一方ですから。
 
※水道水の鉛やトリハロメタンの問題については、以前に当サイトの「30万円の浄水器!」にてコメントしたことがあります。あわせてお読みください。
 
■東京大学の安井先生のウェブサイト「市民のための環境学ガイド」に、「水道水はどこまで安全か」というページがあります。水道水の最も安全な飲み方も紹介されているので、是非ご一読ください。
「地球・生命などに対する科学的な理解に基づいて自らの行動を環境調和型に変更すること」(「水にまつわる迷信」より)ができるように。

(2005.10.5)