●ZIPANGU FADO宣言●


日本人が、自国で「FADO」と「GUITARRA(PORTUGAL GUITAR)」に取り組むこと、その格闘の歴史を2枚組のCDに編纂した。

日本の多才なアーティスト達が、様々な立場でポルトガルの音楽に向き合い、その時どきの状況において、悪戦苦闘、試行錯誤しながら作品を作り上げた軌跡がここにある。

畢竟、「FADO」と「GUITARRA(PORTUGAL GUITAR)」は日本人のものではない。

それを、巧みに紹介し真似ても、その成果が上がるほどに、ネイティブとの悲壮な差異が露わになる。

逆に、その稚拙な理解と技術による表現は、異形故の喝采に甘んじ、貧宴の酔眼には美なれども、更なる無知と不毛への引導を憚らない。

かように、母国のものではない表現形式に身をやつすとは、それらの狭間で繰り広げられる、かくも激しく切ない格闘なのである。

が、しかし、私たちは、それでもその困難を越えて、音楽を愛する自由と権利を有し、又、それを断固守らねばならない。このCDは、その極めて人間的な営為を賛美し、愚直に「FADO」と「GUITARRA(PORTUGAL GUITAR)」を愛し格闘したアーティスト達の赤裸々なドキュメントである。