マリオネット ツアー日記(2)

99年3月/大分ツアー日記


 久々のツアー日記です。ポルトガル日記は途中で停止中ですが、おかむらさんの日記でおおよその雰囲気はわかっていただけてますか?
 さて今年は、なかなか楽しいツアーが続いています。1月から2月にかけては沖縄ツアーがありました。長野の友人たちから紹介いただいたかたがた(新井英一さんのフリークの方々でもあり、大歓迎を受けました)や、吉田の大学時代の友人(現在、琉球放送勤務。イベントを企画いただきました)のご尽力で、充実したツアーでした。多くの友人たちとの出会い、泡盛と沖縄料理、ハードで楽しい体験でした。
 2月には、雪の金沢。こちらは歌手・香川有見さんからお誘いを受けてのジョイント。香川さんは数年前から頻繁に金沢でライブをされていて、今回はそれに便乗させていただいてのジョイントライブです。こちらも本当によい出会いがあり、冬の北陸の海産物と地酒とともに、忘れられない印象的なツアーとなったのでした。
  そして今年3回目のツアーが今回の大分です。久々に日記形式でリポートしてみたいと思います。

2月28日(日) 晴れ

 大阪は朝から少々曇り気味の天気。時折雪もちらちらするような寒さだ。
 マリオネットの二人とは、伊丹空港で11時の待ち合わせ。チェックインを済ませて搭乗ゲートへ。大分行き11時50分のJALに搭乗予定。さすがローカル線(失礼)、なかなか小さな飛行機、楽器が置けるかなあ。かなり満席で不安であったが、何とか楽器を無事に持ち込むことができた。
  12時50分、大分空港着。大分は快晴だ。空港で、東京から一足早く到着していたJALストーリーのKoさん・Hさんと、赤坂・ノベンバーイレブンスのKaさんが出迎えてくれた。今回の大分ツアーは(実は沖縄もそうだったのだが)JALストーリーのKoさんからいただいた企画から始まっている。Koさんとは、赤坂・ノベンバーイレブンスのライブでKaさんからご紹介いただいたのが出会い。JALストーリーの企画したツアーの一環としてのライブが、明日、湯布院の玉の湯という旅館で行われるのである。Kaさんは、今回の一連のツアーの、音楽コーディネーターといった役割である。
  空港からはジャンボタクシーで湯布院へ移動。2時半頃、この日の宿である四季ホテルに到着。湯布院のはずれにある新しいホテルだが、なかなかこじんまりとしたきれいなところだ。一旦荷物を置いて、玉の湯へ下見に出かける。玉の湯は湯布院でも最も人気のある旅館のひとつ。なかなか風情のあるたたずまいである。明日ライブのあるサロンで、簡単な打ち合わせ。 打ち合わせ後、Koさんたちとは一旦別れて、湯布院の町を散策かたがたJR駅前まで歩き、軽く腹ごしらえ(昼食を取ってなかったのです)。5時前にホテルへ戻る。6時半に一同で夕食(洋風と和風の折衷、なかなかおいしい料理でした)。夕食後は露天風呂(なかなか快適)を楽しんだ後、就寝。明日はいよいよライブである。


3月1日(月) 晴れ

 昨夜の露天風呂温泉で体が温まり、なかなか快適な眠りとなり、結構朝早く目がさめる。
  午前9時、朝食。一行の中で湯淺だけ降りてこず食事抜き。彼は朝が苦手である。この日の朝食は純和風。手が込んでいて、品数も多く、朝から贅沢な食事だ。
  午前11時、ホテルをチェックアウトし、玉の湯へ向かう。玉の湯のサロンのセッティングは3時にならなければ出来ないため、とりあえず部屋に入り、各自適当に食事に出ることにする。前日も結構贅沢な部屋だったが、今回はすごい。すべての部屋が離れ風になっている。真中に広いリビングを挟んで和室と洋室の寝室がある。相談の結果、和室に湯淺が、洋室に残念ながら吉田と私が同室となった。とりあえず部屋に荷物を入れ、3人で食事に出る。店を探すのも面倒なので適当に蕎麦屋に入って、天ざるを注文。ところで、大分は醤油が大変甘い。自然、醤油を使った料理の味は甘くなる。以前大分で刺身を食べて、刺身醤油の甘さに辟易したことがあったが、やはり、ざるそばのそばつゆも甘い。結構おいしいのだけれど、そばつゆは甘いよりはちょっと辛いくらいがいいと思う。皆さんはどう思われますか?
 昼食後一旦部屋へ戻って休み、3時から音響の仕込み、4時からサウンドチェック。多少手間取って、5時半に終了して夕食。家庭田舎料理風だが、なかなか贅沢。
 ゆっくりの夕食の後、8時過ぎからライブ開始。今回のライブは、JALストーリーのツアー客と地元の人たち、計約40人がお客様。なかなか乗りのいいライブが約1時間、9時半頃、大盛況のうち終了。館内のバーで打ち上げをした後、温泉露天風呂でまたまたくつろぎ、部屋へ戻って3人で一杯。湯布院温泉を満喫した2日間であった。


3月2日(火) 晴れ

 午前9時、ゆっくり起床。のんびりと支度をした後、11時に朝食件昼食。JALストーリーの一行はすでに出立していて、今日からは我々だけで大分ツアーである。
 12時にホテルを出て、タクシーで玖珠郡九重町へ向かう。今日は、九重町にある足立文化会館が閉館になるため、さよならコンサートが行われる予定である。とりあえず宿となっている飯田高原の九重観光ホテルへ入る。今回のコンサートをセッティングしてくれたMさんにご連絡をとり、後刻、迎えにきていただくことになる。
 午後3時、Mさんがこられ、車で会場へ向かう。九重町は大体4つのブロックに別れているとのことだが、非常に広い町だ。標高千メートルの飯田高原のホテルからとはいえ、会場までたっぷり30分かかって到着。足立文化会館は36年前に立てられた建物で、ずいぶん老朽化したため、新しい会館を建設し、足立文化会館はその歴史を終えることとなった。この間、九重町の文化の発展のもっぱら中心となった建物ということで、今回、町が一体となったイベントとして行われるそうである。
 会場入りしてすぐにサウンドチェックをはじめる。今回PAをしていただくEさんは、香川有見さんが九州でライブをされるときにはもっぱらPAをされているとのこと。なかなかの偶然。チェックに4時半過ぎまでかかり、5時に弁当で簡単に夕食。7時から開演したコンサートは約1時間40分。盛況のうちに無事終演。
 片づけが終わった後、Mさんにお送りいただいて、途中、ワインや食べ物を買い込んでホテルへ戻る。とりあえず風呂(ここも温泉地なので、大きな露天風呂が有る。大いに満喫。3日続きで贅沢をした気分だ)へ入り、その後買い込んだワインやビールで一杯やって就寝。明日は大分市である。


3月3日(水) 晴れ

 午前7時起床。今日は必要の無い物をまとめて、宅急便で中津(明日の行き先)へ送り、再び露天風呂へ入る。朝のすがすがしい空気の中、九重連山を正面に見ての朝風呂は本当に快適だ。すっかり温泉にはまってしまった。(ちなみにマリオネットの二人は朝風呂は入らなかったようだ。もったいない)
 8時40分頃、Mさんがお迎えにきてくださる。ご一緒にコーヒーを飲んだあと、荷物を積み込んで出発。JRの豊後中村駅までお送りいただく。ローカル線特有の、のんびりした風情の駅で約15分ほど待って、急行で大分へ向かう。
 10時44分、大分着。大分駅に、大分マンドリンオーケストラの会長・Mさん(上記のMさんとは別の方です)がお迎えに来てくださる。今日は、大分銀行本店ロビーでのミニコンサートがある。Mさんは大分銀行のOBでもいらっしゃるそうで、この演奏会はMさんのご尽力で実現した。現在、吉田が吹田シティーマンドリンアンサンブル・ラフィーヌの指導をしているが、このメンバーの一人がかつて大分に在住していて、大分マンドリンオーケストラに所属されていたのがご縁で、今回の演奏会となった。
 急いで大分銀行に入り、11時半から1回目のステージ開始。大分銀行のロビーコンサートは定期的(月3回)に行われていて固定客の方もおられるし、事前に各方面からのインフォメーションもあって、熱心な音楽ファンが集まっておられた。2回目のステージ(12時40分開始)も好評で、1時20分終演。
 この後、銀行の向かい側にある大分市役所を訪ねる。実は大分市は、戦国時代のキリシタン大名・大友宗麟で知られるように、ポルトガルとは大変ゆかりの深い土地である。大分市は、ポルトガルのアヴェイロ市と姉妹都市の関係にあり、昨年、大分市の使節団がポルトガルを訪れた際、アヴェイロでマリオネットが一行を迎える際のウェルカム演奏をしたこともある。(98年 ポルトガル滞在日記/参照)今回は、そういうご縁もあって、大分市の文化国際課を表敬訪問したという次第である。ポルトガルの話でしばし歓談。ちなみに今年1999年は、フランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を伝えて450年目に当たる。各地でザビエル展などが催されている。さらに再来年は、ザビエルが大分に訪ねて(宗麟がザビエルに布教を許してから)450年目に当たるそうで、大分市では、2001年がポルトガルとの関係では節目の年に当たり、現在、いろいろと企画を考えておられるそうである。今から大いに楽しみだ。
 この後、遅い昼食を済ませ、駅前のビジネスホテルへチェックイン。夕方までしばし休憩。夕方からは別行動の予定である。
 午後6時半、湯淺に連絡を取って、西大分のブリックブロックという店へ行く。つい先日、湯淺が大阪で歌手の長谷川きよしさんにお目にかかった際に、大分に行くなら港のそばにライブをやっている良いお店があるから行ってみるといいと紹介され、訪ねてみたのだ。西大分駅から港のほうへ5分ほど、フェリー乗り場のすぐ脇の寂しいところに、その店はあった。港の煉瓦造りの倉庫を改造したようなその店は、外壁に蔦が絡まりいい雰囲気だ。中は結構広い。ジャズアーティストの写真パネルが店内あちこちにディスプレイされていて、2階席もあるお洒落な造り。あいにくこの日はライブではなかったのだが、そのおかげで店長とゆっくりお話することができた。いつかこの店でもライブをやってみたい。
 8時過ぎに店を出て、一旦ホテルへ戻り、近くの魚の店へ飛び込んで、夕食。大分名物の関さばを注文、立派な関さばが半身丸々刺身で出てきて、舌鼓を打つ。この店は当たりだ。駅からすぐの「かぶと」というお店。朝は10時過ぎから店を空けて定食を食べられるとのことだったので、翌朝また来る約束をして店を出る。
 その足で県立芸術会館へ向かう。この館内の練習室で大分マンドリンオーケストラが練習されていて、吉田はそちらに行っている。昼にあった大分銀行のロビーコンサートにも、メンバーの何人かはいらっしゃっていた。到着すると、吉田がマンドリンを持って何かしゃべっている。どうやら練習が終了して、にわかに先生に仕立てられて講義中のようだ。この機会に、マリオネットが4曲ほど披露。喜んでいただけただろうか。
 終了後、Mさんの車でホテルまでお送りいただいた。部屋に荷物を戻した後、吉田が食事がまだだとのことだったので、近くの居酒屋へ。大分の夜は早く、12時前にはホテルに戻り、就寝。


3月4日(木) 曇りのち雨

 午前8時起床。10時にホテルをチェックアウトして、昨晩行った「かぶと」で朝食。吉田は昨夜食べれなかった関さばの定食を、湯淺は刺身盛合せ定食、私は関あじ定食を注文。朝からすごく贅沢な食事。サービスでさばの味噌汁(昨晩も食べた)を出してくれたが、これは美味い。冬季しか出していないそうだが、機会があれば食べることをお勧めする一品だ。最後に珍しい貝(細長くて大きい。残念ながら名前は忘れてしまった)をこれもサービスで軽く酒で味をつけ、火を通して出してくれた。ゆっくりしたかったのだが電車の時間も有り、急いで店を出る。
 大分駅から11時発の特急で中津市に向かう。中津駅11時48分着。駅に、今回お世話になるOさんがお迎えに来てくださり、昼のコンサートの会場である図書館へ。この日は2回コンサートがある。昼はOn Our Ownの会という、精神障害者が自分達自身について考え、社会参加のあり方を見つけて行こうという会の主催でのコンサート。当初の予定以上に参加者が集まり、ずいぶん盛況な会となった。
 終演後、駅前のホテルにチェックインだけ済ませて、すぐにOさんのご自宅へ移動。夜のコンサートは、〇さんが自宅の一角でされている、焼き物やガラス作家の作品などを扱っているお店でのサロンコンサート。広めの土間といった感じのところで、ずいぶんいい雰囲気である。簡単にセッティングを済ませて、夕食に「筑紫亭」という料亭へ。この筑紫亭、100年の歴史のある、落ち着いたたたずまいの料亭である。日本有数の魚介の宝庫・周防灘の海の幸や豊後牛など、すべてこの地の食材を使っての料理を楽しめる。この店の女将さんが昼のコンサートに来ておられて、いろいろとご説明をしていただいた。この店のご自慢は周防灘で採れる鱧料理。私たちは鱧をしゃぶしゃぶでいただいたのだが、上品でしかも骨を感じない素晴らしい味だった。周防灘の鱧は1年中採れ、しかも大ぶりにもかかわらず柔らかくて味が良いそうで、日本一の鱧と言われているとのこと。我々は鱧といえば京都、しかも夏の味覚というイメージだったが、目から鱗が落ちた思いだった。
 ゆっくり食事を楽しみ、6時過ぎに会場へ戻る。6時半からコンサート開始。さほど広くないスペースなのだが、70人近い方が来られてこちらも盛況であった。今日はPAをまったく使わない生演奏だったのだが、音も良く、楽しんでいただけたのではないだろうか。
 終演後、一旦ホテルに戻って荷物を置いた後、近くの民芸風の居酒屋で今日の関係者の皆さんとともに打ち上げ。楽しい時間を過ごし、12時頃ホテルへ戻って就寝。


3月5日(金) 晴れ

 7時半起床。荷造りを済ませ、ギタースタンド類は宅急便で次のライブ地・東京に送る。
 9時半にチェックアウトして、中津駅前のバスターミナルへ。大分空港までは1時間半かけてバスで移動。空港でゆっくり昼食を済ませ、午後1時半の便で帰阪。
 午後2時半に伊丹に到着後、スタジオに入り、疲れた体に鞭打ってテレホンサービスの情報入替えを済ませる。午後4時半頃終了、解散。
 明日1日中休みで次はまたまた東京へ移動。大分ツアーは終わったが、ライブはまだまだ続く。皆さん、どこかの会場でお会いしましょう。