オープンシステム
建築業界、流通業界に限った事ではないが、欧米等に比べ日本の様々なシステムには悪しき伝統がさも常識のようにまかり通っていることが多い。
でも、それは見る人から見れば「なんかおかしい」と気づく事は意外と簡単だったりする。。
このようにをおかしいことに気づく事までは珍しい事ではないが、それを単なる気づきに留めず積極的に改革していくにはすごいエネルギーがいる。
それを実践していこうとする設計士(正確に言えば経済界や弁護士などの有識者までも取り込んでいる。)のグループがこのオープンシステムの集団(ネットワーク)、オープンネットである。
話が堅くなってきたので具体的な話に変えていきたい。

きっかけ
「オープンシステムってうさんくさい。」が私のオープンシステムに対する当初の感想だった(山中会長ごめんなさい)。
「だって、こんな理想だらけの話、建築費が2.3割落ちるって?どっかに落とし穴があるよ、きっと!。」というのが素直な気持ちだった。
そんな慎重派の私が、今では知人に紹介してもらった設計士を説得してオープンネット(オープンシステムを実践しているネットワーク)に入会してもらい、沖縄で第1号、日本最南端のオープンシステムで建てる家のオーナーになった。
そして建築コストを4割削減を実現したのだから、本当世の中はわからないものである。

きっかけは、皮肉にもハウスメーカーとの契約解除だった。

細かい説明は他で書くが、私は、ハウスメーカー主導不透明且つ理不尽な従来の建築業界の常識についていけなかった。
ハウスメーカーとの契約解除後、選択肢をほぼなくしかけた私に唯一残されていた選択肢がオープンシステムだったと言っても過言ではない。
今までも何度か手を伸ばしかけ、その手を払った禁断の果実、オープンシステム。
溺れるものは藁をも掴むという思いの中、心の支えになったのはハウスメーカーとの解約の席にも同席してもらった一級建築士資格を持つNさんという知人の一言。
「オープンシステムやってみたら、もし、おかしなところがあれば自分なりにそこを変えてやればいい。しんちゃん式オープンシステムでいいんじゃないの。自分も力になるから。」

あとは、実行あるのみ。
石橋を叩きすぎ、壊れてしまい渡れない程の慎重派の私が一つでもおおく石橋を叩いておく番である。
・本部からの契約書、共済約款の取り寄せ詳細の確認。
・関連ビデオ、関連書籍購入読破。
・事務局へのしつこいほどの?コンタクト。
・オープンシステム先輩施主との情報のやりとり。
・上京して山中会長の講演会に行ったりもした。
etc・・・
出た結論は白。
あとは沖縄でまだ一人もいなかったオープンシステムの理解者(会員設計士)を作りあげる事(これにまつわる話もありますが略します。)と沖縄独自の地域性がオープンシステムにあうかであった。

オープンシステムとは
「オープンシステムって知ってる?。」と職場の後輩に尋ねた事がある。
「外から眺められるモデルルームや展示場の事ですか?。」と彼は答えた。
100%間違っているわけでもないかもしれないが、正解にはちょっと程遠い。今に思えば私も初めはそんなイメージだったかなと思う。

オープンシステムを手短に説明するのは難しい。
発注形態がいくつかあり、特徴も多様だからだ。
ここではオープンシステムの最も特徴的で、且つ私も採用したタイプT型(分離発注型)について説明したいと思う。
その他の説明はオープンシステムをとりまとめているオープンネットのホームページで調べていただきたい(特に分離発注なんて大それた事をと思っている人は分離発注ではない形態もあるので是非チェックしてみてください)。
また、私はオープンシステムの回し者ではないので、舌足らず、説明の欠ける点もあるかもしれませんがあらかじめご了承頂きたい。


オープンシステム(分離発注型)とは
@家を建てたい建築主(施主)がハウスメーカーや工務店を通さず大工さんや電気工事屋さん、屋根工事屋さんなどの専門業者と直接契約を締結する。
(従来型だと、建築主はハウスメーカーや工務店と契約し専門会社とは間接的にしかつきあいはない)。

A設計士と施主の関わり方は、施主はオープンシステムに賛同する設計士と業務委任契約を結び、設計士は建築の素人である建築主の立場で間に入り専門的に事を進めていく。
その業務は単に設計業務にとどまらず、専門業者の選定や進行状況の管理、工事工程の管理など通常ハウスメーカー等を切る事ですっぽりあいてしまう役割部分もカバーし全体的な視野で建築主のフォローをする。

B従来のハウスメーカー主導から施主主導に変えたシステム。


オープンネットの利点
@従来の元請け、下請け、孫請けという多重下請け構造を排除する事で価格を落とすことができる

A従来のハウスメーカー、工務店を通さないことで、ハウスメーカーに間接的に流れていたお金(ハウスメーカーのモデルルーム維持費、広告費、経理・営業・役員等に給与、報酬)が浮くことになり、価格を落とすことができる

B各工程ごとに数社の専門業者から見積もりをとる事で競争原理が生まれ価格を落とす事ができる

C専門会社は従来型の元請け(ハウスメーカーや工務店)の顔色をうかがう必要がなく施主とパートナーとしてつきあうので専門的且つ積極的なアドバイスをしてくれる事になる(今までだと、施主のためによくないとわかっていても元請けに気兼ねして飲み込んでいた)

D専門業者と直接やりとりするので、従来のまどろっこしい遠回りな連絡系統がとり省かれスムーズに話が進む

E設計士はあくまでも施主の代理人として動いてくれる(ハウスメーカーのお抱えの設計士だといいえ家を造る以前にハウスメーカーの立場で都合のいい家を造ってしまいがち)

F価格(釘一本の値段まで)や工程などすべての面で施主にとって透明性が確保されていて全て中身が見える

G例えば変更があったとき、ハウスメーカーだとなにを根拠に出したかわからない額を あちら主導で提示され施主はそれを飲まざる得ないが、オープンシステムではなぜいくらアップするのかわかる上、実費のみのアップですむ(根拠のない1坪いくらという上乗せの仕方はしない)

H積極的に自分の家に対して計画、設計、発注、管理に参加でき愛着も強くなる(ハウスメーカー等だとお膳立て(受動的)ができている代わりに、融通が利かず、仮に意見が通ったとしても適正な価格以上の額を要求されたりする)

I従来のハウスメーカーだと使う資材が限定されていて、例えば「A社の窓からB社の窓に換えたい。」と言うと、断られるか膨大な変更料的な物を要求されるのが落ちだが、オー プンシステムはまさしく1から自分で組み立てて行くので枠にはまらない自由な選択が可能である

Jパターン化されてない分個性的な家が造れる

K実際に施工する専門業者の顔が見える

L従来のハウスメーカー自社の社員による偏った監理ではなく、施主の立場に立った監理設計士がしてくれる。

Mオープンネットが独自で開拓した中間流通業者を排除したOEM建築資材を安くで提供してもらえる。

N材工分離を前提に専門工事会社と契約でき。安い資材を探せば努力の分価格に反映される。
etc・・・


オープンシステムのリスクとフォロー
@ハウスメーカーや工務店を通さない分離発注なので(財)住宅保証機構住宅性能保証制度の10年保証が受けられないが、それにかわるものとしてオープンネットは大手損保会社東京海上火災保険とそれを限りなく近い形で補うオープンネット共済を共同開発し、最長10年の瑕疵担保責任の心配はなくなった。 (この共済の存在はかなり大きい。私もこれなしでは正直入り込めなかった。)

Aハウスメーカーや工務店での建築と異なり全てお膳立てされていないので手間がかかる。
しかし、自分の家に思い入れを強く持つ施主にとってはむしろ喜ばしい事である。 (苦労の分、完成した後の充実感はひとしおだと思う)
etc・・・

ざっと、私なりにオープンシステム(オープンネット)を説明してきたわけですが
うまい話にはトゲがある?。」かもしれない。
ここまで書いてこういう事を言うのも何だが、多少は疑いの気持ちも持ちつつ、あとは自己責任でじっくりオープンシステムを調べてもらいたいと思います。