はじめに
プログラムを作って公開したり、Web Siteを作成している以上、知的財産権(知的所有権)について知っておく必要があると思い調べた成果報告です。
特にバイオリズムの知的財産権・工業所有権について調べてみました。
調査に関して、特許庁のWeb Site をかなり参考にしました。
分類
まず、知的財産権は次の表の様に分類され、法律により保護がされています。
その中で、特許法、実用新案法、意匠法、商標法により保護されている物を工業所有権と称しており特許庁において管理されています。
| 分類 | 知的財産権の種類 | 保護のための法律 | ||
|---|---|---|---|---|
| 知的財産権 (知的所有権) |
知的創造物 | 発明 | (特許権) | 特許法 |
| 考案 | (実用新案権) | 実用新案方 | ||
| デザイン・意匠 | (意匠権) | 意匠法 | ||
| 商品の形態 | 不正競争防止法 | |||
| 営業秘密 | (製造技術、顧客リスト等) | 不正競争防止法 | ||
| 半導体集積回路 | 半導体集積回路の回路配置に関する法律 | |||
| 植物新品種 | 種苗法 | |||
| 著作物 |
著作権 (小説、音楽、プログラム等) |
著作権法 | ||
| 著作隣接権 (実演家、レコード製作者、放送事業者等) |
||||
| 営業上の標識 | 商号 | 商法 | ||
| 商標 (サービスマークを含む) |
登録商標(商標権) | 商標法 | ||
| 未登録(周知)商標 | 不正競争防止法 | |||
| 地理的表示 | 不正競争防止法 商標法 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 |
|||
工業所有権の説明
工業所有権はそれぞれ次の様に定められております。
■特許権
自然法則を利用した、新規性のある、産業上有用な発明に対して最大20年間与えられる独占権。
■実用新案権
物品の形状・構造・組み合わせに関する考案(小発明)に対して最大6年間与えられる独占権。
■意匠権
美感・新規性・創作性のある物品の形状・模様・色彩に関するデザインを最大15年間保護。
■商標権
商品・役務に使用するマーク(文字・図形・記号など)を登録して保護(10年ごとに更新可)
更新されつづける限りにおいて、永久に保護されるものと考えられます。
どのような物が、これらに登録されているかは、特許庁のWeb Siteに行けはデータベースが公開されているので調べることが可能です。(特許電子図書館(IPDL)で検索できます。)
ただし、特許及び実用新案に関してはテキスト検索ができるためかなり検索しやすくなっておりますが、意匠権に関しては番号による検索しかできないため、目的のものを検索できない可能性があります。
私見
とりあえず、バイオリズムに関する意匠権をカレンダーに限定して調べたところ、保護期間を過ぎたものしかないことがわかりました。
分類番号F2410(カレンダー)及びF332(図表)に置いて問題無いことを確認しました。
特許・実用新案に関しては19件検索に引っかかりました。
この中で公開番号 特開平8-235268に当たる特許がバイオリズムの周期表示に関するものとして有りました。
以下がその特許の請求範囲(公開特許公報より抜粋)です。私の作成したAdd-inが特許違反になるか検証してみました。
【請求項１】 『身体』『感情』『知性』の３要素からなるバイオリズムの周期表において、各要素の高調期から低調期への移行日または各要素の低調期から高調期への移行日を注意日と、該注意日の前３日間と後１日間を要注意日と、各要素の最高調日（最高点）と最低調日（最低点）並びに注意不要日とを識別記号を用いて表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示。
■注意日を表示上識別していないので問題無いと判断します。
【請求項２】 請求項１において、午前０時から翌日の午前０時までの１日の表示区間をさらに半分に区切り、１日の区間について、午後１２時から翌日の午後１２時までの区間と午前０時から翌日の午前０時までの区間のどちらかを選択的に表示することを特徴とするバイオリズム周期表示
■上記選択を行えるようにしていないので問題無いと判断します。
【請求項３】 請求項１から２において、最高点と最低点とを異なる記号で区別して表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■最高点・最低点の記号での表示を行っていないので問題無いと判断します。
【請求項４】 請求項１から２において、１周期に２ヶ所存在する注意日を各要素の低調期から高調期への移行にあるものと各要素の高調期から低調期への移行にあるものとを区別して表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示。
■注意日を識別して表示していないので問題無いと判断します。
【請求項５】 請求項１から４のいずれかにおいて、『身体』『感情』『知性』の３要素の要注意日をそれぞれ実線または点線または一点鎖線の異なる線で表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■注意日を識別して表示していないので問題無いと判断します。
【請求項６】 請求項１から４のいずれかにおいて、『身体』『感情』『知性』の３要素の要注意日をそれぞれ実線または点線または一点鎖線の異なる線で表示し、さらに上記３要素について色別に表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■注意日を識別して表示していないので問題無いと判断します。
【請求項７】 請求項１から５のいずれかにおいて、裏面に粘着剤を塗布したテープ形状又は円盤形状若しくは円錐形状にバイオリズム周期を表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■表示形態に関する項目ですが、まったく当てはまらないので問題無いと判断します。
【請求項８】 請求項１から５のいずれかにおいて、バイオリズム周期をあらかじめカレンダーに表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■請求項１から５が問題無いと判断しましたので、この項目も問題無いと判断します。
【請求項９】 『身体』『感情』『知性』の３要素からなるバイオリズムの周期表において、各要素の高調期から低調期への移行日を注意日と、各要素の低調期から高調期への移行日を極注意日と、極注意日の前３日間と後１日間を要注意日と、各要素の最高調日（最高点）と最低調日（最低点）並びに注意不要日とを識別記号を用いて表示したことを特徴とするバイオリズム周期表示
■注意日を識別して表示していないので問題無いと判断します。
結局のところ、バイオリズムの注意日の表示に関する特許と考えて間違い無いと判断しました。
(注意日の表示を行っているバイオリズムプログラムはこの特許に引っかかる可能性があるので注意した方が良いと思います。)
基本的に他のバイオリズム関係の特許は請求範囲が表示装置となっているものが多いため、表示する為のプログラムは装置ではないので請求範囲外と判断しました。
他のバイオリズム関係の特許で面白いものは、ゲームのキャラクターのパラメーターとしてバイオリズムを使用することが出されています。
と言うわけで、バイオリズムのAdd-inを問題無く公開できると判断しました。
手直しを行い次第再公開します。すでに公開しています。