標準シリコンによる補正解析法
Carbon Analyzer G Ver.6
    

更新履歴


・Windows10に対応したCarbon Analyzerをリリースいたしました。
・Carbon Analyzer G seriesの解析方法は、JIS R7561:2007に正式に採用されています。
・解析方法の詳細は、Carbon 42, 701-714(2004)に紹介されています


1. はじめに
 G seriesは、炭素の格子定数および結晶子の大きさを評価するために制作されたものです。制作にあたり、以下の文献[1]-[5]を参考にしています。
[1] 稲垣道夫、炭素 No.36(1963)25-34
[2] 炭素材料学会、CARBON-X 取扱説明書、潟潟Aライズ社、p.29-33
[3] 藤本宏之、炭素 No.206(2003)1-6
[4] Norio Iwashita, Chong Rae Park, Hiroyuki Fujimoto, Minoru Shiraishi, Michio Inagaki, Carbon 42(2004)701-714
[5] 日本学術振興会第117委員会、炭素 No.221(2006)52-60


2. 解析のフローチャート
 解析プログラムのフローは以下の通りです。

             図1 解析フローチャート

3. 主な機能
(1) 解析用X線回折データの読み込み
 読み込み可能なデータファイルフォーマットは以下の通りです。
  ・本ソフトウェア指定のcsv形式ファイル
  ・潟潟Kク社製X線回折装置RINT2000シリーズの一部のASCデータ
  ・鞄津製作所製X線回折装置XRD-6100の一部のASCデータ

(2) 解析データの保存
 出力ファイルフォーマット:Excel形式(*.xls)あるいはPDF形式(*.pdf)
 表計算ソフト「エクセル2010」およびAdobe Acrobatがインストールされている必要があります。
 
(3) 印刷
 プリンタの機種およびAdobe Acrobatのバージョンによっては、印刷結果の罫線がずれたりすることがあります。

(4) X線回折データの強度補正(データはCuKa線をX線源として測定されたものに限ります)
  ・データの平滑化
  ・自動バックグラウンド補正
  ・手動バックグラウンド補正
  ・吸収因子による補正
  ・ローレンツ因子による補正
  ・偏光因子による補正
  ・原子散乱因子による補正

(5) 解析法’03モードによる解析
 炭素の002, 004, 110, 112, 006回折線およびシリコンの111, 311, 331, 422回折線のピーク分離
  ・自動ピーク分離機能
  ・手動ピーク分離機能

(6) 解析法’63モードによる解析
 Rachingerの方法によるKa1, Ka2回折線プロファイル分離

(7) 格子定数および結晶子サイズの評価
 炭素の002, 004, 006, 110, 112回折線の位置および半値幅より格子定数a0, d002, d002 (004),  d002 (006), d112の算出およびLa, Lc, LC112の算出

4. 解析手順
 まず、強度補正ウィンドウ(図2)で強度補正を行った後、 解析法’03モード(新学振法)(図3-1)あるいは解析法’63モード(旧学振法)(図3-2)のどちらかで解析を行います。


図2 強度補正ウィンドウ


図3-1 解析法’03モードのウィンドウ


図3-2 解析法’63モードのウィンドウ

4.1 解析法’03モードによる解析(プロファイルフィッティング法)
 この解析モードでは、実測プロファイルをプロファイル関数を用いてフィッティング処理し、ピーク位置、半価幅を 自動的に読み取った後、格子定数および結晶子サイズを算出します。フィッティング方法としては、
(1) 手動モードによるフィッティング
(2) 全精密化法
(3) 部分精密化法
の3種類のフィッティング機能が搭載されています。

4.2解析法’63モードによる解析(Rachinger法)
 この解析モードでは、Ka2/ Ka1分離係数をg=0.45-0.55の範囲で、実測プロファイルを自動的に分離し、ピーク位置、半価幅を 自動的に読み取った後、格子定数および結晶子サイズを算出します。

4.3 解析データの保存
 表計算ソフト「エクセル」を起動して、エクセル形式で解析結果を保存することができます。
1枚目のシートには
・ データの測定条件
・ 得られた格子定数および結晶子サイズ
・ 各プロファイルのピーク位置、強度、半値幅
などが書き込まれ(図4-1)、 2枚目以降には、002, 004, 110および112&006回折線のピーク分離プロファイルがグラフ化されます(図4-2)。 なお、表計算ソフト「エクセル」がインストールされていないと、保存ができません。


図4-1 保存データの1枚目のシート(左側:解析法'63モード、右側:解析法’03モード)



図4-2 保存データの2枚目以降のシート(左側:解析法'63モード、右側:解析法’03モード)

4.4 印刷
 解析結果の報告書を印刷することができます。また、プリンタにAcrobat PDFWriterをインストールしておくと、PDFファイルとして結果を保存することもできます(図5)。プリンタの機種およびAdobe Acrobatのバージョンによっては、印刷結果の罫線がずれたりすることがあります。


図5 解析結果報告書の印刷例