home主人敬白応接間ことばイラスト秘密部屋記帳所
「Yeemarと紅白」目次へ  出場歌手と曲目 1951-79  1980-現在  紅白リンク集



第9回
演歌の出場枠は減らせ

 2000年「紅白歌合戦」の出場者・曲目も決まりましたが、一見して目を疑うようなものになっています。

 演歌勢が紅組13人、白組12人の合計25人。総出場組数が56組ですから、そのうちの45パーセントが演歌勢で占められているわけです(演歌の定義によって、1〜2人ぐらい増減するでしょうが)。昨年は、総勢54組のうち紅組12人、白組11人の合計23人でしたから、人数としても割合としても若干増えています。

 これは果たして、国民の中のどういう声を反映しているのでしょうか?

 何度も書いているように、「紅白」はハレの場であり、多くの国民が参加するカーニバルである、あるべきだと思っています。とすれば、CDの売り上げには結びつかなくとも、演歌が国民各層の深い部分に浸透して、人々の愛唱歌となっているならば、たしかに、一概にこれを否定すべきではないとも思います。年末には、家族でコタツに入り、しみじみと「紅白」で北島三郎の演歌を聴きたいという人は、決して少なくはないでしょう。

 人口1億人以上のこの国には、さまざまな年齢層、職業の人が雑居しています。とくに高年層の割合が大きくなっている現在、「紅白」の曲目としても、高年層に支持されている演歌を決して無視することはできないでしょう。演歌は、漁に出るお父さんの労働歌であり、隠居の年寄りたちの交歓の歌でもあります。

 しかし、一方では、これも何度も言うように、「紅白」はその年の時代性を映すものでなければなりません。2000年の空気を表現する「紅白」として、出場歌手(組)の半分近くが演歌というのは、望ましいことでしょうか。今年、それほどまでに演歌がはやったとは到底思えません。

 今年の「紅白」は今世紀最後の回になるわけで、今年だけでなく今世紀がどういう世紀であったかということも表したい、そこで昔の演歌も合わせて聴いてもらうという趣向かもしれません。しかし、それならばむしろ、はやり歌の始まりの「東京行進曲」「アラビアの唄」あたりから総ざらえすべきです。今や、夏の「思い出のメロディー」ですら、戦前のはやり歌を歌わなくなっていますから、もし「紅白」で今世紀のメロディー総集編をやれば、それはそれで意義のあることだと思います。

 そういう意図でもないかぎり、「紅白」の演歌枠は、少なくとも半減させるべきです。また、ポップス系の常連にも、「紅白」に出る理由の薄弱な人が少なからずいます。それらの人々を出場させる代わりに、ロック・ポップスなどの実力者を厚遇すべきです。

 高年層の好みを尊重することは大切ですが、「紅白」が永く国民的祝祭の場として存続して行くためには、若い世代の支持を得ることもきわめて重要なことです。この点が現在の選考では致命的に軽視されていると言わざるをえません。演歌枠にバッサリ大手術をすることで、一時的には視聴率を下げても、10年、20年後の「紅白」を考えたとき、若年層の広く厚い支持があることはこの上ない強みになるはずです。

 邪推かもしれませんが、演歌の世界にはヒエラルキーが存在して、あの人を出場させれば、この人を落選させるわけにはゆかないといったような、がんじがらめの状況がありはしないでしょうか。1986年、ある問題が原因で北島三郎が落選したとき、「それなら僕も出るわけにはゆかない」と言って、山本譲二が出場を辞退したことがありました。このようなことは、個々のアーティストの独立性が強いロック・ポップスの世界ではあり得ないと思います。NHKが、演歌界から有形無形の圧力を受けていなければ幸いです。しかし、そうでも考えなければ、この演歌偏重の選考はどうにも納得ができません。

 僕が人選をするとしたら、北島三郎などの演歌の実力派には、申し訳ないけれど隠居をお願いするというか、最高顧問待遇としておいて、「紅白」にはロック・ポップスやフォークミュージックの世界から、より多くの人を選ぶことにしたい。たとえば、次のような顔ぶれはいかがでしょう。

 太字は、今年の「紅白」では実際には出場していない人。ジャズ界から綾戸智絵さんに来てもらったりして、少々大胆かもしれません。今まで「出場拒否組」だと言われていた人々も多く含まれていますが、拒否組の人は、多くの「常連メンバー」の中でひとりだけ歌うのがいやだったという人も多いでしょうから、「今回からメンバーを刷新します」ということで交渉すれば、それほど抵抗なく出演を許諾してくれるのではないでしょうか。

追記 2002年の紅白では、紅白出場者が3分の1まで減りました。まさにNHKの「大英断」だと思います。(2002.11.27)〉

僕の夢想する2000年「紅白歌合戦」の顔ぶれ

紅 組 白 組
aiko(初)「ボーイフレンド」 アリス(初)「アリス・ミレニアムスペシャル」
安室奈美恵(6)「NEVER END」 五木ひろし(30)「山河」
綾戸智絵(初)「Everybody Everywhere」 井上陽水(初)「心もよう」
石原詢子(初)「みれん酒」 大泉逸郎(初)「孫」
宇多田ヒカル(初)「For You」 小椋佳(2)「誰でもいいから」
Every Little Thing(4)「愛のカケラ」 久保田利伸(2)「Always Remain」
倉木麻衣(初)「Reach for the sky」 GLAY(4)「Missing You」
香西かおり(9)「無言坂」 サザンオールスターズ(4)「TSUNAMI」
伍代夏子(11)「満月」 さだまさし(12)「無縁坂」
小柳ゆき(初)「あなたのキスを数えましょう〜You were mine〜」 THE ALFEE(2)「Never Fade」
ZARD(初)「Get U're Dream」 19(2)「水・陸・そら、無限大」
坂本冬美(13)「風鈴」 スガシカオ(初)「AFFAIR」
the brilliant green(初)「angel song〜イヴの鐘〜」 SMAP(10)「らいおんハート」
椎名林檎(初)「ギブス」 DA PUMP(3)「if...」
ジッタリン・ジン(初)「プレゼント〜青いカナリア(メドレー)」 鳥羽一郎(13)「兄弟船」
鈴木あみ(2)「THANK YOU 4 EVERY DAY EVERY BODY」 錦織 健(初)「荒城の月」
CHARA(初)「大切をきずくもの」 B'z(初)「RING」
天童よしみ(5)「道頓堀人情」 氷川きよし(初)「箱根八里の半次郎」
中島みゆき(初)「地上の星」 平井堅(初)「楽園」
中村美律子(8)「おんなの純情」 藤井隆(初)「ナンダカンダ」
花*花(初)「あ〜よかった」 細川たかし(26)「望郷じょんから」
浜崎あゆみ(2)「SEASONS」 ポルノグラフィティ(初)「サウダージ」
hitomi(初)「Love2000」 松山千春(初)「長い夜」
Whiteberry(初)「夏祭り」 森進一(33)「終列車」
松任谷由実(初)「PARTNERSHIP」 野猿(2)「Chicken guys」
Misia(初)「Everything」 山下達郎(初)「Juvenileのテーマ〜瞳の中のRainbow〜」
モーニング娘。(3)「ハッピーサマーウェディング大晦日スペシャル 」 吉田拓郎(2)「トワイライト」
森山良子(8)「思い出のグリーングラス」 L'Arc〜en〜Ciel (3)「STAY AWAY」

(2000.12.14)


「Yeemarと紅白」目次へ
前へ 次へ

HOME主人敬白応接間ことばイラスト秘密部屋記帳所

email:
Copyright(C) Yeemar 2000. All rights reserved.
著作権・リンクなどについて