「哀愁の上総湊 〜 マダイ釣り大会繁盛記」
- 深夜釣行・ハードボイルド(またしてもなのか?)釣りノンフィクション第参弾 -


第一回上総湊シャクリマダイ大会

2002/7/28

■At First!(The Rock Says This...^^;)

遂に俺様が上総湊へ帰って来た!少しの間留守にしたが、今日の海は久々の俺様を歓迎するようなベストコン
ディションだ!しかし!この俺様のホームで、フトドキにも挑戦の狼煙を上げている奴らが大勢いるらしいじゃ
ないか!?・・・いい度胸だ、全員まとめてかかって来るがいい!そして、心ゆくまで味わうがいい!
この俺様の・・・釣技をな!

■マダイ釣り大会

内房の知る人ぞ知る漁港、上総湊は、伝統釣法シャクリ釣りのメッカ。で、2002年7月28日・日曜日は、
いつもお世話になっている加平丸の若船長が幹事を務める「上総湊マダイ釣り大会」開催日。最近、ちょっとし
た浮気癖で、釣りと言えば金谷とか飯岡とかにしか行かなかったんだけど、あくまで僕のホームはココ内房・
上総湊。前日までの釣果も良好だし、考えてみれば公式な「釣り大会」ってものに参加したことが無い。
ならば、せっかくの機会なので参加してみよう、って事になった。この大会、上総湊の殆どの船宿が参加し、
一番多くマダイを釣った人が優勝、という割と大がかりなものらしい。実は、加平丸HPにお知らせが出た段階
で気になっていた。

■前々日・午後3時以降

深夜釣行掲示板に、エントリー希望を伝える書き込みはまだ無い。先週までタチの悪い風邪を引いていたウチの
奥様は釣行に尻込み。そうこうしているうちに、大会当日まであと2日となってしまった。何にせよ、単独でも
参戦するつもりだったので、取り敢えず加平丸に電話してみた。

卓「お世話さまです、東京の斉藤ですがぁ?」
おかみさん(以下お)「ああ、どうもどうも、ご無沙汰ですぅ」
卓「明後日の大会ってまだ出られますかねぇ?」
お「明後日?ああ、マダイたいか・・・ツー・ツー・ツー」

まったくウチの会社は携帯の電波状況が悪くて困る(^^;)。気を取り直して、会社の電話から今一度電話。

卓「ああ、すみません、さっき切れちゃいまして、、東京の斉藤です」
大船長(以下大)「はいはい、どうも」
卓「船長、日曜日ってまだ出られます?」
大「日曜日?ああ、大会かぁ、うん、まだ出られるよ!」
卓「そうすか、じゃ参加したいんですけど!」
大「でもなぁ、ウチの船じゃ無理だなぁ・・・」
卓「・・・え!マジで?」
大「遅ぇよ、ウチの船はもう満杯だよ(^^)」
卓「・・・う〜ん、どうせなら加平丸に乗りたいんだけどなぁ・・・?」
大「ま、たまには他の船にでも乗ってみればいいんじゃない?」
卓「わかりました、夜までにもう1回電話しますよ!」
大「あいよ!・・・ガチャ・ツー・ツー・ツー」

・・・さて困った。久々のシャクリマダイはどうしてもやっておきたいんだけど、他の船宿で単独釣行はキツ
い。漁師町の上総湊は、船によっては船長にそれぞれクセがあり、馴れるまで結構時間がかかる。オマケに、
各船にはそれぞれ常連と言われる釣り人が必ず居るため、船によっては相当の気遣いが必要になっちゃうから
だ。例えば、藤●丸なんかに1人で割り当てられたら、と思うと、ちょっと気分がブルーになってしまう。
(いや、いい船なんだけどね^^;)

思案しながら取り敢えず残った仕事をこなしていたら、携帯が鳴った。相手は詩人。

詩人(以下詩)「・・・ところで、明日の大会ってどうなった?」
卓「ああ、まだ大丈夫らしいよ。でも加平は満杯だってさ。」
詩「あ、そうなの?こっち2人で参加しようと思ってたのに・・」
卓「(^^)マジで?いや、1人だったらやめとこうと思ってたんだよ、他の船かもしんないし・・」
詩「そっかぁ、他の船かぁ・・」
卓「うん。だからさ、もしかすると藤●丸って可能性もあんのよ(^^;)。」
詩「じゃ、どうする?」
卓「取り敢えず出ますかぁ?電話しときますよ!」
詩「了解!」

・・・こんな会話を交わし、取り敢えず単独出撃だけは免れた!意気揚々と加平丸に今一度電話を入れ、参加希
望の旨を伝える。大船長は「ウチの船じゃないけど」ってのを強調してたのだが、1人でなければ平気!(^^;)。
ここで、出陣への準備は整ったワケである。

■2002年7月28日・日曜日・晴れ・風弱し

出船当日、いつものように深夜ウチに集合した3名の戦士達(^^;)は、京葉道路→館山道という、一番安価なルー
トを選択して出発。渋滞も無く、集合1時間前には我がホーム、上総湊港へ到着した。まだ薄暗い港には、架設
のテントが立てられ、大きいとは言えない港入口の頭上には参加各船の大漁旗が掲げられている。おそらく参加
者と思われる他の釣り人も多数待機中。確かに大会と言う雰囲気はあるのだが、鹿島や飯岡のような燃えるよう
な熱気は感じられず(^^;)。まぁ、それがこの港の良いところでもあるんだけど(^^;)。

5時を過ぎ、受付を済ませた我々の船が確定!今回は初乗船の三十郎丸に運命を預けることに。この船、さすが
に第二加平丸よりは小さいんだけど、第一加平丸とは遜色無い大きさ。加えて、可愛いキャビン、当然女子も使
えるトイレまで付いていて、まずはホッとする。これで女釣り詩人も安心、と言うワケだ(^^)。案内してくれた
船長はほんのちょっとだけ恐そうな人だったけど(^^;)。

さっそく三十郎丸に乗り込み、タックルのセッティング。総勢10名程の船内は、僕ら3名を除いて全員が
テバネ。う〜ん、やっぱりココではリールタックルは邪道なんだろうなぁ、きっと(^^;)。ともかく、愛用の
ディアボロス&ディアボロス・スパイスに、それぞれ10号の中重りと1.5号のテンヤを装着。ハリスは
無理して購入したDUELのピンクをチョイス。このハリス、マダイからは見えない、とされている最近話題の
製品。ま、後々コイツには悩まされることになるんだけど(^^;)。

そそくさと準備をしていると、陸地から「斉藤さん!」と呼ぶ大きな声(^^;)。ふと目をやると、そこには
ニコニコ顔の加平丸大船長の姿が(^^)。どうやら心配して様子を見に来てくれたらしい。いつもすみません!

で、一番早く乗船した我々は、当然のようにオオドモへ釣り座を確保したのだが、総勢10人程の三十郎丸
乗船者全体の公平を図る為に釣り座はジャンケンで決めることになった。ジャンケンの勝率は決して良くない
我々だが、勝ち抜けした皆さんはとっとと自分のタックルが用意してあった釣り座へ(^^;)。釣り詩人&女釣り詩
人のコンビも、セッティング済みの左舷オオドモ&トモ2番を確保した。僕はと言えば、右舷オオドモに
セッティングしていたにもかかわらず、常連らしき人にその座は奪われてしまう(^^;)。しかたなく右舷トモ2番
に座をずらし、最終調整。さぁ、いよいよ出港だ!!

■オープニングアテンション

5時15分頃に河岸払いした上総湊各船・総勢10隻前後は、港に程近いイケスでエサのエビを積み込み、競技開
始時刻を待つ。ここの15分程の待ち時間が楽しくももどかしい(^^;)。時計の針が定刻5時半ちょうどを指すと、
船は一斉にポイント目指して動き始めた!何隻かの船は汽笛を鳴らしたのだが、中にはそんなモノを積んでいな
い船もある(^^;)。割としまらないオープニングとなってしまったが、それでも僕と詩人は船中でスタンディング
オベーション(^^;)。心優しい三十郎丸乗船の皆様は、僕らに付き合って拍手をしてくれた(^^)。
そうだよ、お祭りなんだから盛り上がんなきゃ!ところが、冷静にまわりを見渡してみると、一斉に走り出す
船団は実にカッコイイ。高揚した気分のまま、船はそれぞれのポイントへと向かう。
そう、舞台は踊り始めているのだ!!

■実釣開始!

三十郎丸のエンジン音が変わって、速度を落としたのはそれから20分後?。この地区の慣例、古流尺貫法の
「ヒロ」で棚を伝えられ、待ちに待った第一投(^^)。取り敢えず最初はノーマルディアボロス+ミリオネアを
チョイスし、指示棚に探りを入れる。・・・アタリは無い。まぁ、最初だからしょうがないと言えばしょうがな
いんだけど、昨日までの釣果を考えれば船中で誰かが上げていてもおかしくは無い。先行きにちょっとだけ不安
が走ったのだが、気を取り直してシャクる。もうひたすらシャクる。

■最初の獲物は・・・

何度か船は流し変えられ、いくつめかのポイントで左隣の常連さんが必死にテバネの道糸を手繰っている。
何か来たようなので見ていると、姿を現したのは20cm程の本命・マダイ(^^;)。船長がニヤニヤしながら
からかってるトコロを見ると、この人は普段からこの船に乗ってんだ、つーことが解る(^^;)。いや、そんなこと
よりココに(小さくても)マダイが居る、ということがハッキリした!ならば、もう釣るしかない!
一層シャクリに気合いが入る。

・・・ここで竿先にかすかな違和感。ここぞとばかりに大きくアワセをくれてやると、確かに何かが掛かった感
じがするのだが、全然引かない(^^;)。しかし、何かがジタバタしている感覚はある。ヤッツケ気味にリールを
高速で巻き取ると、テンヤに食いついていたのはなんと15cmくらいのシロギス(^^;)。おいおい、エサのエビは
お前と同じくらいの大きさだぞ、コラ!リリースしても良かったんだけど、最初の獲物なので取り敢えずはバケ
ツにてキープ。嫌な雰囲気になってきた・・・。

■沈滞ムードが溢れ出す中・・・

このへん、午前7時より約2時間、船全体からアタリが遠のく。船内の所々でときどきサカナは見かけるのだ
が、殆どがトラギス、小型ワニゴチと言った定番外道。ワニゴチも大型ならキープなんだろうけど、中くらいの
メゴチ並みの大きさなもんだから、みんなすぐ海に戻してしまう。ここまでの間、船中で一番豪華な外道は間違
いなく女釣り詩人がゲットしたイトヨリダイであろう。他の乗船客も「何かおかしいぞ・・?」って顔になって
くる。おそらく、三十郎丸だけでなく、他の船も状況は似たようなもんだったに違いない。

そんな最中、僕のディアボロスに明確なアタリがやって来る!意を決して合せると、確かなフッキングの
手応えが(^^)。

「よっしゃあ、乗ったぁ!」と心で叫んだつもりなのだが、おそらくシャウトしていたハズ(^^;)。このサカナ、
かなりの抵抗を見せた為、本命への期待は一層高まっていく。船長が側にやって来た。周りの釣り人もしゃくる
手を休めて僕に注目しているのが解る。こ、これは絶対バラせないぞ(^^;)。ハリスが見えた。ディアボロスを
投げ出し、慎重に手繰り寄せる!・・・あれ?赤くねぇぞ、これ・・・。なんじゃコリャ?

「(^^;)おお、いいコチだねぇ(^^;)」・・船長のフォローが逆に辛い。いや、むしろ辛い(^^;)。上がって来たのは
40cm級のマゴチ。どうりでいい引きしてるはずだ。取り敢えずはタモ取りしてもらい、バケツにキープ・・。
真夏の高級魚、照りゴチは昨年の夏、遂に1尾も釣れなかった僕にとって幻のサカナ(^^;)。嬉しいハズなのだ
が、今回だけは何故かそんな気分になれずにいる。
「お前ぇじゃねぇんだよ・・・」今度は間違いなく心の中で呟いた。

■そして、釣況は一変する!

「来たぁ〜(^^)」!!!
突然の声に後ろを振り返ると、女釣り詩人のバイオクラフトが大きくしなっている。楽しげにリールを巻く彼女
は、船中初の(ちゃんとした)マダイをゲット!く、悔しい・・。こないだのアオリに続き、今回も本命をゲッ
トしやがった(^^;)。目測で700gってとこかぁ?あああ、そのまぶしすぎる笑顔をこっちに向けるなぁぁぁ(^^;)!
ち、ちきしょう、ここは大人の対応をしなければ!「やったじゃん、本命本命(クールに、クールに)」
「カワイイよねぇ、このマダイ(^^)」・・・。
ふと女釣り師人の横に見やると、血走った目をした詩人の姿・・(^^;)。そうだ、僕らも釣らなくては!!

そうこうしているうちに、ジャンケンで僕のオオドモを取ってしまった隣の釣り人が何やら大きなやり取りをし
ている姿が目に入る。ムムム、相当な大物っぽいぞ?この地域の慣習に従い、僕は泣く泣く釣りの手を止めて胴
の屋根からタモを持ち出す。ほどなく上がった来た赤い魚体は紛れもなく本命・マダイであった。ハリスを回し
てもらい、無事にランディング成功。う、羨ましい・・・。ありがとうございます、と僕にお礼を言う釣り人に
ある種の殺意すら感じる(^^;)。「そこは俺の席だったのに・・」心の中で呟いてみる(^^;)。何がムカツくかと
言えば、この人このほんの数分後に同級のマダイをもう1尾ゲットしやがったこと(^^;)。タモ取りばかりしてい
る僕っていったい・・・?

釣況は確実に変わった。船中いたるところでヒットの声が上がり、遠目(でもないけど^^;)にも赤いサカナが取
り込まれているのが解る。・・「おいおい、もしかして釣ってないのって今や俺だけなんじゃねぇのか!?」
そんな疑惑を持った瞬間、後方から絞り出すような声が聞こえる(^^;)。
「今の俺に下手にさわんない方がいーよ・・」こここ、恐い(^^;)。このまま人間模様に持って行けそうな言葉を
吐く釣り詩人(^^;)。そうか、まだ僕にも仲間は居たんだ(^^;)。

「来たぁぁぁ」!!!
このやろ、早くも裏切りやがったなぁ!(^^;)。程無くして釣り詩人のディアボロスにも本命がヒット!こちらは
目測で900g〜1kgはありそうな立派なマダイ。もう悔しいとか羨ましいとか言ってる場合では無くなった。
これで船中型を見ていないのは間違いなく僕1人となってしまった。体中をイヤなアドレナリンが駆け巡る。
いったい何が違うって言うんだ・・・?

「あと2時間だよぉ〜!」船長はそう叫ぶ。気がついたらもう11時を回っていた。今回は一応競技会なので、
13時沖上がり、っていうのは確定事項らしい。アセる。この上無いくらい焦る。ふと気がつくと、竿先にまた
もやかすかな違和感を感じる。「持って行けぇ!」・・これも発音した(^^;)。少し引き込みが強くなったところ
で大きくアワセ、針掛かりを確信する。しかし・・・。この引きは絶対にマダイでは無い。予想通り、上がって
きたのは良型のカワハギ・・・。「お前は、冬に釣れてくれ・・・」

ちょっとしたパニック状態に陥る。いや、特殊なことは一切していないハズだ。棚は船長の指示通りだし、
しゃくりも海中のエビの動きがイメージ出来るくらい快調だ。ともかく、ディアボロスを赤いスパイスに持ち替
え、中オモリを12号、テンヤ2号の仕掛けにチェンジ。こういう時は早めに沈んでくれるタックルをチョイスし
なければ時間がもったいない。懸命にしゃくっている時、気づいた。そうだ、アレが違う。アレが他のみんなと
大きく違っているのだ。と同時に、あることを思い出した!

■回想・ある日の金谷での出来事

去年の冬の入口のころ、僕ら3人は金谷に居た。前回乗船時、遂に顔を見ることができなかったアオリイカに会
うために!この日に合わせて、ロッドやリールはもちろん、エギや小物を逆リベンジ買いしていた男が居た。
敢えて名前は出さない(つーか出さなくても解るだろ^^;)が・・。その日の船は好調で、船中ポンポンとアオリ
が上がる。当然僕も釣ったのだが、この逆リベンジ男のみなかなか釣れない。行きの車中では、こんな会話が
あった。

「・・・というわけで、上州屋の店員オススメのを一式買ってきたんだよ」
「ふ〜ん、でも黒ハリスって駄目って聞いたコトあるけど?」
「いや、大丈夫。だってその店員、『これで釣れなかったらそこにアオリは居ません』って言い切ってたもん」
「へ〜。じゃあさ、1匹釣れたら俺にもそのハリス3m頂戴(^^;)!」

・・・しかし、彼は終盤まで釣れなかった(^^;)。そこにアオリが居ないワケではない。当然、金谷にアオリが
居ない、というワケでもないはず。不憫に思った僕は、彼に話しかける。

「ハセ、俺のハリスあげよっか?」

それから程無くして彼(しまった、名前出しちゃった^^;)の竿にもアオリはやって来た。この海に色つきハリス
は禁物だったのだ・・・。

■本命無きまま、ラストスパート!そして・・・

時刻は既に11:30。時間はもう無い。仕掛けを水中に入れたまま、大急ぎで3m分ハリスを切る。もちろん透明
のヤツだ(^^;)。これでもか、ってくらい高速でリールを巻き、いまいましいピンク色のハリスを切り取る。
テンヤも2.5号、一つ重たいモノに変えた。OK、早く沈んでくれ!

先程まであれだけ賑やかだった船内もやや沈滞気味。食い気はあの一瞬だけだったのだろうか?いやいや、そん
なことは・・・。10シャクリもすると、流石に疑心暗鬼に陥る。そりゃそーだ、なんつったって船内でタイを
見ていないのは僕だけなんだから!でも、、、もう、、、あきらめようかな?・・・・。

■時は来た!

刹那!物凄い勢いで竿先が絞り込まれる。一瞬で確信した。この向こう合わせは間違いなくタイだ!さっきまで
あれだけ出ていた声が出なくなるほど慎重にリールを巻き上げる。途中、ドラグを鳴らして突っ込まれた時には
ちょっとだけビビったが、三段の突っ込みで益々マダイを確信。先程のお返し、とばかりに、隣の釣り人がタモ
の用意をしてくれている。「デカそうですねぇ?」「ええ、これはきっとタイだと思いますよ・・」そんな話を
していると、隣に船長もやってきた。「慎重に、ゆっくり巻きな!」そう言われて、後10mを慎重に巻いた。

中オモリが見えて来た。十分に巻き上げたところでハリスを掴む。少々おとなしくなってはいるが、指先には
ビンビンの重量感。まだ、バレていない(^^;)。タモを用意して待っていてくれた隣の釣り人に話しかける。
「もう浮いてきてるから、間もなくだと思いますよ」・・・サカナが見えた!赤い!そして、デカい!!

無事にタモに収まったマダイは1.2kgの自己レコードサイズ(^^)V。隣の釣り人も感心している。船長も笑顔。
割と大物がゲット出来たはずなのに、僕の口から出た言葉は・・・「か、型見れて良かったぁぁ!」(^^;)。

■終盤戦

このゲットにてようやく心に平静が訪れる(^^;)。足元のバケツ(ちなみに三十郎丸にイケス無し^^;)には、大型
のカワハギ、マゴチ、そしてマダイと高級魚だらけ!左舷の詩人チームも、マダイやイトヨリの他にマハタも
上がっていて、かなりの好釣果と言っていい。残り時間も後30分となったところで、詩人が大型のカサゴをゲッ
トし、高級度合に拍車がかかる(^^)。こっちのテンヤにもアカイカらしきアタリが頻繁にやって来て、ゲットこそ
出来なかったけれど定刻まで充分に楽しめた(^^)。船長と船に感謝だ!

■帰航、そして表彰式

終了の合図が出され、タックルをしまっていたら、船長に声をかけられた。
「そのタイ、大物賞かもしんないから、帰ったら計量に出してよ!」・・・おお、マジかよ、最後の最後でゲッ
トしたマダイは船中で最大のサイズだったらしい(^^)。しかし、計量するんだったら血抜きするんじゃなかった
なぁ(^^;)。

上総湊港に戻ると、加平丸を含めた船もぞろぞろと戻って来ている。各船の船長は、自分の船の釣果を本部の
テントに報告している。ここの港の船長たちがこんな笑顔で談笑している姿ってのは今まで見たことが無い。
いやぁ、大会ってのは素晴らしいね(^^)。取り敢えずテントに獲物のマダイを持ち込み、検量してもらった。
当然、優勝なんて望めないことは解っていたけど、自己記録を破ったこと、そしてマダイボウズを免れたコトに
満足(^^)。道具をかたし、各船のおかみさんたちが振る舞ってくれた缶コーヒーの2本目を飲み干した頃に閉会式
が始まった。

加平丸若船長は今大会の実行委員会会長。良く覚えていないんだけど、「湊真鯛釣り連合会」だかなんだかの
会長職に就いているらしい(^^;)。なるほど、次に会った時は会長と呼ばなければ(^^;)。その会長の一言挨拶の後
表彰式。この日並みなのに、トップの人は4枚ものマダイを釣ったというのだから恐れ入る。しかも、大物賞も
このトップの人が記録した3kg!女釣り詩人は小声でこう言った。「どっちか賞品辞退しろよぉ・・・」

その後、お楽しみ抽選会も催され、釣り詩人が釣魚料理図鑑をゲット(^^;)!このところ、釣り運がそんなに良く
は無かった彼だったのだが、おそらくこの釣行でかなり調子を取り戻した、と見ていいだろう(^^)。

関係無い人は帰ってしまってもおかしくないのに、何故かみんな帰らずにこの純朴な表彰式をニコニコ顔で見つ
めている(^^)。僕がこの港が大好きなのは、こういう何とも言えない人間的な暖かさが感じられるからだ。全ての
セレモニーの終了を待って、釣り人たちは三々五々解散。みんな笑顔で言葉を交わし、別れの挨拶・・。

・・・うん、いい大会だった!おそらく来年も開催されるであろうこの大会、次回は本気で優勝を狙う!

■Finaly・・・

大漁旗の掲げられた港の入口をデリカで潜り抜ける時に、テントに居た加平丸のおかみさんに大きな声で挨拶。
少し先へ進むと見慣れた顔がこっちを見ている!?。大船長だ(^^;)。車の窓を全開にし、大船長にも声を掛けた。

卓「ありがとうございましたぁ!」
大「おお、お疲れさん、どうだったの?」
卓「1本取りましたよ、あとマゴチも!」
大「今日は駄目だな、全然食わなかったよ・・」
卓「いや、でも楽しかったっすよ!」
大「・・・昨日までは食ったんだけどなぁ・・・」

・・・上総湊釣行の最後は、大船長のいつもの言葉で閉められた(^^;)。

 


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